福岡市中央区で仙厓和尚の掛軸買取りました!
◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。古い家には古い物が眠っています。特に、先祖代々コレクター魂を受け継いできた一族の家ともなると、その眠りは深いものであります。今回訪れたのは、まさにその「眠り」を抱えるお宅。代々続いた骨董コレクターの家系ですが、今の当主が頭を抱えているのは次代にそれを受け継ぐ者がいないということ。
さて、このお宅には一体どんなお宝が眠っているのか。掛軸や書画はもちろん、重厚感たっぷりのブロンズ置物、異国情緒ただよう仏像、さらに時代を超えて国境を越えたコレクションが並んでいます。明時代の壷や花瓶、李朝の食器、ヨーロッパの銀食器までが棚に鎮座しているのを見ると、まるでギャラリーに来たかのような錯覚に陥います。コレクションの数々を前にして、私もいつになく慎重にことを進めなければなりませんでした。依頼者は、長年かけて大切に集めてきた品々を託してくれる友人の話を頼りに、私を呼んでくれたという。だからこそ、こちらも「よし、やるぞ」という気持ちが自然と湧いてきます。しかし、あまりにも多彩なコレクションの数々に、一日で査定を終えるのは至難の業であることはすぐに明らかであります。そこで、今回は特に中国や日本の骨董品に焦点を当てて、査定を進めることにしました。
このお宅の目玉といえるのが、なんといっても福岡では知らぬ者がいない書画の大家、仙厓和尚(せんがいおしょう)の掛軸。仙厓和尚は江戸時代の禅僧であり、その書画はユーモアと温かみで溢れていることで知られています。今回は、そんな仙厓和尚の掛軸が数本出てきました。酔っ払いの絵、寿老人、布袋(ほてい)さんなど、どれも彼ならではの愛嬌と独特のタッチが光る作品ばかり。
依頼主も仙厓和尚の作品を大事にしてきたようで、掛軸には共箱(ともばこ)も裏書(うらがき)も揃っており、保存状態も申し分ない。筆のタッチや画風の細かいところまで時間をかけて査定する。やはり本物ということで落ち着く。仙厓和尚の掛軸は特に福岡では人気が高く、その価値も申し分ない。やはり福岡出身の作者ということもあり、地域の人々にとっては特別な存在なのです。こうした背景もあって、今回は仙厓和尚の掛軸を高価買取することにななりました。もちろん、依頼主も「この金額でお願いします」と満足げな表情を浮かべていました。とはいえ、このような価値ある品々を査定することは、単なる金銭的な取引ではなくこれまでの歴史や思い出、さらには代々受け継がれてきた家族の物語を感じ取ることができる時間です。依頼者が「これだけ大切にしてきたんだ」と語る瞬間、その重みもこちらにも伝わってくる。だからこそ、私たちもその一つひとつを丁寧に扱い、できるだけ正確な価値を見極めることが求められるということです。
今回は手元に残すものと、手放すべきものをしっかりと見極めたうえでの査定でした。特に仙厓和尚の掛軸に関しては、手放す決断に至ったものの、その背後にはやはり深い愛着があったと思います。依頼者にとっても、その掛軸が新たな持ち主のもとでさらに大切にされ、また新しい物語を紡いでいくことに期待を寄せているように見えました。福岡を代表する作家の作品をこうして再び世に出すというのも、骨董品の買取業者としては格別な瞬間です。なぜなら、それは単なる「物」ではなく、その家族のストーリーやロマンであり、次に可愛がっていただける人への橋渡しをする役割を任されている仕事人としてのプライドでもあります。ありがとうございました。
買取品の詳細
◇この「仙厓掛軸」は今回は3本ありました。うち一本は掛軸で状態が良く次のお品は茶掛けサイズ、3本目は少し時代の痛みがありましたが3本とも共箱に入って印や箱書きもありましたので高価買取させていただきました。
買取査定額
◆仙厓和尚さんの買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作品の人気度と次に状態、そして付属品の有無などでより高価買取できます。なお、今回買取した掛軸作品は「酒」をテーマにした人気作品で状態もよく、しかも付属品や元箱なども揃っているということで高価買取させていただきました。書の作品で1万円から5万円の査定額になります。絵は画風や状態にもよりますが5万円~30万になります。ありがとうございました。尚、ご自宅や倉庫に掛軸や書画がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。
■過去の作品買取例
仙厓義梵 蛙画 400,000円
仙崖達磨図幅 300,000円
仙厓義梵 虎図 180,000円
仙厓義梵書 80,000円 他多数
仙厓和尚とは?
