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福岡県古賀市で道八の水指を買取りました!

三月の福岡というのは実に忙しい。人が忙しいのではない。花粉が忙しいのである。
山から吹いてくる風は、どういうわけか「さあ働け」と言わんばかりに杉の粉を街へ街へと運び込む。おかげで人間のほうは目をこすりながら歩き、鼻をすすりながら仕事をする羽目になる。花粉にとっては実に景気のいい季節だが、人間側からすれば少々ありがた迷惑な春の到来である。
もっとも、この季節になると賑わうのは花粉だけではない。骨董屋もまた、なぜか忙しくなる。
世の中には春になると引っ越しをしたり、片付けをしたり、あるいは「そういえば物置に何かあったな」と思い出す人が一定数いるらしい。そしてその「何か」は、大抵が埃をかぶった箱であり、そして骨董屋にとっては小さな宝の山であることもある。
というわけで今回、私は福岡近郊の
古賀市
まで出張することになった。
古賀市という町は、実にほどよい場所にある。海も近いし山も近い。住むにはなかなか便利な土地である。便利すぎる町というのはどうも味気ないが、ほどほどに便利で、ほどほどに自然がある町というのは妙に落ち着く。古賀市はそういう町だ。
もっとも骨董屋にとって町の良し悪しは、景色よりも「どんな家があるか」で決まる。
今回向かったのは、いわゆる閑静な住宅地である。閑静という言葉は不思議なもので、「静かな住宅地」と書けば普通なのに、「閑静」と書くと急に立派に見える。だが実際は、犬の散歩をする人と宅配便の車しか通らない、少し広めの道があるだけの場所である。
しかし骨董屋にとっては、こういう住宅地こそ宝庫だったりする。
昔から住んでいる家には、だいたい物がある。
そして物がある家には、だいたい箱がある。
箱があるということは、その中に何かが入っている可能性がある。
そしてその「何か」が時々、とんでもない掘り出し物だったりする。
今回のお宅も、外観からしてなかなかの風格であった。門をくぐり、玄関に通される。家の中はよく片付いているが、奥の部屋には箱が積まれている。骨董屋が一番安心する光景である。
「茶道具なんですけどね」
依頼主はそう言って控えめに笑った。
茶道具という言葉は、骨董屋にとっては宝くじのようなものである。大当たりの時もあれば、なかなか渋い結果に終わることもある。だが、開けてみるまで分からない。
さて、仕事開始である。
箱を一つ一つ開けていく。
まず出てきたのは棗。しかも蒔絵の豪華なものだ。黒漆に金の蒔絵がきらりと光る。こういうものを見ると、日本人というのはつくづく「小さいものを豪華にする民族だな」と思う。海外なら壺や家具を飾るのに、日本ではこの手のひらサイズの器に全力を注ぐ。
続いて出てきたのは菓子器。しかも輪島塗である。
輪島市
の塗り物というのは、やはり風格が違う。艶の出方がまるで違う。触ると、まるで静かな湖の水面を指でなぞるような感触がある。
さらに鉄瓶。
さらに銀瓶。
ここまでくると、骨董屋としては内心こう思う。
「これは仕事になるぞ」
もちろん顔には出さない。骨董屋の顔というのは、どんな宝物を見ても「まあまあですね」と言える訓練を受けているのである。もし宝物を見るたびに興奮していたら、値段の交渉などできたものではない。
しかし箱を開けるたびに、なかなか良いものが出てくる。
ただし時代は比較的新しい。昭和の茶器が多い。
昭和の茶器が悪いわけではない。むしろ出来のいいものも多い。ただ骨董屋としては、もう少し時代の深みが欲しいところだ。
そんなことを思いながら箱を開けていくと、ふと一つだけ妙に古そうな桐箱が目についた。
桐箱というのは面白いもので、年を取ると風格が出る。人間と違って、年齢を重ねるほど評価が上がるというありがたい存在である。
箱をそっと開ける。
中から現れたのは水指だった。
しかも染付。
そして箱書きを見る。
「道八」
おや、と思う。

