
福岡県太宰府市で銀製急須(茶道具)を買取りました!

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◇十月も半ばを過ぎた。福岡の秋は、どうにも調子が狂う。
朝晩はめっきり冷え込み、布団から出るにもそれなりの決意が必要になってきた。鼻水でも垂らそうものなら、これは風邪か、それとも年齢による自然現象かと、朝っぱらから自分の体調と相談する羽目になる。
ところが昼間になると、これがまた暑い。三十度近い日もあり、半袖で汗をかいたかと思えば、夕方には上着を探す始末。いったい季節はどこへ向かっているのか。人間様の都合など、地球にとっては知ったことではないらしい。
とりわけ我々、骨董屋のオヤジにはこたえる。若い頃なら気合で乗り切ったものだが、今では気合を入れる前に腰が鳴り、張り切って立ち上がれば膝が返事をする。体のあちこちが、まるで古い茶道具のように年代物になってきた。
それでも年末は待ってくれない。
世間では年賀状だ、おせちだ、大掃除だと騒ぎ始める頃だが、我々骨董屋にとっては、年末こそ稼ぎ時。もっとも、気持ちばかりが先走り、体のほうは相変わらずのんびりしたものである。商売というものは、売り上げが上がらなければ困るが、あまり忙しすぎても困る。実に身勝手な職業だ。
そんな我々のもとへ、一本の骨董品買取の電話が入った。
今回の現場は福岡県太宰府市。しかも品物は茶道具、それも人気の煎茶道具だという。
これは少々、期待してもよさそうである。
普段は「何か珍しいものはありませんかねえ」などと、いかにも欲のない顔をしてお客様宅へ伺うのだが、内心では毎度のことながら欲の塊である。骨董屋という商売は、欲を捨てたら商売にならない。しかし欲を顔に出しすぎると、お客様に警戒される。このあたりの駆け引きは、長年の経験というより、長年の悪知恵といったほうが正しいかもしれない。
相方を店で留守番をさせ、いざ太宰府へ。
太宰府といえば天満宮。学問の神様、菅原道真公のお膝元である。どうか本日は商売の神様にもご登場願いたい。こちらは学問よりも現金、出世よりも買取金額。神様にもいろいろとお願いしたいことが多いのである。
お宅に到着し、さっそく品物を拝見する。
まず目に入ったのが、竹泉の湯呑や急須だった。
おお、これはいい。
明治期の品と思われる山水図の煎茶道具。器の肌合い、絵付けの雰囲気、そして古い道具ならではの風格。近頃は何でもかんでも便利で軽く、使い捨てが当たり前の世の中だが、こうした品物には、手間暇を惜しまなかった時代の息遣いが残っている。
もっとも、手間暇をかけたからといって、すべてが高価になるわけではない。骨董の世界は、努力が必ず報われるという学校の先生の教えが通用しない世界なのだ。
昨日まで大切にされていた品が、今日の市場では見向きもされない。反対に、物置の隅で埃をかぶっていた小さな道具が、思わぬ値段になることもある。世の中の不公平を嘆く前に、まずは品物をよく見る。それが骨董屋の仕事である。
続いて出てきたのは、古錫の茶入れや茶托。
これもなかなか面白い。
古い錫器は、時代や出来栄え、銘、保存状態によって評価が変わる。なかには中国の煎茶文化を好む収集家や海外のバイヤーに注目されるものもある。もちろん、古ければ何でも売れるというほど世間は甘くない。古いだけなら、我が家のオヤジだって相当なものである。
それでも品物のひとつひとつを確認しながら、頭の中では市場の動きや需要を計算する。
骨董屋の頭の中は忙しい。品物の時代を考え、作家を調べ、傷を探し、売り先を考える。ついでに昼飯のことも考える。これだけ働けば、さぞ脳も活性化しているだろうと思うのだが、帰宅すると昨日の晩酌の銘柄すら忘れている。人間の頭とは、まことに都合よくできている。
そして、いよいよ最後の品物。
出てきたのは、銀の急須だった。
おお、これだ。

