福岡県春日市で琵琶型蒔絵香合を買取りました!

琵琶型香合

◇骨董品買取の福岡玄燈舎です。6月に近づき少し蒸し暑くなりましたね。今からの季節、怖いのは「熱中症」です。こんな私も実は去年、熱中症にかかり3日ばかり静養をしておりました。その時のことですが本人はいつものように「お宝を探し当てる」との使命感がいっぱいで誇りまみれ、泥まみれ…まさに「インディージョーンズ」になりきり、のどの渇きや室温には一切、関係なく猪突猛進のごとくに戦って?おりました。案の定、唇はしびれ手足のけいれんや真夏なのですが寒気が催して「やばい?」と思いつつ遂にはその場に倒れこみ気が付けばお客様に看病されていました(とほほ…)。プロなのでこういった情けないことは2度と起こさないように気を付けながら宝探しに夢中になっている還暦マンでした。お宅で蔵の中から低いうめき声を出しているかもしれませんのでその時はご容赦ください。今回はそんな厚さを感じ始めた蔵の中より探し当てたのは掛軸古伊万里甲冑に交じって香道もしくは茶道に使用するとみられる香合でした。しかもなんとまあとても珍しきお宝…「琵琶型香合」です。

状態の良い香入れです

この香合・香入れについては下記で詳しくお話しておりますので最後までお付き合いください。宜しくお願い致します。

買取品の詳細

螺鈿や蒔絵もきれいです

琵琶の弦などの模様もリアルに表現されています

琵琶の胴に描かれている蒔絵も繊細ですね

筑前四弦琵琶でしょうか?

◇この「琵琶型香合」は本物の琵琶と同様に桑の木でできております。糸巻の裏にある細やかな蒔絵や胴中央に描かれている模様も金蒔絵でとても雅ですね。内側にも金の梨地蒔絵で施されており大名道具といっても過言ではないような作りです。当時の職人さんには頭が上がりませんね。現在、このような蒔絵を施そうと思うと150万円くらいかかるそうです。ありがとうございました。

糸巻部や天神もかなり凝っています

糸巻部にも細かな蒔絵があり禿や汚れもありません。その他にも細部まで見ましたが100年以上たっているにも関わらず蒔絵の禿や割れ、ひびなどもなくとても良い状態を保っている作品です。やはり当時の蒔絵技術の粋を集めた作品のようで作者や詳細は不明ですが大名への献上品のようですね。

買取査定額

内側には細かい梨地が隅々まで施されています。

 

琵琶の裏にも梨地の漆芸があり非の打ち所がない仕事をされています。

 

◆琵琶香合や香入れの買取査定額もしくは評価額ですがまず第一に蒔絵師の知名度、次に状態、形などでより高価買取&できます。なお、今回の香合は珍しい形、金蒔絵&螺鈿があり状態も良かったので50000円の買取価格になりました。香合の買取相場ですが上記のように造り、作家、蒔絵等などでかなり差があります。ご自宅に蒔絵の香合や香入れ、茶道具や香道具が御座いましたら一度拝見させてください。もちろん状態や時代、作者、作品でもお値段は変わりますのでご了承ください。

 

 

一つひとつ筆を入れたような蒔絵ですね

糸巻の裏にも細やかな漆芸が施されています

 

■過去の作品買取例
古満休伯造 「 金蒔絵 硯箱 」 700,000円
飯塚観松斎(桃葉)作 御硯箱   500,000円
百々正生作 高蒔絵銀縁御手箱 350,000円
茶箱 蒔絵師 北岡周治造 250,000円 他多数

蒔絵師とは?

蒔絵師(まきえし)とは、蒔絵と呼ばれる伝統的な日本の漆芸技法を専門とする職人のことを指します。蒔絵は、器物や家具などの表面に漆を塗り、その上に金粉や銀粉を蒔いて装飾を施す技法です。この技法は、日本独自のものであり、非常に高い技術と芸術性が求められます。私も度々、蒔絵の工芸品を扱い日本独自の芸術だということを誇りに思っております。

