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福岡市南区で青白磁の花瓶を買取りました!

二月も十日を過ぎると、世の中は急に落ち着きがなくなる。正月の浮かれ気分はとうに賞味期限切れ、豆まきの豆も胃袋の中か掃除機の中。かと思えば、次に控えているのはひな祭りである。日本人はどうも「祭りと名がつくもの」を放っておけない民族らしい。
九州、とりわけこの界隈は雛人形にかけてはやたらと由緒正しさを主張したがる土地柄である。福岡県なら柳川、大分なら天領日田。観光パンフレットには必ずと言っていいほど、古風な町並みと一緒にお雛様が写っている。だが、写っているからといって、それがすべて価値あるものかというと、話は別である。
三月三日を目指して、骨董の市場には雛飾りが溢れ出す。段ボールから顔を出すお内裏様、発泡スチロールに守られた三人官女。だが、その大半は「思い出としては尊いが、骨董としては静かに眠っていただきたい」品々である。古美術品レベルの雛飾りとなると、これはもう遭遇する方が珍しい。探す者ほど見つからず、忘れた頃にも現れない。骨董とはつくづく気まぐれな商売だ。
そんな折である。一本の電話が鳴った。骨董品買取の依頼だ。住所は福岡市南区。南区と聞いて、胸が高鳴るほど期待するのもどうかと思うが、期待しなければ商売はやっていられない。人間、都合のいい予感だけは無限に膨らませることができる。
現地に到着すると、なるほどそれなりの佇まいの家であった。応対に出てきたのは、穏やかな物腰の年配の男性。話を聞けば、元博多人形師だという。ここで一瞬、期待値が微妙に上下する。博多人形は博多人形で立派だが、骨董の世界では「近年作」の壁が厚い。
家に通されると、そこにはひな人形がずらりと並んでいた。顔立ちは整い、彩色も美しい。だが、どう見ても新しい。人形たちには罪はないが、こちらには値段をつける義務がある。心を鬼にして伝えた。
「申し訳ありませんが、こちらは買取が難しいですね」
家主は一瞬、ほんの一瞬だけ肩を落とした。長年付き合ってきた作品を否定されたような気分だったのかもしれない。こういう瞬間が、この仕事で一番胃にくる。
だが、話はそこで終わらなかった。
「では、こちらを」
案内された別の部屋。扉を開けた瞬間、こちらの目の色が変わったのを家主は見逃さなかっただろう。部屋いっぱいに並ぶ陶磁器。鍋島青磁、古伊万里、井上萬二の白磁、今右衛門。まるで教科書の索引が立体化したような空間である。
人間というのは正直なもので、さっきまでの申し訳なさはどこへやら、頭の中では即座に電卓が鳴り始める。家主は言った。
「値段次第では、全部手放そうと思っています」
この一言で、空気が変わった。骨董屋にとって「全部」という言葉ほど甘美で、同時に恐ろしい響きはない。
「よし、任せなさい」
口ではそう言いながら、内心は必死である。相場、状態、真贋、数量、そして予算。すべてを同時に処理しなければならない。気がつけば三時間。これは商談というより、軽い格闘技だ。
こちらはいつもより高めの査定を提示した。安く買うのは簡単だが、それでは後味が悪い。家主の長年の蒐集に対する敬意も、値段の中に含めたい。結果、家主は満足そうにうなずいた。商談成立。疲労感と達成感が同時に押し寄せる。
帰り際、ふと思う。最初に見たひな人形たちも、きっとこの家主にとっては宝物だったのだろう。骨董の価値と、持ち主の価値は、必ずしも一致しない。そのズレの中で我々は商売をしている。
今回手に入れた中には、京焼の名工・深見陶治の作品が二、三点あった。静かで、凛としていて、余計なことを語らない。まるで「値段なんて気にするな」とでも言っているようだ。もっとも、こちらはそうもいかないのだが。
骨董の世界は、いつも少し皮肉だ。期待すれば外れ、諦めた頃に良いものが出る。だが、だからやめられない。ではまた、次の電話が鳴るその時まで。この花瓶については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「青白磁花瓶」は深見陶治の作品でした。すっきりとした青白磁の花瓶でシンプルですが「粒環」が施された貴重な上品な焼物でした。ありがとうございました。
買取査定額

◇深見陶治作品の買取査定額もしくは評価額ですが作品の人気度や立ち姿、色合いや大きさ、ほかには刻印や共箱などあればより高価買取&できます。ご自宅に青磁や白磁の花瓶が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

青白磁オブジェ 「遥」400,000円
青白磁飾香炉 銘「翔」200,000円
青白瓷 「流」 花瓶 80,000円
白瓷面取水滴 50,000円 他多数
深見陶治とは?

