福岡市中央区で金鵄勲章を買取りました!

◇福岡の春は、桜が咲き誇る華やかな季節ではあるが、花粉と寒風のダブルパンチに見舞われる厄介な時期でもある。私は目をこすりながら鼻水をすすりつつ、「今年もまた、風流と花粉のせめぎ合いか」と心の中でぼやく。そんな中、一本の電話が鳴った。
「福岡市中央区で骨董品の査定をお願いしたいのですが……」
依頼人は関東在住のご子息。数年前から空き家になっていた実家を整理するため、一週間の期限付きで帰省し、大急ぎで片付けを進めているとのことだ。つまり「猶予なし」「即断即決」の二大プレッシャーがのしかかる案件である。
鼻をかみつつ、現地に到着。玄関のドアーを開けると、そこにはすでに戦場のような光景が広がっていた。段ボール箱が山のように積まれ、家具は隅に寄せられ、片付けの嵐が吹き荒れている。「さて、骨董の山はどこかな」と思いつつ、案内されるまま奥へ進むと、まず登場したのが掛軸の束だった。
「全部で30本ほどあるんですけど……」
依頼人がそう言うやいなや、私は一本一本、慎重にほどきながら査定を始める。和の香り漂う掛軸の中には、中国掛軸も混じっていたが、大半が1970年代の作品。美術市場では「時代が新しい=値段がつきにくい」の法則が鉄板である。
「うーん、これはちょっと厳しいですね」
そんな言葉を発するたびに、ご子息の肩が少しずつ落ちていく。申し訳ないが、時代の波には逆らえない。
次なる挑戦は茶道具の箱。木箱に収められた茶碗や棗(なつめ)を一つ一つ取り出すと、どうやらお稽古用の品が多い。「お稽古用」とはつまり、「実用品であり、骨董的価値は控えめ」という微妙な立ち位置である。
「これも……あまりお値段はつかないですね」
ご子息の肩は、さらに2センチほど沈んだ。
続いて目に入ったのは、床の間に鎮座する九谷焼の獅子や深川の花瓶、さらには大倉陶園の壺。九谷焼の獅子は威厳たっぷりにこちらを睨んでいるが、市場価値の観点では「インテリア寄り」。深川の花瓶や大倉陶園の壺も、美しいが骨董としての希少性は控えめだった。
ここまで「不発」「不発」「ちょい不発」と、まるで花火大会のような連続空振り状態。しかし最後に登場したのは、柳行李に詰め込まれた品々。蓋を開けた瞬間、そこに詰め込まれていたのは——軍服、軍刀、金鵄勲章などの戦争資料。
「おお、これは……」
思わず声が漏れる。すると、ご子息が静かに語り始めた。
「これは祖父の遺品なんです。南方で戦死し、その後送られてきたものだと聞いています」
遺品として大切に保管されていた軍装品。その背景を聞けば、軽々しく扱えるものではない。慎重に査定を進めると、どうやら将校クラスの品々が中心。市場価値としては相応に高く、ようやくまとまった査定金額を提示できた。「ありがとうございます……祖父の品が、こうして価値を認められるのは嬉しいです」ご子息の顔には、安堵の色が浮かんでいた。
かくして、春風と花粉に悩まされながらも、無事に骨董品買取の一日が幕を閉じた。桜の花びらが舞う帰り道、私はふと鼻をすすりながら思った。「結局、花粉との戦いには勝てなかったな……」ということでまた次回。
★この勲章については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「金鵄勲章」は勲五級金鵄勲章ということで状態も良く共箱と勲記もしっかりあるものでした。勲章の金属部分の傷や色落ち錆も無くとても状態の良い勲章でした。裏は擦れや小傷はありますが全体に綺麗でした。ありがとうございました。
買取査定額
◆勲章の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に勲章の種類と等級、次に状態、付属品の有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した金鵄勲章で勲五級で状態もよく、しかも付属品や元箱なども揃っているということで高価買取させていただきました。尚、ご自宅や倉庫に勲章や戦争資料などありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。
■過去の勲章買取例

ロシア帝国 聖スタニスラフ勲章 K14箱付 700,000円
満州国 勲章 勲一位景雲章 500,000円
侍従武官之章 箱付き 350,000円
大日本帝国 明治勲章 功二級 金鵄勲章 300,000円 他多数
◇金鵄勲章とは…

金鵄勲章の歴史と概要
金鵄勲章(きんしくんしょう)は、日本における軍人や軍属の功績を顕彰するために制定された勲章です。明治時代に創設され、第二次世界大戦の終結とともに授与が停止されました。その歴史や等級、授与資格について詳しく見ていきましょう。
1. 金鵄勲章の起源
金鵄勲章は、明治23年(1890年)2月11日に「金鵄勲章条例」に基づいて制定されました。その名称の由来は、日本神話に登場する「神武天皇の東征」に関連しています。伝説によると、神武天皇の軍勢が苦戦していたとき、高天原から遣わされた金色の鵄(とび)が天皇の弓の先にとまり、強烈な光を放ち、敵を怯えさせたとされています。この故事にならい、軍事的な功績をたたえる勲章として「金鵄勲章」が設立されたのです。
2. 授与の目的と対象
