
福岡県春日市で仏像を買取りました!

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◇お彼岸が近づいてきた。
福岡の街を歩いていると、行き交う人々の顔にも、ほんの少しばかり「仏の慈悲」のようなものが浮かんでいるように見える。
たぶん気のせいである。彼岸が近いからといって、急に人間が仏になるわけではない。スーパーでは特売品を奪い合い、道路では信号が変わる寸前までアクセルを踏み、我々骨董屋に至っては、他人様の家に上がり込んで「何かお宝はありませんか」と目をギラギラさせている。これでは仏性どころか、煩悩の見本市である。
そもそも骨董屋という商売、穏やかな心など持ち合わせていては務まらない。
「これは古そうですね」などと、涼しい顔で品物を眺めているように見えて、頭の中では、
「江戸か? 明治か? 昭和か? 誰の作だ? 箱はあるか? 共箱か? 状態は? 市場ではどうだ?」
と、煩悩がジェット機のように飛び交っている。
仏様が「欲を捨てなさい」と説いている横で、我々は「欲のありそうな物を探している」。なんとも罰当たりな職業である。
そんな私が昨日お邪魔したのは、福岡県春日市のお宅。春日市といえば福岡市のベッドタウンとして知られるが、我々骨董屋にとっては「お宝が眠っているかもしれない場所」である。
ベッドの下だろうが、押し入れの奥だろうが、蔵だろうが、仏壇の横だろうが、とにかく古そうな箱を見れば気になる。
いや、正確に言えば「古そうな箱」ではない。「お金になりそうな箱」である。ここが仏様と我々骨董屋の大きな違いだ。
さて、お宅に到着すると、なかなかの品揃えである。油絵に掛軸、着物に銀食器、さらには武具まである。
一般の方なら、「まあ、いろいろありますね」で終わるところだが、こちらは骨董屋。
部屋に入った瞬間から、目が勝手に動き始める。油絵を見る。掛軸を見る。箱を見る。また油絵を見る。そして、もう一度箱を見る。
人間、年齢を重ねると目が悪くなるものだが、骨董屋に限っては不思議なもので、「お宝かもしれない」と思った瞬間だけ視力が回復する。眼科の先生には申し訳ない。
まずは戦前の絵画。絵というものは実に難しい。立派な額に入っているからといって価値があるとは限らない。
逆に、物置の隅でホコリをかぶっている一枚が、思わぬ作家の作品だったりする。
骨董品の世界では「見た目が立派」というのは、必ずしも褒め言葉ではない。
むしろ、「この額、外したほうがいいかもしれませんね」なんてこともある。
続いて掛軸。明治期と思われるものもあり、こちらはなかなか面白い。
掛軸というのは不思議なもので、家の人からすれば「昔からずっとあるもの」。
つまり、価値についてはまったく知らない。我々にとっては「ずっとある」という言葉が、時として恐ろしい誘惑になる。
「ずっとあるんですよ」この一言を聞くと、骨董屋の心臓が少しだけ速くなる。
ただし、期待しすぎると痛い目を見る。「ずっとある」ということは、「ずっと売れ残っている」という意味でもあるからだ。
人生も骨董品も、長くそこにあるからといって価値があるとは限らない。
これは私自身にも言えるので、あまり深く考えないことにする。
英国製の銀食器も出てきた。銀器というものは、日本の茶碗や掛軸とはまた違った魅力がある。
ずっしりとした重量感。細かな装飾。そして何より、銀特有の落ち着いた輝き。
ただし銀食器も、家の人からすると「昔の食器」である。骨董屋からすると「英国製の銀器」。
同じ物を見ても、立場によって名前が変わる。
人間も同じだ。家族から見れば「ただのオヤジ」。骨董屋の世界では「ベテラン」。本人は「まだまだ若い」と思っている。
まあ、全部同じ人間である。
武具なども拝見しながら、ひとつひとつ査定を進めていく。骨董の査定というのは、派手に見えて実際には地味な作業だ。
品物を手に取り、裏を見る。箱を見る。銘を見る。傷を見る。また裏を見る。そして考える。
その間、依頼主様からすれば、我々が何を考えているのかさっぱり分からない。
こちらとしては頭の中でオークション会場を三つほど開いているのだが、外から見れば、ただ黙って茶碗を眺めているオッサンである。そんな査定もひと通り進み、「今回はこれで……」と話がまとまりかけた、その時だった。
最後に出てきた仏像。いや、これはちょっと空気が違う。姿を拝見して、さらに詳しく見ていく。
そして作者を確認する。そこにあった名前が――「松本明慶」である。

