福岡市中央区で鉄瓶・茶道具を買取りました!
◇秋風が心地よい10月の昼下がり、しばらく静かだった事務所の電話が鳴り響いた。「あの、母が遺した茶道具やら中国美術品やらが山のようにありまして…どうにかしてもらえないでしょうか?」と、少々焦り気味の声が。いかにも「いよいよ片付けないとまずい」状態らしい。「それは大変ですね。私にお任せ下さい!」と急いで車に飛び乗り現場に急行したが、到着してみると案の定、茶室どころかまるで戦場跡のような光景が広がっていた。掛軸が天井からぶら下がり、茶器が転がり、絵画や着物が無造作に積み重なっている。
家主に「これは…どういう状況ですか?」と恐る恐る尋ねると、「実は引っ越しの都合で、一応、開けてみようとしましたが全く価値が判りませんでした。でも、できれば今日中に全部処分していただきたいんです。」と言われました。ひざから崩れ落ちそうになった私。「今日中に!? いやいや、これは無理です。時間もスペースも足りませんよ」と内心焦りながらも、笑顔で「ええ、大丈夫です!何とかいたしましょう!」とプロらしく答える私。いや、まさに命懸けの笑顔だ。「信じていますから持って帰って後日、連絡いただければいいですので…」と家主さんからの助け舟…有難い!
こういった依頼は年に一度か二度はあるもので、助っ人の準備はすでに整えてある。急いで仲間に連絡を入れ、頼れる相棒たちが現場に駆けつけてきた。さあ、時間との戦いだ。骨董品、美術品、掛軸、着物、何でもかんでも車に積み込む。まるで昭和の引っ越し屋みたいな勢いで、私たちは大汗をかきながら荷物を運び出した。これで体力が持つのかと自問しつつも、何とか一日で作業を完了。現場を後にする頃には、もうすっかり日が沈んでいた。
帰宅後、ようやく品々を一つ一つ検分してみると、あれ、思ったよりすごい物がゴロゴロしているではないか!茶道具の中にはいくつもの鉄瓶があり、その中でも特に目を引くのは、まさかの純銀製の銀瓶。「あれ?これ、ひょっとしてかなりお高いんじゃ?」と胸が躍る瞬間である。他にも中国の古い掛軸や、絵画もかなりの年代物が含まれていた。査定結果をまとめ、家主さんに電話で報告すると、予想以上の高額査定に驚いた様子で、「ええ、ぜひお願いしたいです!」と即答。まるで宝くじに当たったような反応で、こちらも嬉しくなってしまった。「よかった…これで一安心」と胸を撫でおろす私。
最後には、「いや〜、本当にありがとうございました」と何度もお礼を言われ、こちらこそ感謝の気持ちを抱きつつ買取手続きを済ませた。しかし、このハラハラドキドキの一日が、また一つの「お宝さがし」のエピソードとなることだろう。この鉄瓶については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
六角鉄瓶は珍しいですね
◇今回の「鉄瓶」はの六角鉄瓶と岩肌鉄瓶で状態は錆が多くあまり良い状態ではありませんでしたが「春寿堂」と在銘があるのと珍しい形の鉄瓶でしたので高価買取させて頂きました。春寿堂の鉄瓶は時代があり肌の凹凸も非常にある岩肌の鉄瓶でした。水漏れはあございません。六角の鉄瓶も本体の模様は草花が施されとても趣のある作品でした。こちらも水漏れは御座いませんでした。ありがとうございました。
買取査定額
紫銅蓋です
◇鉄瓶の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者の知名度、次に状態と材質ほかには箱や栞などがあればより高価買取&できます。摘みに銀や金などが使用されていたり本体に象嵌や虫食いなどの創作がありましたらより高価買取が可能です。
ご自宅に鉄瓶や茶道具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例
春寿堂岩肌蟹紋鉄瓶 70,000円
六角鉄瓶 春寿堂造 30,000円
春寿堂造 京鉄瓶 10,000円
他多数
春寿堂とは?
