
福岡県春日市で蒔絵小鼓を買取りました!

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◇福岡は引き続き、梅雨本番である。
空は朝から鉛色。道路は濡れ、洗濯物は乾かず、財布の中身もなかなか乾いたままである。世の中には「恵みの雨」などと優雅なことを言う人もいるが、我々骨董屋にとっては恵みどころか試練の雨だ。
なにしろ古い掛軸は湿気を吸って機嫌を損ねるし、木箱は膨らむし、着物はカビと相談を始める。
おまけにこの季節、人間まで湿気を吸う。朝から体は重いし気力も湧かない。
そんな中でも働かねばならないのが自営業という名の因果な商売である。
会社員ならば上司に「体調が優れません」と言えば多少は同情もされよう。
ところが骨董屋は違う。
相方に「今日はだるいなぁ」と言っても、「私もです」で終わる。
お互い同情する余裕などない。こうして湿気をまとった中年二人組は、今日も骨董品を求めて福岡県春日市へ向かったのである。
今回のお宅は先代から受け継いだ掛軸や仏像、屏風などが大量にあるとのこと。
電話の段階で依頼主は、「価値があるかどうかわからんのですが」と遠慮がちだった。
この言葉ほど骨董屋を期待させる言葉はない。なぜなら本当に価値がない場合は、
「国宝級があると思うんです!」と妙な自信を持っていることが多い。
骨董の世界はなかなか人生に似ていて、本人の自己評価と市場評価が一致しない。
さて到着したのは閑静な住宅街の一軒家。
立派な門構えである。こういう家を見ると骨董屋は自然と背筋が伸びる。泥棒が下見に来たわけではない。
お宝の匂いを嗅ぎ分けるためである。玄関で挨拶を済ませると、依頼主は早速我々を奥の座敷へ案内した。
部屋に入った瞬間、私は思わず相方と顔を見合わせた。
「おっ」という顔である。
長年連れ添った夫婦が会話なしで意思疎通するように、骨董屋にも独特の目配せがある。
そこには掛軸がずらりと並んでいた。まず目に飛び込んできたのは南画。
拝山。五岳。その他にも文人趣味あふれる山水画が何本もある。
最近の住宅事情では掛軸を掛ける床の間すら絶滅危惧種になっているが、こうして見るとやはり日本人の美意識は掛軸の中に凝縮されていると思う。
もっとも現代人に掛軸を見せても、「縦長のポスターですか?」くらいの反応が返ってくることもある。
文明の進歩とは恐ろしい。続いて屏風。ところがこちらは少々厳しかった。
立派な絵ではあるのだが傷みが激しい。破れ。剥落。虫食い。湿気。
まるで私の人生の履歴書のようである。保存状態というのは骨董の世界では非常に重要だ。
どんな名品でも傷みが激しければ評価は下がる。逆に無名でも状態が良ければ買い手はつく。
これも人生に似ている。
才能より健康の方が大事なのかもしれない。屏風たちは残念ながら査定後、「蔵へお帰りください」
という結果になった。骨董屋にも時には非情な判断が必要なのである。
次に現れたのは仏像群だった。
これがなかなか面白い。まず室町時代と思われる木彫仏。長年の信仰を受けたためだろう。
表面は擦れ、金箔も薄れている。しかしその顔には不思議な威厳があった。新品の仏像には出せない味である。
人も仏も年を取るほど味が出る。ただし人間の場合は味より先に脂肪が出ることが多い。私も例外ではない。
さらに中国やチベットの古仏も現れた。異国の香り漂う仏像たちである。
骨董屋という商売をしていると、家の一室で世界旅行ができる。
今日は中国。明日は朝鮮。来週はヨーロッパ。ただし飛行機代は出ない。
仏画も見応えがあった。
曼荼羅。涅槃図。タンカ、仏教美術好きなら思わず唸る内容である。宗教画というものは不思議で、単なる絵画とは違う迫力がある。信仰の力が染み込んでいるからだろう。
一方で私は値札のことばかり考えている。仏様もさぞ呆れているに違いない。
そんな中、部屋の隅から少し変わった品が出てきた。
神楽面である。天狗。翁。鬼。いろいろ並んでいる。私は鬼の面を見ながら、
「これ、うちの家内に少し似てるな」と思ったが口には出さなかった。命が惜しい…
そして最後に登場したのが今回最大の主役だった。