お彼岸も近い。朝から仏性のない顔でお宝探しをしていた私の前に、とうとう仏様が現れた。
これは何かの啓示なのか。「そろそろ欲を捨てなさい」と仏様がおっしゃっているのか。
いや、よく考えてみれば、この仕事で仏様に出会って「欲を捨てなさい」と言われても困る。
こちらは仏様まで買い取る仕事なのである。
結局、ありがたく拝見した結果、この松本明慶の仏像も買取させていただくことになった。
なんとも皮肉な一日である。彼岸を前にして、世間の人々は先祖を思い、仏様に手を合わせる。
一方、私は仏様を目の前にして、「これは……なかなかのお宝ですな」などと考えている。
仏様からすれば、「お前、もう少し修行せい」と言いたくなるところだろう。
しかし、これも骨董屋の性分。お宝を探しながら、時々こうして本物の仏様に出会う。
その瞬間だけは、いつものギラギラした目を少し休ませ、静かにその姿を眺める。
そして思う。骨董屋に仏性があるかどうかは知らない。
だが、仏様を見て少し心が穏やかになるくらいの人間性は、まだ残っているらしい。
……まあ、その直後に買取金額の計算を始めるのだから、やっぱり煩悩からは逃げられない。
今回の松本明慶の仏像については、作品の特徴や制作背景、そしてなぜこの仏像が今回の査定で目玉となったのか、後ほど詳しくお話ししたいと思う。
お彼岸には少し早いが、骨董屋にも一足早く仏様がやって来た。果たしてその仏様が、私の煩悩を少しでも減らしてくれたのか。それとも、また一つ「お宝」という煩悩を増やしてくれたのか。答えは……たぶん後者である。ではまた。
買取品の詳細

◇この「木仏」は材質は柘植でとても繊細に仕上げられている仏像です。作者は大仏師の「松本明慶」で流石にどこを見ても細やかな彫りで色彩も部分的に金彩が施されています。光背にも繊細な透かし彫りと気合の入った彫刻の美術品でした。穏やかなお顔とは裏腹にこれぞ骨董品といわんばかりの存在感ですね。背中とそこには「明慶」の印があります。
買取査定額

◇仏像(木彫)の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者の知名度、次に時代や彫の細やかさ、ほかには刻印や鑑定書などあればより高価買取できます。ご自宅に仏像や仏画が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