これは
高橋道八
の水指である。
京焼の世界では有名な名跡だ。代々続く陶工の家系で、茶道具の世界ではなかなか重要な存在である。
さらによく見ると、これが実に手の込んだ作りをしている。
普通、水指の絵付けは外側だけのことが多い。ところがこの水指、内側にも絵が描かれている。
つまり蓋を開けたときに、もう一つ景色が現れる仕掛けである。
茶道というのは本当に細かい世界だ。客は一瞬しか見ないかもしれない場所に、わざわざ絵を描く。合理主義の人から見れば無駄の極みだが、その無駄の中に美意識が潜んでいる。
骨董屋というのは、その無駄を値段に換算する仕事でもある。
時代もかなり古い。手取りも良い。
これはなかなか面白いものが出てきた。
さらに探ると、道八の茶器がもう数点出てきた。
なるほど。
どうやらこの家のご先祖は、かなりしっかり茶道をやっていたらしい。
そう考えると、今まで出てきた棗や鉄瓶も妙に納得がいく。
気がつけば査定はどんどん進み、箱の山は次第に空になっていく。
そして見積もりが出る。
金額を提示する瞬間というのは、骨董屋にとってはちょっとした勝負の時間である。高すぎてもいけないし、安すぎれば信用を失う。
提示する。
しばし沈黙。
依頼主は少し考え、そしてこう言った。
「それならお願いします」
成立である。
骨董屋にとって一番ほっとする瞬間だ。
しかし仕事はまだ終わらない。ここから積み込みが始まる。
結局、見積もりから積み込みまで約五時間。
骨董屋というのは、意外と体力仕事である。美術品を扱う優雅な商売と思われがちだが、実際は箱を運び続ける引っ越し屋に近い。
五時間の「死闘」の末、すべての荷物を車に積み終えた。
依頼主も満足。
こちらも満足。
こういう日は、骨董屋冥利に尽きる。
帰り道、車の後ろには茶道具の箱が静かに積まれている。
三月の風はまだ少し冷たいが、花粉だけは相変わらず元気である。
骨董屋にとって春というのは、目はかゆいが仕事はありがたい季節だ。
さて、次の箱には何が入っているのだろうか。
骨董屋という仕事は、結局それだけで続いているのかもしれない。
ではまた。
この香炉については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「華中亭道八の水指」は幕末から明治時代の物だと思われ染付の色合いも味のあるものでした。特筆は内側にある絵付でかなり上質の物でした。時代物なので窯傷や擦り傷なども多い物でしたがとても良い水指でした。ありがとうございました。
買取査定額

◇古い水指の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作家や窯、次に色合いや絵付具合、ほかには鑑識や共箱などあればより高価買取&できます。ご自宅に水指や茶器が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

六世 華中亭 道八 造 山水図 煎茶碗 500,000円
仁阿弥道八( 茗瓶/茶注 300,000円
道八 銘 青華 染付( 筆洗 建水 )150,000円
華中亭『高橋道八』着彩七香画茶瓶 150,000円 他多数
道八とは?

