
福岡市南区で懐中時計を買取りました!

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■う~む……蒸し暑い。
朝から口を開けばそれしか出てこない。まるで壊れた蓄音機である。もっとも最近は蓄音機そのものを知らない若者も多いらしい。世の中便利になったと言われるが、知らなくてもいいことまで忘れていくのだから、人類の進歩というものもなかなか怪しい。
六月の福岡はまるで巨大な蒸し器だ。
外へ出れば眼鏡は曇る。車に乗ればシャツは背中に貼り付く。財布の中身だけは年中乾燥注意報なのに、空気中の湿気だけは遠慮なく充満している。
そんな中でも我々夫婦骨董屋は今日も元気である。
いや、元気に見せているだけかもしれない。
骨董屋という商売は、どんなに苦しくても「景気はどうですか?」と聞かれれば「まあまあです」と答える生き物である。本当は昨夜の晩酌代を計算して青ざめていても顔には出さない。
タヌキと骨董屋は化かされる前に化かす顔を覚えるのである。
さて本日の依頼先は福岡市内のとあるマンション。
電話では、
「父が施設に入りましてね……」
というお決まりの前置きがあった。
近頃の骨董品買取は、この「施設に入りまして」が枕詞になっている。
少子高齢化だの終活だの断捨離だの、世間はいろいろもっともらしい言葉を作るが、我々から見れば結局のところ「集めた人より片付ける人の方が大変」というだけの話である。
何十年もかけて集めたコレクションも、残された家族から見れば場所を取る置物だったりする。
人生とはなかなか皮肉なものだ。
マンションに到着すると依頼主のご子息が出迎えてくれた。
部屋の中へ入ると早速、棚という棚から骨董品が顔を覗かせている。
おお、これはなかなか。
まず出てきたのは有田焼。
続いて鍋島焼。
さらに高麗青磁。
そして唐津焼。
まるで骨董品界の幕の内弁当である。
しかもどれもそこそこ時代がある。
近年はテレビ番組やネット動画の影響か、百円ショップで買ったような器を持ち込んで「江戸時代でしょうか?」と聞いてくる人もいる。
そのたびに我々は営業スマイルの裏で「江戸時代の職人も泣いておるぞ」と心の中で呟く。
しかし今回の品々は違う。
作られた時代の空気をちゃんと纏っている。
土も釉薬も嘘をつかない。
人間よりよほど正直だ。
続いて掛軸。
達磨。
不動明王。
観音菩薩。
仏画のオンパレードである。
日本人は信心深いのかそうでないのか分からないが、家には仏画があり神棚があり、クリスマスにはケーキを食べ、正月には神社へ行く。
世界中探してもこれほど宗教に節操のない民族は珍しい。
しかしそれで大きな争いも起こさないのだから不思議な国である。
達磨を広げる。
不動明王を広げる。
また達磨を広げる。
気が付けばこちらまで悟りが開けそうだ。
もっとも骨董屋が開くのは悟りではなく査定額である。
その後も品物は続く。
すると依頼主が奥から小箱を抱えてきた。

