福岡市中央区で仏具の五鈷鈴を買取りました!
◇新年明けましておめでとうございます!なんて調子よく挨拶をしながら、年明け一発目の出張買取がやってきました。場所は福岡市内の某所です。古い町並みに溶け込んだ、これまた時代を感じさせる大きなお宅でした。玄関を開けた途端、どこからともなくお香の匂いが漂い、「ああ、これは今までの骨董品買取の仕事じゃない」と胸が騒ぎ出しました。どうやら代々続く宗教家のご家庭で、密教法具や仏教美術品のオンパレードらしいです。
まず目に飛び込んできたのは、立派な仏像たちです。部屋中に並べられた木製や青銅製の仏像が、こちらを見下ろしていました。私も背筋を伸ばし、思わず手を合わせてしまいました。「これは厳かなる戦場だ!」と心の中で呟きながら、査定に取り掛かりました。
仏像たちはどれも大正時代以降のものが多く、江戸時代を期待していた身としては少し肩透かしでした。しかし、その存在感たるや圧巻です。ひとつひとつ丁寧に拝見するうちに、気づけば小一時間が経過していました。仏像を触る度、「どうかお楽になりますように」と心で念じながらも、仕事モードで次々とチェックしていきました。
次に掛軸の査定です。これまた圧巻のコレクションで、仏画を描いたものがずらり。観音様、お釈迦様、涅槃図など、どれも見事な筆致です。その中には、江戸時代と思われる一品も混じっており、「これはただの掛軸じゃない、魂が宿っている」と思わず唸りました。
さて、最後に「これを見てください」と差し出されたのは、年季の入った古い木箱です。これがまた重いのです。箱を開けると、中から現れたのは金銅製の五鈷鈴(ごこれい)です。見るからに歴史を感じさせるこの一品、時代は室町くらいだろうかと思いました。中央には精巧に彫られたお不動様らしき姿があり、持ち手はツルツルと滑らかな感触です。長年にわたり丁寧に使われてきたことが手に取るように分かりました。経年の風合いがこれまた美しいです。「これぞ本日のお宝ですよ!」と家の方にお伝えしました。
この五鈷鈴、ただの古美術品じゃありません。持った瞬間、「これ、何か宿ってるんじゃないか?」と一瞬ヒヤリとしたくらいです。もちろん、高価査定額を提示させていただきました。お客様も納得の笑顔で、「代々大事にしてきたものです。次の方にも大事にしていただけると嬉しいです」と言葉を添えてくださいました。
こうして密教法具から仏像、掛軸まで、多岐にわたる仏教美術品の査定を終えました。特にこの五鈷鈴は、骨董の中でもとびきりの存在感を放つ一品です。「まだまだ時代を超えてその味わいを深めるに違いない」と胸を張って新しい持ち主に送り出せます。お客様には心からの感謝を述べつつ、最後は仏像たちに再度手を合わせてこの現場を後にしました。
新年一発目からこんな厳かな体験ができるなんて、今年の骨董買取業もなかなか波乱の幕開けです!でも、こういう出会いがあるからこそ、この仕事はやめられません。さて、次はどんなお宝に巡り会えるのか?期待とともに車を走らせた私でした。この「五鈷鈴」ついては下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
今回買取した「五鈷鈴」は金剛鈴の一つで密教法具の中でも最も大事なものとされていました。そのようなものでしかも不動明王様と思われる彫刻が施されていた逸品でした。重量感もあり持つと我々凡人でもなにか悟りを得たようになるのが不思議でした。箱は後に作られたものです。
買取査定額
◇仏教美術品の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者や工房の知名度、道具や材質の種類、時代が古く状態が良いものにはより高価買取&できます。
ご自宅に仏像や仏具、仏画など仏教美術品が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の密教法具の買取例
鎌倉時代箱書 古銅五鈷鈴 500,000円
チベット 鈴の全体像です 300,000円
霊芝 玉如意 200,000円
銅普人面金剛杵150,000円 他多数
五鈷鈴とは?
