福岡市でアンティークなパイプ(喫煙具)を買取りました!

アンティークパイプを買取りました/福岡・骨董
綺麗なアンティークパイプを買取りました

 

◇「アツい」と「厚い」と「暑い」は、漢字こそ違えど、どれもこの数日の福岡県においては誤差の範囲だ。気温37度、体感は45度、心の温度は……あえて測らん。測っても体温計や頭がおバカになっておかしくなるだけである。そんな熱波の真っ只中、私のような骨董査定業などというシブい?職業の者が何をしているかといえば、はい、ちゃんと出張でお仕事しているわけである。しかも今回の出張地は福岡市城南区。高級でもなければ下町でもない、何となく「いいひとが住んでそうな住宅地」の代名詞のような場所である。

猛暑に溶けかけたハンドルを握りながら、クーラーの風に生きる希望を託して向かった先は、静まり返った住宅地の一角にある、きちんと剪定された植木が玄関で仁王立ちしている、いかにも「古き良きお宅」。ピンポンを押すと、チャイムの音より早く、涼しげな笑顔の家主さんが出てこられた。こちとら汗で相方の眉毛も流れかけてるのに、家主さんはまるで朝顔の精霊みたいに涼やかだ。

「いや〜、暑い中ありがとうございますねぇ」と言われつつ案内された先は、これまた立派なお座敷。何がありがたいって、まずエアコンがキンッキンに効いている。涼しさにうっかり涙腺が緩みそうになるが、まだ泣くには早い。これからが本番である。

で、拝見した査定品がまた…なんとも濃い。ズラリと並んだ仏像、壁に掛けられた仏画、書画。香炉まである。「ちょっとした寺院じゃないですか」と思わず口から出てしまい、「はは、先代がね、仏像コレクターだったんですわ」と家主さん。

聞けばその先代、もとは建築士だったそうで、仕事の傍ら仏像に目覚めてしまい、チベットの石仏から中国の普賢菩薩、はたまたヨーロッパの廃教会から引っこ抜いたんじゃないかと思われるような怪しげな石像まで、集めに集めたとのこと。しかも、あまりにも夢中になりすぎて、お仏壇に背を向けて南無南無していたというのだから筋金入りである。

で、肝心の査定だが…いやこれが、古そうに見えるがほとんどが戦後の復刻品。うっすらホコリをかぶったチベット仏も、底面を見ると「Made in Nepal 1989」の文字が浮かび上がってくる始末。仏様も、国際化の波には逆らえなかったということだ。

それでもひとつひとつ丁寧に査定し、「これは残念ながら復刻品ですので…」「ああ、こっちはレプリカなんですね」と正直に申し上げたところ、家主さんは涼しい顔のまま、「ああ、そうでしょうね。父はなんでも雰囲気で買う人でしたから」と笑われた。

その涼やかさにこちらも救われ、いくつかのお品についてご納得いただいた上で無事、買取が成立した。いやはや、エアコンの効いた部屋での査定というのは実に文明の香りがする。これがもし、縁側の畳の上でうちわ片手にやってたら、私は間違いなく仏像といっしょに仏の道に旅立っていたことであろう。

イギリス製のアンティークパイプもあります/古美術・福岡
イギリス製のアンティークパイプもあります

と、そんな汗もひと息ついた帰り際、ふと視線を壁に向けると、そこに並んでいたのは……ズラリと並んだアンティークパイプ。いわゆる喫煙具である。数えてみると20本以上。これはもしやと思い近づいて見ると、デンマークのスタンウェル、イギリスのダンヒル、はてはフランスのブッショカンまで鎮座している。

「これ、査定していただけますかね?」と家主さん。いや、むしろ私のほうが見たい。さっそく手に取り、じっくりと見る。どれも使用感はあるがメンテナンスが行き届いており、吸い口もヘタっていない。状態は上々。仏像が大量発生していた室内に、まさかこんな洒落た煙の世界があったとは。

