福岡市城南区で龍文堂鉄瓶を買取りました!

龍文堂野サビ錆の鉄瓶です。四角の小ぶりの鉄瓶です/福岡の骨董品買取は玄燈舎
龍文堂野サビ錆鉄瓶です。四角の小ぶりの鉄瓶です

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。福岡市城南区の某所に、昭和モダンな香り漂う一軒家があった。当時「文化住宅」なんて洒落た名前で呼ばれていた家々も、いまやすっかり年季が入り、懐かしさを通り越して風格すら感じる。しかしまあ、文化の香りというのは建物の話だけではない。この日の出張査定も、なかなか味わい深いものだった。

チャイムを鳴らすと、優しげな奥様が出迎えてくださる。案内されたのは、なんとも広々とした和室。畳の上には茶道具が整然と並べられ、掛け軸もずらり。さらに、壁には絵画まで掛かっているという、まるで即席のギャラリーである。こんな光景を見た日には、こちらも襟を正さねばならぬ。査定人としての威厳を保つため?いつもの「骨董を見る眼」なるものを最大限に発動させる。

さて、査定に入ろうかと品々を見渡してみると、どれもこれも箱入りで、しかも丁寧に品名や作者名が書かれている。こりゃまた几帳面な叔母様のご遺品らしい。ありがたいことに、こちらがいちいち「これはどなたの作でしょう?」などと考える手間が省ける。しかし、骨董の世界というのは、そんな親切設計を鵜呑みにしてはいけない。まれに「箱の中身が別物」なんてこともあるからだ。

慎重にひとつひとつ開封し、棗(なつめ)や茶碗を手に取る。どれも趣のある品ではあるが、査定額が跳ね上がるような名品とは言いがたい。「ふむ、これはなかなか…」と、それっぽくうなずきながらも、心の中では「もうひと押し、何か決定打がほしい」と願っていた。

そんな時、ふと視界の端に、ひっそりと鎮座するものがあった。鉄瓶である。ただし、長年放置されていたのか、かなりの錆び具合。しかも、まるで隅っこに隠れるように置かれている。これはどうしたことか。まるで「あたしなんてどうせ価値がないんでしょ」とでも言いたげな姿に見えてくる。

中も錆がありますが水漏れはありません/鉄瓶の買取・福岡
中も錆がありますが水漏れはありません

試しに手に取ってみると、そこには見覚えのある文字が刻まれていた。「龍文堂」――おお、これは来た。鉄瓶界の名門ではないか。

龍文堂の鉄瓶は、明治期から続く伝統工芸品であり、茶の湯の世界でも高く評価されている。しかも、これは小ぶりで愛らしく、なかなかの逸品。錆はあるが、しっかりと手入れをすれば見違えるように蘇るだろう。現在では大きな鉄瓶よりも小ぶりで少し変わった形が人気だ。

「奥様、これはなかなかのものですよ」と、さりげなく切り出す。すると、奥様は驚いた顔をされる。

「まあ、こんなボロボロの鉄瓶がですか?」

「ええ、実はこれ、龍文堂のものなんです。状態はともかく、明治期の工芸品としては価値が高いんです」

査定額を伝えると、奥様の表情がぱっと明るくなる。今までの茶道具の査定額が控えめだっただけに、この鉄瓶の評価が一気に流れを変えた形だ。

「そんなにいいものだったなんて…捨てなくてよかったわ」

捨てるだなんて、とんでもない。骨董というのは、時に持ち主すら知らぬ価値を秘めているものなのだ。

こうして、すべての査定が終わり、買取が成立。奥様も満足そうな表情で見送ってくださる。「叔母の遺品を、大切に引き取っていただけてよかったです」と、ほっとしたようにおっしゃった。我々骨董屋にとって、査定とは単なる値付け作業ではない。亡き人の思い出を紡ぎ、新たな持ち主へと繋ぐ架け橋でもあるのだ。帰り道、ふと龍文堂の鉄瓶がひっそりと置かれていたあの光景を思い出す。あの錆びた鉄瓶は、まるで「やっと見つけてもらえた」と微笑んでいるようだった。骨董の世界は奥深い。今日もまた、ひとつの「眠れる名品」を目覚めさせることができたことに、静かに満足するのだった。この龍文堂鉄瓶については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

◇この「龍文堂鉄瓶」は錆や傷などが多いものの小ぶりで形も珍しく四角の鉄瓶でした。時代は明治から大正期のものだと思われます。箱はありませんが水漏れもなく時代相応の鉄瓶でした。余談ですが鉄瓶の錆は鑢で磨いたり、液剤などできれいにするのではなく、なんどかお湯を沸かせば取れると思われます。

買取査定額

銅蓋の摘みもしっかりしています/骨董の買取は福岡玄燈舎へ
銅蓋の摘みもしっかりしています

 

鉄瓶の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に人気作家名の有無と状態、大きさや形、象嵌の有無や時代。付属品の有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した鉄瓶は「龍文堂」という人気の工房のもので状態は悪いですが、形と大きさが人気の物なので高価買取させていただきました。尚、ご自宅や倉庫に鉄瓶や茶道具がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。