◆五鈷鈴の歴史
五鈷鈴の起源は、古代インドに遡ります。インドでは鈴は神聖な音を生む道具として使用され、悪霊を払ったり神々を呼び寄せたりする目的で用いられていました。これが仏教に取り入れられ、中国や日本に伝わりました。五鈷鈴は特に密教の発展とともに広まり、日本では平安時代に空海(弘法大師)が密教を伝えた際に導入されたとされています。
五鈷鈴の構造と種類
五鈷鈴は主に以下のような構造を持ちます:
- 鈴身: 鈴自体の部分で、美しい音を発する役割を持ちます。
- 把手(はしゅ): 鈴を持つための部分で、装飾や彫刻が施されていることが多いです。
- 五鈷: 把手の先端に5つの突起があるのが特徴で、これが「五鈷鈴」の名前の由来です。
種類には以下のようなものがあります:
- 金銅製五鈷鈴: 金や銅を用いたものが主流で、華やかな外見が特徴です。
- 鉄製五鈷鈴: 鉄製は実用的で、重量感があり堅牢です。
- 木製や陶製の五鈷鈴: 主に修行用や儀式の補助具として使用されます。
また、突起の数によって「三鈷鈴」「七鈷鈴」などの種類もありますが、五鈷鈴が最も一般的です。
五鈷鈴の用途
五鈷鈴は、密教儀式や祈祷の際に使用されます。その音には浄化や加護の力があるとされ、以下のような場面で使われます:
- 悪霊払い: 鈴の音で邪気を払う。
- 祈祷: 仏や菩薩への祈りを捧げる際に使用。
- 瞑想: 集中を高めるための補助具として音を利用。
- 修行: 修行者が自己浄化や精神統一のために持つ。
五鈷鈴を鳴らすことで、場の気を清め、仏の加護を求めるという精神的な効果も期待されています。
宗派ごとの違い
密教の中でも、五鈷鈴の使用法や意味合いには宗派ごとの違いがあります。
- 真言宗: 五鈷鈴は空海が伝えた密教の中核的法具であり、大日如来や不動明王に関連付けられることが多いです。真言宗の儀式では欠かせない道具です。
- 天台宗: 天台密教でも五鈷鈴は使用されますが、真言宗ほど頻繁ではありません。仏教の儀式全般で用いられます。
- チベット仏教(ラマ教): チベットでは五鈷鈴に似た法具として「ドラ」を用います。これには五鈷鈴同様、浄化や祈祷の目的があります。
五鈷鈴の象徴的な意味
五鈷鈴はその形状や音を通じて仏教的な教えを象徴しています。五鈷の五つの突起は、五智(大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智、法界体性智)を表すとされています。また、音は悟りへの道を示す「梵音」として、信仰の対象そのものとなる場合もあります。
現代における五鈷鈴
現代では、五鈷鈴は密教儀式のみならず、骨董品や仏教美術品としても高い評価を受けています。特に室町時代や江戸時代に作られた五鈷鈴は、美術的価値と歴史的価値が高く、収集家や宗教関係者の間で人気があります。
★その他の鈴(密教)…
五鈷鈴以外にも、密教で使用される鈴にはさまざまな種類があります。それぞれが独自の用途や象徴性を持ち、儀式や修行に欠かせない道具です。以下に主な鈴をご紹介します。
1. 三鈷鈴(さんこれい)
- 特徴: 把手の先端が三つに分かれている鈴です。
- 用途: 五鈷鈴と同様に浄化や加持祈祷の際に使用されます。三鈷は「仏・法・僧」の三宝や、三毒(貪・瞋・痴)を表すとされています。
- 象徴性: 三鈷鈴の音は、煩悩を除去し悟りへ導くとされています。
2. 七鈷鈴(しちこれい)
- 特徴: 把手の先端が七つに分かれた鈴で、七鈷杵とセットで使われることが多いです。
- 用途: 特に強力な祈祷や護摩儀式で使用され、場を清め、仏の力を呼び込む目的があります。
