福岡市城南区で棗(茶器)を買取りました!

了々斎好みの棗
了々斎好みの棗

◇梅雨がやって来て、世間は鬱陶しい空模様でございますが、私の心はカラッと晴れ、軽妙なトークとフットワークでお宝探しに日々励んでおります。ここは大陸からの文化が最初に入ってきた福岡。そして私は骨董品買取のプロでございます。今回は福岡市城南区の住宅、昭和40年代に建てられた和風建築のお宅で、先代の叔母様が茶道を嗜んでおり、その遺品の鑑定を仰せつかりました。

玄関をくぐると、目の前には鉄瓶、茶釜、煎茶道具、湯呑、茶碗、銀の茶入れ、錫の茶托といった、まるでお茶会の準備が整っているかのような光景が広がっておりました。「こりゃ大変な仕事になりそうだな」と思いつつも、今回は特別にカミさんにも協力をお願いしました。カミさんには普段は威張ってばかりの私ですが、今日はさすがに頭を下げました。カミさんも快く手伝ってくれたので、量の割には手早く査定から買取までを完了することができました。

友斎の棗です
友斎の棗です

お茶の道具の山を見渡しながら、「これはお宝の山だ!」と心の中で叫びました。「龍文堂」鉄瓶は年季が入っていて銀の摘み。茶釜は職人技が光る逸品。煎茶道具はどれも品が良く、湯呑や茶碗も風格がありました。銀の茶入れや錫の茶托など、見るだけでお宝の匂いが漂ってきそうな品々に囲まれ、私はすっかりトレジャーハンターに成りきっていました。もうすぐ終わり…という場面で綺麗な霧箱に入った棗を発見。よく見ると了々斎好の秋棗でした。元々は春夏秋冬の揃いでありますが今回は秋野棗だけでございました。

 

査定を進める中で、お茶の道具一つ一つに込められた使い手の思いと職人の技に思いを馳せると、時間を忘れてしまいそうになりました。嫁さんと二人三脚で進めた今回の仕事は、特別な思い出になりました。普段はなかなか感謝の気持ちを伝えられない私ですが、今日は心から「ありがとう」と言いたい気持ちでいっぱいです。

こうして、晴れやかな気分でお宅を後にしました。今回の査定を通じて感じたのは、お茶の道具にはその持ち主の人生や思い出が詰まっているということ。その思いを大切に受け止め、敬意を込め大切に引き継いでいくのが私たち骨董商の役目だと改めて感じました。

以上が今回、福岡市城南区での骨董品買取査定でございました。さて、次はどんなお宝に出会えるのでございましょうか。楽しみでございます。この秋野棗については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

 

友斎作の棗の蓋
友斎作 棗の蓋

◇この「」はとても状態が良いもので芒などの秋の草花が描かれている物です。蒔絵の剥げや擦れもほとんどなく漆の変色や欠けもありません。決して外人好みの派手な蒔絵ではありませんがしっかりとした繊細な絵付けが特徴の作品でした。作品の箱書きは「友斎」とあります。調べますと一友斎(牧紀勇) という方で昭和の作家と思われます。ありがとうございました。

買取査定額

漆の変色はありません
漆の変色はありません

 

◇蒔絵の入った棗の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者の知名度、次に蒔絵の豪華さ、ほかには鑑識や箱書きがあればより高価買取できます。なお、今回の棗は状態も良かったので高額買取させていただきました。

棗の買取相場ですが上記のように時代や状態、作家、蒔絵等などでかなり差があります。ご自宅に棗や茶道具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

 

共箱は綺麗ですね
共箱は綺麗ですね

◆友斎の代表的な作品:

 

  • 「八橋蒔絵螺鈿硯箱」
    この作品は、雅な雰囲気を醸し出す八橋のデザインが特徴です。螺鈿を用いた精緻な装飾が施され、繊細な美しさを持っています。
  • 「桜花蒔絵箱」
    桜の花をモチーフにした蒔絵が施された箱です。桜の花びらが舞う様子を繊細に描き、華やかさと優雅さが感じられる作品です。
  • 「金銀流水蒔絵盃」
    金と銀を用いた流水模様の蒔絵が特徴の盃です。流れるようなデザインが動きを感じさせ、豪華さと品格を兼ね備えた逸品です。
  • 「紅葉蒔絵菓子器」
    秋の風景を描いた紅葉の蒔絵が施された菓子器です。紅葉の美しさと季節感を表現し、温かみのある雰囲気が特徴です。
  • 「竹林蒔絵硯箱」
    竹林の風景を描いた蒔絵の硯箱です。竹のしなやかさや強さを感じさせるデザインで、自然の美しさを巧みに表現しています。

 

■過去の作品買取例
而妙斎書附 友斎作 炉縁 70,000円
輪島塗 鶉蒔絵文箱 梨地   60,000円
内銀地 住吉蒔絵平棗 50,000円
他多数

友斎(牧紀勇)とは?

