日向の蛤、那智黒の碁石買取りました/骨董品の買取・福岡
日向の蛤、那智黒の碁石買取りました
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福岡市西区で碁石を買取りました!

綺麗な碁石です。スワプテ蛤と思われます/骨董品の買取は福岡玄燈舎へ
綺麗な碁石です。スワプテ蛤と思われます

◇一月。
暦の上ではとっくに正月は終わっているはずなのに、世の中の空気だけが妙にだらけている。福岡にも大寒波が来た、とテレビは大げさに騒いでいたが、肝心の雪は一向に降らない。降らないくせに寒さだけは一人前で、これが一番たちが悪い。芯から冷えるというのは、こういう寒さのことを言うのだろう。

こんな日は、猫と一緒にストーブの前で丸くなり、徳利を一本あたためながら「今年も世の中はいろいろあるねえ」などと、誰に向かって言うでもない独り言をつぶやいていたいものだ。骨董屋という商売は、そういう“何もしない時間”が実は一番似合う。似合うが、残念ながら儲からない。

そんな私のささやかな冬眠計画を、一本の電話が無遠慮に叩き壊した。

「今日、来てもらえませんか」

電話の向こうの声は切羽詰まっている。
理由を聞けば、明日から実家の解体が始まるという。今日しか時間がない。だから今日、来てほしい。正月気分だの寒波だの猫だのと言っている場合ではない、という強い圧が、受話器越しに伝わってくる。

骨董屋というのは、こういう電話に弱い。
「今日しかない」と言われると、なぜか使命感めいたものが湧いてくる。実際は、解体前日に呼ばれる骨董屋など、たいてい“最後の清掃業者”くらいの扱いなのだが、それでも「何かあるかもしれない」という淡い期待だけで、車のキーを握ってしまう。

身支度を整え、福岡市西区へ向かう。
海に近い住宅地。空はどんよりとして、風だけがやたらと元気だ。こういう日は、家そのものも少し疲れて見える。

現場に着いて、玄関をくぐった瞬間、私はある種の既視感に襲われた。
――これは、よくある光景だ。

家じゅうに掛軸が散乱している。
それも、丁寧に外されて並べられているのではない。畳の上、廊下、階段の踊り場、果ては押し入れの前にまで、ボロボロの掛軸が無造作に転がっている。屏風は立てかけられ、花瓶は横倒し。柿右衛門らしきもの、中国の青銅器らしきものが、まるで空き巣に入られた後のように放置されている。

しかし、空き巣にしては仕事が雑すぎる。
価値のあるものも、ないものも、区別なくひっくり返されている。犯人は間違いなく「人間の善意」だ。つまり、「とりあえず全部出しておけば、骨董屋がなんとかしてくれるだろう」という、ありがたくも迷惑な善意である。

ここから、骨董屋の仕事が始まる。
宝探しというよりは、瓦礫の中から“まだ息をしているもの”を見つけ出す作業に近い。

まずは掛軸と屏風。
数えてみると三十本ほどある。三十本という数は、期待と絶望のちょうど中間に位置する。多すぎて全部ゴミということもあるし、一本くらいは当たりが混じっていることもある。

一本一本、広げていく。
破れ、シミ、虫食い、意味不明な賛。どこで誰が描いたのか分からない山水。ありがたいのかありがたくないのか、判断に困る仏画。これらはすべて、過去の誰かが「これはいいものだ」と思って大切にしていた痕跡である。だが、その“思い”は骨董の市場では一円にもならない。

二十本ほど見たところで、正直、心が折れかける。
こういう時、骨董屋は無心になる。期待しない。感動しない。ただ作業を続ける。

そして、三十本目の少し手前で、ようやく一本、手が止まった。
中国・清時代の山水画。紙も墨も、空気が違う。派手さはないが、これは本物だ。こういう一本があるだけで、今日来た意味が生まれる。

壺や花瓶も見る。
琉球の焼物、有田焼、唐津焼。どれも古手の匂いはするが、状態が微妙だ。欠け、ヒビ、直し。骨董業界の中では「惜しい」で終わるものが一番多い。人の人生と同じである。

最後に出てきたのが、囲碁盤と碁石だった。
囲碁盤は分厚い萱の木。触れば分かる、良い材だ。しかし、シミがひどい。長い年月、誰かの膝元で黙々と石を受け止めてきた結果だろう。名誉なシミではあるが、残念ながら値段はつかない。

だが、碁石は違った。
日向蛤と那智黒。厚さは約10ミリ。堂々たるものだ。碁石というのは、不思議な道具で、使われれば使われるほど味が出る。勝負の数だけ、静かな記憶を溜め込んでいる。

これを見た瞬間、家主の表情が少し明るくなった。
「それ、父が大事にしてましてね」

そう言われると、こちらも背筋が伸びる。
碁石は単なる骨董品ではない。時間の結晶だ。

結果として、この碁石を含め、数点を高価買取することができた。
家主はほっとした顔をし、私も内心、ほっとする。解体前日という追い詰められた状況の中で、何も残らないというのは、あまりに寂しい。

帰り道、冷たい風に吹かれながら思う。
骨董屋の仕事というのは、過去の残り香を拾い集める商売だ。儲かる日もあれば、猫とストーブの方がよほど価値がある日もある。

それでも、一本の碁石が救ってくれる一日がある。
だから、電話が鳴ると、つい出かけてしまうのだろう。

猫には、また別の日に付き合ってもらうとしよう。

 

この碁石については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

36号雪印です。/碁石の買取・福岡
36号雪印です。

今回、買取しました碁石ですが厚みも10mmほどあり欠けもない状態の良い碁石でした。黒檀の碁石筍にも入って共箱もありました。黒檀の入れ物には銘はありませんでしたが重量感のある上質な入れ物でした。ありがとうございました。

