
福岡市中央区で創作こけしを買取りました!

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◇福岡も十月に入ると、さすがに朝晩が冷えてくる。
ついこの前まで「暑い、暑い」と言っていたのに、季節というものは人間の都合など一切聞いてくれない。こちらが半袖を片付けるより先に、秋のほうから勝手にやって来る。秋が来れば冬が来る。冬が来れば正月が来る。正月が来れば、骨董屋には一年分の請求書がやって来る。
だから我々骨董屋は、風流に紅葉を眺めている場合ではない。年を越すための品物を、せっせと仕入れなければならないのである。骨董屋という商売は、古いものを扱っているくせに、考えていることは案外新しい。いや、正確には「来月の支払い」のことで頭がいっぱいなのだから、古美術どころか現実主義の極みである。
そんな折、福岡市内のあるお宅から骨董品の買取依頼が入った。「いろいろあるので見てほしい」この「いろいろある」という言葉ほど、骨董屋を期待させるものはない。しかし同時に危険な言葉でもある。「いろいろ」と言われて伺ったら、古い百科事典と昭和の置時計と、どこで買ったのか分からない招き猫が「いろいろ」の正体だった、ということも珍しくない。まあ、骨董屋の人生なんて、その程度の期待と失望の繰り返しである。
さて、お宅に伺い部屋へ入る。そこには掛軸、古伊万里らしき皿、中国の置物、浮世絵などが並んでいる。おお、これは「いろいろ」が本当にいろいろである。
早速、掛軸から拝見する。昭和のものが中心で、書画としての出来栄えや作者を確認しながら、一点ずつ値をつけていく。
骨董屋というのは不思議な仕事で、世間の人からすれば「ただの古い掛軸」にしか見えないものを前にして、こちらは紙の状態を見、軸先を見、落款を見、箱を見ている。そして最後に財布を見る。もちろんこれは冗談である。いや、半分は本当かもしれない。
続いて皿。古伊万里の唐草模様で、幕末頃のものと思われる。唐草模様というのは実に偉い。何百年も前から皿の上で伸びたり巻いたりしながら、今も元気に生きている。人間は歳を取ると腰が曲がるというのに、唐草はいつまで経っても元気にぐるぐる巻いている。骨董屋としては、見習いたい生命力である。
そして今回、ひときわ目を引いたのが中国の古い置物だった。明時代の仏像などがあり、こちらはしっかりとした評価ができそうである。古いものには、時代が積み重ねた迫力がある。ただ古いだけではいけない。骨董の世界では「古いですね」と言われても、それだけでは財布は開かない。
人間だってそうである。「あなたも長く生きてきましたね」と言われたところで、年齢だけで給料が上がるわけではない。古いものにも人間にも、それなりの中身が必要なのである。

そんな品々の中から、今回ちょっと面白いものが出てきた。卯三郎こけしである。創作こけしの代表的な存在として知られるものが、三体出てきた。こけしというと、どうしても「昔の温泉みやげ」というイメージがある。しかし卯三郎こけしは、それだけではない。木の丸みを生かしながら、伝統的なこけしの枠を飛び越えて、彫刻や焼き絵などを取り入れた創作性のあるこけしである。
古伊万里や明時代の仏像と並んでいると、なんとも不思議な光景だ。明の仏像からすれば、「お前はずいぶん若いな」と言いたいところだろう。卯三郎こけしからすれば、「いやいや、私もそれなりに年を取ってますよ」と言いたい。
骨董品の世界では、百年単位で年齢差のある者たちが、同じ座敷で肩を並べる。人間社会ではなかなか難しいことだが、骨董品なら何の問題もない。
結局、この日は掛軸、古伊万里、中国の古い置物、浮世絵、そして卯三郎こけしまで、なかなか面白い仕入れとなった。骨董屋にとって、品物との出会いは一期一会である。ただし、売れるかどうかは二期三会くらい待たされることもある。それでも、こうして一軒のお宅から新しい持ち主を待つ品物を預かることができるのは、有難いことである。
秋風が少し冷たくなってきた。今年も残り三か月。世間では「年末まであと少し」と言うが、骨董屋にとっては「年末までにあと何点売れるか」である。
紅葉もいい。温泉もいい。しかし我々には、まだまだ買取がある。今日もまた古いものを探して走り回る。古いものを売って、新しい年を迎える。
なんとも骨董屋らしい、矛盾だらけの人生である。ではまた、次の掘り出し物まで。
買取品の詳細


◇この「こけし」は卯三郎こけしで昔懐かしの和服に童のお顔でとても柔らかな表情のこけしです。忘れかけた日本の伝統を引き継ぐ工芸品ですね。今回の買取品は割と大きなもので床の間に飾るとお部屋の雰囲気がとても優しく柔らかくなるようなこけしでした。ありがとうございました。
買取査定額

◇こけしの買取査定額もしくは評価額は作者の知名度や時代、そして表情や材質と大きさ、ほかには栞や箱などあればより高価買取&できます。ご自宅に 古いこけしが御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

