福岡市東区で中国の古錫茶壷(茶入)を買取りました!
◇骨董買取の福岡玄燈舎です。
福岡市東区の某邸にて、今回の骨董買取依頼です。依頼主は貿易業を営むお宅で、聞けば戦前から中国や満州で商社を構えていたそうです。つまり、ただの骨董ではなく、大陸の香りがプンプン漂う代物ばかりです。いやが上にも期待が高まります。
早速お邪魔すると、まず目に飛び込んできたのが六双の衝立です。紫檀の木目に、玉や螺鈿がこれでもかと施された屏風がどーんと鎮座しています。まるで豪華客船のキャビンかと見紛うほどの重厚感です。おそらく100年は経っているでしょう。これだけでも「もう今日はお腹いっぱいです、ごちそうさま」と言いたいところですが、依頼主はまだまだ奥の手を隠しているようです。
お次は中国の掛軸に焼き物、壺、花瓶と、いわば定番コースです。しかし、侮ってはいけません。チベット仏教の仏像や仏具が顔を揃え、さらに中国の朱泥や白泥の煎茶器が所狭しと並んでいます。これはまさに骨董の開幕戦です。
「ああ、この壺は祖父が満州で商売していたころに手に入れたものでね…」と依頼主の思い出話に耳を傾けつつ、査定を進めます。正直、壺ひとつひとつに歴史の重みが乗ってくるので、こちらも扱いに慎重にならざるを得ません。査定が長引くのも仕方ありません。
気づけば、査定開始から6時間が経過しました。依頼主も「そろそろ休憩しませんか?」と心配してくれましたが、こちらもプロです。最後の一点までしっかり査定してこそ骨董屋の矜持というものです。
そして、ついに査定価格を提示しました。これがまた、かなりの高額です。依頼主は一瞬驚いた表情を見せるも、すぐに納得の笑みです。「祖父母も草葉の陰で喜んでいるでしょう」とホッとした様子でした。スムーズに買取作業へ移行し、一件落着です。
さて、今回の査定品の中でも、特筆すべきは中国の古い錫の茶器です。錫といえば、温かみのある質感と独特の輝きが魅力ですが、これがまた大量に出てきました。「一体どれほどお茶が好きだったのか」と思わず呟いてしまうほどの数です。まるで煎茶器の博覧会のようです。
中には清朝時代の錫製茶壺もあり、その重厚な風格にはこちらも思わず姿勢を正しました。蓋を開ければ、まるで当時の中国茶の香りがふわりと蘇るような気がしました。
最後に、依頼主から「うちの祖父母が生きていたら、あなたにお茶を淹れてあげたでしょうね」と、なんとも心温まる言葉をいただき、感無量です。骨董品というのは、単なる古いものではなく、思い出と歴史の結晶なのだと改めて感じた一日でした。
次回は、今回買取した品々の中から、特に珍しい中国の煎茶器をご紹介予定です。
写真の錫の茶壷については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
◇この「古錫の茶壷」は当時の物なのでかなり痛みがありましたが、清朝時代の物ということで貴重なものでした。穴なども開いておらず刻印もしっかりあり「廻龍閣陳永高老店」とあり調べると中国の工芸品や骨董品を取り扱う老舗です。お店の始まりも清朝時代です。ありがとうございました。
買取査定額
◆古い中国の茶器、特に錫製品については作者や工房の人気度と製作年代、次に状態、付属品の有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した茶壷は状態は悪い方で、しかも付属品や元箱などもありませんでしたが時代が清朝時代と古い為、高価買取させていただきました。尚、ご自宅や倉庫に中国の茶器や茶道具、骨董がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。
■過去の作品買取例
四君子 錫茶壷 永好造箱付 480,000円
尚天泰造 斑文 三ツ環 茶壷 一双 300,000円
古錫特大茶入36cm 250,000円
沈存周刻錫製茶入 150,000円 他多数
「廻龍閣陳永高老店」とは?
廻龍閣陳永高老店(かいりゅうかく ちんえいこうろうてん)は、中国の伝統的な工芸品や骨董品を取り扱う老舗として知られています。その歴史は清朝時代に遡り、創業者である陳永高氏が設立しました。陳氏は優れた工芸技術と独自の美的感覚を持ち、数多くの名品を世に送り出しました。
廻龍閣の代表的な作品としては、精巧な彫刻が施された紫檀の家具や、螺鈿細工を用いた屏風などがあります。特に、六双の衝立はその重厚なデザインと細部の美しさで高く評価されています。また、中国の伝統的な掛軸や陶磁器、チベット仏教の仏像や仏具、朱泥や白泥の煎茶器など、多岐にわたる品々を取り揃えています。今回の買取品である茶壷も乾隆帝の時代で煎茶文化が花開いた時代に沿って作られた茶道具の一つです。
現在、廻龍閣陳永高老店は陳氏の子孫によって経営されており、伝統を守りつつも現代のニーズに応じた商品展開を行っています。彼らは先祖から受け継いだ技術と知識を活かし、品質の高い工芸品を提供し続けています。
廻龍閣陳永高老店の歴史は、中国の工芸文化の発展と深く結びついており、その作品は時代を超えて現代でも多くの人々に愛されています。
★清朝時代とは…
清朝(1616年~1912年)は、中国最後の王朝で、満洲族が建国しました。初代皇帝ヌルハチに始まり、最盛期には康熙帝(在位:1661年~1722年)、雍正帝(在位:1722年~1735年)、乾隆帝(在位:1735年~1796年)の時代に繁栄を極めました。特に康熙・乾隆時代は「康乾盛世」と称され、文化や経済が大きく発展しました。
商工業も発展し、江南地方の絹織物、陶磁器(景徳鎮の青花磁器など)、茶の生産が盛んになり、ヨーロッパを中心に輸出されました。さらに「一条鞭法」「地丁銀制」といった税制改革によって農業生産が安定し、国内市場の拡大をもたらしました。
代表的な皇帝としては、康熙帝が学問を奨励し、西洋技術を積極的に取り入れ、雍正帝は財政改革に努め、乾隆帝は芸術や文化の保護に力を入れました。彼の時代には『四庫全書』の編纂が行われ、儒教文化の集大成が図られました。
清朝の衰退は19世紀に入り、アヘン戦争(1840年~1842年)や太平天国の乱(1851年~1864年)を経て、最終的に1912年に辛亥革命によって滅亡しました。
◎関連、参考サイト
中国の煎茶文化を鑑賞できる公的な美術館や博物館をご紹介します。
中国茶葉博物館(杭州)
浙江省杭州市に位置する中国茶葉博物館は、中国唯一の茶と茶文化をテーマにした国家級専門博物館です。同館では、茶の歴史や文化、煎茶の伝統に関する展示が行われています。
茶具文物館(香港)
香港の茶具文物館は、茶器や茶文化に焦点を当てた博物館で、多数の茶銚や茶杯を所蔵しています。煎茶に関連する展示も行われており、中国の茶文化を深く理解することができます。
国立故宮博物院南部院区(台湾)
台湾の嘉義県にある国立故宮博物院南部院区は、アジアの芸術文化に特化したミュージアムで、茶文化の常設展示があります。中国の煎茶文化に関する展示も充実しており、関連の特別展も開催されています。
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。