福岡市城南区で琉球蒔絵(堆金)重箱を買取りました!

綺麗な琉球重箱です・骨董買取福岡
綺麗な琉球重箱です

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。今回のご依頼は福岡市城南区です。お電話口では「両親が沖縄出身で、古いものがたくさんあるんですよ」とのことでした。琉球漆器や壺屋焼、沖縄の置物や民芸品が揃い踏みとのことで、これはなかなか楽しみです。さて、訪問すると、立派な日本家屋に沖縄の風が吹き込んだような空間が広がっていました。玄関をくぐるなり、シーサーの置物が睨みをきかせ、奥には琉球びん型の布が掛けられています。なんとも南国情緒あふれる光景です。「お邪魔します」と挨拶すると、家主様がにこやかに迎えてくださいました。

まずは定番の掛軸や屏風から拝見しました。これがまた、ただの掛軸ではありません。琉球独特の書画が施され、南の海を思わせる柔らかな筆致のものが目立ちます。日本本土のものとはまた違った味わいがあります。「これはなかなかの風情のものですね」と頷きながら、査定額をお伝えすると、ご家族の皆さんが顔を見合わせて「そんなに!」と驚かれました。いやいや、こちらとしても価値のあるものにはしっかりとした評価をつけたいところです。続いて壺屋焼の査定に移りました。棚には見事な「やむちん」が並んでいました。壺屋焼独特の土の温かみと、力強い筆致の絵付けが目を引きます。「これは良いですね」と手に取ると、ご家族から「これ、祖父が昔沖縄で買ったんですよ」との思い出話が飛び出しました。なるほど、歴史がある品物ほど、そこに宿る物語もまた深いです。酒器のコーナーにはぐい呑みがずらりと並び、よく見るとその中に金城次郎の作品もありました。

金城次郎は沖縄を代表する陶芸家であり、人間国宝に認定された名工です。その独特の魚紋が施されたぐい呑みは、まさに逸品でした。状態も申し分なく、これは相当な評価額がつけられます。「こちらは特に価値が高いですね」とお伝えすると、家主様の表情がぱっと明るくなりました。

そして、最後の目玉が登場しました。家主様が「これはもしかしたら価値があるかもしれません」と奥から大切そうに持ち出してきたのは、一つの重箱でした。見るからに古びていますが、手に取った瞬間、ただの古い箱ではないことが直感的にわかりました。蓋を開けると、そこには琉球蒔絵が施されていました。「これは……!」

中国の影響を受けたデザインですね・買取福岡
中国の影響を受けたデザインですね

思わず息をのみました。漆の艶、蒔絵の精巧さ、色彩の深み——まさに琉球王国時代の技術の粋が詰まった逸品です。100年以上の時を経てもなお、この美しさを保っているとは、保存状態がいかに良かったかが伺えます。「これは貴重なものですね」とお伝えすると、家主様は「やっぱりそうでしたか」と感慨深げに頷かれました。

査定がすべて終わり、提示した買取額は家主様の想像を大きく上回るものだったようで、驚きと喜びの表情が入り混じりました。「こんなに価値があるなんて知らなかった」との言葉に、こちらも嬉しくなります。古いものには、それを大切にしてきた人の想いが宿ります。それを次の世代に繋ぐお手伝いができたなら、これほど嬉しいことはありません。こうして、沖縄の風を感じた一日が幕を閉じました。家主様にも満足していただけたようで、こちらとしても心から嬉しい限りです。さて、今日の査定も無事終了。帰り道、ふと空を見上げると、どこか南の海を思わせる青空が広がっていました。この琉球蒔絵の重箱については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

◇この「琉球(堆金)漆器」は琉球王国時代のものと考えると状態がよくよく見かける漆のハゲなどは全くなく特に蒔絵の厚みは驚愕の物でした。立体的な模様と繊細さ。そしてカラーリングにはため息が出ます。同じ琉球漆器でも戦後の物とは品物が全く違います。しかも共箱に入っていました。ありがとうございました。

買取査定額

豪華絢爛な蒔絵ではありませんが独特の盛り上げです・骨董福岡
豪華絢爛な蒔絵ではありませんが独特の盛り上げです

◆琉球漆器(堆金)の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に蒔絵と製作年代、次に状態、付属品の有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した琉球王国時代の120年ほど経ったものと推測されしかも状態もすこぶる良い美術品レベルの物でしたので高価買取させて頂きました。ありがとうございました。尚、ご自宅や倉庫に琉球や沖縄の美術品や骨董が御座いましたら是非、福岡の玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。

 

 

 

■過去の作品買取例

琉球漆器 「黒漆雲龍螺鈿大盆」  200,000円
黒漆螺鈿唐花文文庫                     100,000円
琉球塗喰籠 朱漆山水図堆錦   80,000円
他多数

 

 

琉球漆器とは…

琉球漆器の歴史と特徴

1. 琉球漆器の歴史

琉球漆器の歴史は、14世紀から15世紀の琉球王国時代に遡ります。琉球はその地理的な特性から、中国や日本、東南アジアと交流を持ち、それぞれの文化や技術を取り入れながら独自の漆器文化を発展させました。

琉球漆器の技術が本格的に発展したのは、17世紀に薩摩藩の支配を受けた後のことです。琉球王府は、漆器を重要な輸出品として位置付け、中国や日本に献上するための高品質な漆器を生産しました。特に、明や清王朝の影響を受けた中国風の華やかな装飾や、日本の蒔絵技術が融合した独自のスタイルが確立されました。今回の重箱にもその特徴がみられ特に堆金を施された蒔絵が特徴の逸品でした。

