福岡市中央区で「寿龍堂鉄瓶」を買取りました!

京鉄瓶の買取 福岡
京鉄瓶

◇福岡の骨董探検隊 玄燈舎、満州の幻を追う…

梅雨入りを通り越し、三十度を超える日が続く六月の中旬。福岡市中央区の閑静な住宅街、まるで「ハリーポッター」の世界に入り込んだような洋館に、玄燈舎の出張お宝探検隊が乗り込みました。鉄の重厚な門柱をくぐると、そこには戦前に満州で財を成したという元ご主人の壮麗な暮らしの痕跡が残されていました。戦前の絵画、家具、調度品、掛軸銀食器が所狭しと散らばり、まるでタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。

今回のお目当ては、ご主人曰く中国で手に入れたという煎茶道具。朱泥の煎茶器、急須、錫の茶入れなどが目に飛び込んで参ります。その中でも、鈍い光を放つ鉄瓶がひときわ異彩を放っていました。銘を探してみると、なんと「寿龍堂」の文字が! 六角形という珍しい形に加え、状態も良好。これはもう、お宝ハンター悶絶の逸品でございます。

しかし、この鉄瓶には謎が隠されていました。満州で手に入れたという割には、寿龍堂は京都の老舗鉄瓶工房。一体、なぜ満州の地で寿龍堂の鉄瓶が手に入ったのでしょうか?調査を進めるうちに、驚くべき事実が判明致しました。実は、戦前の満州には、寿龍堂の出張販売店が存在していたというのでございます。当時、満州は日本の植民地であり、多くの日本人が暮らしていました。そのニーズに応えるため、寿龍堂は満州に販売店を設け、日本製の鉄瓶を販売していたのでございます。

今回発見された鉄瓶は、まさにその時代の貴重な証人と言えるでしょう。満州の地に咲いた寿龍堂という花。その芳醇な香りを、今ここに嗅ぎ取ることができたのでございます。しかし、話はここで終わりではございません。この鉄瓶には、もう一つの秘密が隠されていたのでございます。鉄瓶の中に入っていた紙には、薄く汚れた文字がございます。その文字を解読してみると、そこにはこう記されております。

寿龍堂刻印
寿龍堂刻印

「昭和十五年 六月 満州新京にて 寿龍堂」

なんと、この鉄瓶は昭和十五年六月、満州新京で購入されたものなのでございます。まさに、今回のお宝探検隊が出張した日と同じ月日であるのでございます。これは単なる偶然でしょうか?それとも、何か運命的な繋がりを感じさせる出来事でしょうか?なにかドキドキ、わくわくさせるものが私の背中を押し続けるのでありました。そして玄燈舎の出張お宝探検隊は、これからも福岡の街を駆け巡り、歴史の奥深さに謎に秘められた物語を掘り起こしていくのでございます。次回もお楽しみに!

無骨な鉄瓶
無骨な鉄瓶

この鉄瓶については下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

銅蓋摘み
銅蓋摘み

◇この「寿龍堂鉄瓶」は古い鉄瓶によくある穴などはなく比較的良い状態です。しかも持ち手は虫食いの技が入っており模様は三重の塔に鳥が描かれております。形は六角で注ぎ口の下に擦れて解読不能な銘もあります。蓋の裏には「寿龍堂」の刻印がありました。

摺れて読めません
摺れて読めません

買取査定額

 

錆はありますが穴はありません
錆はありますが穴はありません

◆鉄瓶の買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に工房や作者の人気度と製作年代、次に象嵌や銀、金の摘みの有無などでより高価買取&できます。なお、今回買取した鉄瓶は「寿龍堂」という工房で状態もよく、面白い造形ということで高価買取させていただきました。ありがとうございました。尚、ご自宅や倉庫に鉄瓶や煎茶道具がありましたら是非、骨董品買取の福岡玄燈舎にお声掛け下さいね。宜しくお願い致します。

 

 

■過去の寿龍堂作品買取例

高彫リ図柄です
高彫リ図柄です

安之助造 銀象嵌提手、竹籠型時代鉄瓶 200,000円
六面取鉄瓶 山水図  100,000円
柚子肌地紋金銀象嵌手鉄瓶 80,000円
鳥草花高肉彫岩肌鉄瓶     50,000円 他多数

★「寿龍堂」とは?

鳥もリアルに描かれている鉄瓶です
鳥もリアルに描かれている鉄瓶で

 

京鉄瓶の巨匠「寿龍堂」:その歴史と栄光

寿龍堂は、18世紀後半から19世紀にかけて京都で活躍した、京鉄瓶の名工として知られる鋳物師集団です。代々受け継がれてきた卓越した技術と芸術性で、数々の名作を生み出し、京鉄瓶の黄金時代を築き上げました。

持ち手も味がありますね
持ち手も味がありますね

始祖・秦蔵六と繁栄

寿龍堂の始祖は、江戸時代後期の鋳物師である秦蔵六です。彼は京都四条に住み、鉄瓶や風鈴などの鋳造品で名を馳せました。その技術は高く評価され、朝廷からも注文を受けるほどでした。

蔵六の死後、その技術は息子たちに受け継がれ、寿龍堂は繁栄を極めます。特に2代目の秦寿龍は、父譲りの技術に加え、独自の感性と創造性を活かし、寿龍堂の名声を不動のものにしました。

三代目の活躍とその後

3代目の秦寿人が家業を継ぐと、寿龍堂はさらに発展します。寿人は父を超える技術と芸術性で、数々の名作を生み出しました。代表作としては、「菊唐草文鉄瓶」や「亀甲文鉄瓶」などが挙げられます。