「時計もあるんですよ」
待ってました。
骨董屋が嫌いな言葉は「全部持って帰ってください」。
好きな言葉は「まだ奥にあります」である。
箱を開ける。
アンティーク腕時計。
懐中時計。
また腕時計。
さらに懐中時計。
時計だらけ。
まるで時の迷宮だ。
しかし現実は甘くない。
動かない。
また動かない。
これも動かない。
人間も年を取れば膝が痛くなる。
時計も年を取れば止まる。
ある意味公平である。
それでも一本一本確認していく。
すると現れた。
グランドセイコー。
おお。
さらにチューダー。
おやおや。
湿気で重かった空気が少し軽くなる。
骨董屋は現金な生き物だ。
価値ある品を見ると急に背筋が伸びる。
さっきまで暑い暑いと言っていたのに、査定中だけは妙に元気になる。
まるで病院の待合室でぐったりしていた人が診察室へ入る瞬間だけシャキッとするようなものである。
そして最後。
小さなケースが現れた。
開ける。
銀色の懐中時計。
文字盤を覗く。
刻印を見る。
思わず相方と目が合う。
ユリス・ナルダン。
出た。
スイスの名門。
海洋時計の歴史を語る上で欠かせない存在である。
骨董品の世界には時々こういう瞬間がある。
何十点も見た後に突然現れる主役。
まるで映画のラスト十分で全部持っていく名脇役のような存在だ。
それまでの蒸し暑さ。
疲労感。
腰痛。
老眼。
そんなものが一瞬で吹き飛ぶ。
人間とは単純な生き物である。
査定額を提示すると依頼主も驚いている。
無理もない。
長年引き出しの奥で眠っていた時計が思わぬ価値を持っていたのだから。
そして我々も気持ちよく商談成立。
ありがたい。
実にありがたい。
六月の湿気も。
車のエアコンの効きの悪さも。
ガソリン代の高騰も。
一旦忘れることができる。
骨董屋人生とはこういう小さな喜びの積み重ねなのだ。
帰り道。
相方が言う。
「今日は早く終わったね。」
その声には明らかに別の意味が含まれている。
私も頷く。
「そうだな。」
目的地は同じである。
骨董屋夫婦が商談後に向かう場所など限られている。
酒場である。
蒸し暑い季節には冷えたビール。
これ以上の文化遺産があるだろうか。
世界中の王侯貴族が集めた宝石より価値がある。
少なくともその瞬間だけは。
暖簾の揺れる店を横目に見ながら車を走らせる。
今日も無事に一日が終わった。
誰かが集めた品物を見て。
誰かの思い出を聞いて。
誰かの人生の一部を引き継ぐ。
骨董屋という商売は品物を買う仕事ではない。
人の歴史の後片付けをする仕事なのかもしれない。
もっともそんな殊勝なことを言いながら、今の私の頭の中はユリス・ナルダンでも達磨でも不動明王でもない。
冷えた生ビールが九割を占めている。
人間、最後は煩悩である。
ではまた次のお宝探しでお会いしましょう。
この懐中時計については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。
買取品の詳細

◇この「アンティーク懐中時計」はユリスナルダン製のLOCLE SUISSE という型式で1914年くらいのアンティーク時計です。化粧ケースはボロボロですが時計本体は綺麗で風防硝子の割れや欠けもなく現在でも稼働しております。付属品として当時のギャランティーもありました。とても貴重な骨董品的な懐中時計ですが現在でも十分実用として普段使いにもできそうです。アンティークのチェーンなどつけて使用するのも粋なものです。
買取査定額

◇懐中時計の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一にメーカーと状態と年代、次ケースの材質や珍しい形や形式、ほかにはギャランティーあればより高価買取&できます。ご自宅に懐中時計が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。
■過去の作品買取例

