
福岡県春日市でアンティーク人形を買取りました!

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◇ついに福岡はお盆休みに突入した。
世間という生き物は実に律儀なもので、お盆になれば一斉に故郷へ向かい、高速道路では何十キロもの渋滞を作り、新幹線では自由席を巡って小さな戦争を始める。空港では大きなキャリーケースを引いた家族連れが右へ左へと大移動し、テレビのニュースでは決まって「帰省ラッシュは今日がピークです」と毎年同じことを真顔で伝えている。
そこへ台風まで律儀に参加してくるものだから、日本列島はまるで巨大な人生ゲーム盤である。
「一回休み」 「振り出しに戻る」「飛行機欠航」
そんな札を引かされた人たちが駅や空港で右往左往している。
それをテレビ越しに眺めながら、私はというと、片手に缶ビール、足元には昼寝中の猫一匹。
何とも平和である。いや、平和というより、骨董屋として少々堕落している。
「人間、努力を忘れたら終わりだ。」
そう自分に言い聞かせながら冷蔵庫を開け、二本目のビールを取り出すのであるから説得力はまるでない。
仏様が見ていたら眉をひそめるだろうし、神様が見ていたら「もう少し働け」と雷でも落としそうだ。
もっとも、この暑さで雷まで本気を出されたらこちらの命が危ない。
結局、猫だけが私を優しく見つめ、「まあ今日はそのくらいにしておけ」とでも言いたげに欠伸を一つする。
骨董屋という商売は不思議なもので、忙しい日は電話が鳴りっぱなしなのに、静かな日は驚くほど静かである。
こちらから「仕事をください」と営業して歩く職業でもない。
電話一本で天国にも地獄にもなる。
だから電話機は神棚よりも大切な存在なのである。
そんなある日。忘れた頃に電話が鳴った。
「骨董品を見てもらえませんか。」
この一言だけで、それまでソファーに沈み込んでいた身体が五センチほど浮く。
もちろん顔は涼しい。 「ああ、今から伺いますよ。」
などと平然を装うが、内心では「頼むからお宝であってくれ」と手を合わせている。
今回の目的地は福岡県春日市。車で三十分もあれば到着する近場である。
相方と二人、「今度こそ眠っていた国宝級が出るかもしれんぞ。」などと、毎度おなじみの根拠ゼロの期待を胸いっぱいに積み込み現地へ向かった。
到着したお宅へ足を踏み入れた瞬間、思わず声が漏れた。
「これは……。」まるで全国民芸品博覧会である。
北海道の木彫り熊が玄関で仁王立ちし、福島の赤べこが首を上下に振り、津軽こけしが棚いっぱいに並び、九州の郷土玩具まで勢ぞろい。
その隙間からは、あのビクター犬が蓄音機をじっと見つめている。
全国の観光地がお盆休みを利用して一斉に引っ越してきたような景色だった。
昭和という時代は旅行へ行けば必ず何か土産を買って帰った。
「せっかく来た証拠」である。
今ならスマートフォンで写真を撮って終わりだが、当時は熊でも赤べこでも木彫りのフクロウでも、とにかく家へ持ち帰ることが旅の締めくくりだった。だから家の中には全国が詰まっている。
しかし、骨董屋の査定は思い出には値段を付けられない。
「これは北海道ですね。」
「これは会津ですね。」
「これは鳴子ですね。」
産地は分かる。 だが金額は厳しい。民芸品は悪くない。
悪くないどころか実に味がある。だが市場というものは情け容赦がない。
百人が欲しいと言えば値段は上がる。一人も欲しがらなければ、どれほど立派でも値段は静かに眠ったままである。
骨董屋とは、夢を見る仕事ではなく現実を見る仕事なのである。
しかしなんとか依頼主の期待に応えたい。
しかし計算機を叩くたびに数字はため息ほどしか増えない。
こちらも苦しい。相方も腕を組んだまま黙り込んでいる。
「うーん。」
二人そろって天井を眺める。天井を見ても査定額は増えない。神棚を見ても奇跡は起きない。
こういう時だけ神様も実に忙しい。ふと視線を動かした。
箪笥の上に小さな少女が二人、静かに座っていた。
いや、人ではない。人形である。
しかしその青い瞳だけは生きているようだった。
こちらを責めるでもなく、笑うでもなく、静かに見つめている。
まるで森の奥から迷い込んできた妖精が、そのまま時間を止められたような姿だった。
「ちょっと拝見してもよろしいですか。」そっと持ち上げる。
手に伝わる柔らかな存在感。衣装の縫製。髪の一本一本。
何より表情が違う。量産品にはない息遣いがある。
作者の名前を確認した瞬間、相方と目が合った。