寿人の死後も、寿龍堂は代々受け継がれ、明治時代までその名を馳せました。しかし、時代の流れとともに需要が減少し、寿龍堂は廃業してしまいました。

 鋳造技術:受け継がれる伝統

鉄瓶の底
鉄瓶の底

寿龍堂は、代々受け継がれてきた伝統的な鋳造技術を用いて鉄瓶を製作していました。鉄を溶かして型に流し込む工程から、冷却、研磨、仕上げまで、すべての工程を職人が手作業で行っていました。特に、寿龍堂独自の「土練り」と呼ばれる技法は、鉄瓶の質を高めるために欠かせないものでした。土練りとは、鉄粉と粘土を混ぜ合わせて型を作る工程です。寿龍堂では、この土練りに特にこだわり、何度も試行錯誤を重ねることで、きめ細やかで丈夫な型を作っていました。

彫金技法:表現される多彩な文様

寿龍堂鉄瓶は、表面に施された美しい彫金技法も特徴の一つです。寿龍堂では、主に以下の3種類の彫金技法を用いていました。

  • 線彫り: 細い刀を用いて線を描くように文様を彫る技法です。寿龍堂の線彫りは、非常に繊細で優美な表現が特徴です。
  • 高彫り: 文様を立体的に彫り出す技法です。寿龍堂の高彫りは、躍動感あふれる表現が特徴です。今回の鉄瓶の模様も高彫にて造られています。
  • 金銀象嵌: 金や銀の薄板を文様の形に切り抜き、鉄瓶に嵌め込む技法です。寿龍堂の金銀象嵌は、華麗で高貴な印象を与えます。

これらの彫金技法を駆使して、寿龍堂は草花、動物、風景など、様々な文様を鉄瓶に表現しました。

代表作品

菊唐草文鉄瓶

3代目の秦寿人が製作した菊唐草文鉄瓶は、寿龍堂の代表作の一つです。菊と唐草の文様が繊細な線彫りで表現されており、寿龍堂の卓越した技術と芸術性が存分に発揮されています。

亀甲文鉄瓶

こちらも3代目の秦寿人が製作した作品で、亀の甲羅の模様を模した亀甲文が力強く表現されています。重厚感のあるフォルムと精緻な彫金技法が特徴です。

 桜文鉄瓶

華やかな桜の文様が金銀象嵌で施された桜文鉄瓶は、寿龍堂の金銀象嵌技術の高さを見ることができる作品です。

 

 

そのほかの有名な鉄瓶工房・作者をいくつかご紹介します。

六角鉄瓶全容
六角鉄瓶全容

〇江戸後期から明治時代にかけて活躍した名工・工房

  • 初代・野田勘次: 江戸後期から明治時代にかけて活躍した名工で、南部鉄瓶の技法を取り入れて独自の京鉄瓶を生み出しました。代表作に「菊水文鉄瓶」などがあります。

  • 初代・堀長兵衛: 江戸後期から明治時代にかけて活躍した名工で、銅や真鍮を用いた色絵鉄瓶で知られています。代表作に「牡丹唐草文色絵鉄瓶」などがあります。

  • 二代目・山本又三郎: 明治時代に活躍した名工で、薄手で軽い鉄瓶を得意としました。代表作に「桜文薄物鉄瓶」などがあります。

  • 中村家: 江戸時代から続く老舗工房で、代々受け継がれてきた伝統的な技法で作られる鉄瓶が特徴です。代表作に「菊文鉄瓶」などがあります。

  • 堀家: 江戸時代から続く老舗工房で、金銀象嵌を用いた華やかな鉄瓶が特徴です。代表作に「牡丹文金銀象嵌鉄瓶」などがあります。

〇現代の京鉄瓶作家

  • 三代・山田宗助: 人間国宝に認定された当代屈指の京鉄瓶作家です。伝統的な技法を守りながらも、現代的な感性を活かした作品で人気を博しています。代表作に「光琳菊文鉄瓶」などがあります。

  • 野田祐貴: 三代・山田宗助の娘婿であり、伝統的な技法を継承しながらも、斬新なデザインの作品も生み出しています。代表作に「龍文鉄瓶」などがあります。

  • 堀正和: 堀家の当主であり、伝統的な金銀象嵌の技法を活かした華やかな作品が特徴です。代表作に「鳳凰文金銀象嵌鉄瓶」などがあります。

その他…江里屋鋳物

江里屋鋳物は、江戸時代から続く老舗の鋳物工房です。寿龍堂と並び称されるほどの技術を持ち、繊細な彫金と美しい形が特徴です。代表作として、「菊水文風炉」や「牡丹唐草文鉄瓶」などが挙げられます。

亀山龍山

大正時代に活躍した亀山龍山は、人間国宝にも認定された鋳物師です。鉄瓶以外にも、仏像や茶道具などの作品も手がけました。代表作として、「牡丹唐草文風炉」や「山水文鉄瓶」などが挙げられます。

橋本正助

現代の京鉄瓶作家として第一人者と称される橋本正助氏は、伝統的な技法を継承しながらも、現代的な感性を活かした作品を生み出しています。代表作として、「銀杏文鉄瓶」や「流水文鉄瓶」などが挙げられます。

中村宗延

中村宗延氏も現代を代表する京鉄瓶作家の一人です。伝統的な技法に加え、独自の釉薬を用いた作品も手がけています。代表作として、「志野釉鉄瓶」や「辰砂釉鉄瓶」などが挙げられます。

◎関連、参考サイト

◆京都市経済産業局ホームページ

京都市経済産業局が運営するサイトで、京鉄瓶に関するイベント情報や、京鉄瓶の製作過程を動画で紹介しています。京鉄瓶の購入ガイドも掲載されており、信頼できる販売店を探すのに役立ちます。

◆文化庁 文化遺産オンライン

 

 

■その他の買取品目

 

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