懐中時計 プラチナ無垢ケース 300,000円
コンパクト マリンクロノメーター 200,000円
懐中時計 18K白金無垢 Chronometer 21石 150,000円
銀無垢 懐中時計 100,000円 他多数
ユリス・ナルダンとは
Ulysse Nardin(ユリス・ナルダン)は、1846年にスイスのル・ロックルで創業された高級時計メーカーです。時計愛好家の間では「海の時計メーカー」として知られ、特にマリンクロノメーター(航海用精密時計)の分野で歴史に名を残しています。創業以来180年近い歴史を持ち、現在もスイス高級時計界において独自の地位を築いています。
一般の知名度ではロレックスやオメガほどではありませんが、時計マニアの世界では「技術革新を続ける名門マニュファクチュール」として非常に高い評価を受けています。特に近年は革新的な「フリーク」シリーズによって、伝統と前衛性を兼ね備えたブランドとして再評価されています。
創業者ユリス・ナルダン
創業者のユリス・ナルダン(1823~1876)は時計職人の家に生まれ、若くして精密時計製作の才能を発揮しました。
1846年、23歳で自身の工房を開設。当時のヨーロッパは大航海時代の延長線上にあり、海上で正確な位置を知るためには高精度の時計が不可欠でした。そこで彼は海洋用クロノメーターの製造に注力します。
1862年のロンドン万国博覧会では高精度懐中時計で最高賞を受賞し、その名声は世界へ広がりました。以後、ユリス・ナルダン製のマリンクロノメーターは各国海軍や商船隊で採用されるようになります。
マリンクロノメーターの王者
ユリス・ナルダン最大の功績は、海洋航法に必要な高精度クロノメーターの製造です。
GPSも電波航法もなかった時代、船乗りは天体観測と正確な時計によって自船の位置を割り出していました。そのため時計の精度は命に直結していました。
ユリス・ナルダンは19世紀後半から20世紀中頃にかけて世界50か国以上の海軍へマリンクロノメーターを供給し、アメリカ海軍、イギリス海軍、日本海軍などにも採用されました。
さらにスイス・ヌーシャテル天文台の精度試験では圧倒的な成績を収め、
- 4,324件の精度証明書
- 2,411件の特別賞
- 18個の金メダル
を獲得しています。これは時計史上でも驚異的な記録です。
クォーツショックと復活
1970年代後半になると日本製クォーツ時計の台頭によってスイス時計産業全体が危機に陥ります。
ユリス・ナルダンも経営難に陥りましたが、1983年に実業家ロルフ・シュナイダーが買収。さらに天才時計師のルートヴィヒ・エクスリンを迎え入れたことで劇的な復活を遂げます。
この時代に誕生した永久カレンダーや天文時計は、従来の高級時計にはない独創的な発想で世界中の時計ファンを驚かせました。
代表モデル① マリンクロノメーター
Marine Chronometer
ユリス・ナルダンを象徴するコレクションです。
1996年の創業150周年を記念して発表されました。歴史的な航海用クロノメーターを腕時計として再解釈したモデルで、
- ローマ数字
- パワーリザーブ表示
- スモールセコンド
- 高精度クロノメーター認定
などを特徴としています。
クラシックで上品なデザインのため、スーツにも非常によく似合います。
代表モデル② マリーン・トルピユール
Marine Torpilleur
フランス語で「水雷艇」を意味するトルピユール。
マリンクロノメーターの伝統を継承しながら、より薄型で現代的なデザインに仕上げられています。
- 軽量
- 高精度
- 優れた視認性
- 比較的実用的な価格帯
という特徴を持ち、近年のユリス・ナルダンを代表する人気シリーズです。
代表モデル③ ダイバー
Ulysse Nardin Diver
海との深い関係を持つブランドらしく、本格ダイバーズウォッチも展開しています。
特徴は、
- 高い防水性能
- 自社製ムーブメント
- マリンテイストのデザイン
- スポーティな外観
です。
ロレックスのサブマリーナーやブランパンのフィフティファゾムスとは異なる個性的な存在として人気があります。
代表モデル④ フリーク
Freak
2001年に登場した伝説的モデルです。
時計史に残る革新的な腕時計として知られています。最大の特徴は、
- 文字盤が存在しない
- 針が存在しない
- ムーブメント全体が回転して時刻表示
- リューズがない
という前代未聞の構造です。
さらにシリコン製脱進機を実用化した先駆的存在でもあり、後の高級時計業界に大きな影響を与えました。時計愛好家からは「21世紀の時計革命」と呼ばれることもあります。
技術的特徴
ユリス・ナルダンの特徴として、
① 精度へのこだわり
創業以来のマリンクロノメーター製造で培われた精度追求の伝統があります。100年以上にわたり天文台コンクールで圧倒的な成績を収めました。
② 革新的素材
シリコン製脱進機やDIAMonSIL技術など、先進素材の導入に積極的です。摩耗や磁気の影響を減らし、精度と耐久性を向上させています。
③ 独創的デザイン
フリークに代表されるように、他社が真似しにくい独創的な設計を数多く発表しています。
時計愛好家からの評価
時計愛好家の間では、
- 歴史の深さはパテックやブレゲに匹敵する
- マリンクロノメーターの実績は業界屈指
- フリークは時計史に残る傑作
- 一般知名度の割に技術力が高い
という評価を受けています。特に「過小評価されている名門ブランド」と語られることも少なくありません。