「これは……。」二人同時にうなずく。
有名な創作人形作家の作品だった。
部屋中を埋め尽くしていた木彫り熊も赤べこも、その瞬間だけ少し脇役になった。
査定とは不思議なもので、一点の優品が全体を救うことがある。
この人形のおかげで査定額もまとまり、依頼主にも納得していただけた。
こうして無事に買取成立。帰りの車では相方が言った。
「最後まで分からんもんやね。」本当にその通りである。
骨董屋は箱を開けるまで分からない。押し入れを覗くまで分からない。
箪笥の上を見るまで分からない。だからこの仕事はやめられない。
店へ戻り、改めて少女の人形を机の上へ置いた。
夕方の柔らかな光が頬を照らし、その青い瞳がさらに澄んで見える。
派手さはない。豪華さもない。だが見れば見るほど心が静かになる。
まるで「慌てなくてもいいですよ」と語りかけてくるようである。
世間は渋滞で怒鳴り合い、高速道路ではクラクションが鳴り、空港では出発案内を何度も見上げる人がいる。
そんな騒がしい夏の片隅で、この小さな人形だけは何十年も変わらぬ微笑みを浮かべている。
人間は忙しく歳を取り、流行を追い、便利さを競い合う。
だが、本当に心を動かすものは、案外こうした静かな表情なのかもしれない。
しばらくは店の片隅に飾って眺めることにしよう。
売るために買ったはずなのに、別れが惜しくなる。
これも骨董屋の悪い癖である。
利益を考えれば早く次の持ち主へ渡した方がいい。しかし、ほんの少しだけ店番をしてもらおう。
木彫り熊には申し訳ないが、今回は少女の勝ちである。
そんなことを思いながら、今日も私は猫を撫で、ビールを一本開ける。
もちろん「これが最後」と言いながら。
この言葉ほど信用できないものは、骨董屋の「すぐ査定が終わります」と、酒飲みの「今日は一杯だけ」である。
では、また次のお宝探しまで。
買取品の詳細

◇この「アンティーク人形」は人形作家の若槻まり子作品です。ブルーの瞳がとても可愛くてリアルなまなざしが印象的なお人形です。そしてポエムなドレスにアンティークなリーフがとってもキュートな人形でした。妖精をイメージした花飾りや全体のコスチュームも素晴らしく、身長もおよそ60cm。ややシミや変色がありますがファンにはたまらない作品だと思われます。
買取査定額


◇アンティークなビスクドールの買取査定額もしくは評価額ですが作者の知名度、大きさや状態、ほかには刻印やギャランティーがあればより高価買取&できます。ご自宅にアンティークな人形が御座いましたら一度拝見させてください。状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

