福岡市早良区でマイセンのコーヒーカップを買取りました!
◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。福岡市早良区の海沿い、潮風がほんのり香るあたりに、木造瓦葺の立派な邸宅がありました。今回、こちらから骨董品の買取依頼をいただきました。見事な日本庭園に手入れの行き届いた植栽が並び、どこか昭和の風情を色濃く残した一軒家です。庭の石畳を歩きながら、静かな佇まいに思わず感嘆の息が漏れました。昭和初期に建てられたらしく、全体的に古風な趣きがあるものの、リフォームを施されていて、現在でも住み心地が良さそうなお宅です。
出迎えてくれたのは、穏やかな笑顔が印象的な高齢のご夫婦でした。先々代から続く家柄だと語るお二人の話を聞くと、何とも物語のある一家だと感じさせられます。どうやら先々代は貿易商だったらしく、仕事柄、世界中を飛び回っていたそうです。アメリカ、ヨーロッパ、中国…彼が海外から持ち帰った品々は、異国の香りを漂わせ、この家の一角に並べられていました。長い間整理する機会がなく地下室に仕舞い込んでいたそうですが、今回の引っ越しを機に思い切って処分しようという話になったのだとか。
早速、査定を始めることになりました。ご夫婦の案内で奥の部屋に通されると、そこはまるで小さな美術館のようです。棚にはアンティークのブロンズ像がいくつも並び、壁には中国の掛軸が掛けられています。隣の棚には、色鮮やかな油絵が飾られていました。どの品も丁寧に手入れが行き届いており、ご家族の愛情が伝わってきます。「ただの骨董品」ではなく、一つ一つにこの家族の歴史が込められているようでした。
査定を進める中で、中国の書画や煎茶道具も出てきました。いかにも貿易商らしい、異国情緒と和の趣が絶妙に交錯したラインナップです。そして、少しずつ箱や布を解きながら、それぞれの価値を見極めていきました。何十年もの時を経てここに眠っていた品々は、驚くほど保存状態が良く、まるで次世代に引き継がれることを意識したかのように大切に保管されてきたのがわかりました。
その時、家主の方が一つの紙箱を手に持ってきました。どことなく重厚感のある白い箱で、丁寧に包まれています。慎重に蓋を開けると、そこには美しいコーヒーカップが現れました。繊細な絵柄が施されたカップは、ただの陶器とは一線を画す存在感を放っています。見れば「マイセン」でした。しかも非常に珍しい図柄で、質の良さが手に取るようにわかります。わずかに口元が緊張しましたが、手にするとその美しさに思わず見惚れてしまいました。長らく地下室に眠っていたにもかかわらず、色褪せることなく輝きを放っています。慎重に査定した結果、こちらは高価買取とさせていただきました。
そして、それだけでは終わりませんでした。地下室からはさらに戦前のブリキ製のアメリカのおもちゃまで出てきました。星条旗があしらわれたデザインや、レトロなフォルムが時代を超えてきたかのような趣があり、今となっては希少な品です。これらも査定を済ませ、買取価格を提示しました。ご夫婦は満足げに頷き、今回の引っ越しでずっと懸案だった家の品々が新しい価値を持って迎え入れられることにほっとした様子でした。
一通りの査定が終わり、少し休憩を挟むことにしました。家主から「昼食でも一緒にどうですか」とお誘いを受け、ありがたくご馳走になりました。庭を眺めながらの食事は格別で、海風の香りが心地よいです。食事の間、ご夫婦から先々代の仕事や、品々にまつわるエピソードを聞かせていただきました。どの話も興味深く、今回拝見したアンティークや骨董品に込められた歴史や家族の想いを再認識する貴重な時間でした。こうしてただの「買取業務」ではなく、品々に宿る物語に触れる機会を得ることができたのです。最後にご夫婦から感謝の言葉を頂き、お礼を述べてこの家を後にしました。このマイセンの茶器については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細
◇この「マイセン」は当時物としては状態も良く、特に金彩のペイントロスも少ないコーヒーカップでした。品名は不明ですが色彩や図柄などから見て日本の絵画の影響をかなり受けているとみられました。たぶんですが大正か明治期に日本の伊万里や有田焼からヒントを得て製作されていたと思われます。時代も戦前のもので間違いなさそうです。
買取査定額
◆マイセンの買取査定は作品の人気シリーズ、状態、」時代、製作数量などから総合して値付けを致します。今回のこのマイセンはとても貴重な作品で状態も良く、ほとんど見かけない茶器でしたので高価買取させて頂きました。ありがとうございました。尚、ご自宅や倉庫にマイセンや西洋茶器、食器がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さい。宜しくお願い致します。
■過去の作品買取例
マイセン アラビアンナイト ティー フルセット 700,000円
マイセン サマーナイトドリーム 真夏の夜の夢 500,000円
フィギュリン クリノリン キス ケンドラー作 350,000円
Xフォーム 散らし花 宮廷の小花 コーヒーセット 200,000円 他多数
◇マイセンとは…
◇ドイツ・マイセン磁器製作所 (Meissen Porcelain Manufactory) は、1710年にヨーロッパで初めて硬質磁器を製造したことで知られる歴史的なブランドです。ドイツ・ザクセン地方の都市マイセンに創設され、ザクセン選帝侯アウグスト強王が設立の中心人物でした。当時、中国製の磁器は「白い金」と呼ばれ、高価で貴重な輸入品だったため、ヨーロッパ各国が独自の磁器製造を目指していました。