◆
華中亭道八(かちゅうてい どうはち)は、京焼の名門陶工です。
高橋道八の一族が用いた号(雅号)の一つで、主に江戸後期から明治期にかけて活躍した道八の代に見られる銘です。茶道具・煎茶道具の世界では特に評価が高く、京焼の発展に大きく寄与した陶工として知られています。以下では、その略歴、作風の特徴、代表作などを解説します。
1 華中亭道八の略歴
道八とは一人の作家名ではなく、京都で続く陶工の家系「高橋道八家」の名跡です。初代は江戸時代中期に京都で窯を開き、以来代々その名を襲名しながら京焼を代表する窯元として発展しました。
初代道八は1740年、伊勢国亀山藩の武士の家に生まれました。武士の家柄でしたが陶芸に魅せられ、京都に出て陶工となり、粟田口に窯を開いたことが道八家の始まりです。文化人との交流も盛んで、文人画家の
池大雅
や
上田秋成
などとも交友があり、文人趣味の影響を受けた陶芸を制作しました。
その後、二代・三代と代を重ね、京焼の窯元として名声を高めていきます。特に江戸後期の二代・三代は技術的にも評価が高く、煎茶文化の隆盛とともに多くの茶器を制作しました。三代道八は「華中亭」の号を用い、煎茶碗や急須などの染付作品を数多く残しています。
さらに明治時代になると四代道八も「華中亭」を号とし、染付や白磁の作品を中心に制作しました。京都の陶業界でも重要な役割を担い、博覧会の審査員や陶業教育にも関わるなど、近代京焼の発展にも寄与しました。
このように華中亭道八とは、特定の一人というよりも、道八家の中でも主に三代・四代・六代などが用いた雅号であり、京焼の伝統を象徴する名前として現在も知られています。
2 作品の特徴
華中亭道八の作品には、京焼らしい洗練された美意識と、文人趣味の自由な発想が強く表れています。主な特徴は以下の通りです。
① 染付(青華)作品の名手
道八の作品で特に評価が高いのが染付(青華)です。白磁の素地に呉須で絵付けし、透明釉をかけて焼成する技法で、京焼では上品な装飾として多用されました。雲や鶴、山水などの文様が多く、繊細な筆致で描かれるのが特徴です。染付は中国陶磁の影響を受けていますが、道八の作品では京都らしい優雅さと軽やかさが感じられます。今回の買取品もこの青花に該当致します。
② 煎茶道具に優品が多い
江戸後期には文人文化の影響で「煎茶」が流行しました。道八はその流れの中で、急須・煎茶碗・茶瓶などの煎茶道具を多数制作しています。
煎茶道具は小ぶりで繊細な造形が求められるため、陶工の技量がよく現れます。道八の煎茶器は形の美しさと絵付けの上品さが高く評価されています。
③ 中国趣味・文人趣味
京都の文化人と交流があったため、中国文人文化の影響を受けた作品が多いのも特徴です。蓮、竹、梅などの自然モチーフや、漢詩風の意匠などがよく用いられます。
器の形も自然物を模したものが多く、葉形や花形など自由な造形が見られます。
④ 技法の幅広さ
道八は染付だけでなく、以下のような多様な技法を用いました。
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色絵
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青磁
-
三島手
-
刷毛目
-
白磁
このように陶器から磁器まで幅広く制作できる点も、道八が名工と呼ばれる理由です。
3 代表的な作品
華中亭道八の代表的な作品には、次のようなものがあります。
青華雲鶴図煎茶碗
雲の中を飛ぶ鶴を描いた染付の煎茶碗で、三代道八の代表的作品として知られています。鶴は長寿や夫婦円満の象徴であり、文人趣味の吉祥文様として好まれました。
染付煎茶器揃
急須・湯冷まし・茶碗などを一組にした煎茶器で、松竹梅や四君子(梅・蘭・竹・菊)などの文様を描いた作品が多く残っています。
色絵茶碗
京焼らしい華やかな色絵で、季節の草花や山水を描いた茶碗も多く制作されています。
香炉・水指
茶道具としての水指や香炉も多く、特に染付水指は現在でも骨董市場で人気があります。
4 美術史的評価
道八家は京焼史の中でも重要な窯元の一つであり、しばしば次の名工と並び称されます。
特に江戸後期の京焼復興に大きな役割を果たした陶工として評価されています。
また、京都の貴族や文化人の支持を受け、煎茶文化の発展とも密接に関わった陶工でもあります。
5 骨董市場での評価
骨董市場では、華中亭道八の作品は比較的多く流通していますが、以下の条件で評価が大きく変わります。
-
江戸期(特に二代・三代)の作品
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染付の出来が優れているもの
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共箱・箱書き付き
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煎茶器揃など完品
特に江戸後期の染付茶器は人気が高く、状態が良ければ高額になることもあります。
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■参考サイト

■その他の買取品目
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