福岡市城南区で煎茶盆(茶道具)を買取りました!

讃岐彫り買取
煎茶盆の買取

 

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。あれは先日、骨董品の買取と査定に伺った時のこと。静かな住宅街の一角に、ひっそりと佇む一軒家。聞けば、この家は50年前にご両親が建てられたそうで、年月を感じさせる佇まいが何とも趣深い。門をくぐり、玄関に足を踏み入れると、家全体に漂う古き良き時代の香り。まさに、私のアドレナリンがじわじわと上昇する瞬間です。

応接間に通されると、そこには所狭しと並ぶ茶道具、掛軸、ブロンズ像、銀食器、有田焼の皿や花瓶、壷など、戦前の趣を持つ古美術品がずらり。私の目が光る。「久々の私好みのお宝や!」と心の中で呟きつつ、一つ一つの品を丁寧に見ていきます。

さて、そんな中でも、特に私の目を引いたのは、煎茶道具である。茶道具と言えば、今や少し人気が陰ってきているとはいえ、煎茶器だけは別格だ。日本のみならず、中国や韓国、さらにはヨーロッパでも、その価値が高く評価されている。私が手に取ったのは、まさにその煎茶道具の一つ。一つひとつの品を眺めると、これまた良いものばかりが揃っていました。

まず目に入ったのが、象嵌入りの龍文堂の鉄瓶。その存在感たるや、ただの道具ではなく、まるで工芸品そのもの。手に取ってみると、重厚な鉄の質感が手に伝わり、まるで歴史を握りしめているかのような感覚がする。蓋を開けると、中にはその年季を感じさせる錆の跡があるが、それさえもがこの鉄瓶の風格を高めています。

次に目を奪われたのは、蒔絵が施された豪華な棗と茶入れ。漆の光沢に浮かび上がる繊細な蒔絵の模様。これはもう、使うのが惜しいほどの美しさ。茶の香りをも感じながら、私の心は浮つきます。買取業者としての冷静さを取り戻さなければならないと、何度も自分に言い聞かせるほどでした。

しかし本日私が特にスポットを当てたいのは、少し地味ではあるが、讃岐漆器の「象堂山人」銘の煎茶盆です。これがまた、一見すると目立たないが、その静かな佇まいには何とも言えない品格が漂っている一品。

象堂山人とは、讃岐彫を代表する名工の一人で、その作品は今も尚、茶道具の中で高く評価されています。この煎茶器も、象堂山人の手によるものとあって、その細部には彼の技術と美意識が見事に表れています。元箱を開けると、木の温もりと共に、しっとりとした漆の香りが立ち昇ります。

煎茶盆裏側

この煎茶盆が醸し出す控えめな美しさは、まるで長年使い込まれた古い友のようで、使い手に寄り添う優しさがある。飾るための美しさではなく、使うための美しさ。そんな風に私は感じた。おそらく、前の持ち主もこの煎茶盆を大切に使い込んできたに違いなく色合いも深い色に変色していました。

「これは良い仕入れになるぞ」と心の中で確認しながら、私はこの煎茶盆を手に取り、丁寧に包み込むようにして、査定のための準備を整えた。これからまた、新たな持ち主のもとで、この煎茶盆がどんな風に使われていくのかを想像すると、なんとも言えない感慨が湧き上がる。

こうして、骨董品の買取と査定に訪れた一日が、また一つの思い出となって胸に刻まれました。象堂山人の煎茶盆も静かに語りかけてくるその声に耳を傾けながら、私は次なる依頼へと心を弾ませるのでした。

尚、この煎茶盆については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

今回の煎茶盆は讃岐彫で題材は「初夏松」とありました。材は多分ヒノキだと思われます。時代は大正時代で共箱入りの状態の良いお盆でした。擦り傷も少なく根来風の漆もあまり薄くなっておらず逆に時代を経て深い赤色になりつつありました。ありがとうございました。

山中象堂刻印
山中象堂刻印

 

買取査定額

煎茶長盆
煎茶長盆

 

◆山中象堂作品は硯箱や茶量、香筒などが人気があり彫も深いものに高い値段がついています。今回のこの煎茶盆は見た目に地味ですが逆に上にのせる煎茶器を際立たせる役目があるようですね。買取評価額では3~5000円くらいです。

 

 

 

■過去の作品買取例

 

象堂山人造并刀霊芝彫竹香筒 50,000円
象堂山人造 讃岐彫 「 百事如意 」 煎茶 茶入 40,000円
山中象堂(作) 象堂山人 丸盆  30,000円
狭貫彫 彩色 牡丹文 茶合  20,000円 他多数

山中象堂(象堂山人)とは?

