古い能面買取りました/骨董品の買取は福岡玄燈舎
古い能面買取りました

福岡市西区で木製能面を買取りました!

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◇春というのは、どうにも人の気を緩ませる。とりわけ福岡の春は油断ならない。ついこの前まで「寒い寒い」と肩をすぼめていたくせに、彼岸を境に手のひらを返したような陽気である。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、昔の人は気候だけでなく人間のいい加減さも見抜いていたに違いない。

こちらとて例外ではない。冬のあいだ、こたつと酒に守られながら「これはこれで文化的生活だ」と言い訳を重ねていた身である。骨董屋などと名乗ってはいるが、寒さの前ではただの冬眠動物だ。動かぬこと山の如し、いや、動けぬこと熊の如しといった具合である。

そんな我々も、春の気配とともにむくりと起き上がる。別に高尚な理由ではない。単純に、仕事が来るからである。春は引っ越しの季節。人が動けば物も動く。物が動けば、我々の出番というわけだ。実に分かりやすい生態である。

さて、その日も「そろそろ働くふりくらいはせねばなるまい」と腰を上げかけたところに一本の電話。相手はなじみの不動産屋である。この“なじみ”というのが曲者で、だいたいろくでもない案件を運んでくる。「ちょっと見てほしいものがあるんですよ」という軽い調子の裏に、「面倒くさいから丸投げしますね」という本音が透けて見える。

今回も案の定であった。

「福岡市西区の物件なんですけどね、前の住人の残置物がかなりありまして。骨董っぽいものも多いんで、ぜひ一度」

“かなり”とか“多い”という言葉ほど信用ならないものはない。少ないときに限ってそう言うし、多いときはもっと曖昧に濁す。しかし、こちらも商売である。「いやあ忙しくて」などと格好をつける余裕はない。「行きます」と即答した。

現地に到着してドアを開けた瞬間、私は軽く後悔した。

「これは……“かなり”じゃないな」

部屋いっぱい、という表現では足りない。床という床、壁という壁が、壺、花瓶、掛軸、絵画で埋め尽くされている。まるで骨董品が自ら増殖して住人を追い出したかのような光景である。足の踏み場がないとはこのことだ。いや、正確には踏み場はあるが、その一歩が高額商品である可能性があるので踏み出せない。

案内してくれた不動産屋は、どこか他人事のような顔で言う。

「いやあ、すごいでしょう」

すごい、で済ませるなと言いたい。これはもはや“現場”である。軽い気持ちで入ると命取りになるタイプの。

話を聞けば、前のオーナーは日本舞踊や雅楽を嗜み、さらには骨董収集にも情熱を燃やしていた人物らしい。なるほど、この混沌にも一応の理由はある。趣味人というのは往々にして、収集のブレーキが壊れている。アクセルは床まで踏み込むが、ブレーキは飾りである。

しかしその情熱も、人生の都合には勝てない。施設へ入ることになり、残された品々は“処分対象”へと格下げされる。昨日まで宝物、今日から邪魔者。物の運命とは、つくづく人間の都合次第である。

依頼主の意向は明快だった。「できるだけお金に換えたい」。これまた実に人間らしい。愛着と現実のせめぎ合いの末、最後に勝つのはだいたい現実である。

さて、仕事に取りかかる。

まずは掛軸。一本一本広げて状態を確認する。シミ、破れ、表具の傷み。絵柄や落款も見逃せない。骨董品の世界では、見た目の華やかさよりも“誰が作ったか”が値段を左右する。美人画でも無名なら並、落書きのようでも大家なら高値。世の中とは不思議なものである。

続いてアンティーク人形。西洋のもの、日本のもの、時代も様々。人形というのはなぜか“視線”を感じる。気のせいだと分かっていても、夜中に一人で査定したくはない類の品である。だが昼間なら問題ない。昼間はたいていのものが無害に見える。人間も同じだ。

銀食器も出てきた。ずっしりとした重量感。刻印を確認し、純度を見極める。こういうものは見た目以上に実利がある。いざとなれば溶かして地金としても価値があるのだから、骨董品の中では堅実派である。

さらに江戸時代の仏像や仏画。これがまた扱いに困る。価値はあるが、取り扱いには敬意が必要だ。適当に扱うと、夜中に夢枕に立たれそうな気がしてならない。もちろん気のせいである。だが骨董屋というのは、そういう“気のせい”とも付き合っていかねばならない難儀な商売だ。

三味線や尺八も出てきた。楽器は状態が命だ。音が出るか、割れはないか、付属品は揃っているか。芸事に使われていた品は、使い込まれている分だけ価値がある場合もあれば、逆に消耗しているだけのこともある。この見極めが難しい。

そして最後に現れたのが、今回の主役とも言うべき能面である。

木彫りの女面です/骨董の買取は福岡玄燈舎
木彫りの女面です

いくつか並べられたその顔たちを見た瞬間、思わずこちらも表情を引き締めた。能面というのは不思議なもので、角度や光によって喜びにも悲しみにも見える。こちらの気分まで映し返してくるような、妙な迫力がある。

しかも今回は“作家物”。つまり、誰が彫ったかがはっきりしている。こうなると話は早い。保存状態も良好。これは間違いなく高額査定の対象である。

とても滑らかな仕上げの能面です/能面の買取は福岡玄燈舎
とても滑らかな仕上げの能面です

一通り見終え、頭の中で数字を組み立てる。あれをこうして、これを足して、ここを少し引いて……骨董屋の脳内は、だいたいこんな計算でできている。ロマンと現実の折衷案、と言えば聞こえはいいが、要は利益の確保である。

