福岡市西区で螺鈿細工の工芸品を買取りました!

中国螺鈿細工の花瓶や壷など買取りました 福岡
中国螺鈿細工の花瓶や壷など買取りました

 

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。

ある晴れた午後、私のもとに一本の電話が鳴ります。相手はかつて中国美術品ギャラリーを営んでいたご夫婦。30年ほど前に店を畳んで以来、倉庫に眠っている品物を整理したいという話。「倉庫に案内されると、びっくりするかもしれませんよ」と奥様が意味深に笑う。私は期待半分、不安半分で現場へ向かった。

到着した倉庫は、外観こそ普通のトタン張りの建物だったが、中に入った瞬間、私の口は半開きになった。なんとそこには、まるで営業中のギャラリーがそっくりそのまま詰め込まれているではないか。ショーケースや陳列棚が整然と並び、その中には中国からの陶磁器、仏像、掛軸、書画、額、家具がズラリと展示されている。「これ、倉庫じゃなくてギャラリーですよね?」と思わず呟くと、ご主人が笑いながら「閉店するときに、そのまま運び込んだんですよ。もったいなくて売れなかったものばかりです」と答える。その声には、若干の未練と、少しだけ誇らしげな響きが混じっていた。

まずは陶磁器のコーナーから査定を始めた。青白磁の壺に染付の大皿、そして唐三彩の小皿と、どれもこれも素晴らしい品揃えだ。正直、30年という時間を経てもなお、この品々の美しさは色褪せていない。しかし、やはり長年の保管で埃が積もっているものもあり、私は手袋をして丁寧に一つ一つ確認していった。

途中、掛軸のコーナーで目に留まったのは、一見してただならぬ気配を放つ書画。墨のにじみ具合や筆運びに、著名な書家の手によるものだと確信したが、念のためご主人に由来を尋ねると、「これは確か、上海の有名な骨董市場で手に入れたものです」とのこと。心の中で査定額を上方修正。

そして、最終コーナーに辿り着いた。そこには、螺鈿細工の壺や花瓶、小箱、そして置物が並んでいた。これがまた、光を当てるとキラキラと輝き、その美しさに思わず息を呑む。

「これは間違いなく目玉商品ですね」と私が言うと、奥様が「そうでしょう?でもね、これを見てると昔の苦労も全部思い出しちゃうのよ」と感慨深げに語る。その瞬間、私の心には、この品々が単なる商品ではなく、ご夫婦の人生そのものを映し出しているように感じられた。

豪華な螺鈿細工 福岡
豪華な螺鈿細工

査定は一つひとつ時間をかけて行った。螺鈿細工の品々は特に細かい作り込みがポイントで、状態や技術の高さを評価しつつ、可能な限り納得いただける価格を提示した。するとご夫婦は少し目を潤ませながら、「これだけの値段をつけてくれるなんて、本当に嬉しい」と喜んでくれた。最後に倉庫を後にする際、奥様がポツリと「これでやっと、心の中の倉庫も片付いた気がします」と呟いた。その言葉に私も胸が熱くなり、思わず深々と頭を下げてしまった。

蒔絵と螺鈿細工 買取 福岡
蒔絵と螺鈿細工

今回の依頼は、単なる品物の査定ではなく、人生の一章を閉じるお手伝いだったのだと、改めて感じた次第である。それにしても、この倉庫の中身、全部持って帰りたいくらい魅力的だったなあ…そんな感想を胸に秘め、私は次の依頼先へと車を走らせた。この螺鈿細工の骨董品については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

 

中国美術の螺鈿 福岡
中国美術の螺鈿

◇この「螺鈿細工」は当時してはとてもよく造りこまれており、青貝や真珠貝などが巧みに細かく埋め込まれている物ばかりでした。一品一品が時間をかけて作ったものだと感じるものばかりでした。ほとんどが中国の物で日本の時代でいうと明治期から昭和初期にかけての物ばかりでした。古いので中には螺鈿が剥げていたものもありましたがとても貴重なものが多かったように思われました。ありがとうございました。

買取査定額

 

李朝風の宝箱 福岡
李朝風の宝箱

◆螺鈿細工物は第一に煌びやかさと色合いそして次には状態と大きさ、素材の良し悪しなどでより高価買取&できます。なお、今回はの査定では状態の良いものを選別して高価買取させていただきました。尚、ご自宅や倉庫に螺鈿細工ものや中国美術品がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。

 

 

■過去の作品買取例

馬の置物 螺鈿細工 福岡
馬の置物 螺鈿細工 福岡

螺鈿細工 貝細工 文箱                     700,000円
青貝螺鈿細工 茶托 五客 銘有   500,000円
李朝 螺鈿細工 蒔絵 小箪笥     250,000円
片輪車蒔絵 文台硯揃                             150,000円 他多数

螺鈿細工とは?

