武者小路実篤の色紙掛軸です/骨董品の買取は福岡玄燈舎
武者小路実篤の色紙掛軸です
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福岡県宗像市で掛軸を買取りました!

状態の良い色紙です/掛軸の買取は福岡玄燈舎

太宰府の飛梅が咲いたと聞いたのは、ついこのあいだのことだった。
梅が咲くというのは、春が来たという意味ではない。少なくとも福岡においては、「春のような顔をした何かが一瞬通り過ぎた」程度の出来事である。なにしろ次の日には、何食わぬ顔で雪が舞い散る。梅と雪が同居するこの土地では、季節が情緒を持つことを許されていない。

人間の体も、当然ながら混乱する。
昨日は薄着でよかったのに、今日は首まで縮こまらなければ生き延びられない。こうなるともう、自然に抗う気力は失われ、体は正直に炬燵へと避難する。炬燵は偉大である。骨董屋にとって冬とは、気持ちだけは仕事に向かい、体だけは文明に敗北する季節だ。

そんな炬燵の魔力に足を掴まれながらも、我々が最終的に立ち上がる理由は一つしかない。
電話である。
しかも、ただの電話ではない。「骨董品の買取をお願いしたいのですが」という、あのありがたい一本である。人類史において、これほど尊い言葉が他にあるだろうか。少なくとも、骨董屋の耳には祝詞のように響く。

今回の電話は宗像市からであった。
福岡市内から少し外れたこの距離感が、また微妙に期待と不安を煽る。遠すぎれば空振りが怖く、近すぎれば「とりあえず呼んでみた」感が漂う。宗像は、その中間にある、骨董屋泣かせの町である。

相方と顔を見合わせ、「まあ、行ってみるか」と、特に盛り上がるでもなく腰を上げる。骨董屋の出張に、華々しさはない。あるのは、静かな覚悟だけだ。

玄関を開けた瞬間、我々は悟った。
掛軸である。
玄関から居間まで、壁という壁に掛軸が掛かっている。まるで掛軸の展示即売会か、あるいは「掛軸が趣味の人の部屋」というより、「掛軸が本体で人が住み着いた家」と言った方が正確な光景であった。

話を伺うと、ほとんどがご主人の手による山水画や水墨画だという。
この瞬間、骨董屋の心の中では、非常に静かな警報が鳴る。
身内の作品。
この四文字ほど、査定の世界で扱いにくいものはない。どんなに立派に見えても、どんなに思い入れがあっても、市場という冷たい海に放り込めば、ほぼ確実に沈む。

「素晴らしい作品ですね」と言いながら、「値は付きません」と伝えなければならない。
この矛盾こそが、骨董屋という職業の修行僧的側面である。

言葉を選び、角が立たぬよう、絹を撫でるように説明すると、依頼主は少し肩を落とした。
その姿を見て、こちらの胸もほんの少し痛む。芸術とは、評価されるためにあるのか、楽しむためにあるのか。その答えは分かっているつもりでも、現金という形になるかどうかで、人の表情はこうも変わる。

しかし、人間というものは不思議なものである。
奥の部屋から、もう一本、いや数本の掛軸を持ってきた。そこには中国画、台湾の作家による書画、そして武者小路実篤の色紙を収めた掛軸があった。

思わず心の中で、手を合わせる。
ありがたい。
宗教ではないが、骨董屋には骨董屋なりの信仰がある。実篤は、我々にとって一種の守護聖人のような存在だ。

査定を進め、金額を伝えると、依頼主の顔色がわずかに明るくなった。
ほんの少しだが、その「少し」が人を救う。
骨董屋の仕事は、品物を通して過去と現在を繋ぐことだと言われるが、実際には「期待と現実の落とし所を探す仕事」である場合がほとんどだ。

すべてが丸く収まり、我々は宗像を後にした。
外は相変わらず寒く、雪の名残が風に混じっている。春なのか冬なのか、もはやどうでもよくなっていた。

車内で相方が、「今日はいい日でしたね」と言った。
その言葉に、深く頷く。
大儲けをしたわけでもない。ただ、誰かの家に眠っていたものが、きちんと評価され、少しだけ未来へ動いた。それだけで十分だ。

炬燵に戻れば、また体は負けるだろう。
だが気持ちは、次の電話に向かっている。
それが骨董屋という生き物である。

有難い一日であった。
梅と雪の間で、今日も看板は静かに錆びている。

この掛軸については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

◇この「武者小路実篤之色紙掛軸」は花(ユリ)の傍らに「花ありて人生は楽し」という詩が描かれている上品な作品です。色つかいも淡い色彩で思わず見とれて思いにふける時間ができそうな色紙ですね。ありがとうございました。

買取査定額

◇武者小路実篤作品の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に真作か工芸品なのか、次に状態、ほかには刻印や鑑定書などあればより高価買取&できます。ご自宅に掛軸や色紙が御座いましたら一度拝見させてください。状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

 

■過去の作品買取例

「この道」 鑑定書付属 100,000円
花と本 油彩画6号        80,000円
「卓上の静物」 油彩4号 65,000円
魚図  彩色 掛軸   50,000円 他多数

武者小路実篤とは?

