福岡市城南区で根付を買取りました!

根付買取りました

◇福岡で骨董品買取を行っています「玄燈舎」でございます。今回のお宝発掘は福岡市の城南区の築50年ほどのお宅でした。家主の方に勧められて玄関より入るとそこはまさに一世代前の「骨董屋さん」です。そこには中国の古陶磁や掛軸、九谷焼の置物、薩摩焼の茶器、煎茶道具や書道具が雑然と置かれています。どれも年月を経た美しさと歴史の重みを感じさせる品々であります。全体を見渡しましたが私は特に興味を惹かれた一つの小さな品物に目を奪われます。古いガラスケースの中に大事に収められたそれは、手のひらに収まるほどの小さな彫刻で、根付(ねつけ)と呼ばれるものでした。白く輝くその根付は、骨で作られており、力強い水牛の形をしていました。細部まで丹念に彫り込まれたその姿には、見る者の心を捉える迫力と繊細さが同居しておりました。

「これは江戸から明治期に作られた根付です」と、屋主が説明してくれます。彼は長年にわたり骨董品を集め、その歴史と価値を見極めてきたベテランと見受けられました。「裏側をご覧ください」と根付を手に取り、裏面を見せてくれたました。そこには「正信」という銘が彫られています。「これは伊勢正信という有名な彫刻家の作品だと思われます。彼は江戸時代から明治期にかけて活躍し、その精緻な技術で知られています。」…と。

私はその根付に目を凝らしながら、伊勢正信という人物のことを考えました。江戸時代の終わりから明治にかけて、日本は大きな変革期を迎えていました。鎖国が解かれ、西洋文化が流入し、伝統的な日本の文化や技術が揺れ動く時代。そんな時代にあっても、彼は自らの技術を磨き上げ、その名を後世に残す作品を作り続けたのだろうと思うとなぜか目頭が熱くなりました。

家主様はさらに話を続けます。「伊勢正信は、その時代の流れに抗うようにして、自らの技術を極限まで高めました。彼の作品は、ただの装飾品ではなく、持つ者に力と誇りを与えるものだったのです。」…と。

私はその根付を手に取り、その重みを感じながら、遠い昔の日本の情景を思い描きました。伊勢正信がこの作品を作る時、彼の心にはどんな思いがあったのだろうか?。彼の手によって命を吹き込まれたこの水牛は、どんな物語を語りかけてくるのだろうか?…と。

「この根付は、一目見た瞬間にその価値がわかる逸品です」と家主様が続けます。「しかし、その価値は単なる金銭的なものではありません。これは日本の歴史と文化、そしてそれを支えてきた職人たちの魂が宿るものです。」その言葉に、なるほどと深く頷く私がいました。この根付を手にすることで、私はただ一つの美しい工芸品を手に入れるだけでなく、その背後にある歴史や文化、そして人々の思いをも手に入れることになるのだ。と自分にも言い聞かせました。何となく家主様にノセラレタという感もありましたがこの根付を高値で買取して他にも古いものはすべて買取させていただきました。ありがとうございました。

私はその根付を大事に抱え、その夜、私は自宅に戻り、根付を手に取りながらふと思いました。伊勢正信という人物の人生に思いを馳せ、その作品に込められた彼の魂に触れることで、私は新たな着眼点を得ることができたのではないか。そして彼の作品は、ただ美しいだけでなく、人々の心に語りかけ、歴史と文化を伝える力を持っていると思いました。この根付を手に入れたことは、私にとって大きな喜びであり、同時に責任も背負うことになりました。これからもこの根付を大切にし、その価値を多くの人々に伝えていくことが、私の使命であると感じた一日でした。

根付に込められた伊勢正信の思いは、時を越えて今もなお輝き続けている。その輝きは、私たちの心に光を灯し、新たな物語を紡ぎ出していくのだろう…という自分よがりのお話でした。申し訳ございません…。

江戸期の根付です

そして今回のご紹介品はこの「根付」です。とても大切にされていたようで絹の豪華な袋にも収められておりました。この根付については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

とろとろの色合いの根付

とても美しい水牛の根付です

◇この「根付」は骨でできておりますが時代を経た外観になっており状態もとてもよく、古い根付によくみられるひび割れなどは見受けられません。一点だけ角の片方が折れて短くなっております。これもかなり古い時代に折れたものと思われ色合いも自然な感じになっております。決して古い時代付けや「しこみ」などは行っていないと思います。刻印は一つで「正信」銘で調べたところ「伊勢正信」だと思われますが何代目かは不明です。ありがとうございました。

買取査定額

伊勢正信銘

 

「正信」銘

◇根付の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者の知名度、次に材質と状態、作風によってより高価買取できます。なお、今回の根付は古い時代で「伊勢正信」銘あり状態も良かったので高価買取価格になりました。

細かいところもリアルです

「根付」の買取相場ですが上記のように造り、作者、材質等などでかなり差があります。ご自宅に古い根付や提げ物が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