中には珍しい曲線を描いたベント型パイプもあり、木目の艶から察するに、おそらく高級ブライヤー。これはなかなか市場でも出回らない骨董的な一本だ。仏像で心の迷いを鎮め、パイプで煙に巻く。なんとも奥行きのある趣味である。

ひととおり査定したところ、仏像よりもこちらのアンティークパイプ群のほうがむしろ高額になってしまい、家主さんは「え?こっちのほうが高いの?」とぽかん。いえね、いまどきアンティークのヨーロッパ製パイプは数が少ないんです。しかもこの保存状態。大仏の御顔よりキレイでいらっしゃる。

「そっかぁ、父が夜な夜なパイプくわえてたけど…煙のほうが骨董価値あったんですねぇ」

いやいや、仏像にも価値はある。精神的なものとして。

最後に家主さんと「暑いですねぇ」と言い合いながら外へ出ると、セミの声がミーンと耳に刺さる。ああ、もう帰りたくない。でもエアコンは無情にも玄関を出た瞬間に消える。パイプの煙は人を癒すが、真夏の路面は人を焦がす。

車に戻ると、ハンドルがフライパンのように焼けていた。握った瞬間、悟りが開けそうになる。いや、もう仏像いらない。仏は内にあり、パイプは高く売れる。かくして、福岡市城南区での骨董買取の一日、仏の道からパイプ道へと、心の流れも査定額も思わぬ方向へ転がっていったのであった。

このパイプについては下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

木目のきれいなアンティークパイプですね/骨董品の買取は福岡玄燈舎
木目のきれいなアンティークパイプですね

◇この「STANWELL REGO NO 969-48」は1950年代の物ですが状態も良く色焼けも少ない美品でした。何よりも柔らかなデザインと上品な木目、そしてトップの形は日本的な尺八のような竹の風情があるデザインになっています。とても良いアンティークパイプでした。ありがとうございます。

 

買取査定額

◇アンティークパイプの買取査定額もしくは評価額ですがまず第一にメーカー、次に材質やデザイン、状態や箱があればより高価買取&できます。ご自宅にアンティークなパイプや煙管など骨董的な喫煙具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

 

■過去の作品買取例

珍しいデザインのパイプも多数買取りました/アンティークの買取は福岡玄燈舎
珍しいデザインのパイプも多数買取りました

ラルス イヴァルソン パイプ  400,000円
WARSSON          300,000円
PIPE-DAN          150,000円
イエスコーノウィッチ アンティークパイプ 70,000円 他多数

スタンウェル(デンマーク)とは?

日本の尺八のようなトップです/骨董の買取は福岡玄燈舎
日本の尺八のようなトップです

創業者と誕生の背景

「スタンウェル(Stanwell)」は、第二次世界大戦中の1942年、デンマーク・コペンハーゲン近郊の町フレゼリクスンド(Frederikssund)にて誕生しました。創業者はポウル・ニールセン(Poul Nielsen)。当初は「Stanwell」の名ではなく、自身の名を冠した「P. Nielsen」ブランドで工房をスタートさせました。

当時、デンマークはドイツの占領下にあり、英国からのパイプ輸入が困難になっていたため、ニールセンは国内でのパイプ生産を志しました。1948年、第二次大戦が終結し貿易が再開されたタイミングで、彼は英国市場に参入するため、英語圏でのブランドイメージを意識し「Stanwell」と社名を改めます。これはイングランドの町名を模した造語で、「英国スタイルの高品質パイプ」をアピールする狙いがあったのです。

発展の歴史とデンマーク・スタイルの確立

1950〜60年代にかけて、スタンウェルは飛躍的な発展を遂げます。その背景には、数々の著名なデンマーク人パイプデザイナーとの協力関係がありました。特にスタンウェルの名を高めたのが、デンマークの伝説的パイプマスター、シグネチャー・デザイナーのシグナー・イバーソン(Sixten Ivarsson)との提携です。