実篤の落款/書画の買取は福岡玄燈舎
実篤の落款

武者小路実篤は、明治18年(1885)5月12日、東京・麹町に生まれた。父は伯爵・武者小路実世で、華族の家柄に育つ。幼少期から恵まれた環境にありながら、実篤自身は早くから「人間はいかに生きるべきか」という根源的な問題に強い関心を抱いていた。

学習院中等科を経て東京帝国大学英文科に入学するが、在学中に文学への情熱が高まり、夏目漱石の文学や西欧の人道主義思想に影響を受け、やがて大学を中退。明治43年(1910)、志賀直哉、有島武郎、有島生馬、柳宗悦らとともに文学雑誌『白樺』を創刊する。これが後に「白樺派」と呼ばれる文学運動の中心となる。

白樺派は、自然主義文学が人間の暗部や宿命論を強調していた当時において、個人の尊厳、自由、愛、人間性の肯定を強く打ち出した点で画期的であった。実篤はこの運動の精神的支柱として、文学のみならず思想、絵画、社会運動にまで活動の場を広げていく。

大正期には理想社会を実現しようとする「新しき村」運動を宮崎県(のち埼玉県)で開始。自給自足・共同生活による人間解放を目指したこの試みは、完全な成功とは言えなかったが、実篤の思想と実践を象徴する活動であった。

戦後は文化勲章(1951年)を受章し、文壇の長老として尊敬を集める。昭和51年(1976)4月9日、90歳で死去。

代表作品

『友情』(1911年)

実篤の代表作の一つで、青年たちの友情と恋愛の葛藤を描いた小説。友情と愛のどちらを優先すべきかという普遍的なテーマを、率直で真摯な筆致で描いている。感情を包み隠さず語る語り口は、当時の青年層に強い共感を呼んだ。

『お目出たき人』(1911年)

自己犠牲的なまでに純粋な主人公を描いた作品で、人間の善性を徹底して肯定する姿勢が際立つ。現実的には「甘い」と批判されることもあったが、実篤文学の理想主義が最も端的に表れた作品といえる。

『幸福者』(1919年)

物質的な成功や社会的評価とは無関係に、精神的な満足を得る人物像を描き、人間の幸福の本質を問う。実篤の思想的成熟が見られる中期の代表作。

『愛と死』(1919年)

愛と自己犠牲、死をめぐる人間の内面を描いた作品で、初期の単純な理想主義から一歩進み、葛藤や苦悩を内包した人間観が示されている。

戯曲・随筆

『その妹』『人間万歳』などの戯曲、また『人生論』『この道より我を生かす道なし』などの随筆・箴言集も広く読まれている。特に後者は、実篤の言葉を象徴する名句として知られる。

武者小路実篤の絵画活動の概要

実篤が本格的に絵を描き始めたのは40代以降ですが、文学と並行して晩年まで制作を続けました。
西洋絵画の技法を厳密に学んだ「専門画家」ではありませんが、素朴で力強い表現、生命を肯定する視線は、彼の文学思想と完全に重なっています。

油彩、水彩、墨彩など多様な技法を用い、花・野菜・果物・静物・書画一体作品を数多く遺しました。

代表的な絵画・美術作品

花の絵(代表作群)

向日葵(ひまわり)

実篤絵画の代名詞ともいえる題材。
太く大胆な輪郭線、鮮やかな黄色と緑の対比が特徴で、「生命そのもの」を象徴するモチーフとして繰り返し描かれました。

「花は黙って咲いているが、雄弁だ」
という実篤の思想を体現した作品群です。

《椿》《菊》《芍薬》

日本的な花を、写実よりも精神性重視で描いた作品。
花の個性を「人格」のようにとらえ、見る者に親しみと温かさを与えます。

② 野菜・果物の絵

《大根》《かぼちゃ》《なす》《白菜》

実篤絵画のもう一つの柱が野菜の絵です。
とくに大根や白菜は、「地に足のついた生活」「生きる力」の象徴として好んで描かれました。

農業共同体「新しき村」での生活体験が強く反映されており、
労働・生活・芸術が一体化した表現といえます。

③ 書画一体作品(言葉+絵)

《この道より我を生かす道なし この道を歩く》

実篤を代表する言葉を、力強い筆文字と簡潔な絵で構成した作品。
文字そのものが造形となり、書・絵・思想が融合した独自の表現です。

他にも

  • 《人間万歳》

  • 《正直に生きる》

  • 《愛は惜しみなく与う》

など、人生訓的な言葉を添えた作品が数多く存在します。

④ 静物画・風景画

《果物のある静物》

リンゴ、柿、葡萄などを簡潔な構図で描いた作品。
色数は少ないながら、量感と存在感が強く、見る者に安心感を与えます。

《新しき村風景》

理想社会を求めた「新しき村」の畑や家並みを描いた風景画。
写生というよりも、理想の生活風景の象徴的表現といえます。

 

参考サイト

 

 

■その他の買取品目

 

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