福岡市南区で薩摩焼の茶器(カップ&ソーサー)を買取りました!

薩摩焼茶器の買取
里帰りの豪かな茶器です

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。本日は、福岡市南区にお邪魔致しました。ご依頼主は、実家の整理をするために帰省しており、お祖父様やお祖母様の思い出の品や、ご両親が大切にしていた骨董品やアンティーク品が押し入れや物置から大量に出てきたとのこと。その為、何がどれだけの価値があるのか全く分からないということで、そのあまりの量に、困り果てて?福岡の骨董発掘隊「玄燈舎」に査定を依頼されたのです。早朝から夕方までおよそ7時間の査定と鑑定を行いました。

発掘&査定/押し入れからの発見

ソーサも豪華です

まず発掘を始めると、まず最初に目に飛び込んできたのは、古びた木箱に入った掛軸の数々。中国の美しい山水画や、精緻な書が並んでいました。まるでタケコプターに乗って、中国の骨董屋に迷い込んだかのような気分になりました。掛軸を広げるたびに、その歴史と美しさに思わず息を呑みました。私は年間3000本ほど掛軸を扱いますが毎回、息をのみこみすぎて呼吸困難になる日が多いです。有難いことですが…

次に見つけたのは、仏像や中国の置物。これらはまるで静かに時を超えて語りかけてくるようでした。仏像の穏やかな表情や、祈りが籠った仏具にはとても厳かな空気が流れます。古の大陸である中国の置物にも細部にまでこだわった造形やデザインは、まさに当時の職人の魂が宿っていると感じました。

薩摩焼、九谷焼、有田焼の器たち

日本の美術品もかけてはいません。押し入れの奥から出てきたのは、薩摩焼、九谷焼、有田焼の器や、柿右衛門人形でした。これらの器は、それぞれの地域の歴史と伝統が詰まっており、一つ一つが芸術品と言っても過言ではありません。特に薩摩焼は、その独特の絵付けに金彩の華やかな装飾が特徴で、見る者を魅了します。

そして九谷焼は、鮮やかな緑、黄色、赤などの色使いと豪華な絵付けが特徴で、そのデザインのモダニズムには驚かされました。有田焼は、染付などの精緻な青花の美しさが際立っており、まさに日本の陶芸技術の頂点を感じさせます。古い伊万里焼や有田焼はやはり地元の九州の人には今でも人気がありますね。

精功山の茶器との出会い

煌びやかな茶器です

 眠っていたお宝たち

早朝から夕方まで、およそ7時間にも及ぶ査定作業。その結果、押し入れや物置からは様々な骨董品やアンティーク品が続々と発掘されました。古い里帰り品とみられる薩摩焼や九谷焼、有田焼などの器、柿右衛門人形、中国の掛軸や書など、まさに宝の山です。そしてついに今回のお宝が発見されました。

薩摩焼「精功山」茶器の秘密

内側底にも絵付けがあります
内側底にも絵付けがあります

今回、これらの発掘物の中でも特に興味深いのが、薩摩焼「精功山」の茶器です。精功山は、江戸時代から明治時代にかけて薩摩藩で活躍した陶工、市村覺助によって開かれた窯場です。繊細な絵付けと美しい色合いが特徴で、特に金襴手と呼ばれる技法で作られた作品は、国内外で高く評価されています。

金彩が緻密で派手ですね
金彩が緻密で派手ですね

今回発見された茶器も、金襴手で作られたものでした。鮮やかな赤色と金色で描かれた花模様は、見る者を魅了します。さらには金彩で盛り上げされた鳥も描かれております。しかし、その一方で、この茶器にはいくつかの謎が残されていました。

謎の茶器の窯元や作家を調べると…

精功山の銘があります
精功山の銘があります

まず、茶器の底には、”精功山”の銘と”嘉永三年”の年款が記されていました。嘉永三年は、西暦1850年頃の時代です。ということは、この茶器は170年以上前に作られたことになります。

しかし、精功山で作られた茶器には、通常”精功山”の銘に加えて、陶工の名前が記されていることがほとんどです。ところが、今回発見された茶器には陶工の名前がありませんでした。

