福岡市早良区で南画の掛軸を買取りました!
◇こんにちは。骨董品買取の福岡玄燈舎です。五月も半ばになり少しづつ梅雨の気配が感じられる今日ですがどのような天気にもめげず毎日をお宝探しに明け暮れている私です。今回の出張査定は福岡市早良区という玄界灘にほど近い閑静な住宅街のお宅でご先祖が戦後まもなく持ち帰った古書や掛軸、鍔や浮世絵など20点ほど拝見させていただきました。その中では中国文人画を彷彿させるような山水画を数点買取できましたがこの掛軸は「南画」というジャンルの物で日本人が中国風に描いたものです。絹本に薄墨で描かれたものや紙本に水彩画のようなもので描かれたものなどいろいろです。南画は表装もやや豪華な作りで軸先は唐木を使用している物が殆どです。これを聞くとな~んだ中国美術品のコピーか?と思われますが実は南画で大成された方やその道の大家の方もございます。ただ単に上部だけを真似たものではなく中国文人の心や歴史、哲学や思想。人となりまでも精通して仕上げたものと感じます。俗に言われている「日本人はまずはコピー、そののちにオリジナル以上の物を作る!」まさにその通りだと思われます。なお、この掛軸については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
とても美しい山水画です
◇この「掛軸」は絹本に紫檀の軸先、まさに古い中国掛軸の外観になっており状態もとてもよく、古い掛軸によくみられる破れやシミなどは見受けられません。箱は二重箱で上等なものでした。作家名は余り知られていない人でしたので数本まとめての買取になりました。ありがとうございました。
買取査定額
岩や靄までも緻密に書かれていますです
◇掛軸の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に作者の知名度、次に画風、ほかには刻印が複数あればより高価買取&できます。なお、今回の掛軸はあまり知られていない作者が多くまとめての買取になりましたが掛軸全て買取させて頂いたので持ち主の方も大変喜んでおられました。ありがとうございました。
掛軸の買取相場ですが上記のように作家、画風、知名度、状態などでかなり差があります。ご自宅に掛軸が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
★下記に代表的な南画の作家ついて書きましたので参考にされてください…。
◇代表的な作家とその作品
1. 牧谿(まきけい)
- 13世紀の禅僧。南画の祖と称されます。
- 代表作:
- 「瀟湘竹図」(しょうしょうちくず):淡墨で描かれた竹林の風景。繊細な筆致と簡潔な構図が特徴。
- 「観音猿猴図」(かんのんえんこうず):観音菩薩と猿猴を描いた作品。ユーモラスな表現と写実的な描写が特徴です。
2. 四方赤壁(しかくせきへき)
- 14世紀の画家。牧谿の画風を受け継ぎ、山水画で知られます。
- 代表作:
- 「山水図」(さんすいず):雄大な山水の風景を描いた作品。力強い筆致と水墨の濃淡による表現が特徴です。
- 「渓山楼観図」(けいざんろうかんず):山中に建つ楼閣を描いた作品。繊細な筆致と緻密な描写が特徴です。
3. 狩野元信(かぬのもとなぶ)
- 室町時代後期から戦国時代の画家。室町時代における南画の代表的な画家です。
- 代表作:
- 「松鷹図」(しょうようず):松と鷹を描いた作品。力強い筆致と写実的な描写が特徴です。
- 「山水図」(さんすいず):山水の風景を描いた作品。淡墨で描かれた水墨画であり、静寂な雰囲気が漂います。
4. 長谷川等伯(はせがわとうはく)
- 安土桃山時代の画家。狩野派の画風を受け継ぎ、水墨画や障壁画で知られます。
- 代表作:
- 「松林図」(しょうりんず):松林の風景を描いた作品。力強い筆致と水墨の濃淡による表現が特徴です。
- 「山水図」(さんすいず):山水の風景を描いた作品。金箔を使用した豪華絢爛な作品です。
5. 池大雅(いけのたいが)
- 江戸時代の画家。文人画の代表的な画家です。写実的な描写と簡潔な構図が特徴です。
- 代表作:
- 「富嶽図」(ふがくず):富士山を描いた作品。力強い筆致と水墨の濃淡による表現が特徴です。
- 「蘭竹図」(らんちくず):蘭と竹を描いた作品。静寂な雰囲気が漂います。
6雪舟等楊(せっしゅうとうよう)(1420年~1506年)
- 室町時代の代表的な南画画家。
- 大胆な構図と力強い筆致で知られる。
- 代表的な作品:
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- 「山水図」:雄大な山水の風景を描いた作品。雪舟の代表作の一つ。
- 「等楊自画像」:雪舟自身の姿を写した作品。鋭い洞察力と精神的な深みが感じられます。
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■過去の作品買取例
田中頼璋 双幅 春秋山水図 200,000円
岡本秋暉 真筆 秋暉の孔雀 200,000円
田能村竹田 蘭亭曲水図 150,000円
中林竹渓 柳下香魚図 80,000円 他多数
南画とは?
