福岡市中央区で竜笛(龍笛)を買取りました!

そろり、そろりと福岡にも秋の風が首を出し始めたある日のこと。私のもとへ一本の電話が転がり込んできた。声の主は、かねてからお世話になっている骨董好きの友人である。曰く――「うちの檀家である寺から、あんたにぜひ骨董の査定をしてほしいって話があるんよ」。
寺といえばだ。こちらの頭にまず浮かぶのは、仏像であり、仏画であり、掛軸に太鼓に錫杖といった仏具、いわゆる「ザ・お寺の道具」ばかりである。これが相場だろうと胸を張って言える。寺と骨董とくれば、それこそ如来の微笑みや不動明王の目つきが光る、ありがた~い世界が広がっているはず。
ところが、いざ現場に足を運んでみると、目に飛び込んできたのは、そんな古色蒼然とした世界とは少々勝手の違う光景だった。
なんと、レコードと楽器である。しかも昭和歌謡からクラシック、さらにはハードロックまで取り揃えられた、ジャンルも年代もバラエティに富んだコレクションだ。おまけにエレキギターが数本、壁に立てかけられている。寺にエレキ。お経とロックンロールの取り合わせの妙。これをミスマッチと呼ばずして何と呼ぼうか。
さらに目を転じれば、琴、三味線、竜笛、尺八といった和楽器も鎮座している。こちらはさすがにお寺らしい風情を醸し出すが、それにしたって量が尋常でない。廊下を歩けば琵琶に足を引っ掛けそうになるし、座敷を覗けば太鼓に膝をぶつけそうになる。

「いやはや、これはまた楽器尽くしのお寺ですね」
そう声をかけると、ご住職はニコニコ笑いながら答えてくださった。
「ワシはね、昔から雅楽や神楽が好きでなぁ。檀家の寄進で譲り受けたものや、自分であちこち買い集めたものがこうして増えてしもうたんよ」
成る程、仏像や仏画が一方にありつつ、趣味としての楽器コレクションがもう一方に並んでいるというわけだ。お経の合間に三味線を爪弾き、法話の後にギターで一曲、なんてことはないだろうが、もしやるとなれば檀家もびっくり仰天するに違いない。
さて、査定を始めるとこれがまた面白い。三味線の中には、江戸期に作られた蒔絵入りの逸品がある。黒漆の地に金の蒔絵が流れるように描かれていて、見ているだけで粋な旦那衆の影がちらつく。おそらく遊郭や芝居小屋あたりで、粋人たちが調子を合わせていたものだろう。
さらに、箱からゴソリと出てきた一本の尺八。これが鎌倉時代の代物ときた。もっとも、保存状態は「ボロボロ」という形容がぴったりで、吹こうとしたらパラパラ崩れてしまいそうだ。しかし、このボロボロ具合こそがまた歴史の重みを語っている。想像するに、かつて修験者が山奥で吹き鳴らしていたのではなかろうか。
「これはなかなか珍しいですなあ」
思わず声が漏れると、ご住職が得意げにうなずかれた。
「そうじゃろう。よう分かってくれるのう。わしもこれは手放すのを迷ったが、まあ次に大事にしてくれる人の手に渡ったほうが楽器も幸せやろう」
まことにその通り。骨董というものは、人の手を渡り歩くことで命をつなぎ、物語を紡いでいくのだ。
実は私自身、若い頃からギターを嗜んでいる。といっても人前に出せるほどの腕前ではないが、弦を弾けば心が軽くなるという程度には愛している。
そんな私がギターの話題を出すや否や、ご住職の目がキラリと光った。
「おお、あなたもギターを! それならこのフェンダーを見てくだされ」
案内された部屋には、見事なストラトキャスターが鎮座していた。シルエットから漂うオーラは、まさに寺の宝仏と肩を並べてもよいほど。まさか寺でストラトを拝むとは思いもよらなかった。
その後しばし、仏具の話はさておきギター談義が本堂で繰り広げられた。「どのアンプがいい」「ストラップは革に限る」などと、まるで楽器屋の立ち話のようなやりとりである。お経の響きよりも弦の響きが堂内を満たしていたのだから、これはもう寺というよりライブハウスの様相であった。
ひと通りの査定を終えた私は、心中密かに興奮していた。仏像も掛軸も確かに素晴らしかったが、それ以上に楽器の数々が面白かったからだ。時代を超え、文化を超えて集まった楽器たちは、どれもが唯一無二の存在感を放っている。
