福岡市南区で中原未央の絵画を買取りました!

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。今回は福岡市南区の高台にある一戸建てへと向かいました。目の前には上り坂があり、足元では革靴がギシギシと鳴っています。「今日はまた一段と査定が骨の折れそうな案件かも?」と独り言をつぶやきながら、息を切らせてインターホンを押します。
出迎えてくださったのは品の良い奥様。今回は「断捨離」とのことですが世の奥様たちは思い切りがよいですね。それに比べ男性はそうはいきません。そのお父様が各地を巡る仕事をされていたそうで、ギャラリーや個展でせっせと油絵や版画を買い集めていたそうです。玄関をくぐると、案内された部屋には紙物が山と積まれています。「これ全部、父が持ち帰ったものなんです」
掛軸、色紙、浮世絵、戦前の絵葉書に古写真、さらには海外の骨董屋で仕入れたという紙物の数々。これはまた紙の歴史博物館が開けそうな勢いです。紙物好きの私の血が騒ぎ、一つ一つ手に取り、じっくりと拝見させていただきました。和紙に描かれた山水画はしっとりと落ち着いた風合いを見せ、古い写真には今はなき異国の街並みが焼き付いています。これほど多彩なコレクションを、お父様はどんなお気持ちで集められたのでしょうか。きっと旅先で心躍らせながら、品物を選び、家に持ち帰ったに違いありません。
査定に夢中になっていると、ふと壁に掛かった一枚の油絵が目に留まりました。地元の画家の作品が多い中、ひと際存在感を放っている一枚がありました。それが「中原未央」の作品でした。目の前には、まるで今そこに咲いているかのようなリアルな花の絵です。細部まで丁寧に描き込まれた花弁に、思わず「ほぉ」と感嘆の息が漏れます。
「これは素晴らしいですね」…何気なく言った言葉に、奥様の表情がほころびます。やはりこの絵には思い入れがあるのでしょう。
さて、全体の査定額を提示しましたが、奥様の希望額にはあと一歩届きませんでした。「うーん」と悩む奥様。私もできる限りの額を出したつもりでしたが、やはりご家族の思い入れが詰まった品々は、一筋縄ではいきません。結局、今回は中原未央の絵だけを買取させていただくことになりました。
ですが「また他の骨董も見てもらいたいんですけど、次回お願いできますか?」との事。ありがたい。次の査定のご依頼もいただき、思わぬ収穫となりました。紙物好きとしては、あの山積みの宝の山を、次回こそじっくり掘り出したいところです。
「こちらこそ、ぜひまた拝見させてください」名残惜しさを感じながらも、お宅を後にしました。高台の家からの帰り道、風が心地よく吹き抜けました。紙物に油絵、そして次なる骨董品の査定に胸を躍らせながら、来た時よりも軽い足取りで帰宅しました。ありがとうございました。
この絵画については後ほど詳しくお話いたし致しますので最後までお付き合いください。
買取品の詳細

◇この「油絵」はサイズさえ小さいものの状態もとてもよく、変色やカビなどは見受けられません。日動画廊のシールもあり題名は「空の箱のgourd」とあります。ストーリーもあり瓢箪がとてもリアルに描かれていますね。
買取査定額
サインもあります
◇「中原未央」作品の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作品の人気度、次に大きさと状態。ほかには鑑定書あればより高価買取&できます。
絵画の買取相場ですが上記のように作家、題目や状態、時代等などでかなり差があります。ご自宅に油絵や洋画、日本画が御座いましたら一度拝見させてください。
■過去の作品買取例
「Ichigo」 3号 30,000円
中原未央とは?

◇中原未央(なかはら みお)さんは、1986年福岡県生まれの画家で、九州産業大学芸術学部美術学科を卒業後、同大学大学院芸術研究科美術専攻を修了しました。現在、独立美術協会の会員として活躍し、日本美術家連盟、福岡文化連盟、福岡県美術協会にも所属しています。実は私も九州産業大学出身なんです。(私事でスミマセン)
中原さんの作品は、アクリル絵の具と油絵の具を併用した混合技法による緻密な写実表現が特徴です。主なモチーフとして果実や植物を取り上げ、生と死、命の神秘性や尊さをテーマに制作しています。例えば、アケビやザクロ、トマトなどの果実を題材に、生命の儚さや記憶を表現しています。
初期の活動として、2010年の「別府アジアビエンナーレ2010」で入選し、2011年には「第20回富嶽ビエンナーレ展」にも入選しています。2013年には、銀座の日動画廊本店で開催された「第48回昭和会展」において、最高賞である昭和会賞を受賞しました。 この受賞を機に、2014年にはフランス・パリへ渡り、さらなる研鑽を積んでいます。その後も数々の賞を受賞しており、2015年には「第17回雪梁舎フィレンツェ賞展」で佳作賞を受賞しました。2016年には「FACE2016 損保ジャパン日本興亜美術賞」において読売新聞社賞を受賞し、
2017年には「第85回独立展」で最高賞である独立賞を受賞しています。 特に、独立展での初出品での独立賞受賞は、60年ぶりの快挙とされています。
近年では、2022年に「第3回枕崎国際芸術賞展」で大賞を受賞し、2023年には日動画廊本店で個展「-儚さと記憶の表象-」を開催しています。 この個展では、アクリルと油絵の具を併用した混合技法による写実的な作品が展示され、確かな描写力と細部まで描き込まれた重厚な画風が評価されています。また、作品の構成の巧みさによって、観る者をシュールで非現実的な世界へと誘う幻惑的な魅力があると評されています。
中原さんの作品は、果実や植物を通じて生命の儚さや記憶を表現し、観る者に深い印象を与えています。その独特の世界観と高い技術力で、今後もさらなる活躍が期待される注目の画家です。
◎関連、参考サイト
1. 福岡日動画廊
- 所在地: 福岡市中央区渡辺通1-1-2 ホテルニューオータニ博多1F
- 概要: 福岡日動画廊は、福岡市の中心部に位置するギャラリーで、国内外の著名なアーティストの作品を展示しています。中原未央さんも定期的に個展を開催しており、最新の作品を鑑賞することができます。
2. 大川市立清力美術館
- 所在地: 福岡県大川市大字鐘ヶ江77-16
- 概要: 大川市立清力美術館は、地域の芸術文化の振興を目的とした美術館です。2021年には「未来への視点シリーズ4 中原未央展 ~儚さと記憶、果実のある風景~」が開催され、多くの作品が展示されました。
3. 福岡市美術館
- 所在地: 福岡市中央区大濠公園1-6
- 概要: 福岡市美術館は、大濠公園内に位置する美術館で、様々な企画展や常設展を行っています。2025年2月18日から2月23日まで、「第91回独立展」が開催され、中原未央さんの作品も展示される予定です。
■その他の買取品目
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