思わず背筋が伸びた。いや、正確には銀の急須を見た瞬間だけ、腰の痛みを忘れたのである。
重量もそこそこあり、銀製品としての評価が期待できる一品。骨董屋の目が、急に開く。先ほどまで「今日は涼しいですねえ」などと世間話をしていたオヤジが、急須ひとつで別人のようになるのだから、我ながら現金なものである。
人間、希望があれば元気になる。もっとも、私の場合は希望というより、買取金額という具体的な数字なのだが。
もちろん、銀の急須だからといって、何でも高価というわけではない。銀の品位や重量、作者銘、細工の良し悪し、保存状態などを確認しなければならない。銀の値段だけでなく、作家物としての評価が加わるかどうかも大切だ。
そこは商売人。浮かれた気持ちは胸の内にしまい込み、冷静な顔で査定を進める。
内心では「よしよし」と小躍りしているのだが、表情はあくまでも平静を装う。骨董屋のポーカーフェイスである。もっとも、相方には長年の付き合いで見抜かれているに違いない。
こうして、竹泉の湯呑や急須、古錫の茶入れと茶托、そして銀の急須まで、ひと通り査定を終えた。
お客様に買取金額を提示する。
さて、ここが毎度の勝負どころ。最近は相見積もりも多く少しの利益が出れば良いくらいの金額提示をするつもりだ。こちらは商売として利益を残さなければならないが、お客様にも納得していただきたい。本当は安く買いたいのが本音でも、無理な金額を提示しては次につながらない。骨董屋の信用というものは、一度失えば取り戻すのが難しい。品物は買えても、信用までは買えないのである。
少々の緊張を胸に、お客様の反応を待つ。
すると、ありがたいことに、すぐにご了承いただいた。
無事、買取成立。
いやあ、よかった。
心の中で太宰府天満宮の方向へ手を合わせる。道真公、今回は学問ではなく商売のほうで、たいへんお世話になりました。
品物を丁寧に積み込み、お客様にお礼を申し上げて、秋の太宰府を後にする。
車窓から見える景色は、秋らしい落ち着きを帯びている。朝晩の冷え込みも、昼間の妙な暑さも、こうして商売がうまくいけば、少しばかり許せる気がするから不思議だ。
人間というものは、まことに単純である。売り上げが悪ければ世の中を嘆き、いい品物が買えれば世の中に感謝する。私など、その典型である。
店へ戻ると、相方が機嫌よく出迎えてくれた。
どうやらこちらの成果を察しているらしい。品物を見れば分かるのか、それとも私の顔に「今日はよかった」と書いてあるのか。長年連れ添うと、人間の顔色まで鑑定できるようになるらしい。
いや、ひょっとすると、こちらの機嫌がいい日は晩酌の肴が少し豪華になることを知っているだけかもしれない。
いずれにしても、元気なものである。
こちらは銀の急須ひとつで腰の痛みを忘れ、相方はいつもどおり元気いっぱい。人間、年齢を重ねれば衰えるところもあるが、欲と食欲だけはなかなか衰えない。
さて、これから年末に向けて、どんな品物に出会えるのだろうか。
銀の急須の次は金の茶碗か、はたまた値段のつかない置物か。骨董屋の毎日は、期待と落胆の繰り返し。お宝を探しているつもりが、気がつけば自分の老後の心配まで掘り当てている。
それでも、明日もまた出かけるのである。
なぜなら、骨董屋という生き物は、目の前にお宝があるかもしれないと思うだけで、少し元気になるからだ。
もっとも、帰宅すれば腰は痛いし、朝晩は寒いし、年末は迫ってくる。
それでも銀の急須がひとつ買えれば、世の中、まだまだ捨てたものではない。
ではまた……。
買取品の詳細

◇この「急須」は河合光昭作の純銀製の急須になります。目立つダメージもなくとても良い状態でした。底には「純銀」の刻印もあり重さは230gでした。摘みも細やかな彫刻がある上質な銀瓶でした。ありがとうございました。
買取査定額

◇銀製の急須の買取査定額もしくは評価額ですが作者の知名度、次に材質や重さと大きさ、そしてデザインほかには刻印があればより高価買取できます。ご自宅に銀の茶器や食器が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

河内光昭 煎茶道具一式 300,000円
河内光昭造 霰打出湯 150,000円
徳力製/河内光昭作 松毬摘純銀火舎 70,000円
河内光昭作 鎚起 茶入れ 40,000円 他多数
河内光昭とは?
河内光昭の銘で流通している作品は、純銀製の湯沸や銀瓶が多いです。作品の具体例として、次の品が挙げられます。
作品の特徴――銀器と鍛金技法
河内光昭の銘を持つ作品を調べる際には、まず銀器の製作技法に注目すると良いです。
① 槌目が生み出す表情
槌目とは、金属の表面を金槌などで打ち、細かな凹凸をつける技法です。均一な鏡面仕上げとは異なり、光の反射に変化が生まれ、銀の表面に豊かな陰影が現れます。
鍛金では、金属板を繰り返し打ち延ばしながら形を整えていきます。銀瓶や湯沸の場合、胴の丸み、口の立ち上がり、注ぎ口との接合部分などに、職人の技術が表れます。
② 銀の質感と経年変化
銀は長く保管したり使用したりすることで、表面が変色することがあります。これは主に硫黄を含む物質との反応によるもので、銀器特有の落ち着いた色合いにつながります。
槌目のある作品では、凹凸によって光の当たり方が変わるため、表面の陰影と経年変化を楽しめます。ただし、変色の程度だけで年代や作家を判断することはできません。
③ 実用品としての機能美
銀瓶や湯沸は、単なる鑑賞用の金工作品ではなく、茶を楽しむための道具でもあります。
胴の容量、蓋の収まり、持ち手の取り付け、注ぎ口の形など、実際に使うことを想定した工夫が必要です。煎茶道具として評価する場合は、装飾の美しさに加えて、道具としての完成度にも注目したいところです。

■参考サイト

■その他の買取品目
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