起源と発展

蒔絵の技法は、奈良時代(710-794年)に遡るとされていますが、本格的に発展したのは平安時代(794-1185年)からです。この時期、貴族たちは高級な漆器を愛し、装飾としての蒔絵が広まりました。奈良時代の「正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)」の中に含まれる漆器類が最初だと言われています。正倉院は、奈良の東大寺にある宝物庫で、多くの古代工芸品が保存されています。ここに収められている「黒漆七宝蒔絵香炉(こくしつしっぽうまきえこうろ)」などが有名ですね。平安時代後期には、蒔絵の技術がさらに洗練され、鎌倉時代(1185-1333年)には、武士階級にも蒔絵の美しさが評価されるようになりました。

戦国時代から江戸時代

戦国時代(1467-1603年)には、戦国大名たちが自らの権威を示すために、蒔絵を施した武具や茶道具を注文しました。特に茶道の発展とともに、蒔絵の需要は高まりました。江戸時代(1603-1868年)になると、蒔絵はさらに一般的なものとなり、町人文化の中でも人気を博しました。この時期には、蒔絵師たちがさまざまな新しい技法を開発し、個々の作家のスタイルが確立されました。

残念ながら作者は不明です

◇今回の製作者は確定できませんでしたが 著名な蒔絵師を下記に書いていますので御参考にして下さい

1. 本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ, 1558-1637)

本阿弥光悦は、江戸時代初期の多才な芸術家で、書道や陶芸、蒔絵においても高い評価を受けています。彼は本阿弥家に生まれ、家業の刀剣鑑定に従事しながらも、芸術への情熱を追求しました。光悦の蒔絵は、自由で大胆なデザインと高度な技術で知られています。代表作には「舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)」があります。これは、川に浮かぶ舟を題材にしたデザインで、金や銀の粉を使って立体的かつ流動的な表現をしています。この方の作品は九州博物館でも見かけたことがあります。とても豪華絢爛な作品でした。

2. 尾形光琳(おがた こうりん, 1658-1716)

尾形光琳は、琳派(りんぱ)の創始者の一人であり、その作品は日本美術の象徴とされています。彼の蒔絵は、装飾性と機能性を兼ね備えたデザインが特徴です。代表作には「八橋蒔絵硯箱(やつはしまきえすずりばこ)」があります。これは、物語『伊勢物語』の有名なエピソードをモチーフにし、橋と水辺の風景を金と銀の蒔絵で描いたもので、光琳の優れたデザインセンスと技術力を示しています。尾形光琳の作品はメディアでもよく取り上げられていますね。一度は本物を見たいです。

3. 柴田是真(しばた ぜしん, 1807-1891)

柴田是真は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した蒔絵師で、その革新的な技法で知られています。彼は伝統的な技法に新しい素材や技術を取り入れ、蒔絵の表現の幅を広げました。代表作には「亀甲文様蒔絵薬入(きっこうもんようまきえくすりいれ)」があります。亀甲模様を緻密に描いたこの作品は、真の技術力と創造力を如実に示しています。

4. 原羊遊斎(はら ようゆうさい, 1828-1898)

原羊遊斎は、明治時代の代表的な蒔絵師の一人で、その作品は国内外で高い評価を受けました。彼は伝統的な蒔絵技法を守りながらも、西洋の技術やデザインを取り入れ、新しいスタイルを確立しました。代表作には「藤蒔絵小箱(ふじまきえこばこ)」があります。この小箱は、細やかな藤の花が金蒔絵で描かれており、羊遊斎の優れた技術と美的感覚を感じることができます。この人の文様は今までにないモダンなデザインが多いですね。

5. 五十嵐道甫(いがらし どうほ, 17世紀後半)

五十嵐道甫は、江戸時代中期に活躍した蒔絵師で、その作品は当時の貴族や武士に愛されました。彼の作品は精緻なデザインと高い技術で知られています。代表作には「松竹梅蒔絵文台(しょうちくばいまきえぶんだい)」があります。松、竹、梅の図案を金と銀で描いたこの文台は、道甫の卓越した技術とデザインセンスを示しています。そしてやはり武家に重宝されていたようで高蒔絵や金銀象嵌などとても格式の高い作品が多いと思います。

上記の5名の作品は各国立博物館にも収蔵されていますので機会がありましたら是非、ご観賞ください。

◎関連、参考サイト

  1. ギャラリージャパン(Gallery Japan)
  2. 公益社団法人日本工芸会(The Japan Kōgei Association)

 

 

■その他の買取品目

 

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