福岡県春日市で平安春峰の煎茶器を買取りました!
◇こんにちは。骨董品買取の福岡の玄燈舎です。いやはや、暑いのなんのって、まだ7月の上旬だってのに、この蒸し暑さと異常気温でみんなのお体が悲鳴を上げていらっしゃいます。還暦過ぎたこの私の体も、毎日鞭打って苦しくも楽しい宝探しに励んでおりまする。今回は福岡県春日市からの査定依頼で昭和50年代に建てられたお宅を訪問いたしました。お邪魔した際、エアコンが壊れて効いてない部屋に入り、「これがドライクリーニングの機械の中だな」なんて思ったもんでございます。しかしながらそこはわたしも大人。そんなことなど微塵も顔には出さず涼し気(かなり無理しておりますが…)に仕事モードに突入いたしました。
こちらの先代のお母様、小笠原流の煎茶道を嗜んでおられたそうで、染付や白磁の小さな湯呑や急須、湯こぼしなどがズラリと残っておりました。でも、今の娘さんであるご依頼者は茶道をしていないため、「これどうしよう…?」って困っておられました。そうですね…猫に小判、いや虫刺されにピップエレキバン?などと考えながら一通り見渡していたら、なんとまぁ、とっても上品な京都の春峰銘のある煎茶道具を発見!その瞬間、「お宝発見!」と心のベルがなりました。なんせ、こんなに美しいものがゴロゴロしているとは夢にも思わず、嬉しさのあまり暑さなんかぶっ飛びました。さらに調べてみると、同じ春峰銘の物がたくさんの箱に眠っておりました。まるで昭和の宝箱です!そしてこれらのお品をすべて査定して買取をさせて頂いた次第でございます。
暑さで汗がダラダラ流れる中での査定でしたが、見つけたお宝のおかげで気分はスッキリ爽快。まるで銭湯にございまに冷えたビールを飲んだような爽快感を味わいました。依頼者の娘さんも「こんなにたくさんの茶道具、どうしようか悩んでたけど、こんなに価値があるなんてびっくり!」と大喜び。お互いに笑顔が溢れるひとときとなりました。査定が終わった後には麦酒ではなく(当然ですが…)冷たい麦茶をいただき春日市の自宅を後にいたしました。この蒸し暑い梅雨時、次はどんなお宝に出会えるのか、私のさわやかな?宝探しの旅はまだまだ続くのであります。ありがとうございました!この煎茶器については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
◇この「煎茶器」は白い磁器に上品な染付の外観になっており状態もとてもよく、茶器によくみられるひび割れや口元の割れなどは見受けられません。作品名もしくは作家名は「平安春峰」とあり作家さんの名前は「井上春峰」さんだと思われます。。ありがとうございました。
買取査定額
◇煎茶道具の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者の知名度、次に図柄の人気度、ほかには状態や付属品があればより高価買取&できます。なお、今回の煎茶器はすっきりとした色遣いと上品な立ち姿もあり高価買取させていただきましたご自宅に煎茶道具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
★下記に代表的な作家について書きましたので参考にされてください…。
- 江戸時代初期の京都の陶工。黄瀬戸、志野、赤絵など様々な技法を用い、茶の湯の美意識に合致する器作りを目指しました。
- 代表作:
- 御所焼 御茶碗「菊花散らし」
- 志野茶碗 蔦文
- 黄瀬戸茶碗 飛び鉋
人間国宝 辻清明
- 昭和・平成時代の陶工。黄瀬戸、志野、伊羅保など、様々な技法を用いた茶器を作りました。
- 代表作:
- 志野茶碗 釣鐘
- 黄瀬戸茶碗 飛び鉋
- 伊羅保茶碗 辰砂
人間国宝 黒田泰蔵
- 昭和・平成時代の陶工。朝鮮陶磁器の影響を受け、独自の作風を確立しました。
- 代表作:
- 粉引茶碗 辰砂
- 辰砂刷毛目茶碗
- 鉄絵朝鮮茶碗 辰砂
上記以外にも、多くの優れた煎茶道具の陶工がいます。例えば、江戸時代の奥田頴川、明治時代の葆光、仁清の弟子である清水七兵衛、現代の濱田庄司、河野秋声などが有名です。
■過去の作品買取例
平安 春峰 造 南蛮手 100,000円
黄交趾 皆具 80,000円
平安春峰造白泥焼 50,000円
白磁 花唐草陽刻 涼炉 40,000円 他多数
「平安春峰」とは?
