福岡市南区で白高麗茶碗を買取りました
白い釉薬が特徴ですがうっすらと青い高麗茶碗です
買取品の詳細
今回は福岡市南区のお宅に出張査定にお伺い致しました。買取品の中には人間国宝の陶磁器や仏像、掛軸やお茶道具や中国美術品などありましたが今回紹介するものは「白高麗茶碗」です。本来は白高麗は実は中国の福建省徳化窯で明・清時代に焼かれた白磁ですが 白建窯とも呼ばれるこの手のやきものを、昔の人々は朝鮮からの輸入品だと考えたので白高麗と呼ばれていたと思われます。 しかしながら近年では朝鮮出土の青白磁の香合なども白高麗と呼ぶことがあるようですね。この茶碗は朝鮮半島の李朝代頃のものと思われます。土は白磁ではなく釉薬はうっすらと青いです。手取りはとても滑らかできれいな立ち姿です。透明感もある白い釉薬がとてもきれいな色合いです。上品なつくりで時間の経過でとても良い雰囲気になっています。細かいキズはありますが、自然の風合いとして楽しめればともっております。個人的にも大好きな茶碗の一つなので白高麗について少しお話したいと思います。
全体に人間味のある古い時代の茶碗です
白い肌にはうっすらと透明感もあります
。
買取査定額
白高麗茶碗の買取相場ですが容姿や大きさ、箱書き、時代などでかなり差があります。平均買取価格は白高麗煎茶碗五客で10~15万円、香炉で8万円~10万円、仏像で5万円~8万円となっています。ご自宅に高麗茶碗や茶道具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や色合い、時代でお値段は変わりますのでご了承ください。
正確な時代は不明ですがかなり古手の茶碗です
高台や釉薬の流れも自然な感じであたたかな茶碗です
★下記は白高麗の代表的な作品です。
■白磁壺 (はくじこ)
■白高麗水柱
■白高麗盃
■白高麗井戸茶碗
などなど…
■過去の作品買取例
白高麗寿字香炉 唐木蓋 180,000円
李朝 白高麗磁梅竹図陽刻壷 150,000円
山本竹雲箱書 白高麗 茶注100,000円
白高麗盃 白磁酒盃 80,000円
白磁高麗花陽刻図 煎茶碗 五客70,000円 他
高麗茶碗の白高麗とは?
朝鮮半島の白高麗といわれる高麗白磁は大まかには次の四種類に分けられます。
①宋代の粉定窯に似た薄手の磁質で淡紅・牙白・白色などの釉薬がかかっている作品です。その画花・離花・繍花・印花の痕が極めて鮮かで、また箆目・櫛目などが鋭く現れている作品。
②宋・明代の土定窯に属します。釉色は前者と同じでありますが、素地は吸水性の土質で粉定より重厚な感じがします。手に持った感じも少しばかり重さがあります。
③明代の建窯白磁に似てわが国に以前からある白高麗手に属します。
牙色または白色の釉薬で、素地は透明質であるがやや厚手でかつ暖かみがあります。
象牙または乳白ガラスを思わせ、すぐれた香炉・碗・仏像などの作品が残っています。
④唐代の越州窯・秘色窯および宋官窯・修内司窯などで作られた作品で、薄手の白磁上に青色の透明釉を掛けこれに力のある線刻などを加えています。本作品もこちらに近いです。
さらに旧李王家博物館の高麗白磁は二種に分かれ、一つは土質の素地で釉に青味がなく、北中国の酸化焼というものを思わせ、定窯産らしく不透明で潤いがあります。
もう一方は石質の素地で釉に青味があるようで、南中国の還元焼を思わせるようでが、もし酸化的に焼かれたものとすれば明代建窯白磁と考えられ、牙色で透明質のものです。
なお、わが国で白高麗を模造するには天草石の弱焼により生成されると聞いております。
また明治時代の砥部の淡黄磁は白高麗を模したものであると聞いております。
ぼってりとした釉薬と土味は高麗のものだと思われます。
■少し高麗茶碗(青磁)について触れてみましょう…
高麗時代は青の時代と呼ばれています。
精神風土の礎となっていた仏教の理念である静謐と温和、
典雅と優美を内在させた高麗青磁は、時代を象徴する美術品でもあります。高麗青磁のもつ品格の高い灰青色の釉調と艶やかな光沢は、 青磁の本場中国でも高く評価されてきたそうで今回の本作品も中国の方が見て購買意欲を高めています。なお文献からの知識ですが北宋時代の徐兢はその著書『高麗図経』のなかで、「陶器の青いものを高麗人は翡色と呼んでいる」と紹介され、越州窯の「秘色青磁」に似ていると述べているそうですね。
ところで高麗青磁は中国の越州窯を源流として誕生したと考えられているそうですが、 唐末から五代に焼成された越州青磁の「秘色」が神秘感と深奥感を想起させるのに対し、野鳥カワセミの翅の色と玉の翡翠の色から名付けられた高麗青磁の「翡色」は、 より感覚的な艶麗さと優美さを表しているように思うのは私だけでしょうか?