小鼓である。最初は何気なく手に取った。ところが胴を見た瞬間、思わず姿勢が変わった。
蒔絵が素晴らしい。黒漆の上に金蒔絵。気品がある。派手なのに下品ではない。育ちの良い金持ちのような雰囲気だ。
骨董の世界には、「見た瞬間に格がわかる品」というものがある。この小鼓はまさにそれだった。
依頼主によれば、「先祖が黒田家の家臣から贈られたと聞いております」

とのこと。もちろん伝承だけで全てを信用するほど骨董屋は純粋ではない。
しかし品物そのものが語る格というものがある。長年多くの品を見ていると、それは何となくわかる。
小鼓は静かに座っていた。しかしその姿からは、「私はそこらの町人上がりではない」
という空気が漂っていた。
まるで退職後も肩書きを忘れられない元重役のようである。もっともこちらは本物の品格なので嫌味がない。
我々は慎重に査定を進めた。
掛軸。仏像。仏画。神楽面。そして小鼓。どれも時代があり由来がある。
近年の骨董市場は厳しい。昔なら高額だった物も値段が下がる。逆に昔は見向きもされなかった物が人気になる。
市場というのは気まぐれな猫のようなものだ。ところが今回の品々は違った。
時代。保存状態。内容。いずれも申し分ない。
結果として査定額はかなりの高額となった。依頼主も驚いていた。我々も少し驚いていた。
なにしろ最近は査定額を伝えると、「そんなに安いの?」と言われることが多い。
しかし今回は違う。久しぶりに皆が笑顔になれる査定だった。
契約を終え、積み込みを終えた頃には雨も少し弱まっていた。帰りの車中で相方が言う。
「今日は良い品でしたね。」私は頷く。確かに良い品だった。
しかし何より良かったのは、それらが長年大切に守られてきたことだ。
骨董品はただ古いだけでは価値にならない。誰かが残し、守り、伝えたからこそ今がある。
そのバトンを受け取るのが我々の仕事なのだろう。もっとも崇高なことを言ってはみたが、
店へ戻れば待っているのは大量の整理作業と伝票処理である。現実とは実に無慈悲だ。
黒田家ゆかりの小鼓の余韻に浸る暇もなく、私は再び段ボールと格闘することになる。
それでもまあ悪くない。梅雨空の下、今日もまた一つ良い出会いがあった。
骨董屋という生き物は結局のところ、お宝探しが好きな少年のまま歳を取ったようなものなのだ。
さて、明日はどんな品と出会えるだろうか。そしてどんな珍騒動が待っているだろうか。
雨雲はまだ福岡の空を覆っている。だが骨董屋の旅は、相変わらず続いていくのである。ではまた。
この小鼓については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「蒔絵鼓」は作家名や刻印こそありませんがとても上質で厚い金蒔絵です。明治期の物だと思われますが蒔絵のダメージも少なく擦り傷程度の物でした。実際に雅楽や舞踊で使用されていたようでしたが保管もしっかりしてあったようで太鼓の皮の状態も良い状態でした。楽器としても一級品ですが古美術品、骨董品としても観賞用で雅な感じでお勧めの逸品です。共箱や鼓袋も付属しております。
買取査定額

◇鼓の買取査定額もしくは評価額ですが蒔絵の豪華さや状態、そして工房や作者名の有無、ほかには刻印が複数あればより高価買取できます。今回の蒔絵鼓には刻印や銘は御座いませんが状態の良さで古美術品として高価買取させて頂きました。ありがとうございました。ご自宅に鼓や和楽器が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の蒔絵鼓の作品買取例

二重鉋目 金文字「幸清 正氏(花押)」銘入 300,000円
黒漆花形鼓皮 木造荒波金銀蒔絵鼓胴 250,000円
風神雷神図蒔絵鼓 150,000円
梨地金銀折鶴松蒔絵鼓 丸紋花蒔絵ケース付 130,000円 他多数
小鼓とは?

