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福岡市博多区で着せ替え人形買取りました!
骨董商という商売は、実に妙なモノである。世間が思うよりずっと汗くさく、ずっと博打で、そして時折、思いも寄らぬ幸運が転がり込む。いや、幸運と言っても、宝くじの一等のようにキャピタルで派手なやつではなく、道端に落ちている百円玉に気づくような、だが拾ってしまうと何となくその日が上機嫌になってしまう――そんな種類の幸運だ。
そんなある日、電話が鳴った。受話器からは、やや遠慮がちでありながら、どこか期待を孕んだ声が聞こえる。「昭和の玩具や人形が家にあるので査定してほしい」とのこと。昭和の玩具ときたか。骨董屋としては、茶碗だ掛軸だに飽きてきた頃、急に駄菓子屋のガラスケースの匂いのする依頼が来たわけである。断る理由など、どこにもない。
むしろ、断るどころか小躍りしたい気分である。骨董屋の本能というべきか、我々は「宝が掘れるかもしれない」という言葉に異常に弱い生き物だ。開墾されていない農地を見ただけでうずうずしてしまう地主のようなものである。
というわけで後日、福岡市博多区の依頼者宅へ赴くことになった。
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訪れた家は、外観はしっとり落ち着いた和風造り。だが玄関のすぐ脇に謎のビスクドールが、こちらを「ようこそ」と言わんばかりに笑っている。いや、笑っているように見えるだけであって、ビスクドールはそもそも笑顔である必要がない。あれは無表情の極致、沈黙の圧で人を黙らせる磁場を持った存在である。
部屋に通されると、依頼者が「電話で伝えた人形はこちらです」と指し示す。リヤドロやドイツのビスクドールがずらり。棚の上には、かつて良家の令嬢を喜ばせたであろう陶磁製の少女たちが整列している。微笑ましい光景、のはずだが、目線の高さにずらりと何人もの少女が沈黙して立っているのは、なかなか壮観である。
周囲を見渡すと、掛軸がちらほら、古い鉄瓶が「俺もいるぜ」と主張するように鎮座し、古書の匂いが鼻を突く。そしてさらには、模造刀が数本。実に良い取り合わせ。昭和の少女と、武士の魂と、ロマンチックなスペインの陶器が一つ屋根の下という奇妙なファンタジーな空間である。
ここまで来れば、あとは我々の仕事だ。人形たちのガラスの瞳に見下ろされながら、ざっと値をはじく。茶道具の値付け時よりも、なぜだか汗がにじむのは気のせいだろうか。依頼者に査定額を提示すると、「ええ~そんなになるんですか」と、喜びと目算の入り混じった表情になる。骨董品の査定額というのは、依頼者の人生観を数秒で揺さぶる、実に面白い瞬間である。
そして数分の交渉――いや、交渉というのは体裁で、「もう少しだけ…」というお決まりのセリフを一往復。無事、商談成立と相成った。
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さて、帰りだ。車のキーをポケットで探りながら玄関へ向かう途中――何かが視界の端に引っかかった。
古い段ボールである。放置され、誰にも相手にされず、まるで持ち主から忘れられたかのような佇まい。それは骨董屋にとって宝箱か、それともただの紙のゴミ箱か。その蓋を開けることは、運命を変えるか、それとも腰を痛めるだけか――経験を積めば積むほど、こういう場面で脳内に劇伴が流れるようになる。
気づけば、私は蓋に手をかけていた。古びたガムテープがミシミシと悲鳴を上げる。
――出てきたのは、タミーちゃん。

