福岡市城南区で北村西望のブロンズを買取りました!

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。今回は福岡市の閑静な住宅地でそこの一角にある日本庭園風の門構えを持つ平屋の和風邸宅。まだ蒸し暑さが残る10月の入り口、そんな場所に私は骨董品の買取依頼を受けてお邪魔しました。門をくぐると、風が通り抜けるような静かな庭の景色が目に飛び込んできました。まるで時が止まったかのような佇まいです。すると、木造の引き戸が音もなく開き、涼しげな浴衣姿に雪駄を履いたご主人が現れました。彼の姿は、まるで江戸の粋な風情を感じさせるものでした。「お入りください」と、柔らかな声で迎えられ、私はそのまま家の中へと招かれました。

家に一歩足を踏み入れると、目の前に広がったのは、所狭しと並ぶ骨董品、美術品の数々。棚の上、床の間、さらには廊下の隅々にまで、中国の壷や人形、李朝の家具、そして中国水墨画や掛軸がびっしりと並んでいます。まるで、骨董屋に迷い込んだかのような錯覚を覚えました。「これ、全部お父様が集められたものなんですか?」と私が尋ねると、ご主人はゆっくりと頷き、懐かしそうに話し始めました。「父は戦前、上海で商売をしていました。当時、趣味でこうした骨董品を集めていたんです。戦後、持って帰ってきたものが今もこうして残っていますが、私はよく価値が分からなくて…。それで複数の業者さんに見積もりをお願いしようと思ったんです。」

なるほど、そういうことなら他の業者と合い見積もりを取るのは賢明です。私もそれが一番良い方法だとお伝えし、早速査定に取り掛かることにしました。しかし、数がとにかく多い。ざっと見ただけでも、相当な量の品が目に飛び込んできます。これは一筋縄ではいかないぞ、と心の中で気合いを入れ直しました。

査定は一つ一つの品物を丁寧に手に取って確認する作業です。骨董品の世界は、「玉石混淆」という言葉がよく使われますが、まさにその通り。中には明らかに価値の高いものもあれば、そうでないものも混ざっています。ご主人自身も、価値について詳しくは知らないとおっしゃっていましたが、それでも大事にされている品々にはそれなりの思い出や歴史が詰まっていることが、品物から伝わってきます。査定を始めてから、時間はあっという間に過ぎ去っていきました。手に取る物一つ一つが、まるでその時代背景や作り手の思いを語りかけてくるかのようで、興味が尽きません。それにしても、こうした骨董品がこんなにも一堂に集められているとは、まさに骨董好きには夢のような空間です。

西日が少しずつ部屋の中に差し込み、そろそろ終わりの時間が近づいてきました。時計を見ると、すでに午後4時。なんと、査定を始めてから6時間が経過していました。「いやぁ、これは大変な仕事量だ」と自分でも思いましたが、それでも一つ一つの品物を見定めることができた満足感が心地よく、苦にはなりませんでした。そして、今回の査定の中で特に目を引いたのが、いくつかの有名な彫刻家の作品です。その中に、「北村西望」の作品がありました。これは、骨董品の中でも特に価値が高く、美術品としての評価も高いものです。北村西望は、昭和を代表する彫刻家であり、戦後の日本美術に大きな影響を与えた人物。その作品をこうして目の前にしているというのは、まさに感動的な体験です。北村西望の作品といえば、力強さと繊細さを兼ね備えた表現が特徴です。今回の作品も例外ではなく、独特の風格と重厚感が漂っていました。ご主人にその作家の知名度や価値をお伝えすると、驚いた表情を浮かべていましたが、どこか嬉しそうでもありました。

今回の依頼は、確かに大変な作業ではありましたが、それだけにやりがいを感じられるものでした。骨董品というのは、ただの物ではなく、その背後にある歴史や人々の思いが詰まっています。それを一つ一つ手に取って感じながら査定するというのは、まさに天職だと改めて実感しました。「これからもまたよろしくお願いします」とご主人が最後におっしゃった時、私は深く頭を下げ、感謝の気持ちを込めてその場を後にしました。この後、複数社の見積もりでしたが無事、私の見積もりが通りすべて買取させて頂きました。本当にありがとうございました。

 

買取品の詳細

◇今回の「北村西望作品」は「彫刻牛に題す 草原陽福」とありました。状態も良く、銀製ではありませんでしたが大理石の台座も付属しております。共箱で栞も付属していました。大きさは約20cm。重さは1.5kgでした。

買取査定額

◆北村西望の作品は材質や大きさ、テーマ、流通量により3000円~50万円と幅も広くなります。銀製の仏像などはとても人気があり高価買取が期待できます。尚、ご自宅や倉庫にブロンズ像や置物がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。

 

■過去の作品買取例

聖観世音像 銀製 箱付 700,000円
「百獣の王」 銀製   400,000円
将軍の孫ブロンズ像 250,000円
不動明王像                  150,000円 他多数

◇「北村西望」とは…

北村西望(きたむら せいぼう、1884年12月16日 – 1987年3月4日)は、日本を代表する彫刻家で、長崎県出身です。彼の名は主に「長崎平和祈念像」の作者として知られ、彼の作品は力強い表現と繊細な感覚が共存する独自の作風が特徴です。「長崎平和祈念像」は私も学生時代に修学旅行で目にしましたがその時も存在感とメッセージ性を感じたことは今でも覚えております。