さらには北宋との関係が深まるにつれ、汝窯、耀州窯、定窯、景徳鎮窯などの影響を受け、高麗青磁にも、線彫りで文様を描く陰刻や浮彫のように文様を表す陽刻が施され、透かし彫りなどの装飾技法が登場してきました。装飾と器形が多様化し、次第に高麗青磁の独自性が発揮されていくなか、 中国青磁には全くなかった象嵌技法が創出されました。象嵌とは素地に文様を彫り、その凹部に黒土と白土を埋め込んで文様を表すもので、 もともと金属の装飾技法でした。現代作品でも青銅器や鉄器には象嵌が施されているのをよく見かけますね。青磁象嵌の青い釉下の白黒文様の鮮明さと端麗さは、 高麗青磁の特徴の一つです。
次に李氏朝鮮時代になると今度は白の時代になりました。仏教に代わって儒教が重んじられ、孔子の清廉潔白な人格への尊崇の念から、 色彩においては白が貴ばれるようになりました。なので李朝陶磁の正統は白磁で決まり、 白磁を母体として青花や鉄砂、辰砂などの装飾が生まれていったようです。少なからず日本も影響され白磁に人気が出るようになりました。
最後に李朝白磁は、中国の元末明初の白磁の影響を受け、15世紀には生産され始めました。高麗時代にも極めて少数の白磁が焼かれていましたが、それは軟質の胎土を用いており、 李朝に至って本格的な硬質胎土による堅牢な白磁となったようです。そして白磁の肌や釉調は、 李朝前期に各地に点在した磁器所から中後期以降の金沙里分院、 分院里分院と変化していきました。李朝白磁の魅力は、潤いのある純白、淡青色や象牙色を帯びた白、やや失透性の乳白色、さらには灰色がかった堅い感じの白など、その千変万化の白の多様性にあるといって良いでしょう。そして日本人も興味を持ち始めました。茶人たちや柳宗悦を主導者とする
白樺派や民芸愛好家の方々でした。高麗と李朝の陶磁器に共通する魅力は、色合いだけではなく造形における曲線の美しさにあると思います。中国陶磁のもつ幾何学的で端正な曲線ではなく、有機的で生命
のゆらぎを秘めたやわらかな曲線、いわゆる味というもので人間の温もりを感じさせる美しさを持ち合わせている作品だと思います。
とても手のぬくもりが感じられる肌合いです
製造時の引っ付きも魅力的な味わいです
■高麗茶碗について…朝鮮半島で焼かれた茶の湯の茶碗の総称です。高麗茶碗とはいうが,そのほとんどは李朝時代に焼かれたもので,高麗時代のものはわずかしか残っておりません。室町時代末に侘茶が流行するようになって賞玩され,桃山時代には茶の湯茶碗の主流となりました。高麗茶碗は大別すると,一般的な李朝陶磁のなかから茶の湯の茶碗として見立てられたものと,日本の注文によって造られた茶碗(安土桃山から江戸初期に焼かれた各種の御本(ごほん)茶碗に代表される)とがあります。さらに高麗茶碗の種類は,雲鶴,狂言袴,三島,刷毛目,粉引(粉吹),堅手,雨漏(あまもり),雨漏堅手,井戸(大井戸,小井戸,青井戸,小貫入),井戸脇,蕎麦,ととや(斗々屋,魚屋),柿の蔕(へた),熊川(こもがい),呉器,御所丸,金海,伊羅保など多数あり,各種さらに細かく分類されています。
◎関連、参考サイト
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