◆春寿堂(しゅんじゅどう)は、岩手県盛岡市に拠点を置く伝統工芸品である「南部鉄器」を代表する工房のひとつです。春寿堂は、特に「鉄瓶」の制作で知られており、その精緻な技術と美しいデザインにより、国内外で高い評価を受けています。南部鉄器は400年以上の歴史を持ち、その伝統を守りながらも、現代のライフスタイルに合わせた製作を続けている工房の一つが春寿堂です。
歴史
春寿堂は、江戸時代末期の天保年間(1830年頃)に創業しました。当時、盛岡藩は鉄製品の産地として名を馳せており、鉄瓶や釜などの製造が盛んでした。南部鉄器の起源はさらに遡り、17世紀初頭の南部氏が盛岡の地に城を築き、その時代に武具や農具としての鉄製品が発展していきました。その後、茶道の隆盛と共に、茶の湯で使用される茶釜や鉄瓶が生産されるようになり、盛岡の地は日本有数の鉄器生産地となります。
春寿堂は、この南部鉄器の伝統を受け継ぎ、鉄瓶の制作において卓越した技術を磨いていきました。春寿堂は、代々その技術を受け継ぎ、品質の高い製品を生み出してきました。時代が進む中で、春寿堂の鉄瓶は実用性だけでなく、芸術的な価値も評価されるようになり、今日に至るまで多くの支持を集めています。
作家
春寿堂では、長年にわたり熟練の職人たちが鉄瓶を制作してきました。特に春寿堂の名を高めた作家の一人に、初代・春寿堂信一(しゅんじゅどう しんいち)があります。信一は、江戸時代後期に活躍し、伝統技術に新たな感性を取り入れ、鉄瓶の芸術的価値を高めました。その後も、2代目、3代目と春寿堂の名を継ぐ職人たちが、技術の研鑽を続け、南部鉄器の美しさと機能性を追求し続けました。
また、現代においても春寿堂は、伝統を守りながら新しい挑戦を続ける職人たちによって支えられています。例えば、春寿堂の作品は、伝統的な手法に加え、現代のデザインや新しい素材を取り入れることで、若い世代にも魅力を感じさせるものとなっています。今回の作品も大正時代のもので3代目のものだと思われます。
代表作品
春寿堂の代表的な作品としては、何と言っても「鉄瓶」が挙げられます。鉄瓶は、茶の湯や日常の湯沸かし器具として使われるほか、その独特の風合いやデザインから、インテリアとしても高く評価されています。以下に、春寿堂の代表的な鉄瓶の特徴をいくつか挙げます。
1. 瓢箪型鉄瓶(ひょうたんがたてつびん)
春寿堂の伝統的な鉄瓶の中でも、特に「瓢箪型鉄瓶」は人気の高い作品です。この鉄瓶は、瓢箪(ひょうたん)を模した形状が特徴で、丸みを帯びたフォルムが優雅さを感じさせます。表面には細かな彫刻が施され、伝統的な文様が描かれています。瓢箪型鉄瓶は、実用性と美術品としての価値を兼ね備えており、多くの茶道家やコレクターに愛されています。
2. 龍文鉄瓶(りゅうもんてつびん)
龍文鉄瓶は、その名の通り、鉄瓶の表面に龍の文様が彫り込まれた作品です。龍は古来より、力強さや守護の象徴とされ、日本の伝統的なデザインの一つとして広く使われてきました。春寿堂の龍文鉄瓶は、その細部まで丁寧に彫り込まれた龍の姿が特徴で、迫力と繊細さを同時に感じさせます。
3. 現代的デザインの鉄瓶
春寿堂は、伝統的な鉄瓶の制作に留まらず、現代のデザイン要素を取り入れた作品も数多く発表しています。例えば、ミニマルで洗練された形状や、カラフルな塗装を施した鉄瓶は、現代のライフスタイルにもマッチし、若い世代や海外の顧客にも人気があります。これらの鉄瓶は、伝統的な技術をベースにしつつ、日常生活での使いやすさも考慮されたデザインとなっており、インテリアとしても高く評価されています。
春寿堂の特色
春寿堂の鉄瓶が高く評価される理由の一つに、その製造工程における徹底した職人気質が挙げられます。鉄瓶の製造は、一つ一つが手作業で行われ、鋳造から仕上げまで、非常に手間と時間がかかります。特に鋳型の製作には高度な技術が必要とされ、鉄瓶の表面に美しい文様を描くためには、細心の注意が払われます。
また、鉄瓶の品質を左右するもう一つの要素は「鉄」の素材です。春寿堂では、厳選された良質な鉄を使用し、鉄瓶に独特の風味や質感を与えています。鉄瓶で沸かした湯は、まろやかな口当たりになると言われ、そのため茶道においては鉄瓶が重宝されています。今回の買取した岩肌の鉄瓶の鍛鉄技術も素晴らしいものでした。
◎関連、参考サイト
■その他の買取品目
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