福岡市中央区で三代徳田八十吉作品を買取りました!

三代徳田八十吉本人作品です/骨董・福岡・買取
三代徳田八十吉本人作品です

◇いやはや、福岡の町も朝晩はすこーし涼しくなってきたとはいえ、昼間の太陽ときたらまだまだ現役バリバリ。油断して水筒を忘れようものなら、あっという間に熱中症で天に召されそうな陽気である。そんな折、骨董屋稼業においては珍しく「お宝の匂い」がぷんぷんする一本の電話が鳴り響いた。電話口のご婦人が口にした住所を聞いた瞬間、私と相方は思わず背筋を伸ばした。なにせ福岡でも指折りの高級住宅街。ここで買取依頼となれば、ただの茶碗や皿では終わらない。人間国宝やら大名物やら、鼻血が出そうな代物がゴロゴロしている地域なのだ。骨董屋にとっては、カジノで大当たりのベルが鳴るのと同じ。脳内アドレナリンがドクドクと流れ出すのを感じるのであった。

さて、期待と欲望を鞄に詰め込み、相方と共に向かったそのお宅は、なんと三階建てのレンガ造り。まるでヨーロッパ映画に出てくる大富豪の館のようで、門のチャイムを押す前から我々の足は自然に小刻みに震えていた。中に通されれば、そこはもう骨董屋にとってのディズニーランド。いや、むしろユートピア。リビングの大きなショーケースには、人間国宝の陶芸作品が「どうだい?」とばかりに並んでいる。その隣には中国明時代の焼物、さらに古唐津の茶道具、極めつけは中国の掛軸が壁一面を飾っているではないか。数えてみればおよそ八十点。目が回りそうだが、骨董屋はここからが勝負である。涎を垂らして見とれていては、ただの見物人。心を鬼にして冷静に鑑定を進めなければならない。

しかし、これがなかなか難しい。徳田八十吉の鮮やかな色彩を前にすれば「うっとり」。柿右衛門の優美な絵付けを見れば「ため息」。加藤唐九郎の力強い作風に触れれば「うぉぉ!」と叫びたくなる。人間国宝がずらりと並んでいる空間で「冷静に」などと言われても、そもそも無理な話だ。相方と二人、内心は大騒ぎしながらも、表面上は涼しい顔で査定を進める。なにせここで狼狽しては「おや、この骨董屋、見る目がないのでは?」と思われかねない。商売人にとって信頼こそ命。汗を拭き拭き、真剣勝負が続くのである。

休憩?そんなものは必要ない。ここは戦場。骨董屋にとっては刀を交える場と同じである。気を抜いた瞬間に見落としが命取り。茶碗の一つ、掛軸の一幅にも大金が眠っている。相方と二人、ただひたすらに「掘り出し物よ出てこい」と念じながら、鑑定の手を動かし続ける。時計の針は何周したのか、気づけばすでに数時間が経っていた。ようやく全体を見終え、私は胸をなでおろす。

さて、今回の査定の中心は焼物。そこで主役に躍り出たのが、やはり徳田八十吉である。彼の作品は九谷焼の極致といっても過言ではなく、艶やかな色彩は一目でわかる圧倒的存在感を放つ。青から紫、そして赤へと移ろうグラデーションは、もはや陶器ではなく宇宙を閉じ込めたかのよう。これを目玉にできれば、今回の骨董買取の遠征は大成功と言える。その他にも柿右衛門の品格ある磁器、唐九郎の堂々たる志野などが続々と登場。査定額を提示する私の声は、思わずワントーン高くなってしまう。依頼主のご婦人も目を細め、相方も「よし、これはいける」と小さく心にガッツポーズ。

そして幸運にも、数点を買取させていただくことに成功した。なかでも徳田八十吉の作品を手に入れられたことは、骨董屋人生における「今日の晩酌は二合増し」級の喜びである。箱から取り出した瞬間、八十吉特有の色彩が光に反射して、まるで館全体を染め上げるかのよう。私は心の中で「やった!」と叫びながらも、外見上は静かに「こちら、大切にお預かりいたします」と低姿勢を保った。こういうとき、舞い上がる気持ちをいかに隠すかが、骨董屋の腕の見せ所なのだ。