松本明慶 作 聖観音菩薩 共箱 約60cm 1,000,000円
松本明慶「毘沙門天像」高36.7cm 共箱付 800,000円
松本明慶作不動明王 大佛師 650,000円
松本 明慶 作 普賢菩薩像 共箱 450,000円 他多数
松本明慶とは?
大佛師・松本明慶(まつもと・みょうけい)は、現代を代表する大仏師の一人です。京都を拠点に、古典仏教彫刻の技法を受け継ぎながら、巨大な大仏から掌に収まる小仏、さらに截金を施した華麗な仏像まで幅広く制作しています。現在は長男・松本明観、孫の宗観へと技術が受け継がれ、親子三代が「大佛師」の号を持つ仏師一門として活動しています。
松本明慶の略歴
松本明慶は1945年、京都市に生まれました。17歳となった1962年に仏師を志して仏像彫刻を始め、1964年、京仏師・野崎宗慶師に弟子入りします。京都の仏師の世界に入り、伝統的な木彫仏の技術を本格的に学んだことが、その後の長い制作活動の基礎となりました。
1979年には朝日新聞社・京都朝日会館で個展を開催。翌1980年には京都仏像彫刻展で京都市長賞を受賞し、その後も数多くの賞を受賞しています。1985年には京都府知事賞も受賞しました。
また、単に新しい仏像を制作するだけではなく、古仏の修復にも携わっています。1988年にはフランス国立ギメ美術館が収蔵する仏像約100体の修復に関わりました。海外に伝わった東洋仏教美術を、日本の仏師として修復したことは、明慶の技術を考えるうえでも重要な仕事といえるでしょう。
そして1991年、総本山から「大佛師」の号を拝命します。
その後は巨大仏の制作でも知られるようになり、1999年には鹿児島・最福寺の大弁財天坐像を完成。2002年には高野山金剛峯寺へ恵果阿闍梨尊像を奉納し、2004年には滋賀・観音正寺に総白檀造りの十一面千手観音坐像を納めています。さらに2023年には石山寺へ弥勒菩薩像、2024年には東京・増上寺へ徳川家康像を納佛しています。
2013年には京都市文化功労賞、2015年には和歌山県文化功労賞を受賞したことも、現代仏像彫刻における長年の功績を示すものです。
松本明慶の仏像の特徴
松本明慶の作品を語るとき、まず注目したいのが古典的な仏師の技法を現代に生かしていることです。
鎌倉時代の運慶・快慶ら慶派仏師の造形を意識しながらも、単純な古仏の模刻に終わるのではなく、現代人が「仏と対話できる」ような表情を追求しています。明慶工房自身も、作品を「対話のできるみほとけ」と表現しています。
特に特徴的なのが顔の表情です。
如来や菩薩では、厳格さだけではなく、穏やかな微笑みや慈愛を感じさせる表情が多く見られます。一方、不動明王や毘沙門天などの尊像では、目の力や口元の緊張感を強調し、見る者に強い存在感を与えています。
つまり、単に「きれいな仏像」ではなく、
優しい仏は優しく、怒りの仏は厳しく、守護神は力強く
というように、それぞれの仏の性格を造形によって明確に表現しているのです。
一木造りへのこだわり
もう一つの大きな特徴が木の持ち味を生かした木彫です。今回の買取品の材は「柘植」です。
松本明慶佛像彫刻美術館には、沈香、白檀、桧、欅、楠などを用いた作品が展示されています。中でも一木造りの仏像は、木そのものが持っている木目や質感を生かしながら彫刻されています。
仏像は同じ形に見えても、使用する木材によって雰囲気が大きく変わります。
白檀なら香りと緻密な木質、楠なら力強い木目、桧なら端正で清潔感のある表情など、それぞれの材の性格を考えながら造仏するわけです。
これは骨董品を見る際にも非常に面白いところで、仏像の場合は「誰が彫ったか」だけでなく、材質、木取り、構造、彫刻技法、彩色、截金、像の大きさ、制作年代などを総合的に見る必要があります。
截金による華麗な装飾
松本明慶作品でもう一つ見逃せないのが、截金(きりかね)です。
截金とは、金箔などを細く切り、仏像の衣文や装飾部分に貼り付けて、細かな幾何学模様などを描き出す伝統技法です。
非常に細い金箔を扱うため高度な技術を必要とし、完成した仏像には独特の輝きが生まれます。現在の松本明慶工房では、金箔だけでなくプラチナを用いた截金作品も制作されています。