生い立ちと彫刻家への道

西望は、長崎県南高来郡三会村(現在の島原市)で生まれました。幼少期から絵や彫刻に強い興味を示し、絵画や工芸に触れる機会が多かったことが、彼の芸術的才能を開花させる一因となりました。島原中学校(現在の島原高等学校)を卒業後、彼は彫刻家としての道を志し、上京します。東京美術学校(現:東京藝術大学)に入学し、彫刻を専攻します。この時期、彫刻家・高村光雲に師事し、日本彫刻の伝統と技術を学びました。

卒業後は、彫刻家として独立し、徐々にその才能を認められるようになりました。西望は日本の伝統的な彫刻に加え、西洋彫刻の要素も取り入れることで独自のスタイルを確立します。その結果、彼の作品は日本の彫刻界に新風を吹き込み、多くの人々から高い評価を得るようになりました。

西望のキャリアは、数々の公募展や展覧会での受賞歴に彩られています。1909年には「第3回文展(文部省美術展覧会)」に初めて出品し、その後も文展や帝展(帝国美術院展覧会)で入選を重ねました。彼の作品は次第に注目を集め、彫刻界での地位を確立していきます。

特に1918年に帝展で入選した作品「南風」(なんぷう)は彼の代表作の一つで、若き西望の才能を広く知らしめる契機となりました。この作品は、日本の伝統的な彫刻技法に加えて、西洋の自由な造形表現を取り入れた点が評価されました。

また、1922年には、彼の作品「怒濤」が帝展で特選を受賞しました。西望はその後も数々の作品で高い評価を受け続け、戦前・戦後を通じて活躍します。彼の作品は、戦争という時代背景も反映し、力強い生命力や平和への祈りがテーマとなることが多く、その芸術性は高く評価されています。

長崎平和祈念像について…

西望の代表作の一つであり、彼の名を不朽のものにしたのが、長崎平和祈念像です。この像は、1945年の長崎原爆投下後、世界平和を願うシンボルとして建てられました。長崎市の公募で西望の案が選ばれ、1955年に完成しました。像は高さ9.7メートルにも及ぶ巨大な青銅像で、右手を天に向けて「原爆の脅威」を示し、左手を水平に伸ばして「平和」を象徴しています。この像は現在も、長崎の平和公園に鎮座し、毎年多くの人々が訪れる平和の象徴として親しまれています。

 

作品の特徴と評価

北村西望の彫刻の特徴は、力強さと繊細さの絶妙なバランスにあります。彼の作品には、彫刻としての「重さ」と「軽やかさ」が共存し、観る者に強い印象を与えます。たとえば、長崎平和祈念像のように、大規模な公共彫刻であっても、そのフォルムには人間の生命力や祈りが込められ、単なる「大きな彫刻」にとどまりません。

また、西望の作品には、西洋の彫刻技法や表現も取り入れられていますが、同時に日本の伝統的な感覚や精神性も色濃く反映されています。彼は、師である高村光雲から受け継いだ日本彫刻の技術を大切にしつつ、革新的な試みも行いました。たとえば、西望の作品には、動物や自然をモチーフにしたものも多く、そのリアルな造形とともに、生命の躍動感や神秘的なエネルギーが表現されています。さらに、戦後の西望は「平和」や「生命」をテーマにした作品を多く制作しました。現在でも子供や少女、仏像や動物などがコレクターに親しまれております。

北村西望は、102歳でその生涯を閉じました。晩年まで精力的に制作を続けた彼の作品は、日本国内のみならず海外でも高く評価され、多くの展覧会や美術館で紹介されています。彼の作品は、彫刻という枠を超えて、日本の芸術文化を象徴するものとなり、次世代の芸術家たちに大きな影響を与えました。

 

特に有名な商品をいくつかご紹介します

1. 長崎平和祈念像(1955年) 長崎平和像

北村西望の最も有名な作品で、長崎市の平和公園に立つ大きな青銅像です。右手で原爆の脅威を示し、左手で平和を表す象徴的な姿は、戦後日本の平和への願いを強く表現しています。像の表情やポーズには、静かな祈りと平和への切実な願いが込められており、世界的にも知られています。

2. 南風(なんぷう)(1918年)

北村西望が帝展で入選し、彼の才能を世に知らしめた作品です。若い女性が風を感じている姿を描いた彫刻で、日本の彫刻界において新風を吹き込んだとされています。柔らかい表現と自由な造形が特徴で、西望の初期の代表作となっています。

3. 怒濤(どとう)(1922年) 怒涛

帝展で特選を受賞した作品で、海の荒波を背景に、力強く生命力あふれる姿が描かれています。西望の作品に見られるダイナミックなエネルギーと、自然や生命に対する深い理解が表現されています。この作品は彼の作風を確立し、彫刻家としての地位をさらに高めました。

4. 楠木正成像(1935年) 楠木正成像

東京・皇居外苑にある楠木正成の騎馬像です。楠木正成は日本の歴史上の武将であり、忠義の象徴とされています。この作品では、馬にまたがった正成が勇壮かつ威厳ある姿で描かれており、西望の卓越した造形力が表れています。力強い彫刻技術と、歴史的な人物像に深い感情を込めた作品です。

5. 歩く女(1970年)

晩年に制作された作品で、女性が歩く姿をテーマにしたものです。シンプルなポーズの中にも、生命の躍動感や人間の自然な美しさが表現されています。西望の作品には、女性や動物など、日常的なモチーフをテーマにしたものが多く、この作品もその一例です。優雅さと力強さが調和しており、彫刻の技術的な完成度が高く評価されています。

 

◎関連、参考サイト

西望記念館
東京近代美術館

■その他の買取品目

 

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