■ユリス・ナルダンの懐中時計といえば、やはり「マリンクロノメーター(Marine Chronometer)」が最高峰として知られています。19世紀後半から20世紀中頃にかけて製作された同社の懐中時計は、単なる高級時計ではなく、船舶の航海に用いられる精密計器として世界中の海軍や商船で使用されました。ユリス・ナルダンはその分野で圧倒的な評価を受け、50か国以上の海軍に採用されたとされています。
1. マリンクロノメーター(Marine Chronometer)
ユリス・ナルダンを代表する最高傑作
最も有名なのが「マリンクロノメーター」です。
特徴は、
- 白いエナメル文字盤
- ローマ数字
- 6時位置のスモールセコンド
- 12時位置のパワーリザーブ表示
- 温度補正機構付きテンプ
- 高精度脱進機
などです。現在の腕時計「マリーン・クロノメーター」のデザインも、この懐中時計を忠実に再現したものです。
特に海軍向けに製造された個体には木箱入りのデッキクロノメーターがあり、船内で航海位置を測定するために使用されました。
2. ポケット・クロノメーター(Pocket Chronometer)
海軍用ほど大型ではなく、個人向けに製造された高精度懐中時計です。
1862年のロンドン万国博覧会でユリス・ナルダンは「複雑時計およびポケットクロノメーター部門」の最高賞を獲得しています。これによって同社は世界的な名声を獲得しました。
特徴は、
- 非常に大きなテンプ
- 精密調整機構
- 金製または銀製ケース
- 優れた日差性能
です。現代の感覚でいえば「携帯できる天文台クロノメーター」といえる存在でした。
3. 鉄道用クロノメーター
20世紀初頭になると、鉄道網の発達により正確な時刻管理が重要になります。
ユリス・ナルダンは海洋用だけでなく鉄道向けの高精度懐中時計も製造しました。
特徴は、
- 視認性重視のアラビア数字
- オープンフェイスケース
- 高精度調整ムーブメント
- 耐衝撃性能
です。アメリカのハミルトンやウォルサムほど生産数は多くありませんが、現在でもコレクター市場では高く評価されています。
4. クロノグラフ懐中時計
ユリス・ナルダンは複雑機構にも優れ、クロノグラフ付き懐中時計を数多く製作しました。
特徴は、
- 30分積算計
- フライバック機能搭載例
- エナメル文字盤
- 青焼き針
などです。今回の買取品もこのモデルに等しいと思われます。
現存数は少なく、状態の良い個体はオークション市場で高額取引されます。近年でも1900年前後のユリス・ナルダン製クロノグラフ懐中時計がコレクターの間で高く評価されています。
5. 金無垢高級懐中時計
富裕層向けとして18金ケースの高級懐中時計も製造していました。
特徴は、
- 18金ケース
- 彫金装飾
- エナメル細密画
- 高級ムーブメント
などです。海軍用クロノメーターほど実用性重視ではなく、芸術工芸品としての価値も備えていました。現在ではアンティーク市場で人気の高い分野です。
骨董品市場で特に評価されるモデル
骨董品・アンティーク時計市場で高評価を受ける順に挙げると、
- 海軍用ボックス入りマリンクロノメーター
- ポケットクロノメーター
- クロノグラフ懐中時計
- 天文台コンクール受賞機
- 18金ケース高級懐中時計
となります。特に天文台検定証明書(Observatory Certificate)が残っている個体は別格で、コレクターの垂涎の的です。ユリス・ナルダンは1846年から1975年までに4,324件もの精度証明書を取得しており、これは時計史上屈指の記録です。
骨董品業界の視点から見た価値
骨董品買取の現場でユリス・ナルダンの懐中時計が出てきた場合、まず確認すべきは、
- 文字盤に「Chronometer」の表記があるか
- ムーブメント番号
- 天文台検定刻印
- 金無垢か銀ケースか
- オリジナル箱の有無
- 海軍や商船会社の刻印
です。

■参考サイト
時計の博物館(時計博物館)

■その他の買取品目
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