「ありがたいことに、全部まとめて引き取らせていただきます」
そう告げると、ご住職は満足そうに頷かれた。
「楽器たちも、これでまた新しい旅路に出られるわけじゃな」
その言葉に胸を打たれた。骨董の買い取りとは、単にモノのやり取りではない。過去から未来へと、命を受け渡す行為なのだ。
そして帰り際、ご住職がひとこと付け加えられた。
「次は蔵を整理しようと思うんじゃが、そこには昔わしが遊んだブリキのおもちゃが山ほどあるんじゃ」
ブリキのおもちゃと聞けば、こちらの胸も踊る。ゼンマイを巻けばカタカタ走る車や、手足をぎこちなく動かすロボット。昭和の子どもたちの夢を詰め込んだ小さな金属の宝箱だ。
「そいつは楽しみですなあ」
思わず口元が緩む。秋風の先にはブリキの冒険が待っているらしい。
こうして今回の寺での骨董査定は、楽器と笑いとご住職の人柄に彩られ、実に愉快なひとときとなった。
秋が深まればブリキの玩具たちに会えるだろう。その時もまた、私の「放浪骨董看板」は、のこのこと寺へと足を運ぶに違いない。今秋ご紹介する買取品の竜笛については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「竜笛」は古竹でできておりますが糸巻の状態もとてもよく、古い竜笛笛によくみられるひび割れや口元の割れなどは見受けられません。音もp正常に出ています。作家ものではありませんが楽器としても上質なものと思われます。
買取査定額
◇竜笛の買取査定額もしくは評価額ですがまず作者の知名度、次に竹質と時代、ほかには刻印や箱あればより高価買取できます。ご自宅に竜笛や尺八が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例
桜樺巻き 希少 本煤竹丸管 400,000円
獅子田太兵衛(宗次)作品 300,000円
山田仙太郎氏竜笛 150,000円他多数
龍笛(竜笛)とは?
◇竜笛(龍笛、りゅうてき)は、日本の伝統音楽「雅楽」に用いられる管楽器の一つで、天と地をつなぐ“風”の象徴とされる横笛です。その音色は、清らかでありながら深い余韻を持ち、古代から現代に至るまで、多くの人々の心を打ってきました。
1. 竜笛の歴史
竜笛は、中国の唐の時代に伝来した笛をもとに、日本独自の改良を経て成立した楽器です。その起源をたどれば、古代中国の横笛「篳篥(ひちりき)」や「笛子(てきし)」に類似するものがありますが、日本においては奈良時代から平安時代にかけて、宮廷音楽である「雅楽」の中で定着しました。
日本への正式な伝来は7世紀~8世紀ごろとされ、特に聖徳太子の時代から遣隋使・遣唐使を通じて多くの中国文化がもたらされたことにより、楽器としての竜笛もその中で取り入れられたと考えられています。雅楽は当初、天皇や貴族など上流階級の間で演奏され、宗教儀礼や国家行事と深く結びついていました。
竜笛は、雅楽のうち「管絃(かんげん)」や「舞楽(ぶがく)」で重要な旋律楽器として用いられてきました。特に舞楽では、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)とともに「三管(さんかん)」と呼ばれ、管弦合奏の中心を成します。
2. 竜笛の構造と音色
竜笛は竹製の横笛で、全長は約40cm程度、内径はやや広めで、音孔は7つあります(前面に6つ、裏面に1つ)。その構造は一見すると能管(能楽で使用)や横笛(民俗芸能で使用)と似ていますが、内径の太さと音孔の配置、そして音域の広さにおいて大きく異なります。
竜笛の特徴的な音色は、澄んでいて高音域までよく伸びることにあります。笙や篳篥のような柔らかく重厚な音に対して、竜笛は鋭く遠くまで響きわたる音を持ち、合奏の中では旋律線を担当する重要な役割を担います。そのため、屋外での演奏でも音が通りやすく、「風の声」とも称されるような美しい響きを持ちます。
また、竜笛には「差し替え」と呼ばれる高度な技巧があり、演奏中に指の穴を開け閉めするだけでなく、息の強弱、口の開け方を巧みに調整して微細な音高の変化を生み出します。この表現力の豊かさこそが、竜笛の魅力の一つです。