金鵄勲章は、戦時において特に功績のあった軍人および軍属に授与されました。これは、戦闘行為に直接関与し、武勲を立てた者に与えられるものであり、文民には授与されませんでした。この点が、他の勲章(旭日章や瑞宝章など)と大きく異なる特徴となっています。
また、日本軍の階級に関係なく、功績に応じて授与される点も特徴的でした。つまり、兵士であっても将校であっても、その戦功が認められれば金鵄勲章を受章できたのです。
3. 金鵄勲章の等級
金鵄勲章には、受章者の功績に応じて1等から7等までの7つの等級が設けられていました。等級の高い順に見ていきましょう。
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金鵄勲章1等
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最高位の勲章で、極めて優れた軍功を立てた将官級の人物に授与されることが多かった。
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勲章は大型の金製の星章(放射状のデザイン)と綬(リボン)で構成される。
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金鵄勲章2等
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主に高級将校(大佐や中佐など)が受章し、大規模な戦功を挙げた者が対象。
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1等よりもやや小型の星章を伴う。
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金鵄勲章3等
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一般の将校(少佐や大尉)クラスが対象で、特筆すべき戦果を挙げた者が受章。
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金鵄勲章4等
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中堅の士官クラス(中尉・少尉)や下士官(曹長など)で、戦闘で活躍した者に授与。
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金鵄勲章5等
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軍曹・伍長クラスの下士官が受章し、戦場で勇敢な行動を示した者が対象。
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金鵄勲章6等
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一般兵(上等兵や一等兵)が戦功を挙げた場合に授与。
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金鵄勲章7等
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兵卒クラス(兵長や二等兵など)で、特に勇敢な行動をした者が受章。
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高等級の勲章を受章した者は、その後の軍歴にも影響を与えることが多く、昇進の際の考慮材料にもなりました。
4. 授与の実例
金鵄勲章は、日清戦争(1894-1895)、日露戦争(1904-1905)、第一次世界大戦(1914-1918)、満州事変(1931)、日中戦争(1937-1945)、太平洋戦争(1941-1945)といった戦争で多数授与されました。
例えば、日露戦争の奉天会戦や旅順攻囲戦において、勇敢な突撃を行った者が授与された記録が残っています。陸軍・海軍を問わず、個々の戦場で優れた働きをした軍人に与えられました。
また、金鵄勲章を受章した兵士の家族には名誉が与えられるとともに、恩給(年金)や特別手当が支給されることもありました。特に戦死した場合、遺族に対して勲章が贈られることがありました。
5. 第二次世界大戦後の廃止
金鵄勲章は、日本が第二次世界大戦で敗戦した後、GHQ(連合国軍総司令部)の占領政策の一環として、戦争に関わる勲章として廃止されました。
1947年(昭和22年)5月3日の日本国憲法施行に伴い、金鵄勲章の授与が正式に停止されました。その後、日本の勲章制度は主に民間功労者向けのものが中心となり、軍事功績を顕彰する勲章は復活していません。
6. 現在の金鵄勲章の価値
現在、金鵄勲章は歴史的な遺物として扱われ、軍事史の研究者や勲章コレクターの間で高い価値があります。特に1等や2等の高等級の勲章は流通量が少なく、貴重なものとされています。
また、戦争遺品として博物館や資料館に展示されることもあり、金鵄勲章の実物を見ることができる場所もあります。例えば、防衛省の資料館や靖国神社の遊就館などで、金鵄勲章が展示されていることがあります。
★日本以外の金鵄勲章に該当す勲章は?