提示した金額は、我ながらなかなかのものだった。安く叩けば簡単だが、それでは仕事は長続きしない。高く買いすぎても商売にならない。この綱渡りが、この仕事の醍醐味でもあり胃痛の種でもある。

依頼主はしばし沈黙し、やがてほっとしたように頷いた。

「それでお願いします」

商談成立である。

この瞬間の安堵感は、何度経験しても悪くない。冬眠明けの熊が最初の獲物を仕留めたような、そんな感覚に近い。いや、あながち間違っていないかもしれない。

品々は次々と運び出され、部屋は徐々に本来の姿を取り戻していく。ついさっきまでの混沌が嘘のようだ。物がなくなると、そこには妙な静けさが残る。人が去った後の気配に似ている。

骨董品というのは、人の歴史の断片である。それを集める人がいて、手放す人がいて、また次の誰かの手に渡る。我々はその中継地点に過ぎない。だが、その“過ぎない”場所にこそ、妙な面白さがある。

帰り際、不動産屋がまた軽い調子で言った。

「またお願いしますね」

もちろんだ、と心の中で答える。春は始まったばかりだ。冬眠はもう終わり。次はどんな“かなり多い”が待っているのか。

少しだけ楽しみで、少しだけ怖い。ではまた。

この能面については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

◇この「能面」は福岡の永原初義作の作品でした。面袋も古い着物で拵えたもので温かみのある作品でした。やや傷やペイントロスもありましたが「陽宝」印もあり貴重なものでした。ありがとうございます。

 

買取査定額

◇木彫の能面の買取査定額もしくは評価額ですが第一に作者の知名度、次に状態やデザイン、ほかには刻印があればより高価買取&できます。ご自宅に能面が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

 

■過去の作品買取例


「天下一若狭守」角坊作 小面 500,000円
喜多流 流祖 初世 喜多七太夫長能  400,000円
赤鶴一透斎吉成 『 小獅子 』 350,000円
出目満庸天下一友閑作 「深井」 250,000円 他多数

能面師「永原初義」とは?

陽宝とあります/骨董品の買取は福岡玄燈舎
陽宝とあります

◇能面師「永原初義」は、主に戦後以降に活動した現代能面師の一人で、いわゆる「舞台用能面」と「鑑賞用能面」の双方を手がけた作家とされています。

能面師の世界は徒弟制度が強く、師系・流派の中で技術が継承されるのが一般的ですが、永原もまた古面(室町〜江戸期の名作)を手本としながら技術を習得した系統に属すると考えられます。

能面制作は単なる彫刻ではなく、

  • 彫刻(木地)
  • 彩色(胡粉・顔料)
  • 漆仕上げ
  • 古色付け

といった複合的技術を必要とし、長年の修練が不可欠です。こうした伝統技法の継承者として活動していた点は、他の現代能面師と共通しています。

また、作風や市場での流通状況から判断すると、

  • 百貨店催事や工芸展などでの発表
  • コレクター向け作品の制作
  • 一部舞台使用も想定した作域

といった「現代工芸作家型」の能面師であったようです。


■ 作品の特徴

① 古面写しを基盤とした正統派造形

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永原初義の作品は、いわゆる「古面写し(うつし)」を基礎にした作風とされます。

これは室町期の名工(出目派・法眼系など)の面を規範としつつ、

  • 面長・輪郭のバランス
  • 目・口のわずかな傾斜
  • 面の“起伏”による陰影

を精密に再現する技法です。

能面は一見無表情ですが、角度や光によって多様な感情を表す「中間表情」が本質であり、この再現精度が作家の力量を左右します。

永原の面は特に

  • 静謐で癖の少ない表情
  • 舞台映えする端正な造形
  • 古典に忠実で破綻のない均整

といった点が評価される傾向にあります。


② 彩色・古色仕上げの巧みさ

能面の価値は彫りだけでは決まりません。むしろ重要なのは仕上げです。

永原の特徴として指摘されるのが、

  • 胡粉(貝殻粉)による柔らかな肌質
  • 自然な経年変化を思わせる古色
  • 漆の控えめな艶

といった、いわば「作りすぎない美」です。

特に古色仕上げは難しく、

  • やりすぎれば“作為的”
  • 足りなければ“新品感”

が出てしまう繊細な領域ですが、永原の作品はこのバランスが良いと評価されます。


③ 鑑賞用としての完成度

近代以降の能面師は、舞台用だけでなく美術品としての能面制作にも力を入れるようになりました。

永原初義もこの流れの中にあり、

  • 床の間飾り
  • コレクション作品
  • 贈答・美術品用途

としての需要に応える作品を多く残しています。

そのため、

  • 裏面の仕上げ
  • 重量バランス
  • 保存性

なども丁寧に作られている点が特徴です。


■ 展示会・活動歴

永原初義は、いわゆる大規模な公的展覧会で名を残すタイプというよりは、

  • 百貨店の工芸展
  • 能面展示会(地方開催含む)
  • 同業作家との合同展

などに出品していたとみられます。

現代能面師の活動は、

  • 能楽堂での展示
  • 美術館での企画展
  • 文化教室・実演

など多岐にわたりますが、特に戦後の作家は「工芸作家」としての側面が強く、一般鑑賞者との接点を重視する傾向があります。

その流れの中で永原も、

  • 作品販売を伴う展示
  • 愛好家・収集家との交流

を軸に活動していたと考えられます。

 

参考サイト

「小面」とあります/骨董の買取は福岡玄燈舎
「小面」とあります

国立能楽堂

林原美術館

 根津美術館

■その他の買取品目

 

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