イバーソンは、従来の英国的な直線的で重厚なパイプとは異なる、滑らかで流れるような有機的フォルムを提案しました。この「デンマーク・スタイル」は、自然と調和した美を追求し、次第に世界中のパイプ愛好家から支持を集めます。

その後もスタンウェルは、ハンス・ニールセン(Hans “Former” Nielsen)ペール・ハンセン(Poul Hansen)、ナナ・イバーソン(Nanna Ivarsson)ら、多くの気鋭作家とコラボレーションを展開し、多彩なモデルを生み出していきました。

代表的なモデルとフォルム

スタンウェルのパイプは、職人の手作業によって一つひとつ丁寧に仕上げられています。その中でも特に人気の高い代表的なモデルは以下のとおりです。

1. Model 63(”Bent Egg”)

シグナー・イバーソンの代表的なデザイン。丸みを帯びた卵型ボウルと滑らかなベントステムが特徴。手に収まりやすく、軽やかで吸いやすい。

2. Model 86(”Bent Brandy”)

どっしりとしたブランディ型のボウルと強くカーブしたステムがクラシカルな印象。重厚でありながらバランスが良く、デンマークらしい柔らかさも感じさせる。

3. Model 139(”Freehand”)

スタンウェル独自の自由形フォルム。ブライヤーの木目を生かし、天然の流線形に沿って彫り出された一点物の芸術品。

4. Royal Guard / Danish Sovereignシリーズ

中上級者向けのシリーズ。上質なブライヤーを使用し、美しいサンドブラスト仕上げや、黒檀などの高級素材をアクセントに使用。

5. Stanwell Featherweight

長時間の喫煙に最適な軽量モデル。従来のパイプより約20〜30%軽く設計されており、口にくわえたままでも疲れにくい。

素材とクラフトマンシップ

スタンウェルが使用する木材は、地中海沿岸で採れる高品質ブライヤー(ヒースの根塊)。数年にわたり自然乾燥させた後、熟練の職人が木目や密度、節の状態を見極めながら加工に入ります。

面白い点として、スタンウェルは他ブランドに先駆けてマシン・シェイピングとハンド・フィニッシュを融合させるスタイルを確立しました。これにより品質と均一性を保ちつつ、コストも抑えられ、安定した価格で高品質なパイプを供給できたのです。

仕上げにはサンドブラスト、ラステイック、スムース(艶仕上げ)など多様な技法を取り入れ、ユーザーの好みに応じたラインナップを提供しています。

吸い心地と構造の妙

スタンウェルのパイプは、エアフロー(通気構造)とドロー(吸い心地)のバランスにおいても評価が高いです。特にステムとシャンクの接合部の加工精度が非常に高く、タバコの燃焼効率や煙の温度にも配慮された設計となっています。

また、多くのモデルがフィルター対応(9mmフィルター)であり、ビギナーでも喉への刺激を抑えて楽しめる設計が施されています。

経営の変遷と現在

2000年代に入り、スタンウェルはデンマークの工場を閉鎖し、生産拠点をイタリアの老舗パイプ工房「Savinelli(サビネリ)」傘下の工場へと移転しました。これにより一部のマニアから「デンマーク産でなくなった」との声も聞かれましたが、熟練のクラフトマンによる製造技術と、創業時からの設計図面・木材選定ポリシーは厳格に継承されており、品質は保たれています。

現在でも「スタンウェル」は欧米を中心に愛され続けており、パイプ愛好家にとっての「スタンダード・クラシック」として地位を確立しています。

参考サイト

たばこと塩の博物館

  • 概要:日本専売公社(現・JT)が設立した、たばこと塩をテーマにした博物館。

  • 見どころ:世界各国のパイプや喫煙具、アンティークシガレットケース、葉巻カッター、灰皿などが所蔵・展示されており、ヨーロッパ製の19〜20世紀のパイプもあります。

  • 特筆点:スタンウェルをはじめとするデンマークや英国製のクラシックパイプの展示実績あり(常設ではない可能性あり)。

■その他の買取品目

 

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