初代の井上春峰(いのうえ しゅんぽう)は、江戸時代末期から明治時代にかけて活躍した京都の陶芸家です。本名は井上松次郎で、1832年に京都で生まれました。彼は、若くして陶芸に興味を持ち、京都の代表的な陶工である仁阿弥道八(じんあみ どうはち)のもとで修業を積みました。仁阿弥道八は、琳派や京焼の伝統を守りながらも、新しい技術やデザインを取り入れる革新者として知られており、その影響は春峰にも色濃く表れています。
春峰は、1868年の明治維新後、旧来の制度が変わる中で、京都の陶芸界においても新しい風を吹き込みました。彼の作品は、日本国内だけでなく海外にも輸出され、その技術と美しさが高く評価されました。1873年のウィーン万国博覧会に出品された作品は、特に注目を集めました。
現在の井上春峰(いのうえ しゅんほう)は、1949年に京都市に生まれ、三代続く京焼の陶芸家です。父である二代春峰(本名:井上豊蔵)に師事し、伝統的な京焼の技法を学びました。1974年に三代春峰を襲名し、現在も精力的に作陶活動を続けています。春峰は、煎茶道具を中心に、茶碗、茶器、花器など幅広い作品を制作しています。その作品は、繊細な筆致で描かれた絵付けと、滑らかな肌触りの白磁が特徴です。また、黄瀬戸や志野などの釉薬を用いた作品も人気があります。春峰は、茶道の家元や茶道具コレクターから高い評価を得ており、数多くの賞を受賞しています。また、1995年には黄檗宗より「在心」の居士号を賜り、2005年には京都市文化功労者にも選ばれています。
★代表作品
井上春峰の代表作には、以下のようなものがあります。
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色絵金彩花鳥文蓋物(いろえきんさいかちょうもんふたもの)
- この作品は、色鮮やかな絵付けと金彩を駆使したもので、鳥や花の細かい描写が特徴です。蓋付きの器として、実用性と装飾性を兼ね備えています。
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赤絵細工(あかえざいく)
- 春峰は赤絵の技術にも秀でており、特に赤絵細工の茶碗や皿は、繊細な描写と色彩のバランスが見事です。
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青花染付(せいかそめつけ)
- 青花染付の作品は、白地に青色の絵付けが施されたもので、シンプルながらも洗練された美しさがあります。春峰の青花染付は、特に精緻な筆致が特徴です。
その他…影響を与えた作家
井上春峰に影響を与えた作家として、まず挙げられるのは仁阿弥道八です。彼は、京焼の伝統を守りつつも、新しい技術を積極的に取り入れることで知られていました。道八のもとで修業した春峰も、その技術と精神を受け継ぎました。
また、春峰は琳派の影響も強く受けています。琳派の創始者である尾形光琳やその後継者である酒井抱一などの影響を受け、花鳥風月をテーマにした装飾やデザインを多く取り入れました。
最後に…井上春峰の影響力と後継者
春峰の作品は、その美しさと技術の高さから、国内外で高く評価されました。特に、明治時代における日本の工芸品の輸出拡大に伴い、春峰の作品は海外でも人気を博しました。その影響は、次世代の陶芸家たちにも及び、京焼の技術やデザインの発展に大きく貢献しました。
◎関連、参考サイト
井上春峰:http://www.tachikichi.co.jp/en/about/index.html
Regional Styles | Tachikichi of Kyoto (Tableware)
■その他の買取品目
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