とても美しい花瓶です/九谷焼・買取・福岡
とても美しい花瓶です

 

思えば、骨董屋稼業とは奇妙な仕事である。人の家に呼ばれて行き、押し入れの奥や床の間をのぞき込み、時には依頼主以上に興奮して宝探しをする。まるで幼い頃、駄菓子屋でクジを引き、当たりのメダルを探し求めたあの日々の延長線上のようなものだ。違うのは、当たるメダルが数百円ではなく、数十万、数百万に変身する可能性があるという点だけ。だからやめられない。骨董屋の血は、こうして今日もたぎっているのである。

口元もとても繊細で美しいですね/骨董の買取は福岡玄燈舎
口元もとても繊細で美しいですね

さて、今回のお宝探しの旅も無事に終わりを告げた。徳田八十吉の九谷焼をはじめとする逸品を手に入れ、心は踊り、足取りは軽い。帰り道、相方と二人、車の中で「晩ご飯は回転寿司にするか、焼肉にするか」と浮かれた相談を始めたほどだ。骨董屋の喜びは、結局こういうところに集約されるのかもしれない。良い品を見つけ、それを次につなげる。その過程に笑いと汗と、ほんの少しの緊張感が混じり合っているのだ。

今回も最後までお付き合いいただき感謝です。骨董屋の日々は、琺瑯看板の錆びついた色彩のように、ちょっと古くさいが味わい深い。次はどんなお宝が飛び出すのか、私自身もわくわくしている。どうぞ次回も、気楽にのぞいていただければ幸いです。

 

買取品の詳細

◇この「徳田八十吉の壷」はグラデーションも素晴らしい「燿彩壷」で状態も良く共箱、共布に栞もありさらには三代八十吉の本人名刺もありました。とても美しい素晴らしい買取品でした。ありがとうございました。

買取査定額

◆徳田八十吉作品の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に人気作品と製作年代、次に状態、付属品の有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した壺は「燿彩壷」という作品で状態もよく、しかも付属品や元箱なども揃っているということで高価買取させていただきました。ご自宅や倉庫に徳田八十吉作品や九谷焼がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。

 

 

 

■過去の作品買取例

横のラインもやわらかで美しい花瓶ですね/骨董の買取・福岡
横のラインもやわらかで美しい花瓶ですね

三代徳田八十吉作 耀彩壺 共箱 高さ約27cm 970,000円
三代 徳田八十吉 耀彩鉢 旋律 900,000円
徳田八十吉 耀彩大皿『月輪』450,000円
三代徳田八十吉造 深厚燿釉壷 350,000円 他多数

徳田八十吉とは?

金文字です/人間国宝の買取は福岡玄燈舎
金文字です

1. 初代 徳田八十吉(1873–1956)

  • 略歴

    • 1873年(明治6年)、石川県小松市(旧・大文字町)に染色業を営む家の長男として生まれる

    • 日本画を荒木探令・山本永暉に学び、義兄・松本佐平を通じて九谷焼の上絵付け技術を習得

    • 吉田屋風の写しや古九谷再現に情熱を傾け、新しい釉薬(ビロード釉、碧明釉、欽朗釉、深厚燿変など)を創出

    • 1953年には九谷焼の上絵付技術で重要無形文化財保持者(現・人間国宝)に認定される

    • 1956年に82歳で逝去

  • 代表作品・特徴

    • 古九谷・吉田屋の写しを中心に、伝統的な九谷五彩を現代に復活させた技能を誇る。

    • 独自の釉薬調合技術を通じて、新たな色彩美を追求。

    • 記録資料として東京国立博物館所蔵の「九谷焼技術記録(1953年)」が残されている


2. 二代 徳田八十吉(1907–1997)