共箱あり
共箱があります

象堂山人(ぞうどうさんじん)は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した日本の彫刻家であり、特に讃岐彫りの技術で知られています。讃岐彫りとは、香川県(旧讃岐国)で発展した木彫技術で、精巧な彫刻と美しいデザインが特徴です。象堂山人は、この技術を極め、その名を広める一翼を担いました。

歴史

象堂山人の本名や生年については不詳ですが、彼は讃岐国に生まれ、幼少期から木彫に親しんだとされています。地元の職人たちの技術を学び、やがて独自のスタイルを確立していきました。彼の作品は、主に仏教美術や神道の祭祀具として作られ、その彫刻技術とデザイン性で高い評価を受けました。

作歴と技術

象堂山人の作歴は、讃岐彫りの伝統を受け継ぎながらも、それを新しい次元に引き上げるものです。彼の作品は、細部にわたる精緻な彫刻と、自然界のモチーフを取り入れたデザインが特徴です。彼は木材の特性を巧みに活かし、材質の質感を最大限に引き出すことで、まるで生きているかのような彫刻作品を生み出しました。

象堂山人は、仏像や神具、さらに日常生活で使用される茶道具など、多岐にわたる作品を制作しました。また彼の仏像は、そのリアリズムと神聖さを兼ね備えており、特に顔の表情や衣服のひだの表現において、彼の技術の高さが感じられます。また、象堂山人は弟子たちにその技術を伝え、多くの優れた彫刻家を育てました。彼の影響を受けた弟子たちは、讃岐彫りの技術をさらに発展させ、日本全国に広めました。

代表作

象堂山人の代表作には、以下のようなものがあります。

  1. 薬師如来像:象堂山人が制作した薬師如来像は、彼の代表的な仏像作品の一つです。この像は、薬師如来の慈悲深い表情と、繊細な衣の表現が特徴で、讃岐彫りの技術が遺憾なく発揮されています。
  2. 神輿(みこし):祭礼で使用される神輿もまた、象堂山人の代表作の一つです。彼の神輿は、豪華絢爛な装飾と、細部にわたる精緻な彫刻が施されており、見る者を圧倒する美しさがあります。
  3. 装飾彫刻:象堂山人は、日常生活で使用される家具や道具にもその技術を活かしました。特に、欄間(らんま)や箪笥(たんす)に施された彫刻は、非常に緻密であり、単なる装飾品としてだけでなく、実用的な美術品としても高く評価されています。今回の煎茶盆や茶合、香筒などにも細やかなデザインと日本人好みの奥ゆかしい部分とが見られます。

 

その他の作家の讃岐彫作品をいくつかご紹介します。

◎高松貞吉(たかまつ ていきち)

  • 千手観音像: 高松貞吉が手がけた仏像で、千手観音の複雑な構造を精密に再現しています。特に手の表現や顔の穏やかな表情が見事です。
  • 欄間彫刻: 彼の作品は多くの寺院や神社の欄間に見られ、植物や動物をモチーフにしたデザインが特徴です。

森本周作(もりもと しゅうさく)

  • 不動明王像: 森本周作による力強い不動明王像。炎の中に立つ姿が迫力を持って表現されています。
  • 獅子頭: 祭りで使用される獅子頭の彫刻で、そのリアルな表現と迫力が評価されています。

西野藤八(にしの とうはち)

  • 龍神像: 西野藤八が手がけた龍神像は、龍の力強さと神秘的な雰囲気が特徴。特に龍のうねりや鱗の細かい表現が見事です。
  • 天井彫刻: 彼の天井彫刻は、天井全体を一つの絵巻物のように表現し、空間全体に迫力と美しさを与えています。