明治維新以降、琉球王国が廃止され、沖縄県として日本に統合されたことで、琉球漆器の生産体制も変化しました。しかし、第二次世界大戦による甚大な被害を受け、一時は壊滅的な状況に陥りました。それでも、戦後の復興期に沖縄の職人たちが伝統技術を守り続け、現在では国の伝統工芸品として認められるまでに至っています。

2. 琉球漆器の特徴

琉球漆器は、日本本土の漆器とは異なる独特の技法や装飾が特徴です。その代表的な要素として、以下のものが挙げられます。

① 漆の色彩 琉球漆器の特徴の一つに、鮮やかな朱漆(赤漆)が挙げられます。これは、琉球の気候風土に合った独特の発色技法によるもので、日本本土の黒漆中心の漆器とは異なります。また、黒漆や金を使用した装飾も多く、高級感のあるデザインが施されます。

② 研出蒔絵(とぎだしまきえ) 琉球漆器の代表的な技法の一つである「研出蒔絵」は、漆の層を重ねた後に研ぎ出すことで模様を浮き上がらせる技法です。これにより、金や銀の蒔絵が際立ち、立体感のある装飾が施されます。

③ 螺鈿(らでん)細工 螺鈿細工とは、貝殻(主に夜光貝やアワビ貝)を使用して漆器の表面に装飾を施す技法です。琉球漆器では、螺鈿を用いた華やかなデザインが多く、光の反射によって幻想的な輝きを放つ作品が見られます。

④ 乾漆(かんしつ)技法 琉球漆器では、漆を厚く塗り重ねて造形する「乾漆技法」も用いられます。この技法によって作られた漆器は、丈夫でありながら軽量で、美しい曲線を持つものが多いのが特徴です。

3. 代表的な作品

琉球漆器には、さまざまな種類の器や家具、装飾品があります。その中でも代表的な作品をいくつか紹介します。

① 朱漆重箱(しゅうるしじゅうばこ) 琉球王国時代の貴族や王族が使用した重箱で、豪華な蒔絵や螺鈿装飾が施されています。格式の高い漆器であり、現在も美術館や博物館に収蔵されているものが多く存在します。

② 黒漆盆(くろうるしぼん) 黒漆を基調とし、金銀の蒔絵が施された盆です。宮廷や格式の高い家で使用され、特に花鳥風月をモチーフにしたデザインが特徴的です。

③ 茶道具(ちゃどうぐ) 琉球漆器の茶道具は、華やかな装飾が施されながらも実用性を兼ね備えています。茶筒や棗(なつめ)などが代表的な作品で、茶の湯文化と琉球の美意識が融合した逸品です。

④ 酒器(しゅき) 琉球漆器の酒器は、鮮やかな朱漆に金の蒔絵が施されたものが多く、特に祝いの席で使用されることが一般的です。伝統的な「お屠蘇(とそ)」の器や盃(さかずき)などが挙げられます。

4. 現代の琉球漆器

現在の琉球漆器は、伝統的な技法を受け継ぎつつも、新しいデザインや用途に応じた製品が作られています。沖縄県内の工房や職人たちが技術を継承し、伝統工芸品として国内外に発信しています。

特に、近年ではモダンなインテリアやテーブルウェアとしての琉球漆器が注目され、現代のライフスタイルに合った形で取り入れられています。また、国の重要無形文化財に指定された技法もあり、伝統を守りながら新しい価値を生み出す動きが活発になっています。

琉球漆器は、琉球王国時代に確立され、中国や日本の影響を受けながら独自の発展を遂げました。その特徴的な技法や装飾は、他の漆器には見られない独自の魅力を持ち、現代でも多くの人々に愛されています。

★堆金とは…

琉球漆器に見られる堆金(ついきん)とは、漆器の装飾技法の一つで、漆の上に金粉や金箔を厚く盛り上げて文様を描く技法です。これは中国の影響を受けたもので、特に明・清時代の工芸技術が琉球王国を通じて伝わりました。

堆金の特徴

  1. 立体感のある装飾
    • 通常の蒔絵とは異なり、金が漆によって厚く盛り上げられるため、触れると立体感が感じられます。
  2. 豪華で華やかな仕上がり
    • 金箔や金粉がふんだんに使われるため、豪華な輝きを放ちます。宮廷用の漆器などによく見られます。
  3. 中国との関係が深い
    • 堆金は中国の「堆錦(ついきん)」技法に由来し、琉球王国時代の貿易を通じて独自の発展を遂げました。

代表的な琉球漆器の堆金作品

  • 堆金牡丹唐草文漆器(琉球王朝時代の宮廷漆器)
  • 堆金龍文漆器(龍の意匠を金で浮き彫りにしたもの)
  • 堆金宝相華文朱塗重箱(朱塗りの重箱に精緻な金装飾)

堆金技法が施された琉球漆器は、王侯貴族や上流階級のために作られたことが多く、その美しさと希少性から現在でも高く評価されています。

 

◎関連、参考サイト

◆浦添市美術館(沖縄県浦添市)

浦添市美術館は、日本初の漆芸専門美術館として知られ、16世紀から現代までの琉球漆器を中心に、約2,000点の美術品を収蔵しています。常設展示室では、年3回のテーマ展示を行い、琉球・沖縄の歴史や文化を紹介しています。urasoe-artmuseum.jp

◆沖縄県立博物館・美術館(沖縄県那覇市)

沖縄県立博物館・美術館では、沖縄の歴史や文化に関する多彩な展示が行われており、琉球漆器に関する展示も含まれています。特別展や企画展で琉球漆器が取り上げられることがありますので、最新の展示情報をご確認ください。

◆那覇市歴史博物館(沖縄県那覇市)

那覇市歴史博物館では、琉球王国時代の貴重な資料や工芸品を展示しており、琉球漆器の展示も行われています。特に、近代沖縄の琉球漆器に関する展示が注目されています。

 

■その他の買取品目

 

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