1960年代のタミーちゃんである。昭和の少女たちの永遠の親友。昨今、昭和レトロの化身としてオークションを沸かせる、あのタミーちゃんである。
しかも状態が良い。さらに洋服までついている。大抵こういう場合、服は行方不明になり、靴だけ異次元に吸い込まれているものだが、この段ボールは女神のように優しかった。
しばし、依頼者と私の間に沈黙が落ちる。だがその沈黙は、絶望ではなく、じんわり温かい種類の未来予測に満ちている。
査定——。
当然、する。
計算結果は、笑うしかなかった。このタミーちゃんひとりで、今日の骨董品すべての合計額を軽く飛び越えてしまったのである。
依頼者も驚き、私も驚き、ビスクドールたちは無表情のままだが、心の中では膝を打っていたに違いない。
嬉しい誤算とはこのことだ。いや、誤算と書いて「人生」と読むべきかもしれない。
◆
こうして本日の骨董品買取は幕を下ろした。
帰り道、車の窓を開けると、ほんのりと冬の風が肌を撫でる。タミーちゃんの箱が後部座席で静かに揺れている。
骨董屋というのは、つくづく運に振り回される稼業だ。努力や知識で道を切り開くこともあるが、最後の決定打は、たいてい「偶然の段ボール」である。商売とは皮肉で、だから面白い。
さあ、明日は何が眠っている家の扉を叩くのだろう。
刀か、絵か、茶碗か、昭和のおもちゃか――それとも、また予想外の何かか。
あ~骨董屋、まだまだ旅の途中である。
では、また…
買取品の詳細

◇この「タミーちゃん」は、状態も良く1964年あたりの中期バージョンだと思われます。変色も少ない個体で時代の割には良い状態と思います。
買取査定額

◆着せ替え人形の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に人気キャラクターか否かと製作年代、次に状態、付属品や服の有無などでより高価買取&できます。特に箱は破れていても捨てないでください。買取価格に影響が出ますので…。
尚、ご自宅や倉庫にアンティークな着せ替え人形やおもちゃがありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。
■過去の作品買取例

1958年製 Barbie バービー人形 マテル 箱付 300,000円
花嫁タミーちゃん 250,000円
バービー 人形 セカンド 水着付き 箱付き200,000円
タミーちゃん なわとび 日本製150,000円 他多数
◇タミーちゃんとは…

