

★写真はtremolo3247@gmail.com若しくはLINEからお願いします。
福岡市中央区でマイセンの陶板を買取りました!
冬というものは、往々にして気が早い。こちらに心の準備ができていようがいまいが、向こうは勝手に“季節という名の職務”を粛々と遂行する。福岡の空もまた例外ではなく、この日に限っては白い小さな反乱分子…すなわち雪が、空のどこか高い官僚機構から「出動命令」を受けたらしく、次から次へと落下してくる。簡単に言えば、外は寒い。寒いどころではない。コーヒーの湯気が自分の魂まで持っていきそうな、そんな冬空であった。
だが、人生とはまったく皮肉なもので、冷え切った大気とは裏腹に、こちらの胸の内には熱風の一陣が吹き抜けた。スマホの通知欄に、見慣れた骨董買取の依頼が届いた瞬間である。それもただの依頼ではない。「マイセン、リヤドロにバカラ、その他もろもろ」。西洋骨董の大名行列のような名前が並ぶ。どうやら依頼主は筋金入りのコレクターらしい。
こうなると、私の脳内では一種の祭りが始まる。仕事とはいえ、骨董品に触れるときの高揚感というものは何度味わっても薄れない。ましてやマイセンだのバカラだのといった西洋の美が、それも一部屋に「ずらり」とそろっているらしい。そんな情報を与えられて、職業的職務感覚を維持せよというのは、炭火の上に生肉を置いて「焼くな」と命じるようなものだ。そんな無理な話があるか。自分でも呆れるほどワクワクし、ついには勝手な妄想まで膨らませてニヤニヤとする。人間とは本当に単純である。
しかし、現地に到着すると、現実というものは得てして期待を裏切る時に限って、やけに冷静で、徹底的に無感情で、かつ情け容赦がない。案内されたのは築三十年ほどのマンションの一室。扉を開けた瞬間、あの独特の“昭和と平成が和解しそこねた空気”の匂いが鼻先をかすめた。だが、部屋に入れば景色が一変する。テーブルの上、棚の上、ガラスケースの中…ありとあらゆる場所に、西洋骨董の艶めく一団が勢ぞろいしていた。
マイセン、コペンハーゲン、リヤドロ、バカラ、里帰り薩摩、古伊万里……そしてその他の名もなき輝きたち。白い雪を外に置き去りにしたかのような、陶器の白とガラスの光が部屋いっぱいに散らばっている。それを見た瞬間、私は思わず心の中で「やった」と叫んだ。胸の中では花火が上がり、脳内では祝賀ムードの楽団が演奏を始めていた。
──が、である。
その祝賀ムードは、次の一瞬で見事に崩れ去った。
よく見ると、一つ一つの品物に「値札」が付いている。しかもよくあるフリーマーケットの“とりあえず貼ってみた”値札ではない。印刷された、妙に本格的なそれだ。私は嫌な予感に襟元が冷たくなるのを感じながら、ひとつ手に取ってみた。値段を見た。
……高い。
いや、高いというのは語弊がある。“正しい”と言えば正しい。百貨店のガラスケースで見かける小売価格、と言ったほうがより正確だろう。あまりの金額に、一瞬だけこの家がデパートの外商部にでも成り代わったのかと思った。話を聞けば、この値札は依頼主自身の「希望額」だという。
希望…つまり人間がもっとも自由に描ける夢の領域である。だが、自由すぎる希望というものは、時に現実との落差があまりに大きく、他者を困らせる。まさに今回がそれであった。我々業者という生き物は、残念ながら魔法使いではない。買った物を金色の卵でも産むガチョウに変えられるわけではない。小売価格で買って、小売価格で売る──そんな錬金術はこの世界に存在しない。
しかし依頼主は、その希望価格が当然であるかのように微笑んでいる。罪はない。ただ、純粋なのだ。だが純粋すぎる希望ほど扱いづらいものもない。
私は心の中でため息をひとつついた。寒い外気とは別の冷たさが背中を直撃する。特に骨董品の査定という仕事は、時に人の夢と現実の隙間を歩く行為である。その隙間は狭く、暗く、そして妙に滑りやすい。
とはいえ、こちらもプロだ。どれほど困難であろうと、何とかして依頼主の期待と自分の業務のバランスを取らねばならない。部屋の中をぐるりと見渡し、「業者として買える価格でも、依頼主に納得していただきやすい骨董」を探す。これはもう、芸術というよりスポーツに近い。相手の表情や空気を読みつつ、希望価格の山を縫うようにして、現実的な価格ラインを探すのだ。
交渉は長かった。まるで雪の降る中、ゴールの見えない坂道を上り続けるような時間だった。依頼主の顔、声、希望の強さ。これらを慎重に見極めながら、こちらの事情を丁寧に伝える。そのやりとりは、骨董品、美術品を前にした商談というより、もはやお互いの“意地”の譲り合いに近い。微妙なバランスの会話が続く中、私の頭の中では「寒いから帰りたい」と「このままでは帰れない」の二つが同時に鳴り響いていた。
それでも、ようやくいくつか買えそうな品物を見つけ、何度かの折衝の末に、無事に商談成立。安堵する暇もなく、心の中では「やっと終わった」という声がこだまする。正直、骨董商としてはなかなかヘビーな仕事だった。外の雪よりも、この部屋の希望価格のほうがよほど厳しかったと言ってもいい。