  • 略歴

    • 1907年(明治40年)、現・能美市宮竹町に生まれ、1922年に養子として徳田家を継ぐ

    • 浅野廉(図案)、安達正太郎(陶彫釉薬)、玉井敬泉(日本画)に師事。その後、7年間富本憲吉に陶画を学ぶ

    • 1954年の日展で特選・北斗賞を受賞。翌1956年、二代を襲名

    • 1958年、ブリュッセル万国博覧会でグランプリ受賞。1966年には石川県指定無形文化財に認定。

    • 1978年には勲四等瑞宝章を授与

    • 1988年、長男に三代を譲り、自身は「百吉」の号を用いた

    • 1997年に逝去

  • 代表作品・特徴

    • 古九谷の色絵技術を継承しつつ、近代的な要素を取り入れた作品を多く制作。

    • 練込技法+色絵、金砂子を用いた「湧象」とされる技法も展開

    • 優美かつ洗練された九谷焼の創造に努めた。


3. 三代 徳田八十吉(本名:正彦、1933–2009)

本人名刺と栞も附属します/骨董の買取・福岡
本人名刺と栞も附属します

 

      • 1933年、石川県小松市に生まれる。金沢美術工芸短期大学陶磁科に在学するも中退

      • 初代・二代に師事し、1955年には祖父から釉薬調合を直接学ぶ

      • 1963年に出品した《あけぼの》で日展入選。その後1971年には日本伝統工芸展でNHK会長賞受賞

      • 1977年には《燿彩鉢》で日本工芸会総裁賞、1988年に三代を襲名

      • 1991年、第11回日本陶芸展でグランプリ・秩父宮賜杯(「創生」)を受賞、外務大臣表彰も

      • 1993年に紫綬褒章、1997年には重要無形文化財「彩釉磁器」の保持者に認定(人間国宝)

      • 作品「燿彩線文壷」が米メトロポリタン美術館に所蔵される

      • 2003年に古稀記念展、2009年に75歳で逝去

        代表作品・特徴

  • “彩釉(さいゆう)”技法を確立:古九谷五彩(赤除く四彩)に基づき、多彩な色で滑らかなグラデーションを描く独創的な表現を実現。

  • 高温(約1000〜1050℃)焼成による輝きを伴う“耀彩(ようさい)”を発展させた表現スタイル

  • 代表作:「創生」(1991、日本陶芸展大賞)、「燿彩鉢」「彩釉鉢(1982年)」

  • 抽象的な色彩表現により、九谷焼に新たな境地を開拓し、現代陶芸に燦然たる一筆を残した。


4. 四代 徳田八十吉(1961–現在)

  • 略歴

    • 1961年生まれ、三代の娘・順子氏が継承

    • 20代で九谷陶芸を学び、2010年に四代徳田八十吉を名乗る

    • 女性作家として希有な存在であり、伝統と革新の融合を目指して制作活動を続けている。

  • 代表作品・特徴

    • 父・三代との違いとして、色調はやや明るく、時に赤・黄色・白を用いる傾向がある一方、三代作品は深い青から緑へのグラデーションが主体

    • 彩釉技法の現代的展開を試みており、四代の展覧会も各地で開催されている(例:2025年に高松や米子など複数会場で)

    • 2022年には四代徳田八十吉展のカタログも刊行されている


5. 世代別の特色まとめ

世代 略歴・背景 技術・作品の特徴
初代 古九谷・吉田屋の再現に尽力。伝統の復興者。 薬創造、色絵技術、古典の写し。
二代 近代性を導入し国際的評価を受ける。 練込技法、色絵+金砂子(湧象)。
三代 彩釉・耀彩の創始者。人間国宝。 グラデーションによる色彩美、現代的抽象性。
四代 女性継承者として現在活躍。 明るめの色調、新たな表現の模索。

 

 

◎関連、参考サイト

  • 德田八十吉資料館(山正ミュージアム)
    初代から四代までの徳田八十吉の作品を常設展示している施設で、入場無料です。作品の購入も可能で、 技と美の伝統を間近で楽しめます。
    德田八十吉資料館

  • 小松市立錦窯展示館(旧・徳田家陶房跡)
    初代から三代までの作品や遺品、上絵付けの窯「錦窯」などを展示しています。人間国宝・三代徳田八十吉ファンをはじめ、九谷焼の歴史や制作現場を知りたい方にぜひおすすめです。
    takagamine.jpこまつ観光ナビ

  • 小松市立博物館
    錦窯展示館に併設される形で、三代の作品や四代の「彩釉壷『瑞穂』」なども所蔵されており、関連展示が行われることがあります。

 

 

■その他の買取品目

 

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