

★写真はtremolo3247@gmail.com若しくはLINEからお願いします。
福岡市南区で純銀ボンボニエールを買取りました!
◇正月というものは、七日を過ぎたあたりから急に居心地が悪くなる。
門松は片付けられ、鏡餅はいつの間にか割られ、テレビからはおめでたい音楽が消え、代わりに「現実」という名の乾いた風が吹き込んでくる。世間はもうすっかり平常運転で、やれどこぞの大統領がまた戦争を始めただの、中国が眉をひそめただの、挙げ句の果てには「パンダがいなくなる」という、国の行く末なのか動物園の都合なのかわからぬ話まで飛び出す始末である。
もっとも、そうした大きな話題とは無縁なのが我ら骨董商という稼業で、世界がひっくり返ろうが、為替が荒れようが、今日も変わらず「これはいつ頃のものですかねえ」と首をかしげるだけである。
正月明けの仕事始めも、どこか他人事のようにのんびりしていた。雑煮の名残を胃袋に抱えたまま、倉庫の埃を払っていると、一本の電話が鳴った。
「骨董品の査定をお願いしたいのですが」
声は落ち着いていて、いかにも育ちの良さそうな響きだった。場所を聞けば福岡市南区高宮。小高い丘を切り開いた、いわゆる“お金持ちが住むために用意された土地”である。坂道が多く、車は高級、犬は無駄に小さい。
これはもう、ある程度の覚悟をして向かわねばならない。
当日訪ねてみると、予想に違わぬ立派なお宅で、門から玄関までの距離だけで軽く息が上がる。迎えてくれた依頼主は穏やかな物腰の方で、「バブルの頃に集めたものが多くて」と、少し照れたように笑った。
その言葉の時点で、こちらの脳内ではすでに値札が剥がれ落ちる音がしている。
拝見した品は、ざっと四十点余り。
アールデコのランプ、彫刻、裸婦のブロンズ像、柿右衛門の人形、里帰りと称される薩摩焼。どれもこれも、かつては百貨店の美術売場でスポットライトを浴び、「資産になります」「一生ものです」と囁かれてきた顔ぶれである。
そして案の定、それぞれにしっかりとした値札の記憶がまとわりついている。
問題は、その値札が四十年ほど前のものだという点である。
こちらは一つひとつ手に取りながら、現在の流通価格、制作年代、市場での需要と供給などを、なるべく角が立たぬように説明していく。
「当時は非常に人気がありまして」「今は少し落ち着いております」「状態は良いのですが、市場がですね」
言葉を選びながら話していると、だんだん自分でも何を言っているのかわからなくなってくる。だが不思議なもので、依頼主はきちんと頷きながら聞いてくれる。どうやらこの方、現実を受け止める準備はすでにできているらしい。
結果として、アールデコもブロンズも、柿右衛門も薩摩焼も、「もう少し手元に置いておきます」という結論になった。
骨董というものは、価値が下がると「思い出があるから」と言われ、価値が上がると「売り時ですね」と言われる。実に人間的である。
そんな中、銀製のカトラリーや食器、置物、人形などがまとめてテーブルに並べられた。
こちらは変色も進み、このまま保管しても手入れが大変そうだ。
「これは売ってしまいましょうか」
依頼主の一言で、ようやく話がまとまった。

その中に、ひときわ上品な佇まいの純銀製ボンボニエールがあった。
菓子入れとして作られたものだが、今となっては中に何を入れるのが正解なのか誰にもわからない。夢か、現実か、あるいは銀相場への未練か。
手に取るとずしりと重く、純銀という素材の正直さを感じさせる。
全般的に銀製品ということで、査定金額はそれなりの額になった。
依頼主も「正月気分を脱却するにはちょうどいいですね」と笑う。
なるほど、景気のいい話をして目を覚ますより、現実的な数字を見たほうが人は正月から立ち直れるのかもしれない。
帰り際、玄関先で振り返ると、丘の上から街がよく見えた。
世界は今日も騒がしく、ニュースは相変わらず大仰だ。だがこの家の中では、銀が売られ、思い出が残り、そして骨董品は静かに時間を溜め込んでいる。
骨董商の仕事とは、結局のところ「時代の後始末」なのだろう。
車に乗り込み、ラジオをつけると、またパンダの話をしていた。
アクセルを踏みながら、私は思う。
――パンダがいなくなっても、銀は重いままだし、骨董屋の正月明けは今日も平常運転である。
このボンボニエールについては下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
このボンボニエールは戦前のもので打ち出し模様の手作り品です。製造元は「錦綾堂」という工房でした。重さは約60g。内側には梅文様が刻まれていました。純銀製です。

買取査定額
ボンボニエールの評価額ですが素材や工房名、時代や文様、デザインで全く異なります。その他にも共箱や栞、どこで使われた品物なのか判る資料があればより高額査定ができます。ご自宅にアンティークや美術品的な銀製品、食器などがありましたらお声かけ下さい。