さらに、茶器の形も、精功山で作られたには珍しい西洋茶器の形をしています。一体、この茶器は誰が、なぜ作ったのでしょうか?多分ですがこの時代はヨーロッパで薩摩焼や九谷焼などの派手な陶磁器が観賞用として大人気だったので輸出用として作られたと思われます。

これらの謎を解き明かすため、早速、家に帰って調べました。まず、精功山の歴史について調べ、当時の陶工や作品について資料を集めました。また、茶器の形状や絵付けの特徴から、制作年代や産地を推測しました。

薩摩焼は金彩の盛り上げがポイントですね
薩摩焼は金彩の盛り上げがポイントですね

なんと、この茶器は、精功山の陶工ではなく、ある有名な絵師によって作られたことが判明したのです。その絵師とは、当時薩摩藩御用絵師として活躍していた方の可能性が高い方でした。この方は精功山の作品に絵付けをすることもありましたが、自ら茶器を作ることは稀でしたが今回発見された茶器は、特別に精功山の陶工と協力して制作した、貴重な作品だったようです。

今回の買取依頼は、まさに宝探しのような興奮に満ちたものでした。眠っていたお宝を発掘し、その秘密を解き明かすことは、我々、骨董屋にとって最高の喜びです。今後も、皆様のお宅に眠っているお宝を発見し、その価値を世に知らしめていきたいと思います。

追伸…

今回発見された薩摩焼「精功山」茶器は、現在、専門の鑑定士によって鑑定中です。鑑定結果が出次第、また皆様にご報告させていただきます。

◇この「里帰り薩摩」は盛り上げの金彩に花や鳥が豪華にしかも細かく描かれておりありがとう当時としてもかなりお金持ちの持ち物やヨーロッパの貴族に献上する品物と見られます。本当はポットやトレーなどもありセット品として作られたように感じますが一客だけでもとても存在感のある美術品レベルの物でした。茶器の内側にも絵付けがあり当時の職人技が光る逸品でした。ありがとうございました。

 

買取査定額

花鳥文様が素敵な器です
骨董屋も喜ぶ花鳥文様が素敵な器です

◇里帰り薩摩焼の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に窯元の知名度、次に絵付け、ほかには状態が良ければより高価買取&できます。よく見かけるものとしては沈香壷や花瓶、茶器があります。なお、今回の薩摩焼は一客だけでしたが30000円の買取価格になりました。尚、セットになると10万円~50万円以上のものもあります。(状態やデザインにもよります)

 

 

下記に代表的な薩摩焼の工房について書きましたので参考にされてください…。

里帰り薩摩焼は、江戸時代から続く伝統工芸品であり、その美しさや歴史から、国内外で高い評価を得ています。近年では、里帰り薩摩焼をコレクションする人も増え、外国人だけではなく国内でも人気が高まっています。里帰り薩摩焼の中でも、特に人気があり評価が高い窯元とその代表作品をいくつかご紹介します。

1. 薩摩伝兵衛窯

  • 代表作品:島津家久作「赤絵龍文向付」
  • 特徴:江戸時代初期から続く薩摩焼の代表的な窯元。金襴手と呼ばれる華麗な絵付けが特徴。島津家久作の「赤絵龍文向付」は、薩摩焼の最高峰の一つ。

2. 薩摩新窯

  • 代表作品:島津斉彬作「赤絵菊花文花瓶」
  • 特徴:島津斉彬によって設立された窯元。精巧な細工と繊細な絵付けが特徴。島津斉彬作の「赤絵菊花文花瓶」は、薩摩焼の代表的な作品の一つ。

3. 薩摩三田尻窯

  • 代表作品:三田尻太助作「金襴手雉子文茶碗」
  • 特徴:江戸時代中期から続く窯元。金襴手と呼ばれる華麗な絵付けと、力強い造形が特徴。三田尻太助作の「金襴手雉子文茶碗」は、薩摩焼の中でも人気の高い作品の一つ。

4. 薩摩白山窯

    • 代表作品:白山松之丞作「白薩摩花瓶」
    • 特徴:江戸時代後期から続く窯元。白薩摩と呼ばれる白磁器が特徴。白山松之丞作の「白薩摩花瓶」は、薩摩焼の白磁器の中でも最高峰の一つ。