◇「Tammy(タミー)ちゃん」は、アメリカの玩具メーカー Ideal Toy Company が1962年に発売した12インチ(約30 cm)サイズの着せ替え人形です。
発売当時、既に Barbie(バービー)が1959年に登場しており、着せ替え人形市場は既に活気を帯びていました。タミーちゃんは、バービーが大人っぽい都会的・ファッショナブルな女の子像を打ち出していたのに対して、「ご近所の友達」的な親しみやすさをコンセプトにしていた点が特徴です。
パンフレット上でも「The Doll You Love to Dress(あなたが着せ替えるのを愛する人形)」というキャッチコピーが用いられており、着せ替え遊びを前面に押し出していました。
日本でも当時の「昭和おもちゃ」ブームの中で紹介され、「昭和の着せ替え人形」として記憶されている存在です。
2.歴代バージョン・特徴の変遷
タミーちゃんの製品展開期間は短く、1962年~1966年あたりに集中しています。以下、代表的なバージョンとその特徴を整理します。
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初期バージョン(1962年発売)
– ストレートの脚(まっすぐ伸びる脚)タイプ。
– 表情・顔立ちは、バービーほど大人びず、むしろ「ティーンエイジャー(16歳設定とも)で普通の女の子」的ニュアンス。
– 髪型やメイクも比較的シンプルで、「毎日のおしゃれ」や「制服・私服の着せ替え」で遊べる仕様。 -
中期バージョン(1964年頃)
– 脚に可動(ベンダブル・レッグ)機構が加えられ、ポーズ対応が強化されたタイプが登場。
– 衣装・アクセサリーの種類も増え、カジュアルからフォーマル、遊び道具付きなど幅が広がってきました。今回の買取品はこの時期に当たると思われます。 -
「Grown Up Tammy(大人タミー)」バージョン(1965年)
– 「ちょっと成長してお姉さんになったタミーちゃん」といえるモデル。顔型・ボディ型が変更され、スリム化された新デザイン。
– 頭と首が一体成形ではなく分割され、脚・胴体が細めに改められており、「ティーンを卒業しつつある」雰囲気が出ています。
– このバージョンにより、ファッションの方向性も少し変化し、より都会的・洗練された装いの衣装が登場しました。 -
その他バリエーション
– アフリカ系アメリカ人バージョンも少数ながらリリースされたと記録されています。
– 日本市場向けに、製造国表示が「Japan」あるいは「Hong Kong」のものがあり、マーケット・エディションとしての希少性が後にコレクター間で話題になっています
発売期間が短かった反面、初期モデル・希少な衣装・日本仕様表示・コンプリートな付属品付きなどは現在コレクターズアイテムとして高値を呼んでいます。
3.タミーちゃんの「家族/友達構成」
タミーちゃんには単独の人形というだけでなく、ファミリー設定・友人設定がある点も大きな特徴です。これはバービーにはあまり見られなかった「家庭・日常感」を打ち出す仕様でもありました。以下、主要なメンバーを整理します。
家族(Tammy’s Family)
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ママ(Mom)
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パパ(Dad)
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兄弟:テッド(Ted)・ピート(Pete)
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妹:ペッパー(Pepper)
これらが公式に「Tammyの家族(Tammy’s Family)」として展開されていたことが確認されています。
たとえば、ペッパーはそばかす(freckles)が特徴の妹キャラクターで、比較的安価な衣装展開も多く「妹キャラ」の位置づけとして子どもたちに親しまれました。
家族全員が揃うセット展開もあり、「タミーちゃんのお家セット」「コンバーチブル(車)」「カメラ付きスタジオ」など、多様な遊び要素を加えた商品展開もされていました。
友人・ボーイフレンド・その他キャラクター
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ボーイフレンド:バド(Bud)
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友人/コンパニオンキャラクター:ドディ(Dodi)、ソルティ(Salty)、ミスティ(Misty)など。
これらはメイン商品ではないものの、衣装バリエーション・限定仕様などで登場し、子どもたちの想像遊びの幅を広げる役割を果たしました。
ちなみに、バド(Bud)は生産数が少なく、コレクター間では希少価値のあるキャラクターになっています。
キャラクター設定・世界観
公式に「タミーちゃんが16歳」などと明確に年齢設定されていたという資料は少ないですが、「普通の十代の女の子」「学校に行ったり遊んだりする身近な女の子」という雰囲気を前面に出していた点が特色です。
そのため「おしゃれ」「友達」「家族」など、子どもの日常に近いテーマが多く、極端なファッションモデルではなく、「女の子らしい遊び」を重視した設計でした。
衣装やアクセサリーのカタログ(パンフレット)でも、学校帰り、海辺のピクニック、パーティー、家族のおでかけ、妹ペッパーとの遊び…といった場面設定が多く見られます。
4.タミーちゃんの魅力・コレクター視点
なぜタミーちゃんが今なお収集対象となっているのか、その理由も押さえておきましょう。
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発売期間が比較的短かったため、シリーズが“希少”になりやすい。
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海外(アメリカ)製の当時モノであること、日本版仕様(Japan/Hong Kong刻印)があること、付属衣装が完全に残っていることなどが評価基準になる。
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「昭和レトロ」という時代的な価値が日本で高まっている中で、1960年代の着せ替え人形として、「タミーちゃん/ペッパーちゃん」の存在が少し前の“子ども時代”を象徴している。実際、「昭和のおもちゃ」として再注目されています。
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そして、上述のように「家族・友人」の世界観設定があるため、コレクターにとっては「セットで揃えたい」「兄弟・妹・友人も集めたい」という遊びと収集欲を刺激する構成となっていたことも大きな要因です。
5.日本市場での扱い・評価
日本では、タミーちゃんが輸入あるいは日本仕様で販売された頃、ちょうど昭和30〜40年代の高度経済成長期と重なっています。子ども文化・おもちゃ文化が大衆化し、着せ替え人形も人気カテゴリーのひとつになりました。
そのため、現在日本のリユース市場やアンティーク・玩具コレクション市場では「タミーちゃんは高価買取対象」として紹介されることも少なくありません。たとえば「箱付き」「服付き」「日本版仕様」のタミーちゃんは“隠れたお宝”として評価されていたりします。
また、「タミーちゃん/ペッパーちゃん」のパンフレットやカタログも資料価値ありとして扱われており、当時の遊び文化を研究・回顧する際のチェックアイテムになっています

◎関連、参考サイト

1. 神戸ドールミュージアム(兵庫県神戸市)
2. 横浜人形の家(神奈川県横浜市)
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。












