1708年に、錬金術師ヨハン・フリードリヒ・ベットガー (Johann Friedrich Böttger) が硬質磁器の焼成に成功し、彼の発見を元に、ザクセン王国の宮廷によりマイセン磁器製作所が設立されました。初期の頃は、中国磁器の影響を受け、伝統的な東洋風の模様やデザインが取り入れられましたが、やがてヨーロッパの美術や文化に適応し、独自の様式を確立していきました。特に18世紀半ばには、フランスのロココ様式の影響を受けた華やかなデザインが人気を博し、ヨーロッパ貴族の間でマイセンの磁器は広く愛されるようになりました。
著名な代表作品
マイセンは、様々な磁器作品を生み出してきましたが、その中でも特に有名な代表作品をいくつかご紹介します。
- ブルーオニオン (Blue Onion) 18世紀中頃に生まれた「ブルーオニオン」は、白磁に青色で描かれた玉ねぎや花々のモチーフが特徴で、マイセンを象徴するデザインの一つです。実際には玉ねぎではなく、ザクロなどの植物が描かれているのですが、デザインが玉ねぎに似ているため「ブルーオニオン」と呼ばれています。このシリーズは、単に美しいだけでなく、上品で繊細な柄が多くの人々に愛され、現在もマイセンの定番商品として親しまれています。当店でもたびたびこのシリーズは買取させて頂いております。やはり一番人気ですぐに売り切れる商品です。
- スノーボール (Snowball Blossoms) 1739年に発表された「スノーボール」は、無数の小さな花の形をした白い磁器を連ねて作られた作品です。優美でロマンティックなこのデザインは、マイセン磁器の中でも特に芸術性が高く、当時のヨーロッパ貴族たちから絶賛されました。スノーボールのような精緻な装飾は、職人たちの技術の高さを象徴しています。
- 人形 (Figurines) マイセンは磁器製の人形にも力を入れていました。特に18世紀の彫刻家ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー (Johann Joachim Kaendler) による人形は、当時のロココ様式やヨーロッパの貴族文化を反映し、愛らしくも繊細な仕上がりです。彼の作品の中には、当時の宮廷の服装や日常の風景をリアルに再現したものもあり、マイセンの磁器人形は芸術作品として評価されています。当店でもたまにマイセン人形は買取させて頂きますがとても細やかな色付けや造作で見るたびにため息がでリ品が多いです。
- インディアン フラワー (Indianische Blumen) 18世紀に発表されたこのシリーズは、オリエンタルな雰囲気が特徴的で、特に中国風や日本風の花々が描かれています。当時のヨーロッパでは東洋のデザインが流行しており、その影響を受けた作品として人気を集めました。
ライバルメーカー
マイセンが発展していく中で、他のヨーロッパ各地でも磁器製作が広まり、さまざまな磁器ブランドが登場しました。マイセンに影響を受けつつも独自の美しさと伝統を築いたライバルメーカーには、以下のようなブランドが挙げられます。
- ロイヤル コペンハーゲン (Royal Copenhagen) デンマーク王室御用達のロイヤル コペンハーゲンは、1775年に創立され、青と白の繊細なデザインで知られています。特に「フローラ ダニカ」というシリーズは、デンマークの植物を忠実に再現し、科学的な観点と美的な視点を兼ね備えた作品として評価されています。ロイヤル コペンハーゲンの青い花柄は、マイセンのブルーオニオンにも通じるものがあり、北欧独自の透明感を特徴としています。
- セーヴル (Sèvres) フランスのセーヴル磁器製作所は、マイセンと並ぶヨーロッパの高級磁器ブランドとして知られています。セーヴルは、ルイ15世の庇護を受けて成長し、ロココ様式の影響を強く受けたエレガントで華麗なデザインが特徴です。パステルカラーの繊細な色合いや、花模様、金箔を使った装飾など、マイセンとは異なる独自のフランス風の美を追求しています。
- ヘレンド (Herend) ハンガリーのヘレンド磁器は、1826年に創業され、手描きの絵付けが特徴です。特に「ロスチャイルド・バード」や「ヴィクトリアンパターン」といったシリーズは、イギリスのヴィクトリア女王やヨーロッパの王族に愛されました。ヘレンドは、マイセンのように独特の風合いや華やかな装飾を施しつつ、ハンガリーの職人たちの手仕事による繊細な絵付けが魅力です。
- ウェッジウッド (Wedgwood) イギリスのウェッジウッドは、磁器というよりも陶器の分野で特に成功したブランドですが、青地に白いカメオ装飾の「ジャスパーウェア」はウェッジウッドの代名詞であり、ヨーロッパの磁器ブランドと肩を並べる存在です。ウェッジウッドの作品は、クラシカルで気品があり、装飾的な面でもマイセンやセーヴルと競い合うような美しさが評価されています。
マイセンは、300年以上の歴史を持つヨーロッパ磁器の先駆者であり、その作品は時代を超えて愛されています。ブルーオニオンやスノーボールなどの代表的なシリーズは、職人技術の高さとデザインの美しさを象徴しています。マイセンの成功は、ヨーロッパ各地の磁器メーカーにも影響を与え、ロイヤル コペンハーゲンやセーヴル、ヘレンドといったライバルたちが独自のブランドを築き上げました。
◎関連、参考サイト
■その他の買取品目
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