琉球螺鈿の飾り皿 福岡
琉球螺鈿の飾り皿

 

◆螺鈿細工の歴史

螺鈿細工(らでんざいく)は、貝殻の光沢を利用して装飾を施す工芸技法で、古代から日本や中国、朝鮮半島をはじめとするアジア地域で発展してきました。起源は中国の戦国時代(紀元前5世紀~3世紀)に遡るとされ、日本には奈良時代(8世紀)に伝わりました。この技法は主に仏教美術や宮廷文化の中で発展し、平安時代には蒔絵と組み合わせた装飾が貴族社会で流行しました。特に鎌倉時代以降、螺鈿技術は武士階級にも普及し、刀剣の鞘や甲冑の装飾としても用いられるようになりました。江戸時代には漆器の発展とともに技術がさらに高度化し、螺鈿の美しい光沢がさまざまな工芸品に取り入れられました。

明治時代になると、日本の螺鈿細工は海外の博覧会で高く評価され、輸出品として注目を集めました。この時期に京都や金沢を中心とした産地が形成され、現在も伝統的な技法が継承されています。

螺鈿細工の制作方法

螺鈿細工の制作は、精巧な技術と時間を要するプロセスです。以下はその基本的な手順です。

  1. 貝殻の準備
    主に夜光貝、アワビ貝、ヤコウガイなどの貝殻を使用します。これらの貝殻を薄く削り、目的の形状に切り出します。光沢の具合を考慮しながら模様に合わせた形に仕上げます。
  2. 漆器の下地準備
    漆器の表面に下地を施し、模様を描く箇所に接着剤(通常は漆を用いる)を塗布します。
  3. 貝片の貼り付け
    切り出した貝片をデザインに合わせて貼り付けます。この際、細かい模様を再現するためにピンセットや特別な道具が使われます。
  4. 研磨と仕上げ
    貼り付けた貝片が乾燥した後、表面を研磨して滑らかにし、全体の模様が際立つようにします。仕上げとしてさらに漆を重ね塗りし、光沢を出します。

有名作家と工房

螺鈿細工の技術を受け継ぎ、優れた作品を生み出してきた作家や工房を以下に挙げます。

  • 柴田是真(しばた ぜしん)
    江戸末期から明治時代にかけて活躍した漆芸家で、螺鈿技法を駆使した漆器を多く手がけました。西洋の博覧会でも高く評価され、国際的な名声を博しました。
  • 京都・竹田家工房
    京都の伝統工芸を代表する工房で、螺鈿と蒔絵を組み合わせた精緻な漆器を製作しています。宮内庁御用達としても知られています。
  • 輪島塗の螺鈿細工
    石川県輪島市を中心とした輪島塗の伝統技法に螺鈿が組み込まれています。輪島塗の高耐久性と螺鈿の繊細さが融合した作品は国内外で高く評価されています。
  • 高岡漆器
    富山県高岡市を拠点とする高岡漆器にも螺鈿技法が多用されています。細かな模様や鮮やかな色彩が特徴です。

現代の螺鈿細工

近年では伝統的な技法に加え、現代的なデザインを取り入れた作品も増えています。ジュエリーやインテリア小物としての螺鈿細工は、若い世代にも人気が高まっています。また、国内外の工芸展で新たな表現が試みられており、伝統と革新が融合した作品が注目されています。

螺鈿細工は、時間を超えて愛される日本の工芸技術のひとつであり、その輝きは未来にも受け継がれていくことでしょう。

 

◎関連、参考サイト

 

  • 根津美術館(東京)
    漆工芸を含む日本の伝統工芸品を展示しており、螺鈿細工が含まれる可能性があります。日本庭園と共に美しい空間を楽しめます。
    サイト: 根津美術館
  • 大阪市立東洋陶磁美術館(大阪)
    アジアの美術品を中心に収蔵しており、螺鈿細工が展示されることがあります。中国や朝鮮の漆工芸品も所蔵しています。
    サイト: 大阪市立東洋陶磁美術館
  • 福岡市美術館(福岡)
    地元福岡を含む日本の美術工芸品が展示され、螺鈿細工の漆器が特集されることもあります。
    サイト: 福岡市美術館
  • 金沢21世紀美術館(石川)
    伝統工芸と現代美術を融合した展示が行われ、螺鈿細工を含む伝統漆芸品が特集されることがあります。
    サイト: 金沢21世紀美術館

 

 

 

■その他の買取品目

 

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