 

買取査定額

こちらは那智黒です/骨董品の買取は福岡玄燈舎
こちらは那智黒です

「碁石」の鑑定ですが材質とその厚み。そして筍の作者名と碁石の状態で査定額が決まります。ご自宅に碁石や碁盤、将棋盤などがございましたら骨董品買取の福岡玄燈舎にご相談ください。よろしくお願いいたします。

 

◆過去の買取履歴…

堆朱牡丹彫碁笥+碁石  500,000円
はまぐり碁石 天下一品 37号 雪印  300,000円
文綺堂藤川黒斎作碁笥+日向スワブデ蛤碁石35号  250,000円
スワブテ蛤碁石 雪印 特大 37号  150,000円 他多数

◇日向の蛤とは…

碁石筍も縞黒檀です/骨董品の買取は福岡玄燈舎
碁石筍も縞黒檀です

◆ 産地の概要:宮崎県日向市・お倉ヶ浜

「日向の蛤碁石」とは、宮崎県日向市(ひゅうがし)お倉ヶ浜(おくらがはま)で採れる貝殻を原料に作った白い碁石(囲碁の石)のことを指します。

  • 日向市は、太平洋に面した長さ約4キロにも及ぶ砂浜「お倉ヶ浜」を有しており、ここで採集されたハマグリの貝殻が碁石の原料として古くから利用されてきました。

  • この蛤は、砂浜の激しい波にもまれて殻が非常に厚く、硬度と密度が高いのが特徴で、加工すると乳白色で美しく、耐久性の高い碁石となります。

歴史的に見ても、明治時代後半ごろに大阪の碁石職人がこの貝を見出し、当時まで多く使われていた三重県桑名の蛤に代わって原料として脚光を浴びるようになりました。やがて日向現地での碁石製造が始まり、全国的に高級品として流通するようになります。

◆ 原材料としての魅力

日向で使われた蛤は、以下のような素材的な特徴を持っています:

  • 厚く硬い殻:波の強い太平洋沿岸で育ったために殻が非常に厚く、碁石にするには理想的な素材でした。

  • 乳白色と縞の美しさ:白色の均一さや縞目の出方が非常に繊細で、視覚的な美しさが際立ちます。

  • 耐久性と手触り:素材の硬さと密度が高いため、打ったときの音・手に取った時の質感が優れているとされました。

このような特性が評価され、日向の蛤碁石は「幻の碁石」と呼ばれるほど希少価値が高まりました。お倉ヶ浜の原料は、1970年代頃から採取量が激減し、1990年前後にはほぼ枯渇してしまったため、新素材の入手が極めて困難になっています。

◆ 石の素材とグレード分類

 

碁石は白石(しろいし)と黒石(くろいし)から構成されますが、白石には蛤、特に 日向産蛤(スワブテ蛤) が最高級とされ、黒石には三重県熊野の「那智黒石(なちぐろいし)」が伝統的な素材として使われます。

日向の蛤碁石は、色・艶・縞の細かさによってランクが分けられ、代表的なものは次の通りです:

  • 雪印(ゆきじるし):乳白色が均一で縞が細かく通った最高級品

  • 月印(つきじるし):雪ほどではないが品のある白さと縞

  • 花印(はなじるし):縞がやや粗く色味があるもの(実用向け)

これらは、同じ厚みでも価格や希少価値が大きく異なります。

日向産蛤貝からは1つの貝殻から1個の碁石しか取れないため、均一な厚み・品質のものを揃えるのは至難であり、1組の碁石(白石180個・黒石181個)を揃えるために何千個もの貝殻が必要でした。

◆ 号数とミリメートルの目安

碁石の大きさは一般に「号(ごう)」という単位で表されます。これは標準サイズに対する厚みの指標で、号数が大きいほど厚く重厚になります。

号数は製造元によって多少の差異がありますが、一般的な基準は以下の通りです:

号数 厚みの目安
28号 約7.5mm程度
30号 約8.0mm程度
31号 約8.4mm程度
32号 約8.8mm程度
33号 約9.2mm程度
34号 約9.5mm程度
36号 約10.1mm程度
38号 約10.7mm程度

(注)実際には各材料や製造者によって±0.1mm程度の違いがありますが、大まかな目安として上記が一般的です。

◆ 号数の意味と選び方

  • 薄め(28〜30号):軽快で置きやすく、初心者や軽い打感を好む人向け

  • 標準(30〜36号):最も一般的な厚さ。プロやアマチュアにも人気が高い範囲

  • 厚め(36号以上):重厚で音の響きが良いが、手へのフィット感がやや異なる

碁石の厚みはプレイヤーの打ち味の好みに大きく影響します。一般的に約9mm前後(32〜34号)が「持ちやすく、打ちやすい」とされ、厚みが10mmを超えると重厚感が増す一方で置きにくさを感じる人もいます。

◆現在では前述の通り、日向産スワブテ蛤の原料はほぼ枯渇しており、現代では殆ど採れません。そのため当時の原料で作られた碁石は非常に希少であり、碁石愛好家の間で「伝説的な逸品」として扱われています。

多くの職人・メーカーが今でもその由緒ある伝統を重んじ、素材の持つ自然な美しさと職人技を活かした製品を作り続けていますが、現代の白石は原料の大部分が輸入蛤(メキシコ産など)であり、日向産とは区別されています。

これら日向蛤碁石は、歴史的価値・職人技・素材そのものの希少性により、囲碁文化史において非常に重要であり、最高級の逸品と評価されています。

 

 

◎関連、参考サイト

 

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