◆過去の買取履歴…

満州国皇帝陛下来訪記念 ボンボニエール 700,000円
皇室のボンボニエール 儀礼帽形 500,000円
純銀 新城製 兎置物型 皇室ボンボニエール 350,000円
皇室ボンボニエール 角鳥籠形 250,000円 他多数
◇ボンボニエールとは…

ボンボニエールとは、フランス語で「砂糖菓子(ボンボン)を入れる小箱」を意味する言葉である。語源は bonbon(お菓子) に由来し、直訳すれば「お菓子入れ」であるが、実際には単なる菓子容器にとどまらず、贈答・祝儀・記念品としての意味合いを強く帯びた工芸品として発展してきた。
サイズは手のひらに収まるものが多く、蓋付きであることが基本。素材や装飾は時代や用途によって多様化し、現在では美術工芸品・アンティークとして高い評価を受けている。
歴史的背景 ― 砂糖は「贅沢品」だった
ボンボニエールの成立を理解するには、砂糖の歴史を無視することはできない。
中世ヨーロッパにおいて砂糖は薬用・嗜好品として扱われ、極めて高価な存在であった。16〜17世紀になり植民地政策とともに砂糖の流通が拡大すると、王侯貴族の間で砂糖菓子を贈る文化が定着する。
この時代、菓子そのものよりも「入れ物」が重要視されるようになる。
つまりボンボニエールは、
-
富と教養の象徴
-
社交儀礼の道具
-
身分を示す小さな舞台装置
として発展していったのである。
王侯貴族の必需品から祝儀の象徴へ
18世紀フランス宮廷では、ボンボニエールは欠かせない調度品となる。
結婚式、洗礼式、戴冠式、舞踏会などの祝祭の場で、招待客への贈り物として配られた。
特に有名なのがフランス王室のボンボニエールで、金銀細工、七宝、宝石を用いた豪奢な作例が多く残されている。
ナポレオン時代には帝政様式(アンピール様式)の影響を受け、月桂樹、蜂、鷲といった象徴的モチーフが好まれた。
19世紀になるとブルジョワ階級にも広がり、素材や意匠は多様化する。ここでボンボニエールは、
-
宮廷文化の象徴
-
市民階級の贈答文化
という二重の性格を持つようになる。
用途 ― 菓子入れ以上の役割
本来の用途はもちろん砂糖菓子入れである。しかし実際には、
-
結婚式の引き出物
-
出産・洗礼の記念品
-
社交界での返礼品
-
王室・貴族の公式行事の記念品
など、記念性の強い用途が主であった。
中に入れるものも時代とともに変化し、砂糖菓子のほかに、
-
アーモンドやナッツ
-
香料
-
小さなメモや詩
-
コインやメダル
などが収められることもあった。
つまりボンボニエールは「中身よりも外側が主役」の器であり、記憶を保存する箱でもあったと言える。
代表的な形状
ボンボニエールの形状は非常に多彩だが、代表的なものを挙げると次の通りである。
-
円形・楕円形
最も基本的な形。蓋付きで安定感があり、装飾を施しやすい。今回の買取品もこの形であるが残念ながら皇室用ではありません。 -
壺形・カップ形
古典様式を踏襲したもの。取っ手付きの例もある。 -
動植物モチーフ
花、果実、鳥、昆虫など。アール・ヌーヴォー期に特に多い。 -
幾何学形・抽象形
アール・デコ期に流行。直線的で洗練されたデザインが特徴。 -
記念形(建築・紋章)
王冠、城、紋章を象ったもの。祝典用に制作されることが多い。
素材 ― 銀が主役になる理由
素材は時代・用途によって異なるが、代表的なものは以下である。
-
銀(スターリングシルバー)
最も代表的。抗菌性・加工性に優れ、格式も高い。刻印(ホールマーク)が重要な評価ポイント。 -
金・金鍍金(ヴェルメイユ)
王侯貴族向け。装飾性が高く現存数は少ない。 -
磁器(セーヴル、マイセン等)
絵付けが施され、工芸性が高い。 -
ガラス(バカラ等)
19世紀以降に増加。透明感と装飾性が魅力。 -
七宝・エナメル
色彩豊かで装飾的。高級品に多い。
中でも銀製は現存数が多く、現在のアンティーク市場でも評価が安定している。
日本との関わり
日本では明治期以降、西洋文化の流入とともにボンボニエールが紹介される。
特に皇室の慶事で配られる銀製ボンボニエールは有名で、これが日本独自の発展を遂げる。
皇室用ボンボニエールは、
-
紋章入り
-
純銀製
-
記念性が極めて高い
という特徴を持ち、現在でも収集対象として高い人気を誇る。
◎関連、参考サイト
-

銀細工の打ち出しとても綺麗ですね
東京都庭園美術館(東京・白金台)
学習院大学史料館(東京)
岡山・吉兆庵美術館(岡山)
-
松平家史料展示室(福井)
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。













