山間部の家屋です
◇南画は、中国の宋・元代に興った水墨画を源流とする絵画様式で、13世紀頃に禅僧によって日本に伝来しました。その後、日本の文化に根付き、独自の様式へと発展を遂げました。そして掛軸は、南画を鑑賞する上で最も一般的な形式の一つです。掛軸の世界において、南画は中国絵画の影響を受けた日本の絵画様式であり、水墨画を中心とした繊細な表現と写実的な描写が特徴です。室町時代から江戸時代にかけて盛んに制作され、多くの優れた作品が生まれています。
◇南画の特徴
- 水墨画を中心とした表現: 南画は、墨の濃淡や筆致によって表現を豊かにする水墨画が主流です。
- 写実的な描写: 南画は、自然や人物を写実的に描写することを重視します。
- 簡潔な構図: 南画は、無駄な装飾を排した簡潔な構図が特徴です。
- 精神的な表現: 南画は、自然や人物を通して、作者の精神的な内面を表現することを目指します。
◇そのほかの南画作家…
室町時代
- 周文(しゅうぶん):雪舟の師匠。簡潔な線描と淡い色彩で山水画を描いた。
- 狩野正信(かのうまさのぶ):狩野派の初代。室町幕府御用絵師として活躍した。
- 曾我蕭白(そがしょうはく):狩野派の画家。力強い筆致と華やかな色彩で知られる。
江戸時代
- 伊藤若冲(いとうじゃくちゅう):江戸時代の代表的な博物画家。動植物を写実的に描いた作品で知られる。
- 円山応挙(まるやまおうきょ):写生派の祖。写実的な人物画で知られる。
- 渡辺崋山(わたなべかざん):江戸時代の代表的な文人画家。風刺画や写生画で知られる。
- 浦上玉堂(うらがみぎょくどう):文人画の代表的な画家。水墨画で山水画や花鳥画を描いた。
- 田能村竹田(たのむらちくでん):南画と西洋画の技法を融合させた独自の画風で知られる。
明治時代以降
- 橋本雅邦(はしもとまさくに):明治時代の代表的な南画画家。東京美術学校の初代校長を務めた。
- 横山大観(よこやまたいかん):日本画の大家。水墨画で山水画や花鳥画を描いた。
- 竹内栖鳳(たけうちせいほう):横山大観の弟子。写実的な人物画で知られる。
現代
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村上一郎(むらかみいちろう):戦後の南画復興に貢献した画家。
- 代表作:
- 「山水図」:宋元時代の山水画の技法を取り入れた作品。
- 代表作:
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小林古径(こばやしこけい):写実的な南画で知られる画家。
- 代表作:
- 「四季山水図」:四季の移ろいを描いた作品。繊細な描写と豊かな色彩で知られる。
- 代表作:
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前田麦僊(まえだばくせん):装飾性の高い南画で知られる画家。
- 代表作:
- 「金閣寺図」:金閣寺を描いた作品。華やかな色彩と金箔を用いた装飾で知られる。
- 代表作:
■参考サイト
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東京大学大学院総合文化研究科 東洋学東洋美術研究室:https://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/cn/intro/intro.html
- 研究室のウェブサイトでは、所蔵する南画作品の画像を閲覧することができます。
- 研究論文や講演会情報なども掲載されています。
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京都大学貴重資料総合学術研究:https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/en
- 南画を含む、貴重な書籍や資料を所蔵しています。
- 一部の資料はデジタル化されており、ウェブサイトで閲覧することができます。
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文化庁 文化遺産オンライン:https://www.bunka.go.jp/
- 国宝や重要文化財に指定された南画作品を検索することができます。
- 作品画像や解説情報も閲覧できます。
■その他の買取品目
★骨董品買取の福岡玄燈舎では古美術品の他、アンティークや掛軸、茶道具、書道具、絵画、仏像、勲章、中国陶磁、甲冑など多彩な骨董品を査定買取しております。お見積りだけでも構いませんのでお気軽にご相談ください。