 

岩肌がとても良い味わいを出しています/茶道具・鉄瓶の買取 福岡
岩肌がとても良い味わいを出しています
よく見ると彫刻もありますね/福岡・骨董品・買取
よく見ると彫刻もありますね

 

■過去の作品買取例

龍文堂大国寿朗製漢詩鉄瓶                     900,000円
龍文堂安之介造姥口丸形鉄瓶      700,000円
龍文堂 安之介 小振鉄瓶                                350,000円
龍文堂 手取形鉄瓶 青銅唐鏡蓋                   250,000円 他多数

 

 

 

◇龍文堂とは…

1.龍文堂の歴史

龍文堂(りゅうぶんどう)は江戸時代後期から昭和初期にかけて活躍した京都の鉄瓶工房であり、日本の鉄瓶文化において重要な役割を果たした名門のひとつです。創業者は「初代龍文堂・四方龍文(しほう りゅうぶん)」とされ、幕末の京都で鉄瓶の製作を始めました。京都は伝統工芸が盛んな地であり、特に茶道との関わりが深いことから、鉄瓶も茶道具としての側面を強く持つようになります。

龍文堂の名が広まったのは明治時代に入ってからで、鉄瓶の需要が増加する中で、全国的に評価を受けるようになりました。京都という地の利を活かし、千家茶道や大名家と関係を築き、高級茶道具としての鉄瓶の価値を高めていったのです。明治から大正期にかけて、龍文堂の鉄瓶は日本国内のみならず海外にも輸出され、高い評価を受けました。

しかし、昭和初期に入ると時代の変化とともに需要が減少し、特に第二次世界大戦の影響で金属供出が進んだため、多くの鉄瓶が失われました。その後、戦後の経済復興期にも龍文堂のような手作りの鉄瓶は衰退し、最終的に廃業を迎えました。しかし、現在でもその作品は高級骨董品として市場に流通しており、茶道愛好家や収集家の間で非常に高く評価されています。

2.龍文堂の作風と特徴

龍文堂の鉄瓶の特徴は、京都の洗練された美意識を反映した繊細な造形と、独自の意匠にあります。主な特徴として以下の点が挙げられます。

① 造形の美しさと均整の取れたフォルム
龍文堂の鉄瓶は全体的に端正なシルエットを持ち、形状のバリエーションが豊富です。代表的な形には、胴がやや膨らんだ「丸形」、肩が張った「平丸形」、直線的なフォルムの「筒形」などがあります。また、口造りが丁寧で、水切れが良いのも特徴です。

② 斬新な意匠と精緻な装飾
龍文堂の鉄瓶には、鉄地に細かな彫刻が施されたものや、銀や銅を象嵌したものが多く見られます。特に「波紋」「松竹梅」「龍」「虎」「唐草文」などの文様が好まれました。また、鉄地そのものの質感を生かした渋い仕上げも魅力の一つです。

釜師と鋳造技術の高さ
龍文堂の鉄瓶は、京都の優れた鋳物技術を受け継ぎ、高度な技術で作られました。特に鉄肌の美しさや、蓋の合わせの精密さなどが他の産地の鉄瓶と比べて優れており、茶人たちに愛されました。

④ 朱銅(しゅどう)や銀の摘みと意匠
龍文堂の鉄瓶の特徴的な要素として、朱銅や銀を用いた摘み(蓋の取っ手)が挙げられます。特に「南瓜摘み」「梅摘み」「獅子摘み」などの形があり、これがまた龍文堂の鉄瓶を一層魅力的なものにしています。

3.龍文堂の有名な職人

龍文堂の名を高めた職人たちは数多く存在しましたが、特に有名な人物を挙げると以下のようになります。

① 初代 四方龍文(しほう りゅうぶん)
龍文堂の創始者とされる人物で、江戸後期から明治にかけて活躍しました。茶道具としての鉄瓶の芸術性を高めた功績を持ち、彼の作品は現在でも非常に高く評価されています。

② 二代目 龍文(りゅうぶん)
明治から大正にかけて活躍し、龍文堂の名を全国に広めた名工。彼の時代には、象嵌や彫刻を取り入れた芸術性の高い鉄瓶が数多く製作されました。

③ 三代目 龍文(りゅうぶん)
大正から昭和初期にかけての名工で、最も洗練された鉄瓶を制作したと言われています。特に京都の茶道文化と深く結びついた作品を多く残しました。

亀文堂との関係
龍文堂と並ぶ鉄瓶の名門「亀文堂(きぶんどう)」とはしばしば比較されます。亀文堂は主に滋賀県で活動していましたが、京都の龍文堂とは技術交流があったとされ、意匠の影響を与え合っていたことがわかります。

4.代表作品

龍文堂の鉄瓶の中でも特に評価が高いものをいくつか紹介します。

①「波紋鉄瓶」
龍文堂を代表する作品のひとつ。鉄地に美しい波紋模様が施されており、まるで水面に波紋が広がるようなデザインが特徴。シンプルながらも高級感があり、茶人に非常に人気の高い作品。