5. 薩摩芋崎窯

  • 代表作品:芋崎春雄作「白薩摩象嵌文花瓶」
  • 特徴:明治時代に設立された窯元。白薩摩と呼ばれる白磁器と、象嵌と呼ばれる技法が特徴。芋崎春雄作の「白薩摩象嵌文花瓶」は、薩摩焼の白磁器の中でも人気の高い作品の一つ。

里帰り薩摩焼を選ぶ際のポイント

里帰り薩摩の茶器は現在でもとても人気の古美術品です
里帰り薩摩の茶器は現在でもとても人気の古美術品です

里帰り薩摩焼を選ぶ際には、以下の点に注目しましょう。

  • 時代:江戸時代、明治時代、大正時代、昭和時代など、それぞれの時代に特徴があります。
  • 窯元:薩摩伝兵衛窯、薩摩新窯、薩摩三田尻窯など、様々な名窯があります。
  • 作品の状態:傷や欠けがないか、状態が良いものを選びましょう。
  • 鑑定:信頼できる鑑定士に鑑定してもらうことをおすすめします。

里帰り薩摩焼は、日本が誇る伝統工芸品であり、歴史的価値の高いものです。 上記のポイントを参考に、ぜひ自分にとって価値のある里帰り薩摩焼を見つけましょう。ご自宅に薩摩焼を見かけましたら骨董品買取の玄燈舎へご一報ください

 

■過去の作品買取例
大日本薩摩琪山銘 里帰り薩摩 金欄手布袋立像 200,000円
大日本長州山薩摩實生鹿月画 飾り壺 100,000円
薩摩章山・金彩花尽紋図  80,000円
薩摩焼 島津家紋銘 大日本長州實井山造  50,000円 他多数

里帰り薩摩とは?

里帰り薩摩焼は、日本の鹿児島で作られた美しい陶器のことです。これらの陶器は、19世紀から20世紀初頭にかけて、日本から海外に輸出され、その後また日本に戻ってきたものを指します。

薩摩焼の歴史

薩摩焼の歴史は400年以上前に遡ります。16世紀の終わりごろ、朝鮮半島から渡ってきた陶工たちによって鹿児島で作られ始めました。最初は日常使いの器などが主でしたが、江戸時代になると装飾が施された美しい作品が作られるようになりました。明治時代に入ると、日本は外国との交流を積極的に進めるようになり、その一環として美しい薩摩焼が海外に輸出されました。特にヨーロッパやアメリカで人気を博し、多くの富裕層がコレクションに加えるようになりました。

里帰り薩摩焼の特徴

里帰り薩摩焼の特徴は、何と言ってもその美しいデザインです。白地の陶器に金や色鮮やかな絵付けが施されており、花や鳥、風景などが細かく描かれています。特に金彩(きんさい)と呼ばれる金色の装飾が多用され、豪華な雰囲気を醸し出しています。もう一つの特徴は、絵付けの細かさです。薩摩焼は非常に細かい模様が描かれており、近くで見るとその精巧さに驚かされます。これらの模様は、一つ一つ手作業で描かれており、職人の高い技術が感じられます。

里帰り薩摩焼の製作方法

里帰り薩摩焼の製作には、いくつかの工程があります。

  1. 成形(せいけい): まず、粘土を使って器の形を作ります。これはろくろを使って形を整えることが多いです。
  2. 乾燥(かんそう): 成形した器を乾燥させます。この過程でひび割れができないように慎重に管理します。
  3. 素焼き(すやき): 乾燥させた器を一度焼きます。これを素焼きと言います。この過程で器が固くなります。
  4. 絵付け(えつけ): 素焼きした器に絵を描きます。細かい模様や金彩を施すこの作業は、とても時間がかかり、職人の技術が求められます。
  5. 本焼き(ほんやき): 絵付けが終わったら、もう一度焼きます。これによって絵が定着し、美しい色合いが出ます。

 

 

◎関連、参考サイト

鹿児島県立博物館

鹿児島県教育委員会/鹿児島県立博物館 (pref.kagoshima.jp)

鹿児島市立美術館

 鹿児島県種子島美術館

 

 

■その他の買取品目

 

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