福岡市中央区で仏像を買取りました!

◇真夏の昼下がり、福岡市中央区の住宅街にある一軒家へと、汗をかきながら足を運びました。閑静な平屋の前で、私を迎えてくださったのは、品のある70代の奥様でした。ご主人が他界されてから一年、彼女は長年連れ添った思い出の品々を整理することを決心され、私に出張鑑定を依頼してくださったのです。

玄関に足を踏み入れると、昭和の香りが漂う広々としたリビングに通されました。そこには、ご主人が生涯をかけて集めたという古美術品やアンティークが所狭しと並んでいました。掛軸、伊万里の壷、柿右衛門の皿、中島宏の青磁の花瓶、そして見事な日本刀や古銭の数々。まさに、骨董品店さながらの光景です。

 

しかし、私が目を奪われたのは、その一角に静かに鎮座する一体の仏像でした。銀色に輝く仏像は、どこか神々しい雰囲気を漂わせています。手に取ってみると、その仏像は思いのほか新しいもので、台座に刻まれた銘を見れば「池口恵観」とあるではありませんか。さらに裏面には「百萬枚護摩行者」と記されていました。

「護摩行者か…何か、凄そうな作品だな」と独り言。重量感があり、銀色に輝いていることもあって、「こ、これはもしや純銀製か?」と、思わず息を呑んだのですが、細かく調べても刻印は見当たりません。「多分、鋳鉄製に違いない…」と、自分に言い聞かせました。

「あの、この仏像、旦那様はとても大切にされていたのですね?」と、奥様に尋ねると、彼女は静かに頷かれました。「ええ。主人は仕事に出る際にいつもこの仏像に手を合わせていました。」

その言葉に、私は少しだけ胸が痛みました。ご主人が愛したこの仏像を、どのように評価すればよいのでしょうか?心の中で葛藤しつつも、仕事である以上、冷静に見極めなければならないと感じました。

仏像の制作年代は比較的新しいもので、池口恵観という作家も、まだ広く知られている存在ではなさそうです。純銀製であれば高価買取できますが鋳鉄となると…。しかし、この仏像には、何か特別な力が宿っているように感じました。ご主人がそれほど大切にしていた理由も、何となく理解できる気がしました。

査定の結果、仏像の市場価値は思ったほど高くありませんでした。しかし、奥様にとっての価値は金銭では計り知れないものだと感じました。それに、あの世からご主人がこの仏像を通じて彼女を見守っているのだと思うと、何とも不思議な感覚が胸に込み上げてきました。「この仏像、私も大切に扱わせていただきます」と、奥様にそう告げて丁寧に梱包いたしました。

外に出ると、相変わらずの灼熱地獄。汗をぬぐいながら車に戻ると、再びエアコンの冷気が心地よいものでした。本日、また一つの物語が終わり、そして、新たな旅が始まります。次はどんな物語が待っているのでしょうか。そう思うと、少しだけワクワクしてきました。こうして、真夏の昼下がり、私はまた一つの思い出を胸に、福岡市内を後にしました。尚、この仏像については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

◇この「護摩行仏」は鋳鉄でできておりますが銀製の外観になっており状態もとてもよく、古い仏像によくみられる変色や傷、変形は見受けられません。作家名は「池口恵観」と刻印があります。大きさは約高さ10cm、重さはおよそ800gでした。ありがとうございました。

買取査定額

銀巻のジョイントです

◇池口恵観の買取査定額もしくは評価額ですが材質の刻印が「純銀製」であれば高価買取&できます。なお、今回の品物は鋳鉄製でしたので10000円以下の買取価格になりました。

尚、一般的な仏像の買取相場ですが造り、材質、作家、デザイン、生産国等などでかなり差があります。ご自宅に仏像や仏具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

 

 

■過去の仏像作品買取例
乾漆 大黒天立像 950,000円
観音像 鍍金            800,000円
唐金 仁王像     550,000円
阿弥陀如来座像 室町時代 350,000円 他多数

池口恵観とは?

 

池口恵観は、現代の日本において非常に影響力のある仏像彫刻家、僧侶として知られています。彼は1940年に福井県で生まれ、幼少期から仏教と深い縁を持って育ちました。池口恵観は、僧侶としても活動しており、その信仰と芸術が一体となった独自の作風が特徴です。

生い立ちと修行時代

池口恵観は、戦後の日本で育ち、仏教への信仰と彫刻に対する情熱を早い段階から育んでいました。彼は厳しい修行を積みながら仏教美術にも深く関わるようになりました。その過程で、彼は多くの伝統的な技術と精神性を学び、これが後の作品に大きな影響を与えました。

作歴と代表作品

池口恵観は、仏像彫刻家としてのキャリアを築き、数々の仏像を制作しました。彼の作品は、伝統的な仏教美術の様式を尊重しつつも、現代的な解釈と独自の美学を取り入れている点が特徴です。特に、彼の作品には、精神的な深さとともに、細部にまでこだわった精緻な技法が見られます。

「百萬枚護摩行者」という作品は、彼の代表作の一つです。この作品では、真言宗、高野山の護摩行者という仏教修行者の姿を描き、その信仰の力強さと精神性を表現しています。また、重厚感のある素材と細かい彫刻が特徴で、彼の技術の高さがうかがえます。今回の買取品も同様の物でした。