EDEN BEBE エデンべべ ビスクドール 700,000円
ジュモーファッションドール 600,000円
ゴーチェ アンティークドール 550,000円
三輪輝子 ビスクドール 450,000円 他多数
若槻まり子とは?
若槻まり子(わかつき まりこ)は、日本を代表する創作人形作家の一人であり、特にビスクドール(磁器人形)の世界で高い評価を受けています。少女の持つ儚さや純粋さ、そしてどこか幻想的な世界観を表現した作品で知られ、日本国内のみならず海外のコレクターからも支持を集めています。工芸としての人形制作にとどまらず、一体の人形に物語性や芸術性を吹き込む作風は、現代創作人形界を代表する存在として高く評価されています。
略歴
若槻まり子は幼い頃から絵画や造形に親しみ、人間の表情や身体の美しさに強い興味を抱いていました。その後、本格的に人形制作を学び、特にヨーロッパのアンティークビスクドールの造形や技法を研究します。フランスやドイツで十九世紀から二十世紀初頭に制作された名作人形から大きな影響を受けながらも、それらを単純に模倣するのではなく、日本人ならではの繊細な感性を加えた独自の世界を築き上げました。
創作活動を開始して以降は全国各地の創作人形展や百貨店、美術画廊などで個展を開催し、数多くの作品を発表しています。作品は個人コレクターだけでなく、美術館や人形専門ギャラリーなどにも収蔵されることがあり、日本の創作人形文化を代表する作家の一人として紹介されることも少なくありません。
作風の特徴
若槻まり子作品の最大の特徴は、少女を中心とした妖精的な世界観にあります。
一見すると可憐で愛らしい人形ですが、その表情には単なる「かわいらしさ」を超えた深い感情が宿っています。微笑みとも憂いとも取れる絶妙な表情、伏し目がちな瞳、柔らかく閉じた口元などによって、見る人それぞれが異なる物語を想像できる作品となっています。
顔の造形では、磁器ならではの透明感を最大限に生かしています。
肌は幾重にも彩色を重ねることで人肌のような柔らかさを表現し、頬や唇にはごく自然な赤みが加えられています。焼成を繰り返しながら完成させるため、一体ごとに微妙に異なる表情となり、同じ作品は存在しません。
また、瞳には高品質なグラスアイを使用することが多く、光の当たり方によって表情が変化します。見る角度によって優しさや寂しさ、時には神秘性さえ感じさせる点も高く評価されています。今回の買取品もブルーアイがとても綺麗な人形でした。
衣装へのこだわり
若槻まり子は衣装制作にも非常に力を注いでいます。
アンティークレースやシルク、ベルベット、リネンなど上質な素材を用い、一着一着を作品に合わせて制作します。
衣装は十九世紀ヨーロッパのドレスを基調としながらも、日本人の感性に合う柔らかな色彩が特徴です。
淡いアイボリー、生成り、薄いブルーやローズピンクなどを中心にまとめられ、人形全体に統一感を与えています。
帽子やリボン、小物類も手作りされることが多く、作品全体がまるでアンティークの絵本から抜け出したかのような雰囲気を醸し出しています。
技法
若槻まり子の作品は主にビスク(磁器)によって制作されます。
ビスクとは釉薬を掛けずに焼成した磁器で、独特のマットな質感が特徴です。
制作工程は非常に複雑で、
- 原型制作
- 石膏型の作成
- 磁土の流し込み
- 焼成
- 彩色
- 再焼成
- 組み立て
- 衣装制作
- 髪の植毛
という多くの工程を経て完成します。
一体を完成させるまでには数週間から数か月を要することもあり、その完成度の高さは日本の創作人形界でも屈指とされています。
世界観
若槻まり子の作品には「時間」が流れています。
人形は動かない存在でありながら、
「何かを待っている」
「夢を見ている」
「遠い昔を思い出している」
そんな瞬間を切り取ったような空気感があります。
そのため単なる人形ではなく、一つの芸術作品として鑑賞されることが多く、美術作品として高く評価されています。
また、作品には妖精や天使、花、月、鳥など自然をモチーフとした題材が取り入れられることもあり、幻想文学や童話を思わせる世界観を形成しています。
代表作品
若槻まり子の作品は一点制作が基本であり、工芸作品として制作されるため、画家のように広く知られたシリーズ名や量産された代表作があるわけではありません。しかし、展覧会では次のようなテーマの作品群が高く評価されています。
「少女像」シリーズ
最も代表的な作品群です。
幼い少女の一瞬の表情をとらえた作品で、若槻作品の原点ともいえる存在です。
瞳の輝きと静かな表情が見る人の心を惹きつけます。
花をモチーフとした作品
薔薇や百合、スミレなど花を取り入れた作品も人気があります。
衣装や髪飾りに季節の花をあしらい、少女と自然との調和を表現しています。
幻想童話シリーズ
妖精や天使を題材とした作品群で、現実と幻想の境界を感じさせる独特の世界観が特徴です。
繊細な羽根や透明感ある色彩表現は、若槻作品ならではの魅力となっています。
コレクターからの人気
若槻まり子作品は制作数が限られるため、市場へ出回る機会はあまり多くありません。
個展で発表された作品は早期に成約することも多く、二次市場でも人気が高い作家として知られています。
保存状態や制作年代によって評価は異なりますが、代表作や大型作品では高い評価額となることもあります。

■参考サイト
創作人形館ミワドール
横浜人形の家
■その他の買取品目
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