福岡市中央区で日本刀の鍔を買取りました!
◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。年が明け、福岡はしんしんと雪化粧。暖かな家の中でこたつに潜り込むのが最適なこの季節ですが、商いはそうもいきません。電話のベルとともに訪れる仕事。今回の舞台は、古くからの骨董を売却したいというお客様からの依頼です。
お邪魔したお宅は、福岡市中央区の町中。外観は新築のように見えましたが、中に入ると大正ロマンの香りがぷんと漂う。磨りガラス越しに射し込む淡い光と、少し古びた木材の香り。もうこれだけで骨董屋の血が騒ぎます。
出迎えてくれたのは年配のご夫婦。お話を伺うと、ご実家の整理で骨董品を手放す決意をされたとのこと。”古い物だから価値があるのかどうか分かりませんけど…”という言葉に、”さてさて、どんな宝が眠っているやら”と胸の高鳴りを隠しながら、いざ拝見。
まず目に入ったのは、大きな屏風や掛け軸の山。茶道具、日本刀、着物、それに書道用の硯(すずり)など、骨董品の定番ラインナップが勢揃いです。一通り査定を終えると、まあまあのお値段。ご夫婦も納得顔で頷かれましたが、話はここで終わりません。
ふと、奥様が”そういえば、こんなのもあったわ”と古い箪笥をガラリ。そこから桐箱がひょっこり顔を出しました。一つ、二つ、いや三つ…。次々と出てくるではありませんか。期待に胸を膨らませながら開けてみると、中には日本刀のパーツがぎっしり。鍔(つば)、鞘(さや)、縁頭(ふちがしら)、切羽(せっぱ)と、刀剣ファンなら目がキラリと光るアイテムが揃っています。
特に目を引いたのは鍔。二枚、妙に存在感を放つものがありました。細かな彫りと金銀の象嵌(ぞうがん)。職人の気迫が伝わるような見事な細工です。手に取ると、重量感がしっくり馴染む。確実に名工の作だと直感しました。
そして、ここからが骨董屋の本領発揮。調べると、案の定、某高名な金工師の作品と判明。その流通価格を確認すると、思わず声が漏れそうになる額が画面に表示されました。
“これは価値がありますよ”と査定額を伝えると、奥様は目を丸くして驚かれました。”そんなに高いものだとは思いませんでした…。”と呟かれる横で、ご主人は笑みを浮かべながら、”これで孫たちに何かプレゼントでも買えるかな”と。まさに幸せの鍔ですね。
その後、他の骨董品も含め、すべての取引が成立。帰り際、奥様が”これも何かの縁ですね”と微笑まれた言葉が心に残ります。
外に出ると、雪が静かに降り積もり、辺り一面が真っ白に。寒さを忘れ、心がほかほかと温まる一日でした。こうしてまた一つ、骨董が紡ぐ人との出会いと物語が心に刻まれました。さて、次はどんな縁が待っているのでしょうか。商いの道は、まさに未知の冒険。今日も雪道を歩きながら、次なる依頼に胸を躍らせるのでした。
――おしまい。
この鍔については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
◇この鍔は「石黒政近・石黒政春」・の作品でした。鳳凰と草花の金銀象嵌の造形がとても素晴らしくしかも贅沢に盛り上げられた金工師独特の作品でした。銘もしっかりと刻まれてあり、明治期の物の割には状態も素晴らしい鍔でした。ありがとうございました。
買取査定額
◆刀の鍔の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作家の人気度と作風や製作年代、次に状態、付属品の有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した2枚の鍔はとても評価の高い金工師の物でしたので高価買取させて頂きました。ご自宅や倉庫に鍔や日本刀、骨董品がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。
■過去の鍔・作品買取例
宮田信清作 銀無垢魚子地 鑑定書付き 700,000円
加納夏雄作 鑑定書付き 500,000円
後藤一乗門 鑑定書付き 450,000円
石黒政美 寒山箱書 350,000円 他多数
◇石黒派と石黒政近…
石黒政近(いしぐろ まさちか)は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて活躍した日本の金工師であり、刀装具の制作で高名な石黒派の一員として知られています。
石黒政近は、江戸時代後期に生まれました。彼は、石黒政常(いしぐろ まさつね)の弟子として修行を積みました。石黒政常は、石黒派の創始者であり、刀装具の分野で卓越した技術を持つ名工として知られています。政近は、政常のもとで高度な彫金技術と美的感覚を学び、師の技術とスタイルを継承しつつ、独自の作風を確立していきました。
石黒政近の作品は、主に刀装具、特に鍔(つば)や小柄(こづか)などに見られます。彼の作品は、精巧な彫刻と象嵌(ぞうがん)技術を駆使し、自然の風景や動植物を題材にしたものが多く、その細部に至るまで丁寧に作り込まれています。例えば、花鳥風月をテーマにした鍔や、猛禽類を精緻に表現した小柄などが知られています。これらの作品は、当時の武士たちの間で高い人気を博し、現在でも美術品として高く評価されています。今回の買取した鍔も例にもれず美術品レベルの作品と見受けられました。
石黒政近の師である石黒政常は、石黒派の創始者であり、江戸時代を代表する金工師の一人です。政常のもとで修行した政近は、師の技術と美意識を忠実に受け継ぎながらも、独自の創意工夫を加えて作品を制作しました。一方、政近の弟子に関する具体的な情報は限られていますが、彼の作品や技術は、石黒派の後継者たちや同時代の金工師たちに影響を与え、刀装具の分野における日本の伝統工芸の発展に寄与しました。
石黒派は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した金工師の一派であり、精緻な彫金技術と美的感覚で知られています。石黒政近は、この石黒派の一員として、師である政常の技術と美意識を継承し、さらに発展させました。彼の作品は、石黒派の特徴である細やかな彫刻と象嵌技術を駆使し、自然の風景や動植物を題材にしたものが多く、その美しさと技術の高さで高く評価されています。
★石黒派とは…
◎関連、参考サイト
日本美術刀剣保存協会が運営する施設で、刀剣や刀装具を中心に展示しています。2016年には「花鳥絢爛 刀装 石黒派の世界」展が開催され、石黒派の作品が多数展示されました。
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。