◆
深見陶治は、現代京焼を代表する陶芸家の一人であり、とりわけ白磁表現において独自の境地を切り開いた名工である。その作品は一見きわめて簡素でありながら、形態、厚み、釉調、光の受け止め方に至るまで、徹底した緊張感が貫かれている。装飾を排したその造形は、日本陶芸における「引き算の美」を極限まで突き詰めたものと言えるだろう。
略歴と師系

深見陶治は1947年、京都市に生まれる。生まれながらにして京焼の土壌に触れられる環境にあり、若くして陶芸の道を志す。京都市立工業試験場(現・京都市産業技術研究所)で陶芸を学び、基礎技術と素材への理解を徹底的に身につけた。
師事したのは、京焼の名工として知られる清水卯一の流れを汲む陶芸家たちであり、伝統的な京焼の技法と精神性を正面から受け継いでいる。ただし、深見陶治は「師の作風をなぞる」ことを潔しとせず、早くから装飾性よりも造形そのものに重きを置いた制作へと舵を切った。
1970年代後半から80年代にかけて、白磁を中心とした作品で頭角を現し、各種公募展・個展で評価を高めていく。以降、国内外での展覧会を重ね、京焼の現代的展開を示す重要作家として位置づけられるようになった。
作品の特徴 ― 白磁という「沈黙」

深見陶治の代名詞は、何と言っても白磁である。しかし、ここで言う白磁は、単なる「白く美しい器」ではない。むしろ、見る者に沈黙を強いる白であり、余計な感情を排した緊張の白である。
釉薬は極めて薄く掛けられ、素地の質感がそのまま立ち上がる。光を反射するのではなく、静かに受け止め、わずかに揺らす。その微細な表情の差異こそが、深見作品の最大の見どころである。
形態は壺、花器、鉢、筒状作品などが中心だが、いずれも「用」と「非用」の境界に立っている。花を生けられるが、花がなくても成立する。使えるが、使うことが目的ではない。そうした曖昧さが、作品に独特の精神性を与えている。
また、深見陶治の作品は左右対称や均整を重んじつつも、わずかな歪みや揺らぎを残している。これは成形の未熟さではなく、むしろ意図的なものであり、完全な幾何学形態に人為の痕跡を忍ばせることで、冷たさに陥るのを防いでいる。
代表作品とシリーズ
代表的な作品群としては、《白磁壺》《白磁花器》《白磁筒形花生》などが挙げられる。いずれも名称は簡素だが、それぞれにサイズ、口縁の処理、高台の作りが異なり、作家の思考の軌跡を読み取ることができる。
特に評価が高いのは、縦方向への緊張感を強調した筒形作品である。無駄を削ぎ落とした垂直のラインは、建築的とも言える造形美を湛え、空間そのものを引き締める力を持つ。床の間や展示空間に置かれると、周囲の空気が変わると評される所以である。
現代京焼における位置づけ
京焼は本来、色絵や装飾性を特色とする焼物である。その中にあって、深見陶治の白磁は異色とも言える存在だ。しかしその異質さこそが、京焼の懐の深さを証明している。
装飾を捨て、造形と質感にすべてを委ねる姿勢は、井上萬二の白磁とも比較されることがあるが、深見作品にはより詩的で内省的な気配が漂う。技巧を誇示せず、語らず、ただそこに在る。その態度は、現代においてむしろ強い存在感を放っている。
■参考サイト

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国立工芸館(石川県)
深見陶治の代表的な磁器作品を複数所蔵しています(例:宙、天空 III など) -
国立国際美術館(大阪府)
代表作 景(Goes Over) を所蔵しています。 -
敦井美術館(Tsurui Museum of Art)(新潟県)
《陶筒 涼》や《盤(青白磁)》などを所蔵。
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。












