坂本周吉(さかもと しゅうきち)

  • 仏壇彫刻: 坂本周吉が手がけた仏壇の彫刻は、その豪華さと細かい彫刻が特徴で、特に仏像の表現において高い評価を受けています。
  • 置物彫刻: 日常生活で使用される家具や道具の一部に施された彫刻作品で、彼の独自のセンスが光ります。

野口兼心(のぐち けんしん)

  • 蓮華座(れんげざ): 野口兼心の代表作の一つで、仏像の台座として使用される蓮華座に彼の彫刻技術が集約されています。
  • 欄間彫刻: 彼の欄間彫刻は、植物や風景をテーマにした繊細で美しい作品が多く、寺院や住宅の装飾として愛されています。

これらの讃岐彫り作品は、技術と美的感覚を象徴するものであり、香川県内の多くの寺院や神社、そして博物館で見ることができます。また、讃岐彫りの作家たちの作品は、現代でも高く評価されており、特に美術品としての価値が高いものが多いです。

★最後に讃岐彫りの作品を売る際に、よくある質問とその回答を以下にまとめました。

Q1: 讃岐彫り作品の価値を決める要素は何ですか?

A1: 価値を決める要素としては、以下の点が重要です。

  • 作家: 著名な作家の作品は高価です。特に象堂山人などの名匠の作品は高い評価を受けます。
  • 状態: 欠けやひび割れがない状態の良い作品は価値が高いです。
  • 希少性: 同様の作品が少ない、またはユニークなデザインである場合、価値が上がります。
  • 歴史的背景: 作品が持つ歴史や由来が明らかであると、価値が高まることがあります。

Q2: 讃岐彫りの作品の真贋(しんがん)を確認する方法は?

A2: 真贋を確認するためには、以下の方法が一般的です。

  • 専門家の鑑定: 経験豊富な鑑定士に依頼して、作品の真偽を確認することができます。
  • 作家の署名や印: 作品に作家の署名や印があるかを確認します。これがあると作品の真贋が特定しやすいです。
  • 来歴: 作品がどのような経緯で保有されてきたかを示す書類があると、真贋の確認に役立ちます。

Q3: 讃岐彫りの作品を売るのに最適な場所はどこですか?

A3: 売却する場所としては、以下が考えられます。

  • オークションハウス: 有名なオークションハウス(ザザビーズや読売オークションなど)では、専門的な評価が行われるため、高価で取引される可能性があります。
  • 骨董ディーラー(骨董品店): 讃岐彫りの作品を扱っている専門のディーラーに売却することで、適切な価格で取引できます。
  • オンラインプラットフォーム: eBayやヤフオクなどのオンラインマーケットプレイスも選択肢の一つですが、専門的な市場での評価を得にくいことがあります。

Q4: 売却前に作品の修復は必要ですか?

A4: 売却前に修復を検討することがありますが、時代の味が損なわれる可能性もありますので

  • 修復が必要な場合: 大きな損傷がある場合は、修復することで価値が上がることがあります。ただし、修復の質が問われるため、専門の修復士に依頼することが重要です。
  • 修復が不要な場合: 逆に、修復しないほうがよい場合もあります。特に古い作品は、修復を行うことで価値が下がることがあるため、事前に専門家に相談するのが良いでしょう。

Q5: 讃岐彫り作品を売る際の注意点は何ですか?

A5: 売却時には以下の点に注意してください。

  • 市場価格の把握: 現在の市場での取引価格を調査し、適切な価格設定を行います。
  • 正確な情報提供: 作家名、制作年代、来歴など、作品に関する正確な情報を提供することが重要です。
  • 信頼できるお店を選ぶ: 評判の良いオークションハウスや骨董店を選ぶと、適切な価格で取引することができます。

これらのQ&Aは、讃岐彫り作品を売却する際に役立つ基本的な情報です。具体的な状況に応じて、専門家(骨董店)に相談することをお勧めします。

 

◎関連、参考サイト

讃岐歴史文化ガイド (さぬき歴史文化探訪ナビ)​。

 

 

■その他の買取品目

 

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