- 象徴性: 七つの突起は、七仏や七つの智慧を象徴します。
3. 羯磨鈴(かつまりん)
- 特徴: チベット仏教で用いられる小型の鈴です。ドラジェルとも呼ばれ、通常は金剛杵(バジュラ)と対になっています。
- 用途: 儀式の中で仏の智慧を象徴し、金剛杵が慈悲を表すのに対して、調和を象徴します。
- 象徴性: 鈴の音が宇宙の調和をもたらすと信じられています。
4. 鈴杵(れいこ)
- 特徴: 杵(こ)と鈴が一体化した形状を持つ法具です。
- 用途: 杵と鈴の両方の機能を兼ね備え、特に加持祈祷や儀式で使用されます。
- 象徴性: 鈴の音が智慧を表し、杵が仏の慈悲を表します。
5. 斎鈴(さいれい)
- 特徴: 神道儀式でも使用されることがありますが、仏教儀式にも取り入れられた鈴です。
- 用途: 主に場の清浄化や霊的な力を呼び起こす際に使用されます。
- 象徴性: 神仏が降臨する音とされ、浄化と守護の役割を果たします。
6. 手鈴(しゅれい)
- 特徴: 手で持ちやすい小型の鈴で、複数の鈴が連なる場合もあります。
- 用途: 行道(ぎょうどう)や読経の際にリズムを取るために使用されます。
- 象徴性: 仏の教えを広める響きとされています。
7. ドラ(Tibetan Bell)
- 特徴: チベット仏教特有の鈴で、形状がシンプルながら音が深く長く響くのが特徴です。
- 用途: 瞑想や儀式に用いられ、心の集中や場の浄化を目的としています。
- 象徴性: 宇宙の本質や空の教えを音で表現します。
◎関連、参考サイト
奈良国立博物館(奈良県)
- 特徴: 仏教美術専門の博物館で、密教美術に関する展示も豊富です。奈良時代から平安時代の仏像や曼荼羅、法具などが見どころです。
- おすすめポイント: 常設展のほか、特別展「おん祭と春日信仰」などで密教に関わる展示が開催されることもあります。
京都国立博物館(京都府)
- 特徴: 平安仏教、特に密教美術に関連する展示が見られます。東寺(教王護国寺)所蔵の仏像や曼荼羅の展示が行われることもあります。
- おすすめポイント: 京都ならではの密教文化とのつながりが濃厚です。
高野山霊宝館(和歌山県)
- 特徴: 真言宗の聖地、高野山にある博物館で、空海に関連する品々や密教美術を多く収蔵しています。国宝や重要文化財も多数展示されています。
- おすすめポイント: 実際の密教の聖地にあるため、より深い感銘を受けられます。
大谷大学博物館(京都府)
- 特徴: 仏教美術や教義に関する展示が豊富で、密教美術もその一部として収蔵されています。
- おすすめポイント: 学術的な解説が充実しており、研究目的で訪れる人にも最適です。
金剛峯寺(和歌山県)
- 特徴: 高野山の中心となる寺院で、境内に密教美術が点在しています。大師堂や奥之院なども含めて、歴史的な仏像や法具を見ることができます。
- おすすめポイント: 博物館ではありませんが、密教の雰囲気を直接感じられます。
MIHO MUSEUM(滋賀県)
- 特徴: 密教に関連する仏像や法具を含むアジア美術の展示が見られます。静寂の中で美術品を鑑賞できる贅沢な空間です。
- おすすめポイント: 自然に囲まれた環境で美術品を鑑賞できます。
出光美術館(東京都)
- 特徴: 古美術のコレクションが充実しており、密教美術に関連する展示が企画展で行われることがあります。
- おすすめポイント: 仏教美術全般に興味がある方におすすめです。
■参考サイト
■その他の買取品目
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