下記に根付の代表的な作家や工房について書きましたので参考にされてください…。

◇江戸期から明治期にかけての著名な根付師…

村正(Murasaki)
刀工として有名ですが、根付の名工としても知られています。
大澤恒正(Ōsawa Tsunemasa)
江戸時代中期に活躍し、木彫根付で特に有名です。
柳田一種(Yanagawa Ichisai)
江戸時代末期から明治時代にかけて活躍し、象牙や鹿角を用いた根付を多く制作しました。
伊勢正信(Ise Masanobu)
今回お話に出てきた正信ですが、伊勢正信は根付の名工として知られ、その精緻な彫刻技術で高く評価されています。
柳田一風(Yanagawa Ippō)
柳田一種の弟子であり、象牙を用いた細工が特徴です。
宮川長蔵(Miyagawa Chōzō)
江戸時代の有名な根付師で、象牙や木を素材とした作品が多いです。

国友一心斎(Kuniyoshi Isshinsai)

江戸時代後期から明治時代にかけて活躍し、象牙彫刻が特に有名です。
石黒光南(Ishiguro Mitsunari)
明治時代の根付師で、精緻な金工根付を制作しました。

■過去の作品買取例
黄楊彫 柘植彫 木彫『寿玉』銘 400,000円
親子猿と桃 大内玉藻  350,000円
及川空観作 卒塔婆小町300,000円
加納友一 鼠 根付250,000円 他多数

伊勢正信とは?

 

◇今回の製作者「伊勢正信」についてお話いたします…

伊勢正信(いせまさのぶ)は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した根付師です。彼の正確な生没年は不明ですが、活動時期から推測すると、江戸時代後期に生まれ、明治時代の初期まで活動を続けたと考えられています。正信は、根付の制作において卓越した技術を持ち、特に骨や象牙を用いた細工で知られています。

1. 伊勢正信(初代)

江戸時代初期の根付師で、最も有名な「正信」です。京都で活躍し、金工の技術を生かした繊細で写実的な作品で知られています。動物や植物などをモチーフとした作品が多く、特に狸や狐などの獣を巧みに表現したことで人気を博しました。

2. 正信 (二代)

伊勢正信の息子で、父の後を継いで根付師となった人物です。父の作品ほどではないものの、写実的で繊細な作品を作りました。

代表作

  1. 水牛の根付
    • 正信の代表作の一つであり、骨を素材とした精緻な彫刻が特徴です。水牛の力強い姿と繊細な彫りが見事に表現されています。
  2. 龍の根付
    • 象牙を用いた作品で、龍の力強さと動きが細部まで表現されています。龍の鱗や顔の表情に至るまで、正信の技術の高さが伺えます。
  3. 虎の根付
    • 木を素材とした作品で、虎の動きや筋肉の緊張感がリアルに描かれています。動物を題材にした作品は、正信の得意とするところです。

収蔵されている公的機関

伊勢正信の作品は、その美術的価値から多くの美術館や博物館に収蔵されています。以下は、彼の作品を所蔵している主な公的機関です。

  1. 東京国立博物館
    • 東京国立博物館には、正信の根付作品がいくつか収蔵されています。特に、水牛や龍を題材とした作品は、訪れる者を魅了します。
  2. 京都国立博物館
    • 京都国立博物館でも、正信の作品が展示されています。日本の伝統工芸品の一環として、その芸術性と技術の高さが評価されています。
  3. サンフランシスコアジア美術館
    • 海外でも正信の作品は高く評価されており、サンフランシスコアジア美術館には、いくつかの作品が所蔵されています。特に動物を題材にした作品は、観覧者に人気があります。

★伊勢正信には、同時代に活躍した根付師の中で良きライバルとして知られる人物が何人かいました。その中でも特に有名なのが、柳田一種(やながわいっさい)です。

柳田一種は、正信と同じく江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した根付師であり、象牙や鹿角を用いた精緻な作品で知られています。彼の作品は、特に人物や動物を題材にしたものが多く、その細部まで丁寧に彫り込まれた技術は高く評価されています。そして正信と一種は、共に同じ時代を生きた根付師として、お互いの作品に影響を与え合いながら技術を磨いていきました。彼らの作品には、それぞれの個性が光り、同時にその時代の文化や技術の進化を感じさせるものがあります。

伊勢正信の根付は、その美術的価値と技術の高さから、現在でも多くの人々に愛されています。彼の作品は、単なる装飾品ではなく、日本の伝統工芸の粋を集めた芸術品として、後世に語り継がれています。また、同時代に活躍した柳田一種との競い合いは、彼らの作品にさらなる深みと魅力を加える要素となっています。これからも、伊勢正信の根付は、日本の文化と歴史を伝える重要な役割を果たしていくことでしょう。

角が片方ありません

◎関連、参考サイト

 

 

 

 

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