伝統こけし 佐久間浅之助型 700,000円
小椋久太郎 特大こけし 600,000円
鈴木庸吉 宮城 こけし 350,000円
関口三作 創作こけし250,000円 他多数
卯三郎こけしとは?
卯三郎こけしは、群馬県北群馬郡榛東村を拠点に作られている「創作こけし」の代表的なブランドです。一般にこけしというと、東北地方の温泉地で作られてきた伝統こけしを思い浮かべますが、卯三郎こけしは、伝統的なろくろ技術を基礎としながら、彫刻や焼き絵、自由な造形を取り入れた、群馬ならではの現代的なこけしとして発展してきました。群馬県は現在、創作こけしの主要産地であり、その代表格が卯三郎こけしです。
起源――初代・岡本卯三郎
卯三郎こけしの歴史は、初代・岡本卯三郎(1917~2009)に始まります。岡本は群馬県榛東村に生まれ、戦後、人工石や金属を使った工芸品などを手掛けた後、1950年(昭和25年)からこけしの製造を始めました。
当時のこけしは、筆によって顔や模様を描くことが一般的でした。これに対して岡本卯三郎は、従来の絵付けだけではなく、彫刻や「焼き絵」などの技法を組み合わせ、木そのものに立体的な表情を与える新しい表現を生み出しました。これが現在の卯三郎こけしにつながる大きな特徴となっています。群馬県も、卯三郎こけしについて「ろくろ技術」に特殊な機械技術を組み合わせ、筆による絵付けに彫刻や焼き絵を加えたことを特徴として紹介しています。
また岡本は、木材についても研究を重ねました。こけしには一般に水木などが使われますが、岡本は加工が難しいとされた木材にも挑戦し、ケヤキ、サクラ、クリなど、それぞれの木が持つ木目や色合いを生かす表現を発展させました。
代表作として特に知られるのが「寒椿(かんつばき)」です。美しい木目を持つケヤキに、岡本が好んだ椿をあしらった作品で、昭和天皇に買い上げられたことでも知られています。
卯三郎こけしの造形的な特徴
卯三郎こけしを見てまず気づくのは、伝統こけしと比較してふっくらとした丸みのあるフォルムです。細長い胴体を持つ伝統こけしとは異なり、頭や胴を大きく丸く造形した作品が多く、手に取ったときに木の温かさを感じられるような親しみやすさがあります。群馬県の観光情報でも、その「ふっくらした曲線美」が特徴として紹介されています。
もう一つ重要なのが、焼き絵による線や模様です。熱した道具で木の表面を焼いて線を描くことで、通常の彩色とは異なる深みのある表情を生み出します。さらに彫刻によって髪や衣服、植物などを立体的に表現する場合もあります。
つまり卯三郎こけしの魅力は、単に「木に絵を描いた人形」ではなく、木材の選択、ろくろによる成形、彫刻、焼き絵、彩色という複数の技術を組み合わせて一つの作品を作るところにあります。
代表的な作家たち
初代の技術は、その後、家族や弟子たちに受け継がれました。
二代目・岡本有司(ゆうじ)は初代卯三郎の長男で、22歳から父に師事しました。素朴さや安らぎ、温かみを大切にした作風が特徴で、日常的な人の姿や自然を穏やかに表現しています。全群馬近代こけしコンクールで最高賞にあたる内閣総理大臣賞を複数回受賞するなど、高い評価を受けています。代表作には「春月」などがあります。
岡本芳江は初代卯三郎に師事した女性作家です。桜、紅葉、雪など、日本の四季や身近な自然を題材にした作品を得意としています。1985年には「時の流れ」で、全日本こけしコンクールにおいて女性作家として初めて内閣総理大臣賞を受賞しました。
岡本義弘は二代目卯三郎の長男で、現在の卯三郎こけしを代表する作家の一人です。木目や木肌そのものを尊重しながら、従来のこけしの概念にとらわれないダイナミックな造形を追求しています。「青嵐」「眠る山」などの受賞作があり、動物をモチーフにした作品などにも独自性が見られます。
また、岡本弘行は二代目卯三郎の次男で、キャラクター性のあるこけしの発展に大きく関わった作家です。「卯三郎の孫」という作家名でも活動し、子どもの目線を重視した、絵本の登場人物のような親しみやすい作品を展開しています。
このほか、初代の次男である石曽根信行はケヤキの落ち着いた色合いを生かした童女の表現を得意としており今回の買取品もこの方の作風です。石曽根八千代は滑らかな造形と柔らかな線によって日常生活や幸福感を表現しています。
「伝統」と「現代」をつなぐこけし
卯三郎こけしの大きな特色は、伝統を守るだけではなく、時代に合わせてこけしの姿そのものを変化させてきたことです。
現在では、昔ながらの童女を表現した作品だけでなく、動物や地蔵、季節の風景、さらには人気キャラクターなど、非常に幅広い作品が制作されています。群馬県も、卯三郎こけしについて、伝統技術を受け継ぎながら自由な発想によるデザインやキャラクターこけしを生み出していると紹介しています。
こうした柔軟性によって、こけしは「昔の民芸品」という枠を越え、現代のインテリアや贈り物としても親しまれるようになりました。一方で、その根底には、群馬の山々から得られる木材を使い、ろくろを回し、職人が一つ一つ仕上げるという伝統的な木工技術があります。公式にも、群馬の木を使い、彫り、焼き線、ぼかしや濃淡など、代々受け継がれた技術を大切にしていることが示されています。
最後に…
卯三郎こけしは、1950年に岡本卯三郎が始めた群馬の創作こけしを源流とします。初代が生み出した彫刻や焼き絵を取り入れた立体的な表現、木材そのものの美しさを生かす姿勢、そして丸みを帯びた温かみのある造形が、その大きな特徴です。
そして二代目岡本有司、岡本芳江、岡本義弘、岡本弘行らへと技術と創作精神が受け継がれ、伝統的なこけしから現代的なキャラクター作品まで、幅広い表現が生まれています。
その意味で卯三郎こけしは、単なる「昔ながらのこけし」ではなく、日本の木工・民芸の伝統を土台にしながら、現代のデザイン感覚を取り込んできた「創作こけし」の象徴的な存在といえます。


■参考サイト
■その他の買取品目
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