仙厓和尚(せんがいおしょう、1750年~1837年)は、江戸時代後期を代表する禅僧であり、同時にユーモアあふれる絵画や書を残した日本の禅画家としても知られています。彼の作品は、禅の教えを簡潔に表現し、日常生活の中にある禅の真理を描き出す点が特徴的です。また、風刺的でありながらも親しみやすい作風は、当時の人々だけでなく、現代でも多くの人々に愛されています。
仙厓は1750年、筑前国(現在の福岡県)の武士の家に生まれました。本名は無着といい、若い頃から仏教に関心を持ち、13歳で博多の聖福寺に入りました。師匠である高岳(こうがく)和尚のもとで厳しい修行を積み、後に中国にも渡り、さらに禅の教えを深めました。仙厓が特に学んだのは臨済宗という禅の流派であり、悟りを求めるための瞑想や問い答え(公案)を重要視する教えでした。
彼の修行の結果、臨済宗の高僧として認められ、1801年に聖福寺の住職となりました。聖福寺は日本で最初の禅寺として知られ、禅の教えを広めるために重要な役割を果たしていました。仙厓はこの寺で約30年間にわたり住職を務め、弟子たちを指導しながら、多くの人々に禅の教えを説きました。
仙厓の作品は、絵と書が一体となった「禅画」と呼ばれる形式が特徴です。彼の禅画は、難解で抽象的な教えを避け、ユーモラスかつシンプルに禅の真理を伝えることを目的としています。これは禅の教えをより多くの人々に理解させたいという彼の意図の表れでもありました。今回、買取させていただいた作品も例にもれず思わず「ぷッ」と吹き出すような絵でした。
例えば、「丸」という作品では、ただの円を描くだけで「無」や「空」の概念を表現しています。この円(エンソー)は、禅において完全性、無限、そして悟りの象徴とされています。仙厓の円は、精密さを追求するよりも、手書きの柔らかさと不均一さが際立っており、悟りが特定の形ではなく、自然でありのままの状態にあることを示唆しています。
また、「達磨図」も有名です。これは、禅宗の開祖とされる達磨大師を描いたもので、簡素な筆致で達磨の特徴的な姿をユーモラスに表現しています。この作品には「笑う門には福来る」といった禅の教えを思わせる書も添えられており、見る者にほのぼのとした笑いと悟りを与えるよう工夫されています。
また、彼の絵や書には、彼自身の温かい人柄が反映されており、親しみやすい人物としても知られていました。聖福寺に在住していた頃、寺の門を開放し、多くの庶民が仙厓の説法や作品に触れる機会を提供したとされています。彼の作品には、当時の一般市民や子供たちにも喜ばれるような工夫がなされており、しばしば子供たちへの贈り物として彼自身が制作した絵が残っています。
仙厓の代表作には「布袋図」や「虎図」、「蛙と蓮」などがあります。これらの作品には、シンプルな構図と柔らかな筆致が特徴的であり、複雑な技法や色使いを避け、禅の精神をストレートに表現しています。例えば「布袋図」では、笑う布袋が描かれており、笑顔と共に悟りを感じさせる作品です。布袋は福の神としても知られ、仙厓は布袋の表情を通じて、日常の幸福や悟りの簡素さを伝えようとしました。
仙厓の影響は、彼の死後も多くの禅僧や芸術家に受け継がれました。特に彼の作品は、20世紀以降に再評価され、近代日本美術にも大きな影響を与えました。彼の禅画は日本国内外で高く評価され、現代の禅芸術の先駆者としての地位を確立しています。
仙厓は1837年、87歳で亡くなりましたが、晩年まで精力的に創作活動を続けました。彼の作品は、今日でも多くの寺院や美術館に所蔵されており、福岡の聖福寺や京都の禅宗寺院などで見ることができます。また、現代のアート展覧会でもしばしば展示され、その独特のユーモアと禅の精神は今なお多くの人々に感銘を与えています。
★仙厓和尚の有名な作品をいくつかご紹介します。
- 達磨図 達磨大師を描いた禅画で、シンプルな線で達磨の丸みを帯びた姿をユーモラスに表現しています。彼の悟りを象徴する作品として有名です。
- 丸 ただの円が描かれたシンプルな作品ですが、禅における「無」や「空」を象徴しています。この円は完全性や悟りを表すものであり、仙厓の禅の核心を表現しています。
- 布袋図 笑顔を浮かべた布袋和尚を描いた作品で、福の神として知られる布袋の姿を通じて、日常の幸福や心の平安を示しています。
- 虎図 仙厓は虎を題材にしたユーモラスな作品を数多く残しています。彼の虎図は、厳つい虎のイメージを崩し、愛嬌ある表情やコミカルな姿を描いています。
- 蛙と蓮 禅の教えを象徴する蛙と蓮を描いた作品。シンプルな筆致で、蛙の静かな佇まいや蓮の生命力を表現しています。
◎関連、参考サイト
■その他の買取品目
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