例えば「薬師如来」では沈香を使い、プラチナ截金を施した作品が紹介されています。光を受ける角度によって細かな文様が輝き、木彫そのものとは異なる華麗さを見せます。
代表的な大佛
■ 福王寺・不動明王坐像
松本明慶が36歳のとき、1981年に制作した最初の大佛です。
総高約6.1メートル、一丈六尺の桧造り。落雷によって炭化した旧本尊を胎内に納めたという特徴があります。
これは明慶の大佛造像の出発点ともいえる作品です。
■ 極楽寺・阿弥陀如来坐像
1985年制作。紅松による総高約8メートルの巨大な阿弥陀如来です。
特徴的なのは光背に九体の阿弥陀を配し、化仏が約3600体に及ぶという点です。巨大な本体だけを見るのではなく、周囲の細部まで徹底して造り込まれています。
■ 最福寺・大弁財天坐像
1999年に鹿児島・最福寺に奉納された大弁財天坐像です。
松本明慶を代表する巨大仏の一つで、木造仏として世界最大級と紹介されている作品です。現在も明慶の大佛制作を象徴する作品として知られています。
■ 観音正寺・十一面千手観音菩薩坐像
2004年、滋賀県の観音正寺に奉納された大佛です。
大きさだけでなく、総白檀造りという点が大きな特徴です。白檀は香木としても知られる高級木材で、その材を大規模な仏像に用いたところにも明慶の造仏へのこだわりを見ることができます。
■ 紀三井寺・十一面千手観音菩薩立像
和歌山・紀三井寺の十一面千手観音菩薩立像も代表的な大作です。
総金箔による荘厳な姿で、像高は約12メートルとされ、明慶の巨大仏制作を代表する作品の一つです。
徳川家康像と現代の仕事
近年の代表的な仕事として特に注目されるのが、東京・増上寺の徳川家康像です。
2024年、大本山増上寺の開宗850年御忌大会に関連して、徳川家康公像と厨子が制作・安置されました。歴史上の人物を仏像彫刻の技術によって表現するという意味でも興味深い作品です。
また、2023年には滋賀・石山寺に弥勒菩薩像を納佛しています。
「小さな仏」にも明慶らしさがある
松本明慶というと巨大な大佛ばかりが注目されますが、実際には小仏・香合仏・厨子仏にも大きな魅力があります。
美術館では掌に収まるような小さな仏像も数多く展示されています。小さいからといって彫刻が簡略化されているわけではなく、むしろ小さな面積に細密な衣文や表情を刻むため、高度な技術が要求されます。
「香合佛」はその代表例でしょう。小さな香合の中に仏を彫り込むもので、携帯できるほどのサイズでありながら、仏としての尊厳と造形美を両立させています。
また、明慶作品には子供や童子をモチーフにした作品もあります。「子安地蔵菩薩」では、地蔵菩薩の周囲に幼い童子の姿を彫り込んでいます。明慶は、純粋な子供の姿や瞳に仏心を見るという考えを作品に込めています。
親子三代へ受け継がれる仏師の技
松本明慶の現在を語るうえで欠かせないのが、二代目・松本明観、三代目・松本宗観です。
長男の明観は1967年京都市生まれ。1987年に松本明慶工房に入り、2004年には伝統工芸士に認定され、京都仏像彫刻展などで数々の賞を受賞しています。2019年には京都仏像彫刻家協会会長にも就任しました。
そして2023年には石山寺、2024年には増上寺において、親子三代が「大佛師」の号を拝命しています。これは現代の仏師の世界でも非常に珍しい、家系として技術を継承する姿といえます。
松本明慶作品を見るなら
作品を実際にじっくり見るなら、京都の松本明慶佛像彫刻美術館が非常に重要です。
館内には松本明慶作の仏像が多数展示され、巨大仏の写真資料だけでなく、一木造り、截金彩色、小仏、香合仏、厨子仏など、作風の幅を一度に見ることができます。京都市のミュージアム検索では約180体の作品が紹介されています。
ただし、現在は不定期開館となっているため、訪問前に公式サイトで開館日を確認するのがよいでしょう。
また、松本明慶工房の作品展は百貨店などでも開催されており、福岡でも2025年に大丸福岡天神店で仏像彫刻展が開催されています。今後の展覧会情報を追う場合は、公式サイトのNEWSを確認するのが確実です。

■そのほかの参考サイト

■その他の買取品目
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