 

一友斎こと牧紀勇(まき きゆう)は、石川県輪島市出身の蒔絵師です。1943年生まれ、1966年に父である四代目一友斎(牧一雄)に入門し、1972年に五代目一友斎を襲名しました。2023年現在、人間国宝、石川県無形文化財保持者、輪島塗漆芸協同組合理事長などの役職を務め、輪島塗の伝統継承と発展に尽力しています。

経歴

  • 1943年:石川県輪島市生まれ
  • 1966年:父・四代目一友斎に入門
  • 1972年:五代目一友斎を襲名
  • 1982年:石川県無形文化財保持者に認定
  • 1994年:日本工芸会理事
  • 2002年:重要無形文化財「輪島塗」保持者に認定
  • 2009年:紫綬褒章受章
  • 2014年:重要無形文化財「輪島塗」保持者(人間国宝)に認定
  • 2019年:瑞宝小綬章受章

作品

一友斎の作品は、繊細な金蒔絵と螺鈿象嵌が特徴で、四季折々の草花や風景などを題材としたものが多いです。代表作には、「金銀花蒔絵香合」、「流水桜蒔絵棗」、「菊づくし蒔絵盆」などがあります。

受賞歴

  • 1974年:北日本美術展入選
  • 1980年:日本伝統工芸展入選
  • 1984年:新作日本伝統工芸展入選
  • 1990年:日展初入選
  • 2001年:中日文化賞
  • 2005年:朝日 صنایع展内閣総理大臣賞
  • 2011年:日本芸術院賞
  • 2013年:毎日芸術賞

人間国宝認定

2014年、一友斎は重要無形文化財「輪島塗」保持者(人間国宝)に認定されました。この認定は、一友斎の蒔絵技術の高さだけでなく、輪島塗の伝統継承と発展に貢献してきた功績が評価されたものです。

その他

  • 1995年から2010年まで、金沢美術工芸大学教授を務めました。
  • 2004年、フランス政府より芸術文化勲章シュヴァリエを受章しました。
  • 2018年、東京国立博物館にて「一友斎の世界」展が開催されました。

一友斎は、伝統工芸である輪島塗を現代の芸術へと昇華させた功績で高く評価されています。今後もその繊細で美しい作品が、世界中の人々を魅了し続けることでしょう。

◎関連、参考サイト

1. 文化庁 国指定文化財等データベース

https://kunishitei.bunka.go.jp/

文化庁の国指定文化財等データベースでは、重要無形文化財に指定されている蒔絵師や、重要文化財に指定されている蒔絵作品を検索することができます。各蒔絵師の略歴や作品情報、重要文化財に指定されている作品の写真などを閲覧することができます。

2. 日本工芸協会

https://www.nihonkogeikai.or.jp/en

日本工芸協会は、日本の伝統工芸の振興を目的とした組織です。ウェブサイトでは、蒔絵を含む様々な伝統工芸に関する情報、イベント情報、会員情報などを公開しています。また、蒔絵師の検索機能もあり、地域や名前で検索することができます。

3. 輪島市 輪島塗会館

https://www.suzanneross.art/j_wajima-nuri

輪島塗会館は、輪島塗に関する資料を展示している施設です。ウェブサイトでは、輪島塗の歴史や技法、蒔絵師の紹介などを紹介しています。また、輪島塗の体験工房もあり、実際に輪島塗を作ることができます。

4. 加賀蒔絵

https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/en/R4-00049,html

加賀蒔絵は、石川県金沢市で発展した蒔絵の技法です。ウェブサイトでは、加賀蒔絵の歴史や技法、代表的な蒔絵師の紹介などを紹介しています。また、加賀蒔絵作品の販売も行っています。

 

■その他の買取品目

 

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