雅楽で用いられる小鼓(こつづみ)は、日本の伝統音楽における重要な打楽器の一つです。ただし、一般に広く知られている能楽や歌舞伎の小鼓と、雅楽で使用される鼓類はやや系統や用途が異なります。雅楽においては「鞨鼓(かっこ)」や「羯鼓(かっこ)」が主役となることが多く、小鼓そのものが中心となる機会は少ないものの、日本の鼓文化全体を理解する上で非常に重要な存在です。
小鼓の起源と歴史
小鼓の祖先は、中国や朝鮮半島を経て日本へ伝来した鼓類に求めることができます。
日本へは5~8世紀頃、仏教や大陸文化とともに多くの楽器が伝わりました。特に奈良時代には、現在の雅楽の原型となる唐楽や高麗楽が盛んに演奏されるようになり、多様な打楽器が宮廷に導入されました。
その後、平安時代になると日本独自の改良が進み、鼓は宮廷音楽だけでなく神楽や田楽などにも広がります。鎌倉時代から室町時代にかけて観阿弥・世阿弥によって能楽が大成されると、小鼓は能楽囃子の中心楽器として発展しました。
現在の小鼓は、雅楽よりも能楽や歌舞伎において著名ですが、その構造や演奏技法には古代宮廷音楽の影響が色濃く残っています。
小鼓の構造
小鼓は砂時計型(くびれ型)の胴を持つ打楽器です。
主な構造は以下の通りです。
- 胴(どう)
- 革(かわ)
- 調緒(しらべお)
- 緒座(おざ)
胴は主に桜材が使用されます。
特に古作では数十年から百年以上自然乾燥させた材が用いられました。
両面に馬革を張り、その革を麻紐で締め上げる構造になっています。
演奏者は左肩付近で楽器を保持し、右手の指先で革を打ちます。
演奏中に紐を締めたり緩めたりすることで音程を変化させることができる点が最大の特徴です。
雅楽における鼓の役割
雅楽の編成では主として、
- 鞨鼓(かっこ)
- 太鼓
- 鉦鼓(しょうこ)
の三種が打楽器の中心です。
特に鞨鼓は楽曲全体のテンポを統率する指揮者的な役割を担っています。
そのため雅楽における鼓類は単なるリズム楽器ではありません。
西洋音楽でいう指揮者とメトロノームの役割を兼ね備えているともいえます。
演奏者は舞人や管楽器奏者の呼吸を見ながら演奏し、楽曲全体の進行を管理します。
能楽における小鼓の役割
小鼓が最も活躍するのは能楽です。
能舞台では、
- 小鼓
- 大鼓
- 太鼓
- 笛
による囃子方が演奏します。
小鼓は鋭く高い音色を持ち、
「ポン」
「チ」
「タ」
など多彩な音を生み出します。
さらに演奏者は
「ヤー」
「ハッ」
などの掛け声(掛け声・掛ケ声)を発し、舞台の緊張感を高めます。
能楽では演奏技術だけでなく精神修養も重視され、流派ごとに厳格な伝承が行われています。
小鼓の製作技術
小鼓製作は高度な伝統工芸です。
胴には蒔絵や梨地などの漆芸技法が施されることがあります。
特に江戸時代の大名家や能役者の家に伝わる小鼓は、美術工芸品としても極めて高く評価されています。
製作工程は、
- 木地作り
- 漆塗り
- 蒔絵装飾
- 革張り
- 調整
という長い工程を経ます。
完成までに数か月から一年以上を要することも珍しくありません。
美術品や骨董品としての小鼓
骨董品市場では、小鼓は単なる楽器以上に漆工芸品として評価されます。
特に以下のような作品が有名です。
秋草蒔絵小鼓
秋の七草を金蒔絵で描いたものです。
優雅な宮廷文化を象徴する作品として知られています。
松竹梅蒔絵小鼓
吉祥文様として人気が高く、大名家の能道具として制作されました。
源氏物語図蒔絵小鼓
物語絵を全面に施した豪華な作品です。
江戸時代後期の蒔絵師による名品が数多く残されています。
家紋散蒔絵小鼓
諸大名家の家紋を散らした格式高い作品です。
特に能を保護した諸藩の遺品として伝世しています。
★今回の買取品の小鼓も豪華な金蒔絵で格式の高い美術工芸品として通用します。

◇骨董品の市場では小鼓は以下の点で評価されます。
- 蒔絵の出来栄え
- 作者や蒔絵師
- 伝来
- 保存状態
- 革の状態
- 箱書
特に著名な能役者や大名家伝来品は高額評価となります。
また革が傷んでいても、胴の蒔絵や漆芸が優れていれば美術工芸品として価値を持ち続けます。

■参考サイト
小鼓や鼓胴の名品は、
国立歴史民俗博物館…に収められています
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。












