②「松竹梅象嵌鉄瓶」
胴体部分に銀や銅の象嵌が施された豪華な鉄瓶。松竹梅の吉祥文様が細かく描かれ、茶道の席でも格式のある場で使われたとされる。

③「朱銅摘み南瓜形鉄瓶」
南瓜をモチーフにした鉄瓶で、朱銅の摘みが付いているのが特徴。形状が独特で、茶道具としての美観も優れている。

④「龍文堂印 銀象嵌鉄瓶」
龍文堂の工房印が底に打たれており、銀象嵌の装飾が美しい作品。銀のラインが鉄地と調和し、現代の目で見ても洗練されたデザイン。

★その他の龍文堂の職人


◎安之介(やすのすけ)

1. 略歴と背景

安之介は、明治から大正時代にかけて活躍した龍文堂の職人です。彼は特に鉄肌の美しさ洗練された造形で知られています。龍文堂の中でも特に技術力が高く、多くの名品を生み出しました。

当時の龍文堂は、茶道文化との結びつきが強く、茶人たちの好みに応じた高級鉄瓶が求められていました。安之介はその需要に応え、端正なフォルムと美しい仕上げの鉄瓶を数多く制作しました。


2. 作風と特徴

安之介の作品には以下のような特徴があります。

  • 鉄肌の美しさ

    • 彼の鉄瓶は、鉄地の質感を生かしたシンプルで上品なものが多い。
    • 釜肌に微細な凹凸がある「梨地(なしじ)」や、滑らかな「平肌(ひらはだ)」仕上げの作品が見られる。
  • 形状の美しさ

    • 胴のふくらみが絶妙で、均整の取れたフォルムを持つ。
    • 代表的な形としては「平丸形」「筒形」「丸形」などがある。
  • 蓋や摘み(つまみ)の意匠

    • 鉄製の蓋だけでなく、朱銅や銀を用いた摘みを施した作品も多い。
    • 梅や南瓜(かぼちゃ)、獅子といった意匠が用いられることがある。
  • 銘(サイン)

    • 安之介の作品には、底面や側面に「龍文堂安之介造」「安之介作」などの銘が入っているものがある。

3. 代表作品

  • 「梨地鉄瓶」

    • 鉄肌に微細な凹凸を施した「梨地」仕上げの鉄瓶。光の反射でわずかに表情が変わる、趣のある作品。
  • 「南瓜形鉄瓶」

    • 朱銅の摘みが付いた南瓜(かぼちゃ)を模した鉄瓶。ユニークな形状ながらも、洗練されたデザインが特徴。
  • 「松竹梅象嵌鉄瓶」

    • 胴部分に銀や銅の象嵌が施された豪華な鉄瓶。縁起の良い松竹梅のデザインが茶席に映える。

◎大国寿朗(おおくに じゅろう)

1. 略歴と背景

大国寿朗は、大正から昭和初期にかけて活躍した龍文堂の名工です。彼は、龍文堂の中でも特に装飾技術に優れた職人であり、銀や銅を使った象嵌(ぞうがん)技法を得意としていました。

当時、龍文堂の鉄瓶は美術品としての評価も高まり、単なる茶道具にとどまらず、装飾性の高い作品が求められるようになりました。大国寿朗はその流れに応じ、豪華な象嵌や彫金を施した鉄瓶を数多く制作しました。


2. 作風と特徴

大国寿朗の作品には以下のような特徴があります。

  • 象嵌技法の活用

    • 銀や銅を鉄地にはめ込む「象嵌」技術を駆使し、松竹梅、龍、虎、唐草文などの装飾を施す。
    • 時には、金象嵌を用いた豪華な鉄瓶も制作。
  • 繊細な彫刻技法

    • 胴部分に細やかな彫刻を施し、芸術性を高めた作品が多い。
    • 特に「流水文」や「雲龍文」などの伝統的な図柄を多用。
  • 金属装飾の摘み

    • 朱銅や銀を使った摘みを多く採用し、鉄肌とのコントラストを活かしたデザイン。
  • 独特な釜肌

    • 一般的な龍文堂の鉄瓶よりも、細かい文様を入れたものが多く、表面に変化を持たせている。
  • 銘(サイン)

    • 「大国寿朗造」「寿朗作」などの銘が入っているものがある。

3. 代表作品

  • 「龍雲文象嵌鉄瓶」

    • 胴部分に龍が雲の中を舞う姿を描いた象嵌鉄瓶。銀や銅を用いた繊細な象嵌が特徴。
  • 「流水文銀象嵌鉄瓶」

    • 流水の文様を銀象嵌で表現した作品。波の流れが美しく、和の趣を感じさせるデザイン。
  • 「唐草文鉄瓶」

    • 釜肌全体に唐草模様を施した作品。細かい彫刻と象嵌が融合した高級品。

 

 

大人気の小ぶりな鉄瓶でした/福岡の骨董品買取・茶道具
大人気の小ぶりな鉄瓶でした

 

■その他の買取品目

 

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