福岡市中央区で 「のらくろ漫画」を買取りました
■1967年出版の「のらくろ漫画全集 全一巻」です。当時物ではありませんがすでに57年経過しているアンティークな漫画です。状態もよく中は折れ目や破れ、落丁もない美品でした。この漫画は戦前から戦争突入前までのわずか10年間発行された風刺漫画です。なかなか深いストーリーの漫画です。詳しくは下記をお読みください。
外箱にものらくろ漫画が貼られています
買取品の詳細
最初の数ページはカラーです
今回は福岡市中央区のお宅にアンティーク品や骨董品の出張査定でお伺い致しました。査定した品物は掛軸や古書、軍隊関係の物や鉄道模型、有田焼や中国絵画など様々なものがありました。その中で今回ご紹介する買取品は田河水泡作品のあの「のらくろ」です。勿論、初版発行の物ではなく1967年に講談社より発行された「漫画全集」です。中を開けると「少年倶楽部」付録もあり昭和6年より連載の物から昭和16年10月といった太平洋戦争直前まで描かれたもの、そして「のらくろ二等兵卒」から「のらくろ探検隊」まで網羅されていました。久しぶりに目を通すと私にはリアルタイムではないもののとても懐かしいようねはたまたロマンを感じるストーリと画風でした。最後まで読み終えると解かったことは初期の顔はとても怖い?簡素な顔でしたが後年になるとやさしさやユーモアさが表情として出てき始めていました。この傾向は「のらくろ」だけに限らず戦前の「キューピー人形」や「招き猫」などにも通じますね。ありがとうございました。
何度見ても「ほのぼの」する暖かな表情ですね
買取額及びプレミア評価額
1967年作品です
今回の作品は復刻版ということで発行数量もあり数千円の買取価格でしたがオリジナルとなるとそうはいきません。漫画「のらくろ」は、田河水泡によって1931年から1941年まで連載された、日本初の動物漫画として知られています。当時の社会風刺や戦争を背景に、犬の主人公のらくろと仲間たちの活躍を描いた作品です。
初版本
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単行本
初版本の単行本は、1932年から1934年にかけて全3巻が発行されました。当時の定価は1冊1円50銭でした。現在では、古書店やオークションなどで非常に高値で取引されており、状態の良いものであれば1冊あたり数万円から数十万円に達することもあります。特に、第1巻は発行部数が少なく、希少価値が高いため、より高値で取引されています。
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雑誌掲載版
「のらくろ」は、当初は漫画雑誌「少年世界」に連載されました。当時の雑誌は現在のように保存版として意識されていなかったため、状態の良いものは非常に少なく、希少価値が高くなっています。特に、初出掲載号である1931年1月号は、単行本と同じく数万円から数十万円になる時もあります。
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戦後復刻版
戦後、「のらくろ」は幾度も復刻版が発行されています。戦後初の復刻版は、1947年に大日本雄弁会講談社から発行されました。全3巻で、当時の定価は1冊150円でした。この復刻版は、戦後の紙不足の影響で、紙質や印刷が粗悪なため、初版本ほどの価値はありません。しかし、戦後の混乱期に発行された貴重な資料として、一定の価値は認められています。
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現代の復刻版
近年では、様々な出版社から「のらくろ」の復刻版が発行されています。これらの復刻版は、紙質や印刷も良く、初版本に近い状態で読むことができます。価格は出版社や版によって異なりますが、数千円から1万円程度で購入できます。
「のらくろ」価値観の移り変わり…
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戦前
連載当時、「のらくろ」は非常に高い人気を博していました。単行本は発行部数を重ね、雑誌掲載号は読者に大切に保存されていました。
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戦後
戦後は、戦争を題材とした作品が敬遠される傾向があり、「のらくろ」の評価も一時的に低下しました。しかし、その後、日本初の動物漫画として再評価され、価値が高まっていきました。
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現代
近年では、漫画の歴史や文化遺産としての価値が認められ、「のらくろ」の評価はさらに高まっています。初版本は希少価値の高いコレクターズアイテムとして、復刻版は読み物として、それぞれ人気を集めています。
評価額及ぼ買い取り額に影響を与える要素
「のらくろ」の評価額は、以下の要素によって影響を受けます。
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発行年代
初版本は、発行年代が古いほど希少価値が高く、評価額も高くなります。
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状態
本の状態が良好であればあるほど、評価額は高くなります。
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希少性
発行部数が少ないものや、限定版などは、希少価値が高く、評価額も高くなります。
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付属品
帯や応募券などの付属品が付いていると、評価額が高くなることがあります。
◇ご自宅にこのような古い漫画や雑誌が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例
昭和10年のらくろ単行本10冊 85,000円
昭和25年のらくろ空想うでくらべ 30,000円
のらくろカラー文庫全17巻 20,000円
他多数
漫画「のらくろ」とは?
★「のらくろ」は、田河水泡によって生み出された、日本初の動物漫画として名高い作品です。1931年から1941年まで少年倶楽部で連載され、当時の子供たちを熱狂させました。戦争という時代背景をユーモアたっぷりに描き、深いメッセージを込めた作品として、今なお愛され続けている漫画です。
始まり:犬の楽団から生まれたスター
1926年、田河水泡は漫画雑誌「漫画少年」に「犬の楽団」という作品を連載しました。これがのちの「のらくろ」の原型となります。主人公は野良犬のクロ、仲間の犬たちと楽団を結成し、様々な騒動を起こすというストーリーでした。この作品は人気を博し、田河はクロを主人公とした新たな漫画の連載を計画します。
歴史:時代の波に乗った大冒険
1931年、「のらくろ」は少年倶楽部で連載開始。主人公の名前はクロから「のらくろ」に変更されました。物語は、野良犬ののらくろが猛犬連隊に入隊し、仲間たちと訓練や戦いを経験しながら成長していくというもの。当時の日本は軍国主義体制へと傾きつつあり、「のらくろ」もその影響を受けました。しかし、戦争賛美に終わることなく、ユーモアを交えながら戦争の愚かさを訴える作品となりました。その為か戦争突入とともに作品は終わりました。なんともやるせない時代ですね。
登場人物:個性豊かな仲間たち
- のらくろ: 主人公。天真爛漫で正義感あふれる野良犬。
- チロ: のらくろの親友。臆病だが頭脳明晰な犬。
- 伍長: のらくろの上官。厳格だが部下思いな猫。
- ネコ大尉: 猛犬連隊の隊長。威厳のある猫。
- イタチ少尉: 伍長のライバル。狡猾で意地悪なイタチ。
ストーリー:笑いと涙の冒険活劇
のらくろは猛犬連隊で様々な訓練を受け、仲間たちと友情を育んでいきます。しかし、戦争の影が忍び寄り、のらくろは戦場へと送り込まれます。戦場で多くの仲間を失いながらも、のらくろは持ち前の明るさとユーモアで周囲を励まします。戦争終結後、のらくろは故郷へと戻り、平和な生活を送るのでした。
時代背景:戦争の影とユーモアの光
「のらくろ」が連載された1930年代は、日本が軍国主義体制へと向かっていた時代です。戦争への不安や恐怖が人々の心の中に広がっていました。そんな時代の中で、「のらくろ」は戦争の愚かさをユーモアたっぷりに描き、人々に希望を与えました。こういったことから今の世の中にはとても大切な漫画だと思われます。
◎関連、参考サイト
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