だが、最後に一品だけ、私は密かにほくそ笑む瞬間を得ることとなった。ひっそりと棚の隅に置かれていた、マイセンの陶板──それを、ありがたいことに業者価格で買わせていただけたのだ。まるで雪雲の隙間から一筋の光が差し込んだかのような、そんな瞬間である。胸の奥の冷気が溶けていくような心地がした。
外に出れば、雪はまだ降っている。相変わらず気の早い冬空だ。しかし、その下を歩く私は、さっきより少しだけ温かかった。人の希望という雪は、時として深く積もりすぎる。だが、その雪山を越えた先に、ほんの少しだけ温度を上げてくれる瞬間がある。骨董品買取という仕事は、そんな小さな温もりのために続けられているのかもしれない。
このマイセンについては下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「マイセンの陶板」は1970年代の物だと思われ割と落ち着いた色合いの陶板でした。傷や汚れも少なく上質の物でした。額には若干の擦り傷やペイントロスもありましたが状態の良いアンティークでした。ありがとうございました。
買取査定額

◇マイセンの買取査定額もしくは評価額ですが第一にがらや図柄の人気度、そして時代や状態、ほかには栞や共箱、鑑定書などあればより高価買取できます。
ご自宅にマイセンや西洋アンティークが御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去のマイセンの陶板作品買取例

マイセン 春の恋人たち 400,000円
マイセン アラビアンナイト 千夜一夜 400,000円
マイセン陶板画 聖母子 350,000円
ステフェン・ミコッシュ作 250,000円 他多数
マイセンとは?


ヨーロッパにおける硬質磁器の歴史は、18世紀初頭のドイツ・ザクセン選帝侯領に始まる。東洋の磁器、特に中国・景徳鎮や日本の有田焼は17世紀のヨーロッパ社会で「白い黄金」と呼ばれ、王侯貴族の間で莫大な価値を持っていた。ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世(アウグスト強王)は、その磁器を自国でも製造しようと強い関心を示し、錬金術師ヨハン・フリードリヒ・ベトガーと科学者エーレンフリート・ヴァルター・フォン・チルンハウスに研究を命じた。
チルンハウスが高温焼成の技法と素材研究の基礎を築き、1710年、ベトガーが硬質磁器の製造に成功。こうしてヨーロッパ初の磁器製造所であるマイセン磁器工房が開設された。場所はドレスデン近郊、エルベ川沿いのマイセン市である。
当初の作品は東洋磁器を模倣したものが中心で、青花の染付や赤絵、金襴手など日本や中国の様式を積極的に取り入れた「洋の東西の融合」が特徴であった。しかし、その後の芸術的飛躍を可能にしたのが、画家ヨハン・グレゴリウス・ヘロルトの登場である。1720年代に彼が導入した精緻なオーバーグレーズ(上絵)技法は、ヨーロッパ絵画のモチーフを磁器に取り入れる道を開いた。
18世紀半ばには彫塑家ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーの活躍により、フィギュリン(磁器人形)が非常に高い芸術性を持つようになる。ケンドラーはロココの優雅さを磁器彫刻に体現し、マイセンの名声を不動のものにした。
マイセンの陶板(陶板画)

陶板(陶板画)は、磁器の板に絵付けを施して高温焼成した作品で、額装して絵画として鑑賞するもの。キャンバス絵画と違い極めて耐久性が高く、発色も半永久的に変わらないという特性を持つ。
陶板制作の特徴
-
下絵 → 上絵 → 多層焼成を繰り返し、油絵のような重厚な質感を磁器上に再現
-
18〜19世紀の名作絵画の複製が多い
-
1枚を完成させるのに何百時間もかかる高級品
マイセンでは19世紀後半から陶板制作が本格化し、絵画の名作を「永遠に残る美術品」として再現する文化が発展した。
人気の高いマイセン陶板の代表例
1. 《二人の天使(プットー)》系作品
ラファエロの《システィーナの聖母》の下部に描かれている有名な二人の天使は、陶板絵でも極めて人気が高い。表情の愛らしさと柔らかな色彩はマイセンの絵付け技法と相性がよく、サイズ違いで多く制作された。
<2. 《花の静物画(Stillleben)》シリーズ
マイセン花絵の伝統を継ぐ陶板画で、写実的なバラ、チューリップ、スミレなどを中心とした静物画が有名。陰影表現や透明感のある花びらの描写は、陶板ならではの奥行きと光沢を持つ。
3. 《風景画(Landschaft)》陶板
ドレスデン周辺の城や川を描いたロマン派的な風景画、あるいはイタリア古典風の牧歌的風景などが多い。細密な描写と磁器の輝きが相まって、額装すると油絵さながらの存在感が出る。
4. 宮廷や神話を描いた歴史画
特に19世紀後半には、大きな陶板にギリシャ神話や宮廷シーンを描く高度な作品が制作された。これらはコレクター市場で高く評価されている。
マイセン陶板が人気の理由
-
退色しない色彩
絵画と比べて経年で色が変わりにくく、100年経っても当時の色を保つ。 -
磁器としての耐久性
湿度や虫害に影響されず、保存性が高い。 -
高度な手仕事の結晶
陶板制作は熟練絵付師の集大成であり、希少価値が高い。 -
クラシック絵画との親和性
ラファエロ、レンブラントなどの名作の再解釈として鑑賞価値がある。
■参考サイト

■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。












