作品の特色

池口恵観の作品は、素材選びから細部の彫刻に至るまで、非常に丁寧に作り上げられています。彼は、木材や鋳鉄、時には金属など、さまざまな素材を使用して作品を制作します。特に、金色を基調とした仏像は、彼の作品の中でも際立つ存在であり、神々しい輝きを放っています。人気がある作品はやはり「純銀製」の作品でこちらは高価なお値段での買取も可能です。

また、彼の仏像には、どことなく現代的な解釈が加えられている点も特徴です。伝統的な仏像彫刻に忠実でありながらも、彼自身の内面的な探求や現代人の心の在り方を反映させたデザインが見られます。

影響を受けた人々

池口恵観は、僧侶としての活動と並行して、多くの弟子を育ててきました。彼の影響を受けた彫刻家や僧侶たちは、日本全国で活動しており、それぞれが池口恵観の教えと技術を受け継ぎながら、自らの作品を通じて仏教美術の発展に寄与しています。彼の作品は、仏教信仰と芸術の融合を体現しており、仏像彫刻の分野だけでなく、広く宗教芸術全般に影響を与えています。現代においても、彼の作品は国内外で高く評価されており、多くの信者や美術愛好者から敬愛されています。

池口恵観は、仏像彫刻家としての卓越した技術と、僧侶としての深い信仰心を持ち合わせた人物です。その作品には、伝統と現代性が見事に融合しており、見る者に強い印象を与えます。彼が影響を与えた弟子たちもまた、その精神と技術を受け継ぎ、仏教美術の未来を担っています。

★代表作品5選

1. 百萬枚護摩行者

  • この作品は、護摩行者としての修行を続ける仏教修行者の姿を描いた仏像です。非常に細かく精緻な彫刻が施されており、池口恵観の技術力と精神性がよく表れています。鋳鉄製と銀製の物が存在します。

2. 不動明王像

  • 池口恵観が制作した不動明王像は、力強く神々しい姿で知られています。特に、炎の表現や鋭い目つきが特徴的で、見る者に強い印象を与えます。多くの真言宗の寺院にも収められています。

3. 地蔵菩薩像

  • 地蔵菩薩像も、池口恵観の代表的な作品の一つです。彼の地蔵菩薩像は、穏やかな表情と優美な姿勢が特徴で、多くの信者から親しまれています。地蔵菩薩は地獄に自ら降り餓鬼など苦しんでおられる方々に手を差し伸べる仏様ですので柔らかな表情が特徴です。

4. 阿弥陀如来像

  • 阿弥陀如来像は、池口恵観の作品の中でも特に有名なものの一つです。この像は、慈悲深い表情と柔和な姿勢が特徴で、仏教信仰の象徴として広く崇拝されています。

5. 観音菩薩像

  • 観音菩薩像も彼の重要な作品です。「音を観る」という菩薩様ですが慈愛に満ちた表情と、繊細な衣の表現が見事で、多くの寺院や仏堂に祀られています。

これらの作品は、いずれも池恵観の深い信仰心と卓越した彫刻技術を反映しており、彼の芸術的な評価を高めるものとなっています。

★最後に我々、古物商が仏像を鑑定する際には、以下のポイントを観ます。

1. 素材

  • 木彫: 使用されている木材の種類や保存状態を確認します。古い仏像は時間とともに風化するため、ひび割れや虫食い跡がないかチェックします。
  • 金属: 銅や青銅、鉄製の仏像は、錆びや腐食の有無を確認します。表面の酸化膜や錆びの状態は、年代を推測する手がかりになります。
  • : 石材の種類や彫刻の精緻さを確認します。古いものほど表面が滑らかで、石の風化具合も年代を判断する材料となります。

2. 制作技法

  • 彫刻の技術: 顔の表情や手の形、衣のひだなど、細部の彫刻技術が優れているかを確認します。時代ごとの技法の違いも鑑定のポイントになります。
  • 表面の仕上げ: 彩色や漆、金箔などが施されている場合、その状態を確認します。特に漆塗りや金箔がオリジナルか後から施されたものかを見極めることが重要です。修復したものはマイナスポイントになりえます。

3. スタイルとデザイン

  • 時代様式: 平安、鎌倉、江戸など、それぞれの時代特有の様式が反映されているかを確認します。仏像の顔立ちやポーズ、衣装のデザインは時代ごとに異なるため、これを識別することが重要です。
  • 宗派による特徴: 真言宗、天台宗、浄土宗などの宗派によって仏像のデザインや姿勢が異なります。その宗派特有のスタイルが反映されているかを確認します。現在は特に中国やチベット仏教のデザインに人気が出ています。

4. 刻印や銘

  • 作者銘や年号: 仏像の裏面や台座に刻印された銘を確認します。作者名や制作年が記されている場合、作品の価値が大きく変わります。
  • 寺院の名称: 寄進先や奉納先の寺院名が記されている場合、それがどの寺院に関連するかを確認します。

5. 保存状態

  • 修復の有無: 修復の跡があるかどうかを確認します。修復が古い場合、それ自体が価値を持つこともありますが、最近の修復は価値に影響を与える可能性があります。
  • 欠損や破損: 指や装飾品など、細部の欠損がないかを確認します。特に重要な部分が欠けていると、価値が大きく下がることがあります。

6. 歴史的背景や由来

  • 伝来品かどうか: 仏像がどのような経緯で手元に届いたのか、その由来を確認します。伝来の背景が明らかであれば、それが価値を高める要因となります。

◎関連、参考サイト

 

池口恵観 – 池口恵観

■その他の買取品目

 

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