…金鵄勲章は、戦功を顕彰する軍事勲章であり、特に戦闘での武勲を立てた者に授与された日本独自の勲章です。各国にも、これと類似した軍事的栄誉を称える勲章が存在します。以下に、金鵄勲章に相当する代表的な勲章をいくつか紹介します。
1. アメリカ合衆国:名誉勲章(Medal of Honor)
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制定年:1861年
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概要:アメリカ軍の最高位の勲章であり、戦場において「敵の圧倒的な優勢をものともせず、自らの命を顧みずに英雄的行動を取った者」に授与される。
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授与対象:陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊の全軍に適用。
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特徴:大統領が直接授与することが慣例であり、受章者は国民的英雄と見なされる。
2. イギリス:ヴィクトリア十字勲章(Victoria Cross, VC)
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制定年:1856年
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概要:イギリスおよび連邦諸国(カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど)の最高位の軍事勲章。戦場で顕著な勇気を示した軍人に授与される。
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授与対象:陸軍・海軍・空軍の全軍、および連邦軍の兵士も対象。
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特徴:王室の名のもとに授与され、勲章の素材はかつてクリミア戦争で使用されたロシアの大砲から作られている。
3. ドイツ:鉄十字章(Eisernes Kreuz, Iron Cross)
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制定年:1813年(プロイセン王国時代)
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概要:ドイツ軍の戦功勲章で、特に第一次世界大戦と第二次世界大戦において広く授与された。
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授与対象:陸軍・海軍・空軍の軍人。
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特徴:二級鉄十字章、一级鉄十字章、柏葉付騎士鉄十字章など複数の等級があり、戦果に応じて昇級があった。第二次世界大戦後は廃止されたが、1957年にナチス関連のシンボルを除去した形で再承認された。
4. フランス:レジオンドヌール勲章(Légion d’honneur)
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制定年:1802年(ナポレオン・ボナパルトによって創設)
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概要:フランスの最高勲章で、軍人だけでなく、国家への貢献者にも授与される。軍事的な戦功に対しては特に高い等級が与えられる。
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授与対象:陸軍・海軍・空軍の軍人、および国家功労者。
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特徴:フランスの軍人にとって最高の名誉であり、外国人にも授与されることがある。
5. ソ連/ロシア:ソ連邦英雄勲章(Герой Советского Союза, Hero of the Soviet Union)
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制定年:1934年
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概要:ソ連における最高の軍事栄誉で、特に第二次世界大戦中に多数授与された。戦争だけでなく、宇宙飛行士や国家的偉業を成し遂げた者にも授与された。
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授与対象:赤軍(後のソビエト軍)、海軍、空軍の軍人。
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特徴:受章者には「黄金の星」が贈られ、同時にソビエト連邦英雄の称号が与えられた。
6. イタリア:サヴォイア軍事勲章(Ordine militare di Savoia, 現在のイタリア共和国軍事勲章)
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制定年:1815年(現在は「イタリア共和国軍事勲章」に改称)
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概要:サルデーニャ王国時代に創設され、イタリア統一後も継続。軍人の勇敢な行動に対して授与された。
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授与対象:陸海空軍の軍人。
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特徴:イタリア王国時代は王室の名のもとに授与されていたが、現在はイタリア共和国の軍事勲章として継承されている。
7. 中国(清朝・中華民国・中華人民共和国)
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清朝や中華民国時代には、明確に軍事功績を称える勲章は少なかったが、以下のようなものが存在した。
(清朝)「双龍宝星勲章」
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制定年:1882年
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概要:清朝末期に外国の勲章制度を模倣して設立。軍人や文官に対して功績を称える目的で授与された。
(中華民国)青天白日勲章
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制定年:1929年
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概要:中華民国(台湾)における最高の軍事勲章で、戦闘での卓越した功績を称えるもの。国民政府軍の軍人に授与される。
(中華人民共和国)八一勲章
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制定年:1955年
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概要:人民解放軍の軍人に授与される最高勲章。戦争だけでなく、国家への貢献に対しても授与される。
◎関連、参考サイト
1. 靖国神社 遊就館(東京都)
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所在地:東京都千代田区九段北
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概要:靖国神社に併設されている博物館で、日本の戦争の歴史や軍人の遺品を展示。零戦(零式艦上戦闘機)や人間魚雷「回天」、戦艦大和の模型など、日本軍の実物資料が豊富。
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特徴:戦争に関する展示だけでなく、特攻隊員の遺書や遺品なども充実。
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2. 昭和館(東京都)
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所在地:東京都千代田区九段南
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概要:戦中・戦後の一般市民の生活に焦点を当てた博物館。戦争による影響や庶民の生活の記録を写真や映像で展示。
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特徴:日本軍の軍事史よりも、戦争が国民に与えた影響を知るための施設。戦時中の道具や資料も展示。
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3. 知覧特攻平和会館(鹿児島県)
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所在地:鹿児島県南九州市知覧町
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概要:特攻隊員の遺書や写真、愛用品を展示し、特攻作戦の歴史を伝える資料館。特攻隊基地だった知覧にある。
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特徴:特攻機の実物の一部や、隊員の遺書が展示されており、特攻隊の実情を知ることができる。
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■その他の買取品目
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