3. 使用される場と演奏形式
竜笛は主に以下の場面で使用されます。
① 宮中行事・国家儀式
古来より竜笛は、天皇の即位式や新年の儀、神嘗祭など、国家的・宗教的な重要儀式において演奏されてきました。現在でも皇居で行われる雅楽演奏において、竜笛は中心的な楽器として用いられています。
② 雅楽演奏会・神社仏閣での祭礼
伊勢神宮や春日大社、明治神宮など、全国の主要神社では、神前での舞楽や神事に際して雅楽が奉納され、そこでも竜笛が演奏されます。また、一般公開の雅楽演奏会でも登場する機会が多く、観客に古代の音色を届けています。
③ 学術的・教育的活動
現在では、大学の音楽学部や雅楽団体において、竜笛の技術と知識が継承されています。東京藝術大学をはじめとする教育機関では、竜笛を専門とする教授陣が後進の指導にあたっています。
④ 映画・舞台・現代音楽との融合
近年では、伝統的な雅楽の枠を越えて、現代音楽や映画音楽、舞台芸術とのコラボレーションも進んでいます。竜笛の幻想的な音色は、演出効果としても高い評価を受けています。
4. 有名な演奏者たち
○ 芝祐靖(しば すけやす、1927–2019)
元宮内庁式部職楽部楽師長。雅楽を現代に継承しつつ、新たな作品の作曲・演奏にも取り組んだ人物。竜笛の名手としても知られ、戦後雅楽の再興に多大な貢献をしました。映画『地獄門』などでの音楽監修も担当。
○ 東儀俊美(とうぎ としみ)
雅楽界の重鎮で、宮内庁楽部にて長年活躍した。竜笛の名手として数々の演奏会に出演し、伝統の継承と普及に努めました。
○ 東儀秀樹(とうぎ ひでき)
現代の雅楽演奏家であり、作曲家・マルチアーティスト。竜笛、篳篥、笙を操り、伝統とポップスの橋渡し役としても活動中。テレビやCMなどメディアへの出演も多く、竜笛を現代人に広く知らしめた第一人者です。
○ 芝康次郎(しば こうじろう)
芝祐靖の孫であり、宮内庁式部職楽部の楽師。竜笛を中心に、古典雅楽と現代音楽の両分野で活躍しており、国際的な演奏活動も行っています。
5. 現代における竜笛の意義
現代においても竜笛は、日本の伝統文化を象徴する重要な存在であり続けています。その音色は、単なる「古い音楽」ではなく、日本人の精神性や自然観を今に伝える“音の遺産”と言えるでしょう。近年では、国際的な文化交流の場でも雅楽が注目を集め、竜笛の響きが世界中で賞賛されています。また、邦楽や映画音楽、ゲーム音楽などに取り入れられることも増え、古典と現代をつなぐメディアとしての可能性も広がっています。私どもの骨董業界では美術品的なものが多く流通します。蒔絵が入ったものや象嵌が施された笛、など実際に演奏するほか飾って拝観する楽器の一つです。


■参考サイト
・彦根城博物館(滋賀県彦根市)
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龍笛 銘「花鳥丸」(平安時代後期/筒は江戸時代後期)
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龍笛 銘「福原」(鎌倉時代/箱は山田常嘉による蒔絵)
雅楽器の美と由緒を感じられる収蔵品が豊富です。
・浜松市楽器博物館(静岡県浜松市)
雅楽の主要楽器として龍笛をはじめ、篳篥や笙などを常設展示しています 。龍笛の音色や仕組みについての解説、イヤホンガイドや体験コーナーもあり、目で見て、音を聴いて、直接触れることもできる総合的な施設です。
・笛資料館(福井県大野市)
源義平の「青葉の笛」複製のほか、篠笛、能管、縄文・弥生時代の土笛、そして龍笛も含む多数の笛を展示しています
・国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)
過去の特別展「音と人の風景」では、雅楽器として龍笛も展示されました。雅楽器の歴史や背景を広く学ぶ機会として有意義です 。また、紀州徳川家伝来の龍笛なども過去の展示として紹介されています
■その他の買取品目
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